相続
遺産相続の手続きは何をすればいいの?時系列に沿って流れを説明
更新日:2024.08.03 公開日:2022.05.01
相続の権利がある遺族は遺産相続が可能になりますが、その手続きについてはご存じでしょうか。
遺産相続では何をすべきなのか流れを知ることでスムーズに手続きが進められます。
そこでこの記事では遺産相続の詳しい手続きの流れについて詳しく説明していきます。
この機会に遺産相続の流れや必要な手続きや書類などを知っておきましょう。
遺産相続の手続きでよくあるトラブルについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
都道府県一覧から葬儀社を探す
こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。
こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。
- 遺産相続とは
- 遺言書がある場合の遺産相続
- 遺言書がない場合の遺産相続
- 遺産相続の手続きの流れとタイミング
- 遺産相続に必要な書類
- 遺産を受け取りたくない場合
- 相続人が海外に在住している場合
- 遺産相続の手続きでよくあるトラブルとは
- 遺産相続の手続きについてのまとめ
遺産相続とは
まずはそもそも遺産相続とはどういったものなのか説明していきます。
遺産相続とは、故人が残した一切の財産を相続人が引き継ぐことです。
この財産は、預金や不動産などの金銭的な価値があるプラスの遺産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。
プラスの財産を「積極財産」、マイナスの財産を「消極財産」と呼ぶこともあります。
遺言書がある場合の遺産相続
次に遺言書があるケースでの遺産相続について紹介していきます。
遺言書には法的な効力があります。
そのため遺言書がある場合には、基本的にはその内容に沿って遺産を相続したり、遺贈されることになります。
遺言書がない場合の遺産相続
次は逆に遺言書がないケースでの遺産相続について紹介していきます。
故人が遺言書を作成していなかった場合に相続人が複数人いる場合には、相続人全員で話し合いをして遺産分割協議をする必要があります。
なお遺産分割協議の結果は、遺産分割協議書に記録する必要があります。
遺産相続の手続きの流れとタイミング
次は実際の遺産相続の手続きや流れについて紹介していきます。
実際の流れを知ることでスムーズに手続きを進められるので、以下を参考にしてください。
死亡を知ったときから7日以内
死亡を知ってから7日以内に死亡届を提出する必要があります。
病院で亡くなられた場合には、病院側で死亡診断書を用意してくれます。
死亡診断書はその後の各種手続きにて必要になるので、コピーしておくことをおすすめします。
死亡届は死亡診断書とセットになっています。
死亡届に必要事項の記載が終わったら市区町村役場に火葬許可申請書と共に提出しましょう。
なお、死亡届は死亡してから7日以内に提出することが定められています。
死亡から10日以内
次に親族に訃報を送り、お通夜や葬儀、告別式、各種法要を行っていきます。
葬儀会社に申し込みをするときに火葬許可証が必要になるので、持参するようにしましょう。
亡くなられた方が年金を受給していた場合には、年金受給停止の手続きが必要になります。
それぞれに期限があり、厚生年金受給者であれば、死亡後10日以内で、国民年金受給者であれば死亡後14日以内になります。
死亡から14日以内
故人が亡くなられてから14日以内に健康保険の資格喪失届を提出する必要があります。
なお、故人が75歳以上であったケースでは、後期高齢者医療資格喪失届を提出しなければいけません。
故人が介護保険に加入していた場合には、資格喪失届を市区町村役場に提出します。
なお、故人が世帯主であったケースでは、死後14日以内に世帯主変更届を提出してください。
また、生命保険に加入していた際には、生命保険金の受け取り手続きをしていきます。
この他にも金融機関への連絡や公共料金や各種サービスの変更と解約手続きをする必要があります。
死亡から3ヵ月以内
遺言書があればその後の遺産相続に大きく関わってきます。
亡くなられた方が公正証書遺言を残していたケースでは、公正役場で遺言書を検索できます。
遺言書を発見したら家庭裁判所に遺言書の検認を依頼しましょう。
検認する前に遺言書を開封してしまうと、5万円以下の過料を支払わなければいけなくなるので注意してください。
遺言書がないケースでは、相続人全員で遺産について話し合うことになります。
これを遺産分割協議といいますが、故人に借金があり相続したくないケースでは、相続放棄の手続きを進める必要があります。
また、場合によっては限定承認するなどして遺産の相続について検討していきます。
これらの手続きの期限は、3カ月以内になりますので、忘れずに手続きするようにしましょう。
死亡から4ヵ月以内
故人に所得があった場合には、相続人が故人に代わって所得税を準確定申告する必要があります。
これは、故人が事業主であったり、2000万円以上の所得があった場合に対象となります。
準確定申告の期限は、故人の死亡後から4カ月以内と定められていますので、覚えておきましょう。
この期限を過ぎてしまうと、延滞税などがかかってしまうケースもあるので注意が必要です。
死亡から10ヵ月以内
相続人でしっかりと話し合い、遺産相続の分け方の内訳が決まったら次に遺産分割協議書を作成します。
この遺産分割協議書の内容に従って自分が相続したそれぞれの遺産の相続手続きをします。
相続税には基礎控除があるのでこの範囲内の金額であれば申告する必要はありません。
しかし基礎控除を超える金額であった場合には、相続税申告と納付手続きをしなければいけません。
この期限は相続の開始を知った翌日から10カ月以内になります。
死亡から1年以内
配偶者や子ども、親などの一定範囲内の相続人に対しては、最低限の遺産を取得できる権利があります。
この権利のことを遺留分と言います。
例えば故人が不倫していたケースで遺言書に「パートナーに全ての財産を相続する」とされていた場合でも配偶者は遺留分として半分の金額を受け取る権利があります。
そのため、愛人である故人のパートナーに対して「半分の財産を受け取る権利があるので、遺産の半分を渡してください」と請求することが可能です。
このように他の相続人等に請求することを遺留分減殺請求と呼びます。
遺留分減殺請求の期限は、故人の死亡や遺留分侵害の事実を知ってから1年以内とされています。
遺産相続に必要な書類
次に遺産相続に必要な書類を紹介していきます。
手続きごとに必要な書類が異なりますので、以下をご覧ください。
遺産分割協議に必要な書類
遺産分割協議に必要な書類を以下にまとめます。
- 故人の出生時から死亡時までの全ての戸籍・除籍・改製原戸籍謄本
- 相続人全員の現在の戸籍謄本 ※発行後3か月以内のものに限ります
被相続人の子や代襲者で死亡している人がいる場合に必要な書類は以下の通りです。
- 亡くなった方の出生時から死亡時までの全ての戸籍・除籍・改製原戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 相続人全員及び被相続人の住民票または戸籍附票※マイナンバーの記載がないもの
以下のような遺産を証明する書類も用意しておきましょう。
- 不動産全部事項証明書
- 固定資産評価証明書
- 預貯金の残高証明書
- 株式・有価証券の取引明細書
- 車検証
財産の名義変更で必要な書類
財産を相続するケースでは、名義変更が必要になります。
必要な書類を以下に挙げます。
- 名義書換依頼書
- 相続同意書または遺産分割協議書
- 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人の戸籍謄本
- 相続人の印鑑証明書 ※発行から3ヶ月以内のものに限ります
- 相続放棄受理証明書 ※相続放棄した人がいる場合に必要です
- 遺言書 ※遺言書がある場合には持参しましょう
相続税の申告で必要な書類
- 相続税の申告書等一式
- 相続関係を証明する書類
- 相続財産を証明する書類
- 債務を証明する書類
- その他の書類
スポンサーリンク相続税の申告書には第1表から第15表まであります。
「15表もあって、どの順番で何を書けば良いのかわからない…」とお考えの方もいるかもしれません。ですが、書く順番を守って記載例を参考に作成すれば、相続人自らが相続税申告書を作成することは可能です。
引用元:相続税理士解決ナビ:【記載例付き】相続税申告書の書き方|書く順番や用紙の入手方法も解説
遺産を受け取りたくない場合
状況によっては故人の遺産を相続したくないケースもあるかと思います。
例えば明らかにマイナスの財産の方が多いケースでは、限定承認により相続する範囲を限定したり、相続放棄をした方がいいでしょう。
例えば故人が借金を返済できずに亡くなったケースなどで、多額な借金が残っており遺族だけでは返済しきれないケースなどが挙げられます。
相続放棄とは、故人の残した全ての財産を一切相続しないということです。
この財産の中には不動産や預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。
限定承認や相続放棄する際には、裁判所にて故人の死亡から3カ月以内に手続きする必要があります。
相続人が海外に在住している場合
次に相続人が海外に住んでいるケースにおいて必要となる書類について紹介していきます。
書類ごとに説明していきますので、以下を参考にしてください。
署名証明書(サイン証明書)
通常は遺産分割が整ったあとに遺産分割協議書を作成することになりますが、この書類には相続人全員の署名や実印での押印、そして印鑑証明書の添付が必要になります。
日本は古くから印鑑の文化がありますが、外国では印鑑証明書や住民票の制度がありません。
そのため海外在住のケースでは、実印の代わりに署名をすることになります。
また、印鑑証明書の代わりに、日本領事館などの在外公館に行って遺産分割協議書に相続人が署名したことの証明であるサイン証明をもらう必要があります。
このサイン証明を遺産分割協議書に添付することで手続きが可能です。
この方法は法務局でも認められている手続き方法になります。
在留証明書
相続する財産の中に不動産があるケースでは、法務局に対して相続登記する必要があり、登記申請には住民票が必要になります。
日本以外で暮らしている人は、国内に本籍があったとしても、戸籍の附票や住民票には居住する外国の住所は記載されていません。
そのため、住所を証明するものとして必要になるのが、在留証明書になります。
在留証明書の取得方法としては、現地の日本領事館に現住所にいつから暮らしているのかを証明できる書類(パスポートや運転免許証など)を提示する必要があります。
相続証明書
日本では戸籍があるのが当たり前となっていますが、世界では戸籍制度がない国が大半です。
戸籍があれば相続人であることを一目で証明できますが、戸籍がない海外在住の場合には、戸籍の代わりに相続証明書が必要になります。
相続証明書とは、相続人が自分以外にはいないことを証明する書類のことです。
実際には相続証明書といった書面ではなく、出生証明書や婚姻証明書、死亡証明書などで証明することが一般的です。
遺産相続の手続きでよくあるトラブルとは
最後に遺産相続の手続きでよく起こるトラブルについて紹介していきます。
実際のトラブルの内容を知っておけば事前に回避できると思いますので、以下を参考にしてください。
遺言書の有効性に疑いがある
遺言書は法的にも効力のあるものですが、その有効性に疑いがあるケースではトラブルにつながることが多いです。
例えば、故人の筆跡とは異なる筆跡であった場合には、遺言書の偽造の疑いがあります。
また、遺言書を作成した日付を確認すると、故人が認知症になったあとであったケースでは、記載したのが本人であっても無効になることがあります。
認知機能低下などで判断能力が低下してしまった際には、遺言書は無効となるとされているため、このようなケースではトラブルにつながりやすいようです。
遺言書の内容が不公平
遺言書の内容にて明らかに1人の人に財産相続の割合が偏っていた場合などには、相続人同士でトラブルにつながることが多くあります。
例えば、故人が離婚した経験がある場合に、「先妻に全財産を相続させる」などといった内容が記載されていた場合には、先妻の子が後妻に遺留分侵害額請求することになります。
その際、あわせて後妻の相続財産の使込みや特別受益もトラブルになることが多いのです。
遺産が不動産のみ
遺産が不動産のみであった場合には、現金のように分割することが難しいため、トラブルにつながるケースがあります。
こういったケースでは、相続人の1人が不動産を相続して他の相続人へ代償金を支払ったり、不動産を売却して手に入れたお金を分割するなどの方法を使うと良いでしょう。
遺産相続の手続きについてのまとめ
ここまで遺産相続の手続きの方法などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 故人が世帯主だった場合には死後14日以内に世帯主変更届を提出する
- 相続放棄や限定承認の手続きの期限は死亡から3カ月以内である
- 遺留分減殺請求の期限は故人の死亡や遺留分侵害の事実を知ってから1年以内
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
都道府県一覧から葬儀社を探す
こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。
こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。