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相続

遺産で揉める原因は?対処法や揉めないための対策について解説

更新日:2022.04.27

遺産

記事のポイントを先取り!

  • 遺産で揉める原因は兄弟姉妹間での疎遠・不仲である
  • 対処法は「遺言作成」「家族信託」「生命保険の活用」
  • 調停に発展すると解決までに半年以上かかる可能性あり
  • 不動産の分け方に「換価分割」「共有」がある

遺産相続で揉めるのは資産家だけで、自分には関係ない話だと思っていませんか。
実は相続金額にかかわらず揉めるケースは意外と多いのです。

そこでこの記事では、遺産で揉める原因について解説します。

この機会に、相続についても覚えておきましょう。
後半では、相続の対処法や揉めないための対策についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 遺産で揉める内容
  2. 遺産で揉める家庭の特徴
  3. 相続で揉めることが多い相続人の構成は?
  4. 相続で揉めた場合どれだけの期間がかかる?
  5. 遺産で揉めないためにすること
  6. 分割できない遺産を揉めずに分ける方法は?
  7. 遺産で揉めることのまとめ
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遺産で揉める内容

ここでは、遺産で揉める内容についてご紹介していきます。
代表的なものに以下の4つが挙げられます。

遺産分割割合で揉める

亡くなった方(被相続人)の子どもが複数いる場合、遺産分割割合で揉めることがあります。
相続財産を平等に同じ金額ずつ分ければ済むと思いがちですが、そう簡単に話が進まないことが多いのです。
遺産分割割合で揉める例を以下に挙げてみます。

  • 亡くなった方(被相続人)が家業(農業など)を営んでいたケース

長男が家業を継いでいる場合、他の兄弟姉妹に対して相続放棄を促すことがあります。

  • 亡くなった方(被相続人)の配偶者との子ども以外にも子どもがいるケース

離婚経験があって前妻との子どもがいたり、認知した子どもがいたりすると、感情がからみ冷静に話を進めるのが難しいのです。

死亡した方に対する寄与分

「寄与分」とは、亡くなった方(被相続人)の財産の維持や増加に貢献した方が、他の兄弟姉妹(相続人)よりも財産を多く受け取ることができる制度のことをいいます。

亡くなった方(被相続人)の財産の維持や増加に貢献するというのは、長年に渡る介護や家業の継承などがあります。
過酷な介護や、多大な重圧となる家業の継承を相続時に考慮しないのは不公平との認識から、この寄与分の制度が設けられました。

ただ、他の相続人がこの寄与分に意義を唱えることもあり揉める原因となるのです。

特別受益で揉める

特別受益とは、一部の子ども(相続人)だけが亡くなった方(被相続人)から生前贈与などを得ていたことをいいます。

例えば、生前特に可愛がっていた子にだけ多額の留学費用などを与えていたなどがあります。
他の子ども達からすると、この特別受益を相続の際に勘案しないと不公平な状況となるかと思います。

相続に関する法律では、特別受益の制度というものがあります。
他の子ども達(相続人)との不公平な状況を避けるための制度で、公平に相続手続きをするために設けられています。

用途不明な遺産がある

子ども達(相続人)のうちの誰かが、亡くなった方(被相続人)の預貯金を引き出すケースは少なくありません。

入院費用、施設の入所費用、葬儀費用など、使途が明確な場合は他の子ども達(相続人)も問題にしないでしょう。
しかし、用途不明の資金については勝手な使い込みと見なされ、揉めることになるのです。

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遺産で揉める家庭の特徴

ここでは、遺産相続で揉める家庭の特徴について説明していきます。
これらの特徴を参考にして、いざというときに揉めないように対策を考えておくと良いでしょう。

相続人同士で疎遠、仲が悪い場合

兄弟姉妹(相続人)同士で疎遠になっている場合不仲な場合は、遺産相続で揉めやすいといえます。
このケースは、相続問題を取り扱ったテレビドラマなどを見たことがある方はイメージしやすいでしょう。

また、絶縁状態にあった子どもであっても法定相続人であることは確かなので、法定相続分を受け取る権利があります。
音信不通だから必要ないとはならないのです。

生前に多額の贈与を受けている相続人がいる場合

生前に多額の贈与を受けている相続人がいる場合も揉める原因となります。
前述でも触れましたが、これは「特別受益」といいます。

他の子ども達(相続人)からすると、不公平だということで揉めるケースが多いのです。

自宅や土地などの不動産が含まれている場合

自宅や土地などの不動産が相続財産に含まれている場合も揉めやすいといえます。
なぜなら、不動産は現金のように平等に分けることが難しいからです。

特に主な遺産が自宅だけというケースで見受けられます。

推定相続人に責任能力がない場合

推定相続人に責任能力がない場合も揉める原因になりやすいです。

ちなみに推定相続人とは、相続が発生した時点で遺産を相続する権利がある人(法定相続人)のことを指します。
今の段階では実際に相続が発生していないので「推定」が付くのです。

推定相続人に責任能力がない状態というと、認知症であるケースが多いのではないでしょうか。
認知症になると、正常な判断ができないため話し合い(遺産分割協議)ができずに手続きがスムーズに進みません。

想定外の相続人が存在した場合

前述でも触れましたが、想定外の相続人が存在した場合も揉めることが多いでしょう。

想定外の相続人というと、婚外子がいたという場合や、前婚の子どもがいたという場合が挙げられます。

婚外子でも前妻との子でも法定相続人になります。
複雑な心情が絡み合い、揉めやすいのです。

介護負担が相続人の間で平等ではない場合

介護負担が相続人の間で平等ではない場合も揉める原因となります。
親の介護は当たり前と思って一生懸命頑張った家族の方がいらっしゃるとします。
その方の立場になって考えれば、介護に何も関わっていない兄弟姉妹と同じ相続分だと不公平だと感じるのは当然なのではないでしょうか。
相続人の中には、この点を配慮できない方もいるのです。

なお、前述で触れた「寄与分」によって他の相続人よりある程度多く相続できます。
相続人以外の親族、例えばお嫁さんなど相続人以外の親族が介護を引き受けていたケースでは「特別寄与分」の対象になります。

特別寄与分とは、相続人以外の親族が無償で介護や看護を行っていた場合、その寄与度に見合った金額を請求できる制度のことです。

特定の相続人が1人で財産管理をしていた場合

特定の相続人が1人で推定相続人の財産管理をしていた場合も揉めやすいでしょう。

例えば推定相続人が子どもの一人と同居していたとします。
家計を共にするにあたり、認知症などではなくても、通帳などの管理をお願いすることもあるでしょう。

財産の管理がずさんだと、勝手に着服しているとされてしまうのです。

相続で揉めることが多い相続人の構成は?

ここでは、相続で揉めることが多い相続人の構成について触れています。

1つの相続で複数の相続人がいる場合に揉めやすいということは、言うまでもないかもしれません。
やはり複数というと、相続人が亡くなった方(被相続人)の子ども、兄弟姉妹であるケースが多いと推測されます。

それぞれ金額をどうするか、均等にするのか、各々の家庭の事情や心情が絡み合い、相続手続きがなかなか進まなくなります。

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相続で揉めた場合どれだけの期間がかかる?

ここでは、相続で揉めた場合解決するまでどのくらい期間がかかるのか、過去のデータから推察してみます。

裁判所が令和元年度に公表した司法統計によると、6ヶ月以内に解決したものが4,361件6ヶ月以上かかったものは8,424件で総数の約66%になります。
相続で揉めて調停まで進んでしまうと、半数以上が半年以上かかると推察できるでしょう。

遺産で揉めないためにすること

ここでは、遺産相続で揉めないためにできることをまとめてみました。

紹介する前に念頭に入れておいていただきたいことがあります。
遺産分割において、絶対に揉めない方法は恐らくありません。

それでもできるだけ揉めないように準備することは可能です。
以下の3つの事項をご参考にしてください。

遺言を作成する

遺言書を作成することで揉め事を避けることができます。

遺言書は優先して適用されるため、遺言書があることで相続人間で遺産分割協議をする必要がなくなります。
遺言書によって、全財産の相続方法を望みどおりに指定できるのです。
たとえ前妻との子などがいても、相続人同士の話し合いを省くことができます。

また、複雑な不動産の分け方などで残された家族に負担をかけなくて済みます。
遺言書には「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」がありますが、一番トラブルを防げる公正証書遺言がおすすめです。

公正証書遺言は、公務員である公証人に作ってもらう遺言書で、遺言が無効になってしまったり、偽造される心配はありません。

家族信託を利用する

家族信託を利用するというのも、相続トラブルを防ぐ手立てとなります。
家族信託とは、信用している家族に財産を管理してもらったり処分してもらったりする方法のことです。

生前の自立している時期から財産の使い方を指定することができるため、亡くなった後のトラブル回避になります。
家族信託は平成19年に施行された制度で、認知症のリスクに備える手段として利用する方が増えています。

生命保険を活用する

生命保険を活用することで、相続人間の揉め事を回避することができます。
生命保険は受取人を指定できるので、相続してほしい家族を受取人にすれば、面倒な手続きをせずに財産を相続させることが可能です。

生命保険のもうひとつのメリットは、遺産総額が増えることで遺産分割時に揉めにくい点です。
自宅しか財産がないと、兄弟姉妹間で揉めやすいことになると前述で触れました。
遺産総額が増えれば遺産分割しやすくなるのでスムーズに事が進みます。

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分割できない遺産を揉めずに分ける方法は?

ここでは、分割できない遺産を揉めずに分ける方法についてご説明します。
不動産のように分割できない財産を相続する方法には、「換価分割(かんかぶんかつ)」と「共有」があります。

換価分割

換価分割とは、不動産のような分割できない財産を売却し、売却益を相続人の間で分配する方法です。
実際は、売却益から諸経費を差し引き、残った分を法定相続割合に応じて分けていきます。

ひとつ例を挙げます。
4,000万円の家を3人の兄弟で相続するとします。
4,000万円で売却し、諸経費400万円を差し引き、残った金額が3,600万円です。
3人で均等に分けると、それぞれ1,200万円ずつ受け取れることになります。

現金化してから分けるので、気持ちよくきっちり等分できます。

しかし、思い出いっぱいの家を手放さなければならないことや、売却益に所得税や住民税がかかる希望どおりの価格で売れないなどのデメリットもあります。

さらに、その土地にまだ誰かが住んでいる間は売却することができないという問題もあります。

共有

共有とは、不動産などを相続人全員で公平に共有する方法のことをいいます。
共有は、思い出の家をそのまま残せるというメリットがあります。
しかし、将来相続人の誰かが亡くなった際に揉める原因となってしまう恐れがあります。

また、相続人ひとりひとりが勝手に管理処分することができず、全員の同意が必要になります。
例えば、「賃貸物件とする」「リフォームする」などの動きを起こすには、全員に同意してもらわなければなりません。

活用するのが難しいためそのまま放置されてしまっているのに、固定資産税がずっとかかり続けるという頭の痛い問題となります。
共有は、話し合いが進まずにとりあえずそのまま置いておくための、一時的な解決法となってしまいがちです。

遺産で揉めることのまとめ

ここまで遺産で揉める原因について解説しました。
まとめると以下の通りです。

  • 遺産で揉める原因には、兄弟姉妹間で疎遠・不仲であったり様々なケースがある
  • 対処法には「遺言作成」「家族信託」「生命保険の活用」がある
  • 相続で揉めて調停に発展すると解決までに半年以上かかってしまう可能性がある
  • 分割できない不動産などの遺産の分け方には「換価分割」「共有」がある 

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(たなか)

田中 大敬(たなか ひろたか)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。

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