相続
相続放棄すると遺品整理できないの?トラブルを回避するには
更新日:2022.05.17
相続されるものには財産や借金などがありますが、相続放棄についてご存じでしょうか。
相続放棄をする場合、遺品整理について詳しく知っておくことが大切です。
そこでこの記事では相続放棄と遺品整理について、詳しく説明していきます。
この機会に、相続放棄した場合、遺品整理はどうするべきか覚えておきましょう。
被相続人が孤独死した場合についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 相続放棄とは
- 遺品整理とは
- 相続放棄は相続開始後3か月以内に手続きが必要
- 相続放棄後の遺品整理はどうしたらいいのか
- 相続放棄しても遺品整理が必要なケース
- 相続放棄をしたら形見分けもダメ?
- 相続放棄後、スムーズに遺品整理をするには
- 相続放棄する場合の家の取り扱いについて
- 相続放棄したときの遺品整理費用は誰が支払う?
- 遺品整理と相続放棄についてのまとめ
相続放棄とは
相続放棄とは文字通り配偶者や親などからの相続を放棄することです。
相続は一般的に財産や不動産など、価値のあるものが受け継がれます。
しかし相続の中には借金など、相続するとマイナスになるものも対象となります。
相続の対象全体の割合がトータルでマイナスになる場合に、相続放棄を検討するケースが発生します。
遺品整理とは
遺品整理とは亡くなった方の所有物について仕分け、整理すること全般を指した言葉です。
一般的に家族や親族といった身内が亡くなった際に行います。
故人が使っていたものや所持品の処分、思い出の品の引き取りなどを関係者が集って行うことが多いです。
相続放棄は相続開始後3か月以内に手続きが必要
相続放棄をする場合は、放棄の有効期限までに手続きをする必要があります。
相続放棄ができる手続きの有効期限は、相続開始後3ヶ月以内です。
相続開始から3ヶ月を過ぎてしまうと、相続を認めたと見なされて相続放棄を行うことができなくなります。
相続開始のタイミングは被相続人の逝去日ではなく、相続人が自分であることを知った日となります。
この3ヶ月期間を熟慮期間と呼び、相続について確認し相続するかしないかなどの判断を行う期間とされています。
相続放棄後の遺品整理はどうしたらいいのか
実は相続放棄と遺品整理には、相続人として注意すべき点があります。
相続放棄をする予定、もしくは相続放棄の手続きを行っている場合などは、基本的に遺品整理をしてはいけません。
相続放棄をする場合に遺品整理を行うと、相続を受け入れたと見なされてしまうためです。
ただし遺品整理全てにおいて相続の承認と見なされるわけではありません。
相続人の中には故人の遺品や所有物を管理する立場となる人もいます。
遺品である所有物を放置できない場合や緊急を要する場合などは、例外として認められることもあります。
しかし遺品類を個人的に利用したり、資産価値のあるもの全てを回収してしまったりすると相続を認めたこととなってしまいます。
相続放棄しても遺品整理が必要なケース
ご自身が相続放棄をすることになったとしても、遺品整理が義務として必要になるケースもあります。
代表的な3つの事例を下記で解説します。
孤独死の場合
被相続人が孤独死で亡くなった場合には、相続放棄をしても遺品整理をする義務があります。
孤独死の場合、死亡日時から長い期間が経過していたり夏場だったりすると遺体の腐敗が激しくなります。
そのため孤独死は緊急事態とされていて、相続放棄をしていても遺品整理の義務があるのです。
賃貸借契約の保証人になっていた場合
故人が契約している賃貸契約の保証人になっていた場合も、遺品整理が必要です。
賃貸契約には解約時に物件の原状回復と修繕費の支払いの義務があり、契約者が亡くなった際は保証人が負担します。
そのため相続放棄と賃貸物件の原状回復のための遺品整理は、違うこととして考えるものとされています。
近隣住民に迷惑がかかる場合
たとえ相続放棄をしていたとしても、故人の死が近隣住民に迷惑をかける場合は遺品整理が必要です。
遺体の腐敗が進んでいる場合は、悪臭や害虫の発生が考えられます。
そうなると近隣住民に迷惑がかかり、トラブルになるため遺品整理とともに消毒や消臭などを緊急で行う必要があります。
相続放棄をしたら形見分けもダメ?
相続放棄をした後に形見分けを行う際には、注意点に考慮して行わなければなりません。
形見分けとは故人の所有物を関係者で仕分け、譲り合いながら引き取ったり処分したりすることです。
基本的には形見分けをしない方が、法律上遺品整理の可能性がなくなるため、相続放棄する場合は無難です。
ただし、経済的資産的価値がないもの、たとえば手紙や写真などは不問とされることもあります。
しかし遺品のほとんどを回収したり処分したりすると、故意に遺品を利用したことと見なされる可能性があります。
そうなると相続をしたと同じことになり、相続放棄ができなくなりかねませんので注意が必要です。
相続放棄後、スムーズに遺品整理をするには
さまざまな理由で被相続人からの相続を放棄する場合、条件によって遺品整理の義務が発生してしまいます。
しかし相続放棄をすでに決めている場合、遺品整理をすることは相続を認めたことと捉えられかねません。
そこで気になるのが安全でスムーズな遺品整理の方法がないかどうか、ということだと思います。
相続放棄をしている以上、自分では無理だとしても第三者を立てることにより遺品整理が可能になります。
相続財産管理人を立てる
相続財産管理人とは、資産価値のある相続対象を管理代行する役割の人で、法律家が勤めるケースが多いです。
相続財産管理人を立てることで自らは相続放棄をしつつ、資産価値のある遺品整理を進めてもらうことができます。
相続放棄したものの義務として故人が所有していた不動産の管理を行うケースがあります。
そのような場合は家庭裁判所に相続財産管理人の申し立てを行い、財産の管理を委託することになります。
相続財産管理人を依頼する際には、予納金という管理に使うお金を預け入れる必要があります。
予納金の額は20〜100万円の間で裁判所によって決められます。
遺品整理士のいる専門業者に依頼
相続放棄と遺品整理は、現実的に重複する問題でトラブルに発展することも多いようです。
そのため相続財産管理人を立てる以外に、遺品整理士という遺品整理を専門とする業者に依頼する方法もあります。
遺品整理士とは、相続や遺産整理に関しての法律や知識を有している専門家です。
さまざまな事例も加味して、依頼者の状況把握から法律家との連携などのサポートを受けることができます。
また法規制や専門知識に加え、被相続人が孤独死した場合などの対処も依頼が可能です。
消臭や消毒、特殊清掃などのネットワークを持っている業者も多いので、何かと頼りになる存在です。
相続放棄する場合の家の取り扱いについて
相続放棄をする場合、故人が住んでいた家の取扱いは持ち家の場合と賃貸の場合で異なります。
持ち家の場合
持ち家の場合、相続放棄をすることで家の売却や解体などをすることはできません。
ただし相続放棄をしても、相続人には家の管理を行う義務が存在します。
そのため持ち家の管理責任が発生するため、放置することはできず適切な管理を行う必要があります。
賃貸の場合
賃貸に住んでいた故人が亡くなった場合、誰かが契約を受け継がない限り契約は基本的に解約されます。
その場合、賃貸物件の原状回復のため遺品整理が必要になります。
しかし相続放棄する場合は、家の片付けはできたとしても遺品を処分することはできません。
相続放棄したときの遺品整理費用は誰が支払う?
すでに相続放棄している場合に発生した遺品整理費用は、誰が支払うことになるのでしょうか。
費用は基本的に相続財産管理人が予納金の中から支払います。
予納金以上に遺品整理にお金がかかってしまった場合には、差額分が請求されることがあります。
遺品整理と相続放棄についてのまとめ
ここまで遺品整理の情報や、相続放棄などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 遺品整理は亡くなった方の所有物の他に、持ち家や賃貸物件の扱いも含まれる
- 相続放棄とは事情により相続することを拒否することで、手続きが必要
- 相続放棄する場合は、基本的には遺品整理はできない
- 相続放棄後、相続財産管理人をたてることができる
- 遺品整理を代行してもらいたい場合は、遺品整理士に依頼するとよい
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
鎌田 真紀子(かまた まきこ)
国家資格 キャリアコンサルタント ・CSスペシャリスト(協会認定)
経歴
終活関連の業界経歴12年以上。20年以上の大手生命保険会社のコンタクトセンターのマネジメントにおいて、コンタクトセンターに寄せられるお客様の声に寄り添い、様々なサポートを行う。自身の喪主経験、お墓探しの体験をはじめ、終活のこと全般に知見を持ち、お客様のお困りごとの解決をサポートするなど、活躍の場を広げる。