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死亡後の手続き

死亡退職した社員の年末調整の計算方法は?注意点を踏まえて解説

更新日:2022.05.19

死亡退職

記事のポイントを先取り!

  • 死亡した社員も年末調整が必要
  • 死亡者の退職金は遺族の相続財産
  • 年末調整は支給日との関係による
  • 死亡退職者の給与は遺族に渡す

死亡退職した社員の年末調整の計算方法はどうするのでしょうか。
死亡退職した社員の年末調整はいつどの範囲でするのでしょうか。

そこでこの記事では死亡退職での年末調整の計算方法や注意点などについて解説します。

この機会に年末調整について正しい知識や計算方法を覚えておきましょう。

後半では死亡退職した社員の年末調整に関してよく聞かれる質問についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 死亡退職した場合も年末調整は必要
  2. 死亡退職した場合に年末調整を行う期限は?
  3. 源泉徴収の対象となる給与の範囲について
  4. 死亡退職した社員の年末調整の計算方法
  5. 死亡退職者の年末調整でよくみられる質問
  6. 死亡退職での年末調整の計算方法まとめ
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死亡退職した場合も年末調整は必要

年間に支払う所得税額を毎月の給与から正確に天引きすることはできません。
会社は事前に所得税を差し引いた給料を社員に毎月支払っています。

ただし、これは概算金額なので、年末に清算して過不足を補う必要があります。
控除額が少なければ足りない分を合わせて控除し、多ければ返還しなければなりません。

社員が亡くなったことにより退職する場合でも年末調整は必要です。

しかし、所得税がかかるもの、かからないものがあるのなど通常の社員の場合とは計算方法が異なるので注意が必要です。

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死亡退職した場合に年末調整を行う期限は?

例え年の途中であったとしても、社員が死亡した場合は直ちに年末調整を行わなければなりません。
亡くなってから支給される給料は遺族の相続財産となります。

したがって、遺族が円滑な相続手続きを行うためにも年末調整や源泉徴収票の作成は早めに行わなければなりません

源泉徴収の対象となる給与の範囲について

源泉徴収される給与の範囲はどこまでになるのでしょうか。

還付金や配偶者控除や配偶者特別控除について

社員が亡くなったことよる退職の場合でも、還付金や扶養親族にかかる配偶者控除、配偶者特別控除が行われることは、通常の年末調整の計算方法と変わりはありません

扶養控除や配偶者控除が可能かどうかの判断には、亡くなった時の状態が基準になり、年始から死亡日まで払った所得の合計金額が対象になります。

配偶者の合計所得金額は48万円以下であることが配偶者控除を受けるための条件です。

亡くなった時期がいつであっても控除額は全額を控除し、月割りによる計算方法は用いられません。

年末調整を行った結果、亡くなった社員へ戻すべき金額が生じた場合は、相続人に対して行われます。
この還付金は、徴収した所得税を返還するものであっても本人の所得にはなりません。

その代わり、相続財産として相続税課税の対象になります。

社会保険料は全額が社会保険料控除の対象

社員の死亡後に支給される給料については年末調整は不要です。
しかし、死亡する前に支給された給料については年末調整が必要になります。

従って、健康保険料や介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などの社会保険料の控除額も死亡日前の給料で天引きされた金額の合計による計算方法により、加減算されます。

健康保険・介護保険・厚生年金保険などの社会保険料は、資格喪失日の前月まで支払が必要です。

亡くなった翌日からは社会保険の被保険者の資格は喪失しますので、支払われる給料から健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料が引かれることはありません。

生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除について

生命保険料控除、社会保険料、地震保険料控除は見落とされがちですが一般的な退職と同様、支払った額に応じた計算方法で算出のうえ控除を受けられます。

例えば6月11日に社員が亡くなったとしたら、その翌日である6月12日に資格を失います。
つまり、6月11日までに支払った保険料が控除の対象額です。

従って、亡くなったことにより6月12日に資格を失った社員の場合は、亡くなる前月の5月分までの保険料を納める必要があります

退職金について

退職金は、社員が亡くなった後に退職したものとみなされることによって支給されますので、死亡した社員の所得にはならず、遺族の相続財産となります。

したがって、年末調整も不要で所得税もかかりません
源泉徴収も不要ですので、退職所得の源泉徴収票も提出不要です。

しかし、退職手当金等受給者別支払調書は提出しなければなりません。

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死亡退職した社員の年末調整の計算方法

死亡による退職社員の年末調整の計算方法をケースごとに解説します。

給与計算締め日と支払日が同日のケース

5月10日が社員の命日で、各月の15日が給与計算の締め日で、その月の15日に給与を支払う会社のケースの計算方法はどうするのでしょうか。

このケースでは、4月15日に支払った給料は亡くなる前なので、年末調整を行いますが、5月15日に支払う給料は年末調整が不要です。

支払日と給与計算締め日が同じ日の場合の計算方法は、亡くなった日がその前か後かによって変わってきます

給与計算締め日と支払日が別日のケース

社員の命日が5月10日で、各月の25日が給与締めで、翌月の10日に給料を支払う会社の場合の計算方法はどうでしょうか。

5月10日支給の給料は亡くなる前なので年末調整を行いますが、6月10日支給の給料は亡くなった後なので年末調整はされません。

要するに、給与計算締め日と支払日が異なるケースでは、給与支給日が亡くなった日の前であれば年末調整が必要です。

給与支給日が亡くなった日の後であれば年末調整は不要ですが、相続財産として相続税の対象となります。

給料支払いが遅れてしまったケース

例えば、社員の命日が5月10日で、本来なら5月5日に支給される予定の給料が5月15日に遅れて支給された場合の計算方法はどうでしょうか。

本来は亡くなる日の前の5月5日に支払われるはずだったため、亡くなった後の5月15日に給料が支払われたとしても、これは年末調整の対象です。

なお、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料といった社会保険料の場合は、前月分の給料から控除されるものなので、死亡後の給料から控除されることはありません。

一方、雇用保険料の場合は当月分の給料から控除されるものなので、死亡後に支給される給料からも控除されますので注意が必要です。

ただし、こちらは年末調整の対象とはなりません。

死亡退職者の年末調整でよくみられる質問

死亡退職者の年末調整に関して、よくある質問とその解答をご紹介しましょう。

給与の振り込み先はどこ?

亡くなった人の銀行口座は凍結されます。
したがって、亡くなった社員の給料口座も凍結されます。

亡くなった社員に支給する給料や年末調整の還付金の支払いはどうすればいいのでしょうか。
亡くなった社員の給料は遺族に手渡すのが最も確実な方法でしょう。

あるいは、相続人からの依頼によって相続人の銀行口座へ振込まれることもあります

住所不明で源泉徴収票が返送されたら?

退職した社員に対し、1カ月以内に給与支払者は源泉徴収票を交付しなければならないと定められています。

これを怠ると所得税法により1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられますので、確実に退職した社員に交付しなければなりません。

しかし、社員はすでに会社にいないので、退職後の社員の源泉徴収票はおおむね郵送されることになります。
退職後に社員が引っ越してしまったりして住所不明で源泉徴収票が返送されることもたまにあります。

そういった場合は、給与支給者が厳選徴収票の交付を怠ったとはみなされず、罰則の適用もありません。

退職者の方から連絡があるまで大切に保管するようにしましょう。

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死亡退職での年末調整の計算方法まとめ

キーボードの上に載っている「ま」「と」「め」と書かれた積み木

ここまで死亡退職での年末調整の計算方法や注意点などについて解説してきました。
まとめると以下の通りです。

  • 死亡した社員の給料も年末調整を行うことがある
  • 死亡後に支給される退職金は遺族の相続財産となる
  • 死亡退職した社員の給与は遺族に渡すか相続人の銀行口座へ振込む

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(たなか)

田中 大敬(たなか ひろたか)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。

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