相続
兄弟が遺産相続する場合はどうなる?遺留分などの注意点も紹介
更新日:2022.04.27
遺産相続に関する中でも、兄弟の遺産相続についてはご存じでしょうか。
遺産相続で親族間のトラブルを防ぐためにも、知識を身につけることは大切です。
そこでこの記事では、兄弟の遺産相続の割合や注意点を詳しく説明していきます。
この機会に、相続トラブルの対応方法についても覚えておきましょう。
義理の兄弟や絶縁関係でも相続人になれるのかについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 法定相続人とは
- 兄弟がもらえる遺産相続の割合
- 相続人が兄弟だけの場合はどうなる?
- 兄弟へは遺留分が認められていない
- 兄弟が相続する場合の注意点
- 義理の兄弟は相続人になれる?
- 絶縁関係でも相続人になれる?
- 兄弟で生じる主な相続トラブル
- 相続トラブルを防ぐには
- それでも話がまとまらない時には
- 兄弟の遺産相続まとめ
法定相続人とは
法定相続人とは、民法で定められている故人の財産を相続できる権利をもつ人のことです。
この法定相続人には優先順位が定められています。
配偶者は必ず法定相続人となり、遺産を受け取る権利をもっています。
その他の血縁関係者に関しては、下記のような優先順位が決められています。
- 第1順位:直系卑属である故人の子どもとその代襲相続人
- 第2順位:直系尊属である故人の父母や祖父母
- 第3順位:傍系血族である故人の兄弟姉妹やその代襲相続人
遺産は、配偶者と上記の優先順位の高い相続人が受け取ることになります。
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兄弟がもらえる遺産相続の割合はどのくらいなのでしょうか。
分割例を挙げながら、兄弟が複数いる際の対応についても以下で説明していきます。
遺産分割の割合
まずは一般的な遺産分割の割合について以下にまとめます。
相続人が故人の配偶者と子どものケース
配偶者:1/2
子ども:1/2
相続人が配偶者と故人の親であるケース
配偶者:2/3
親:1/3
相続人が故人の配偶者と兄弟・姉妹であるケース
配偶者:3/4
兄弟姉妹:1/4
相続人が子ども・直系尊属・兄弟姉妹で複数人いるケース
人数によって遺産を等分するため、それぞれの相続分は同じ割合になります。
例えば子ども2人で1/2の遺産を相続した場合、子ども一人あたり1/4ずつになります。
ただし父母のうちどちらか一方のみを等しくする兄弟姉妹(異父・異母兄弟)の相続分は、父母の双方とも等しくする兄弟姉妹の相続分の1/2になります。
分割例
例えば、長男と次男の兄弟がいて、両親がすでに亡くなっているケースを例に挙げます。
長男、次男いずれも配偶者と子どもがいる場合は、配偶者と子どもが相続人となるため、兄弟は相続人にはなれません。もし長男には配偶者のみで子どもがいない場合、長男が亡くなった後は配偶者と次男が相続人となります。
割合は配偶者が遺産の3/4、次男が1/4です。
長男が1,000万円の遺産を残した場合、配偶者が750万円、次男が250万円を相続することになります。
兄弟が複数いる場合は?
相続人が配偶者と兄弟2人の場合の遺産相続分は、配偶者が3/4、兄弟は1/4の遺産を兄弟の数で分けることになります。
相続人が兄弟だけの場合はどうなる?
相続人が兄弟のみである場合には、遺産の全ては兄弟に相続されます。
兄弟が複数いるケースでは、この相続した遺産の全てを兄弟の人数で割ります。
例えば、遺産が1億円あった故人が亡くなった際に、配偶者である妻と両親もすでに亡くなっていたとします。
また故人には子どももおらず、相続人が故人の4人の兄弟のみであったケースで計算してみましょう。
このケースでは、全ての遺産を兄弟が相続するため、1人あたりの法定相続分は「1億円÷4人=2,500万円」となります。
兄弟へは遺留分が認められていない
遺産相続の際の遺留分とは何かご存じでしょうか。
ここでは、遺留分の意味合いや兄弟においての遺留分の考え方を紹介していきます。
遺留分とは
遺留分とは、一定の法定相続人に認められている必要最低限の遺産を取得できる権利のことです。
例えば故人に愛人がいたとします。
遺言書に「愛人に全ての財産を相続させる」と記載があったとしましょう。
遺言書には法的な効力があるので、本来であればそのまま愛人に全額財産が相続されることになります。
しかし、故人の配偶者にも生活があるため、このような不公平なケースの際には愛人に対して遺留分の請求が認められているのです。
遺留分が認められていない理由
故人の兄弟が相続人であった場合には、遺留分を請求する権利はありません。
この理由を以下で詳しく説明していきます。
相続の関係が離れているため
法定相続人の中でも兄弟は第3順位と、相続の優先順位的には関係性が離れています。
故人の配偶者や子ども、親は関係性が近いため、遺留分が認められているのです。
相続人としての関係性が離れているのが、兄弟に遺留分が認められない大きな理由となります。
代襲相続があるため
代襲相続では子どもが亡くなっていたとしても、そのさらに子ども(孫)が遺産を受け取れます。
兄弟が亡くなっていた場合、甥や姪が相続人となりますが、故人からするとわりと遠い親戚です。
遺言書より遠い親戚を優先して遺留分を認めるのはおかしいとの考えから、兄弟や姉妹には遺留分が認められていないとされています。
兄弟が相続する場合の注意点
兄弟が相続するケースには、注意点があります。
注意点を理解して、すべての相続人が納得いくような相続分割をしていきましょう。
相続税が2割増し
兄弟が遺産を相続した場合は、相続税が2割増しになります。
これを「相続税額の2割加算」といいます。
兄弟の他にも、2割増しになる間柄の方はいます。
以下に相続税が2割増しになる対象者をまとめます。
- 兄弟姉妹
- 孫
- 子どもの配偶者
- 愛人
- 親族ではない人
代襲相続は1代まで
代襲相続とは、本来相続するはずの人が死亡などの何らかの理由で相続できない時に、その子どもが代わりに相続する制度のことです。
一般的に子どもが亡くなっているケースでの代襲相続は、その下の子孫に何代も続いていきます。
逆に親が亡くなっているケースでの代襲相続も、上へと何代も続きます。
しかし、兄弟が亡くなっていたケースでの代襲相続は1代までとされています。
例えば兄弟が亡くなっていた場合、その子どもである甥や姪が代わりに相続することになりますが、そのまた子どもが相続人になることはありません。
戸籍の収集が必要
一般的には、相続手続きの際には故人の戸籍謄本を調べて相続人を調べていきます。
兄弟が相続人になるケースでは、全ての兄弟を特定する必要があるので、故人の親の戸籍謄本も調べなければいけなくなります。
さらに兄弟が亡くなっていた場合、代襲相続人である甥や姪の戸籍謄本も調べなければいけません。
そのため、兄弟が相続人になったケースでは、調べなければいけない戸籍謄本の数が莫大となり、非常に大変になるケースがあります。
義理の兄弟は相続人になれる?
配偶者の立場からすると、義理の兄弟は相続人になれるのか、疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
これは状況によって異なりますが、例えば故人に配偶者や子どもがいた場合にはこの2人が相続人として優先されるので、義理の兄弟は相続人にはなりません。
基本的には、故人に子どもがいれば義理の両親も相続人にはなりません。
また、連れ子も養子縁組していなければ相続の対象外になりますので覚えておきましょう。
ただし、故人と配偶者の間に子どもがおらず、義両親も義祖父母も亡くなっていたケースは、義理の兄弟に相続権が与えられます。
絶縁関係でも相続人になれる?
兄弟間の仲が悪く、絶縁関係だった場合は相続人になれるのでしょうか。
たとえ絶縁していたとしても、兄弟が法定相続人として認められている限りは遺産の相続権はあるということになります。
どうしても遺産を兄弟に渡したくない場合には、遺言書にその旨を記載しておくことをおすすめします。遺言書に書いておけば、兄弟には遺留分を請求する権利はないため遺産が渡ることはありません。
絶縁関係であったとしても、遺産分割協議には全員の参加が必要となります。
遺産分割協議書には全員の押印が必要となるので、覚えておきましょう。
兄弟で生じる主な相続トラブル
ここでは、兄弟間で生じる代表的なトラブルについて紹介していきます。
トラブルの事例について知ることで予防策を検討していくことにつながるため、参考にご覧ください。
不動産に関するトラブル
遺産が不動産だった場合、平等に分配することが難しいためトラブルにつながるケースが多いようです。
例えば兄弟の1人が実家を相続した場合、他の遺産が少ないとトラブルになりやすいでしょう。
このようなケースでは、実家を売却して現金化することをおすすめします。
現金化できれば、平等に遺産分割することが可能です。
なお、遺産を売却するなどして現金化して分割することを換価分割といいます。
寄与分に関するトラブル
寄与分とは、他の相続人よりも故人に対して何らかの形で貢献した人に、遺産を多く分けられるといった制度です。
例えば生前に兄弟の1人が実家で生活しており、故人である親の介護を一挙に担っていたり、経済的に故人の援助をしていたりしたとします。
このような場合、負担が大きかった兄弟が寄与分を主張することがあります。
法定相続分だと兄弟は平等に分配されるので、それでは納得いかないとトラブルにつながるのです。
話し合いで納得できれば良いのですが、他の兄弟が納得しなかった場合には家庭裁判所に請求する形になります。ただし、寄与分が家庭裁判所で認められるケースは少ないのが事実です。
遺言書に関するトラブル
故人の残した遺言書の内容によっては、トラブルに発展することがあります。
例えば、兄弟間で誰か1人が他の兄弟よりも明らかに多くの遺産を相続していたケースや、兄弟のうちの1人の遺産が極端に少なかったケースなどです。
相続の内容が不平等であった場合には、揉めることが多いでしょう。
もし遺言書に納得いかない場合は、多くの財産を相続した兄弟に対して「遺留分侵害額請求」をすることで、遺留分の財産を取り戻せます。
生前贈与に関するトラブル
生前贈与に関するトラブルもあります。
例えば、故人が生きていた時に同居していた子どもに対して実家である家を贈与したとします。
これは生前贈与となり、この実家は遺産に含まれません。
そのため、相続する時には実家は含まれずに分割されていきます。
他の兄弟からすると、不公平に当たると不満が生まれやすいでしょう。
このようなケースでの対応としては、兄弟に他の遺産を多く渡すようにするか、実家を売却してお金に換えてから相続分を決めていくなどの工夫が必要となります。
また、1人の子どもが生命保険の受取人に指定された場合には、他の兄弟からするとひいきされたと感じて、トラブルにいたるケースがあります。
その他、学費も場合によっては特別受益になることもあるので、覚えておきましょう。
兄弟家族に関するトラブル
中には、遺産相続について兄弟の家族が口出しをしてトラブルになるケースもあります。
基本的には遺産相続は、法定相続人間での話し合いのもとに進められていくものです。
関係のない兄弟の家族などが口出しする権利はありません。
相続トラブルを防ぐには
紹介してきたような相続トラブルを防ぐには、どうすれば良いのでしょうか。
以下を参考にしてトラブルを未然に防ぎ、スムーズな相続を進めていきましょう。
遺言書を用意しておく
遺言書を残しておくことは、相続トラブルを予防するために最も有効であるとされています。
遺言書には法的な効力がありますが、不備があったりすると正式な遺言書として受理されないので、記載方法には十分注意することが大切です。
書き方に自信がない方は専門家に相談して、専門家のアドバイスのもと遺言書を作成することをおすすめします。
生前贈与をしておく
生きている間に生前贈与をしておくことで、節税になったり、相続人に負担をかけずに贈与したりすることが可能になります。
また、法定相続ではある程度相続できる人が限られていますが、生前贈与では相続人以外にも贈与ができます。法定相続分に限らず、誰にどれだけの相続をしても良いので、生前贈与は自由度が高く、より被相続人の希望を叶えやすいものになります。
財産目録を作っておく
財産目録とは、故人の財産が記載された表のことです。
相続時にはどれだけの財産があるのかわからなかったり、どこに財産があるのかわからなかったりして、遺族が困ってしまうケースがよくあります。
財産目録を事前に作成しておけば、相続分割の際に相続人が遺産の内容を一目で確認できます。
それだけでなく、財産隠しや使い込みを防ぐことも可能です。
できれば、財産目録をもとに事前に遺産分割について話し合っておくことがおすすめです。
なお、遺産相続において財産目録にはプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も記載しておくことが大切になります。
それでも話がまとまらない時には
遺産分割について法定相続人同士で話し合いをしても話がまとまらない時には、家庭裁判所に遺産分割の調停または審判を依頼することになります。
家庭裁判所にて遺産分割の調停や審判が申し立てできるのは、共同相続人や包括受遺者、相続分譲受人になります。
申立時には、以下の書類が必要となるので覚えておきましょう。
- 申立書1通及びそのコピーを相手方の人数分
- 標準的な申立添付書類(被相続人の戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本など)
兄弟の遺産相続まとめ
ここまで兄弟の遺産相続の割合や注意点などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 法定相続人とは民法で定められている故人の財産を相続できる権利のある人のこと
- 配偶者と兄弟が法定相続人となった場合、配偶者は3/4、兄弟は1/4を相続する
- 兄弟は相続の優先順位が離れているため、遺留分の請求権はない
- 兄弟が遺産を相続した場合は、相続税が2割増しになることに注意
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。
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