相続
祭祀承継者とは?祭祀承継者に指定されたら拒否できない?
更新日:2023.11.08 公開日:2022.05.26

記事のポイントを先取り!
- 墓や仏壇を承継する人が祭祀承継者
- 被相続人の指定や親族内の慣習で決まる
- 家族にいない場合は信頼できる人に頼める
- 祭祀承継者に指定されると拒否できない
墓や仏壇などの宗教的な祭祀財産を承継する祭祀承継者は、一般の遺産の相続人とは異なることをご存知でしょうか。
祭祀承継者はどのようにして決められるのか知っておきましょう。
そこでこの記事では、祭祀承継者について詳しく説明していきます。
この機会に祭祀承継者に指定されると拒否できないことも覚えておきましょう。
祭祀承継者がいない場合どうするかについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
都道府県一覧から葬儀社を探す
こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。
祭祀承継者とは

人が亡くなると、その人の残した財産を相続人に分割する必要があります。
金銭などは、相続する人に分けるのは比較的簡単です。
ただ、ここで問題になるのは、墓や仏壇などの死者を弔う際に使うものです。
なぜなら、分割するのが難しいためです。
こうした、死者を弔うための財産を「祭祀財産」といい、これを受け継ぐ人を「祭祀承継者」といいます。
一般的には、誰が墓や仏壇を守っていくのかが、この祭祀財産の承継の内容となります。
祭祀承継者の決定方法
祭祀承継者になったら、祭祀財産を承継することになります。
祭祀承継者は原則一人が指定され、祭祀承継者になると祭祀財産の承継を拒否することはできません。
ここでは、祭祀財産を承継する人の選び方について解説していきます。
被相続人からの指定
被相続人は、祭祀承継者を遺言などによって指定できます。
祭祀承継者は墓や仏壇などの祭祀財産を承継し、墓や仏壇を守っていく人です。
被相続人の亡き後、しっかりと墓や仏壇に手を合わせ、きちんと管理してくれる人を選んで遺言などで指定することになります。
親族内の慣習
被相続人が祭祀財産の承継について、遺言などで特に指定していない場合には、親族内の慣習によって、祭祀承継者が指定されることになります。
たとえば長男や、亡くなった人と長く一緒に暮らしていた人などを祭祀承継者にするという、代々行われてきた慣習です。
また、その地域や宗派によって、誰が家を継ぐか慣習的に決まっていることも多いとされています。
その他、相続人で話し合って決めることも可能です。
家庭裁判所からの指定
被相続人からの指定や、親族内の慣習といったものが特にない場合は、家庭裁判所による祭祀承継者決定の調停や審判手続で決めます。
この場合は祭祀承継者になるべき人物を、故人との関係や一族の中での立場、金銭的余裕などから判断し、合理的に妥当な人を選びます。
祭祀承継者がいない場合はどうする?

子どもがいなかったり、親戚がいなかったりと、様々な理由で祭祀承継者となる人がいない場合があります。
しかし祭祀承継者には、家族を指定しなければならないという規定はありません。
家族などがおらず、祭祀承継者が身近にいないという場合は、信頼のおける人に祭祀承継者になってもらうことが可能です。
現金や不動産などの相続財産は、法定相続人に分けるように決まっています。
しかし祭祀財産は、相続財産とは別のものとして扱われます。
先祖代々の墓や仏壇は受け継いで維持をし、管理していかなければならないものだからです。
そのため、法定相続人になる人物ではなくても、祭祀財産を守っていってくれるなら祭祀承継者に指定できます。
家族などがいない場合などは特に、誰が今後、墓や仏壇などを管理してくれるのかをよく考えて祭祀承継者を決める必要があるでしょう。
ただし祭祀承継者に指定された場合、祭祀財産の承継への拒否ができません。
場合によっては指定を受けた人に、大きな負担がのしかかることもあります。
祭祀承継者に指定する場合は、事前に本人とよく話し合っておくことが必要です。
また、金銭的な負担をできるだけ軽くするようにしておくことも大切だといえます。
お墓がある場合は事前に永代供養料を支払っておいたり、永代供養墓を購入しておいたりなども検討するとよいでしょう。
自分が亡くなった場合、いつ、どのようにお参りしてほしいのかを、祭祀承継者になってもらう人にあらかじめ相談しておくのも有効です。
また、もし金銭的な負担などで将来的に祭祀財産の維持が難しくなった場合のことまでを含めて、相談しておくのもよいかもしれません。
祭祀承継者に指定できるような信頼のおける人もいない場合は、最終的に遺骨は合葬されていくことになります。
墓地や霊園の場合、遺骨の管理はそこで決められている規則に従います。
多くの場合、祭祀承継者が明らかにいない場合にはお墓が撤去され、遺骨などは無縁仏として共同のお墓に合葬されます。
最終的にお墓のあった場所は更地にされるなど、管理者の判断で撤去されます。
菩提寺の場合でも同様です。
祭祀承継者がどうしてもいない場合には、事前にお墓の管理者に相談しておくことも必要になります。
祭祀承継者は拒否できない

金銭や土地などの遺産の場合は、遺産相続の際に「相続放棄」することにより、遺産を受け取らないようにできます。
しかし、祭祀財産の場合は相続法のルールとは別になっています。
たとえ遺産の相続を放棄したとしても、祭祀承継者に指定された場合は、祭祀財産の承継は拒否できません。
ただし祭祀承継者になることは拒否できなくても、祭祀財産を承継した後それをどのように活用するかは、祭祀承継者に決定権があります。
祭祀承継者の置かれた環境や金銭的余裕などにあわせて、祭祀財産をどうするかを考えていっても構いません。
お墓の場合は墓じまいをして、お墓自体を撤去してしまう方法もあります。
遺骨は、菩提寺や霊園などに永代供養や散骨などの相談をして、しかるべき方法で供養するとよいでしょう。
また、仏壇に安置しておく手元供養を選択しても構いません。
仏壇や仏具、その他の宗教的な道具も祭祀財産になりますが、こうしたものを処分したり売却したりすることも祭祀承継者に権利があります。
ただし、宗教的な事柄は勝手に処理してしまうと、親戚などとトラブルになる可能性もあります。
祭祀承継者に全ての権利があるとはいえ、処分する際には親戚などと相談するようにしましょう。
祭祀承継者のまとめ

ここまで祭祀承継者の内容と、どのように承継するのかについて解説してきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 祭祀承継者とは、墓や仏壇など宗教的な祭祀財産を承継する人のこと
- 祭祀承継者は、被相続人の遺言書で指定されたり、親族内の慣習で決まったりする
- 祭祀承継者が家族にいない場合、信頼できる人に頼むことも可能
- 祭祀承継者に指定されると拒否できないが、祭祀財産の活用方法は自由
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
都道府県一覧から葬儀社を探す
こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。
監修者

鎌田 真紀子(かまた まきこ)
国家資格 キャリアコンサルタント ・CSスペシャリスト(協会認定)
経歴
終活関連の業界経歴12年以上。20年以上の大手生命保険会社のコンタクトセンターのマネジメントにおいて、コンタクトセンターに寄せられるお客様の声に寄り添い、様々なサポートを行う。自身の喪主経験、お墓探しの体験をはじめ、終活のこと全般に知見を持ち、お客様のお困りごとの解決をサポートするなど、活躍の場を広げる。