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相続

遺産の遺留分とは?遺留分が認められる範囲や割合について解説

更新日:2022.04.26

遺産

記事のポイントを先取り!

  • 遺留分とは最低限の遺産取得分
  • 故人の兄弟姉妹は遺留分請求不可
  • 配偶者の総体的遺留分は1/2
  • 遺留分放棄で故人の希望が叶う

相続人に保障されている最低限の遺産取得分「遺留分」についてはご存じでしょうか。
公平な遺産相続をするためにも、遺留分について正しい知識を身につけておくことが大切です。

そこでこの記事では、遺産の遺留分やその割合について詳しく説明していきます。
この機会に、遺留分が認められる人や範囲を覚えておきましょう。

遺留分の放棄やそのメリットについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 相続人とは
  2. 法定相続分とは
  3. 遺留分とは
  4. 遺留分が認められる人は?
  5. 遺留分の割合について
  6. 遺留分の計算式
  7. 遺留分侵害額請求権について
  8. 遺産を返還した場合は更正の請求を行う
  9. 遺留分を放棄することも可能
  10. 遺産の遺留分まとめ
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相続人とは

相続人とは、故人の遺産を相続する権利のある人のことを指します。

この相続人には範囲や優先順位があります。

配偶者は必ず相続人になれますが、その他の血縁関係者には優先順位が設けられています。

法定相続人を優先順位が高い方から順に以下にまとめます。

  • 故人の配偶者
  • 故人の子ども(子どもが亡くなっている場合は孫)
  • 故人の両親(両親が亡くなっている場合は祖父母)
  • 故人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥姪)
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法定相続分とは

法定相続分とは、民法によって定められている相続の配分になります。

ケースごとに法定相続分を以下にまとめます。

故人の配偶者のみの場合  

配偶者が財産の全てを相続します。

配偶者と故人の子どもの場合  

半分ずつの配分になります。

配偶者と故人の父母の場合 

配偶者が2/3、父母が1/3の割合になります。

配偶者と故人の兄弟姉妹の場合  

配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4の割合になります。

遺留分とは

遺留分とは、一定の相続人がもつ最低限の遺産取得分の権利のことです。

たとえ遺言書があったとしても、一定額である遺留分に関しては他の相続人に請求できる権利があります。

遺言書があった場合には、原則故人が希望した割合で遺産相続を行っていく形になります。

しかし例えば故人に愛人がいたとして、愛人にほとんどの遺産を渡すと記載してあったらどうでしょう。
故人の配偶者にも生活があるので、このような不公平な遺産相続を遺言書に残された場合には困ることになります。

こうしたケースの場合に遺留分が役に立ちます。
一定の範囲の法定相続人であれば、愛人に対して最低限の遺産を請求できます。

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遺留分が認められる人は?

遺留分は誰でも認められるわけではなく、一定の範囲の相続人に認められる権利になります。

遺留分が認められる相続人を以下にまとめます。

配偶者

夫や妻が法定相続人となった場合に認められます。

子どもや孫などの「直系卑属」  

子どもや孫、ひ孫などの故人と血縁関係にある子孫のことを「直系卑属」といい、遺留分が認められます。

親や祖父母などの「直系尊属」  

親や祖父母、曾祖父母などの故人と血縁関係にある先祖のことを「直系尊属」といい、遺留分が認められます。

遺留分が認められない相続人

故人の兄弟姉妹は遺留分の対象とはなりません。兄弟姉妹が先に亡くなっているケースでは、甥姪が相続人となりますが、こちらも遺留分が認められません。

遺留分の割合について

遺留分の意味合いについてわかったところで、必要最低限の金額とは実際にどのくらいなのでしょうか。
ここからは遺留分の割合について紹介していきます。

遺留分の割合を計算する際には、2段階のステップがあります。

まずは総体的遺留分について明らかにする必要があります。

つまり、遺産の全体のどのくらいの割合の遺留分が認められるのか確認するということです。
総体的遺留分がわかったら次に個別的遺留分を計算していきます。

つまり、遺留分の権利がある相続人の個別遺留分の割合を計算するということです。
総体的遺留分は故人との関係性によって異なります。

以下に、関係性ごとの総体的遺留分を紹介します。

配偶者や子どもが相続人のケース

総体的遺留分の割合は、遺産全体の1/2になります。

直系尊属のみが相続人のケース(両親や祖父母など)


総体的遺留分の割合は、遺産全体の1/3になります。

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遺留分の計算式

次に、具体的な遺留分の計算式について紹介していきます。

個別的遺留分は、総体的遺留分に各相続人の法定相続分をかけ算して出します。
計算式としては以下のようになります。

(相続開始時の財産+贈与財産の価格-相続債務)×総体的遺留分×各権利者の法定相続分割合

こちらをもとに具体例を出して遺留分を計算していきます。

例)遺産の総額が3,000万円で配偶者と2人の子どもが相続するケース
※遺言書に長男に遺産を全額ゆずると記載されていた場合

このケースでの総体的遺留分は1/2で配偶者の個別的遺留分は1/4になります。

子どもたちそれぞれの遺留分は1/4×1/2=1/8となります。
よって配偶者の遺留分は、3,000万円×1/4=750万円となります。
子どもたちの遺留分は、3,000万円×1/8=375万円となります。

つまり長男に対して配偶者は750万円、もう一人の子どもは375万円の遺留分を請求できることになります。

遺留分侵害額請求権について

遺留分侵害額請求権とは、遺留分を侵害された法定相続人が遺留分を取り戻す権利のことです。

受贈者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いの請求ができます。
遺留分侵害額請求の方法については、以下の章で詳しく説明していきます。

遺留分侵害額請求の方法

遺留分侵害額請求の方法に明確な決まりはありませんが、注意点はあります。

あとあとトラブルにならないためにも、書面を配達証明付きの内容証明郵便で送ることをおすすめします。

また、遺留分侵害額請求には時効があるので覚えておきましょう。

遺留分を侵害するような事象が起こったり、知ったりしてから1年以内に請求しなければ権利は消滅してしまいます。
遺留分侵害の事実を知らなかったケースでも、10年を経過すると遺留分侵害額請求の権利がなくなってしまうので注意してください。

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遺産を返還した場合は更正の請求を行う

遺産を返還した場合には、更正の請求を行う必要があります。

更正の請求とは、相続税の申告において申告期限を経過してから訂正を行う手続きのことです。

遺留分侵害額請求をされて遺産を返還した場合には、返還した分の相続分が減ります。
相続した金額が少なくなれば相続税も減るため、始めの相続税の申告を訂正する必要があります。

更正の請求書を4カ月以内に税務署に請求すれば、多く支払った分の税金が還付されます。

遺留分を放棄することも可能

最後に、遺留分の放棄について紹介していきます。

遺留分放棄とは、遺留分を侵害されたとしても、遺留分は請求しない意思を表明することです。

以下で、遺留分を放棄するメリットや手続きについて詳しく説明します。

遺留分を放棄するメリット

被相続人のメリットとしては、被相続人の希望を叶えられる他、自分の死後に相続トラブルを防げることなどが挙げられます。

遺留分を放棄する相続人にとってのメリットは、代償金を受け取れることでしょう。

被相続人の生前に遺留分放棄する場合、遺留分と同等の代償金を放棄した人に支払わなければ遺留分放棄は認められません。
なお代償金は、金銭の他の財産とする場合もあります。

相続人にとっては、相続後の財産への遺留分の請求や、遺留分に関するトラブルが避けられることがメリットといえます。

遺留分放棄の手続き

次に、遺留分放棄する場合の手続きについて紹介していきます。

タイミングごとに詳しく説明していきますので、以下を参考にしてください。

遺留分放棄を生前に行う場合

生前に遺留分放棄を行うケースでは、その理由や意思を確認するために家庭裁判所の許可が必要になります。

遺留分放棄の手続きに必要な書類は以下の通りです。

  • 家事審判申立書
  • 土地財産目録
  • 建物財産目録
  • 現金・預貯金・株式等財産目録
  • 被相続人となる人の戸籍謄本
  • 申立人の戸籍謄本

費用は、収入印紙800円分と郵便切手代です。

遺留分の放棄の申し立てをすると、1〜2週間程度で照会書が自宅に届きます。
照会書に回答を記載して裁判所に返送しましょう。

書類に問題がなければ、家庭裁判所から遺留分放棄の許可が出ます。
あとあとのトラブルを防ぐためにも、許可がでた際には必ず証明書の発行を申請することをおすすめします。

相続発生後の遺留分放棄の場合

すでに相続が発生していた場合には家庭裁判所の許可は必要ないため、手続きは割と楽に進められるでしょう。

遺留分放棄する場合は、他の相続人に対して遺留分を放棄する旨を伝えれば大丈夫です。

ただし、口頭のみだとトラブルにつながるリスクがあるので、書面にて意思表示をしましょう

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遺産の遺留分まとめ

ここまで遺産の遺留分の意味合いや割合などを中心にお伝えしてきました

この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 遺産の遺留分とは、一定の相続人がもつ最低限の遺産取得分のこと
  • 法定相続人であっても、故人の兄弟姉妹は遺留分の請求は認められていない
  • 配偶者の子どもの総体的遺留分は遺産全体の1/2、両親や祖父母は1/3である
  • 遺留分を放棄することで故人の希望を叶えられる生前に遺留分を放棄した場合には代償金を受け取ることが可能

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(やまぐち)

山口 隆司(やまぐち たかし)

一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター

経歴

業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。

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