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単立神社とは?単立神社が増える理由・神社本庁との関係を解説
更新日:2022.02.25 公開日:2022.02.25

記事のポイントを先取り!
- 単立神社とは、神社本庁などの包括宗教法人に所属していない独立した神社のこと
- 単立神社は宗派・目的の違いや、本庁の内部問題などを理由に増加傾向にある
- 幕末以前は神仏習合により、お寺と神社は同じものだったた
近年増えている神社の形式として、単立神社と呼ばれるものがあります。
単立神社という言葉はそもそも、どういった神社のことを指しているのか分からない方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、単立神社とは何かを詳しく紹介していきます。
そもそも単立とはどういう意味か、なぜ単立神社が増えているのかを深掘りしていきます。
また、記事の後半では寺と神社の関係性についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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単立とは
「単立」という言葉は、宗教法人について説明する時に使われる用語です。
宗教法人には、礼拝の施設を持つ「単位宗教法人」と、傘下に礼拝を持つ宗教法人がある「包括宗教法人」の二つの種類があります。
また、単位宗教法人の中で包括宗教法人の傘下に所属している場合、それを「被包括宗教法人」と呼びます。
そして、単位宗教法人の中でも、どの包括宗教法人にも属していない法人のことを「単立宗教法人」と呼びます。
単立という言葉はつまり、この単立宗教法人のことを表す言葉です。
例えば、神社では「神社本庁」と呼ばれる包括宗教法人によって、全国の多くの神社が包括されています。
そして、この神社本庁に属していない神社のことを、「被包括」でないことを表すために「単立神社」と呼んでいるのです。
単立神社は、何らかの理由によって、神社本庁に所属せずに独自で運営しています。
次項からは、この単立神社がどういったものなのか、どういった特徴があるのかについて詳しく解説しましょう。
主な単立神社
主な単立神社として、国内で特に有名な神社は以下の通りです。
- 出雲大社
- 靖国神社
- 日光東照宮
- 伏見稲荷神社
- 富岡八幡宮
- 武蔵御嶽神社
上記以外に、明治神宮のように以前独立して単立となり、その後再び神社本庁の傘下に加わるケースもあります。
単立神社は上記で紹介した以外にも全国に多数存在しており、近年では更に増加傾向にあります。
これには理由がありますが、その理由については後ほど詳しくご紹介します。
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単立神社と神社本庁
ここからは単立神社と神社本庁の関係性について紹介していきます。
神社本庁という包括宗教法人がどういったものかを知れば、単立神社との違いも自ずと見えてくるでしょう。
神社本庁とは
神社本庁は伊勢神宮を本宗とする、全国にある8万社以上の神社を統括している宗教法人です。
現在、正式名称に神社と名の付くものは基本的にこれに所属しています。
この法人は戦後にGHQからの指令によって作られたものです。
それまで国家神道の中心機関であった神祇院を解体し、国家から神道を分離することを目的として作られました。
神社本庁の母体となったのは、当時存在した皇典講究所・大日本神祇会・神宮奉斎会という三つの組織です。
この三つの組織は神祇院と同様に国家からの神道分離を進めるため、GHQの命令によって解体されました。
解体された三つの組織を統合し、神社本庁へと姿を変えたのです。
神道には明確な教義がある訳ではなく、神社本庁に属する神社はそれぞれ様々な神様を信仰しています。
本庁は今でもそうした全国の神社を管理し、神道や神社の正しい教えを広めるために活動しているのです。
また各都道府県には、傘下の地方組織として「神社庁」と呼ばれる団体が置かれ、地域の神社の事務などをしています。
神社本庁の実際
現在の神社本庁では、人事に関する問題を抱えているとされています。
本庁は全国の神社を束ねる存在ですが、神社などの人事の最終的な決定権も有しています。
この決定権により各神社の宮司は神社本庁によって選ばれるため、本庁の思うままに人事が決定されるといわれています。
本庁と仲が良い人物だけで宮司を独占してしまうと、各神社の組織には偏りが生じてしまいます。
そのため、その体制に対して反発する人もいるのです。
単立神社が増える理由
ここからは近年、単立神社が増えている理由について詳しく解説していきます。
神社本庁の統率下にいない神社は、どういった理由から単立であることを選んでいるのでしょうか。
単立神社の方が儲かる
神社本庁に属している神社は、毎年神社本庁に対しての上納金を納める必要があるとされています。
上納金の金額にはその神社の規模が関係しており、規模が大きければそれだけ負担も大きくなります。
単立神社になれば包括する宗教法人がいないため、上納金を納める必要がなく、上納金分の負担軽減が可能です。
その意味では、単立神社の方が儲かるといえます。
例えば、単立神社である伏見稲荷神社は観光地として有名なため、単立であっても十分に運営することが可能です。
また、本庁に属していると本庁から活動の制限を受けたり罰則があったりします。
そのため、そうした制限を受けず自由に神社を運営していきたいと考えている神社もあります。
単立神社は自由に運営して稼ぎたいと考える神社にとって、都合が良い形式なのです。
宗派が違う
神社本庁は伊勢神宮を本宗としていますが、中には宗派が異なることを理由に単立となっている神社もあります。
例えば、出雲大神宮がその筆頭です。
伊勢神宮は天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀る神社ですが、出雲大神宮は大国主命(おおくにぬしのみこと)を祀る神社です。
そのため信仰する神様が違うということで、単立神社であることを選んでいます。
祀る神様の違いにより、単立であることを選ぶケースもあることを覚えておきましょう。
目的が違う
元々、目的が違うために単立である神社の代表例として、靖国神社があります。
靖国神社は、神社本庁から独立した訳ではなく、最初から単立神社として存在していました。
これには靖国という神社の成り立ちが特殊であることが関係しています。
靖国神社は元々、「国が所有する神社」で、戦没者を祀ることを目的として建てられました。
しかし戦後の政教分離によって、国家が神社を持つことは不可能となったのです。
これにより戦後、靖国神社は宗教法人となり、国家が所有するものではなくなりました。
本庁は靖国神社について、いずれは国に返し、国が所有するべき神社だと考えています。
そのため、本庁も靖国神社が被包括下に入らず、単立神社という形で存在することを認めているのです。
単立であっても、靖国神社のように神社本庁と対立せず、協調し合っている場合もあります。
神社本庁の内部問題
神社本庁では前述した人事問題以外にも、様々な内部問題があります。
現在、多くの神社において、信者の減少や過疎化、収入の減少などが問題視されています。
しかし、本庁はこれらを対策せず政治活動していると言い、その体制に反発する神社もいるのです。
また、本庁は政治団体である日本会議とのつながりが強いとされており、それを問題視する方もいます。
こうしたことを問題に思い、本庁から独立する神社もいるのです。
紹介してきたように、神社本庁から独立した神社は、様々な理由により単立神社であることを選んでいます。
信仰の問題だけではなく、様々な要因が複雑に絡み合っているのです。
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単立神社になるには

ここからは単立神社になる方法として、一例をご紹介します。
神社などの被包括宗教法人から独立する際には、以下のようなステップを踏むことが多いでしょう。
- 離脱する神社内で役員会議をし、離脱に関して議決する
- 離脱することを公告し、神社本庁に内容証明郵便で被包括関係廃止の通知書を提出する
- 公告から2ヶ月以上経ったら、規則変更認証申請書を提出する
- 認証から2週間以内に法人登記を変更する
- 登記事項を変更したら、登記完了届を(NPOの監督権限を有する)所轄庁に提出する
単立神社になるには上記のように正式ないくつかの手続きをした後、法人登記を変更する必要があります。
「離脱したい」と言ってすぐに離脱が実現するわけではないため注意しましょう。
単立神社から神社本庁に所属するには
上述したのとは反対に、単立神社だった神社が神社本庁に所属する場合には、どのような手続きをするのでしょうか。
ここでは3つのケースに分けて詳しく解説します。
任意団体の場合
任意団体である場合には、まず法人格を得る必要があります。
任意団体とは、法人格を所有していない団体であることを意味する言葉です。
法人格とは、団体に対して与えられる法律上の人格のことを意味しています。
これがあって初めて任意団体ではなくなり、団体であることが法的に認められるのです。
法人格を有していなければ、団体名義での口座の開設や事務所の団体名義での賃貸などの各種手続きが行えません。
そのため、神社本庁に入るにはまず、団体として法的に認められた存在となる必要があるのです。
任意団体の場合には、まず神社本庁の統理と所轄庁からの承認を得ます。
そうすると、法人格の取得と本庁に所属する手続きをするようになるため、手続きをすれば神社本庁の被包括宗教法人になれます。
単立宗教法人の場合
単立宗教法人の場合には、既に法人格を有しているため法人格の取得は必要ありません。
今まで包括宗教法人に所属していない場合や、以前所属していて独立した場合、以下の流れで所属が可能になります。
まず、神社内で役員会議を開き、被包括宗教法人になることの是非を問う投票をします。
議決が通ったら、神社本庁から承認を受け、宮司の任命具申書の提出をします。
公告期間が終了してから2ヶ月以内に認証申請をし、認証されたら登記の変更を所轄庁に届け出る、という流れです。
上記からも分かる通り、本庁から独立する場合と大きな流れは変わりません。
別の包括団体からの離脱の場合
別の包括団体から離脱して、神社本庁の被包括法人になる場合もあります。
この場合も、他のケースと同様にまず役員会議で議決を取り、神社本庁の被包括宗教法人になるかどうかを決めます。
議決が通った場合には、承認申請書を神社本庁に送って統理の許可を得ます。
許可を得たら公告し、離脱する包括団体に書面で被包括関係廃止の連絡をしたのち、通知書のコピーを本庁に提出します。
本庁の統理から承認されたら、宮司の任命具申書を提出し、その後所轄庁へ認可を申請します。
認証されたら、登記の変更届を出して登記が完了したら所属手続きは完了です。
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昔は寺と神社は一緒だった?

幕末より昔にはお寺と神社は同じものだと考えられており、「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」と呼ばれる状態になっていました。
神仏習合とは、神道と仏教の文化が混じり合っている状態のことで、奈良時代から始まった信仰の形です。
仏教が日本に伝わった時、国内には日本古来の神道が存在していました。
しかし、神道で仏様も神道における神様の一人として位置付けられたことで、国民にも仏教が受け入れられていきます。
また、神道における神様は仏様の別の姿だという、「本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)」もこの神仏習合を広める要因となりました。
このように、お寺と神社は元々同じものだと考えられていましたが、それが大きく変わったのが幕末以降です。
この当時、政府によって「神仏分離(しんぶつぶんり)」が推進されました。
神仏分離とは、簡単にいうとお寺と神社を明確に区別し、神社からお寺の要素を排除するというものでした。
これには政府が神道を国家の宗教だと位置付けて、天皇の権威をより強いものにしたいという思惑が隠されていました。
そして、その一環として「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」の運動が起こり、多くのお寺や仏像が壊されたのです。
お寺の中にはこれを恐れ、神社に鞍替えしたものもありました。
こうした流れによって、幕末以降、お寺と神社は明確に区別されるようになりました。
現在でもお寺と神社で建物の区別が付かないものもありますが、これは神仏習合の名残りだといえるでしょう。
神仏分離後の現代日本でも、神社とお寺の両方にお参りする人は多く、両方とも現代人の生活の中に溶け込んでいます。
単立神社のまとめ

ここまで単立神社の言葉の意味や、単立神社のなりかたなどを中心に紹介してきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 単立神社とは、神社本庁などの包括宗教法人に所属していない独立した神社のこと
- 神社本庁は全国の神社を管理しており、各都道府県には神社庁が置かれている
- 単立神社は宗派・目的の違いや、本庁の内部問題などを理由に増加傾向にある
- 幕末以前は神仏習合により、お寺と神社は同じものだと考えられていた
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

唐沢 淳(からさわ じゅん)
経歴
業界経歴10年以上。大手プロバイダーで終活事業に携わる。葬儀の現場でお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから大人数の葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとにも数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、ユーザー目線でのサービス構築を目指す。
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