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相続対策が不可能に! 高齢親の認知症による「資産凍結」…回避策はあるか?

更新日:2023.08.17

遺言書

高齢化が進展する日本では、認知症対策についての意識も高まってきました。大切な資産を守るため、また、子どもたちに迷惑をかけないため、どのような対策が必要なのでしょうか。具体的な方法を見ていきます。

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  1. 高齢の親が認知症で「資産凍結」の危機!
  2. 認知症対策の基本…「後見人制度」と「家族信託」
  3. 「後見人制度」「家族信託」…それぞれの活用範囲
  4. 資産防衛のためにも「認知症対策」の検討を
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高齢の親が認知症で「資産凍結」の危機!

認知症となった高齢の親を専門の施設に入所させるため、実家を売却して費用を捻出したい…。そのように考えたある男性は、相談を持ち掛けた不動産業者から「親御さんが認知症である以上、親御さん名義の実家は売却できません」といわれて愕然…!

近年、このようなケースが増えています。

認知症となり、意思能力がない方は自分で契約することができないため、その方の財産が「デッドロック」されてしまい、たとえ本人の介護のためでもお金が支出できなくなってしまうのです。

さらに深刻なのは、賃貸アパートを経営している親御さんが、認知症になってしまうケースです。部屋の入退去のための原状回復手続きや、新規の賃貸人の募集も、契約行為である以上、認知症の方は行えません。古い賃貸アパートを建て替えたいという場合も、当然ですが、建築契約を締結できず、不動産の有効活用ができなくなってしまいます。

このように、認知症によって本人の財産がデッドロックされた状態が、寿命を迎えるまで数年から数十年にわたって継続する可能性も考えられ、それにより非常に難しい問題をはらむことになります。

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認知症対策の基本…「後見人制度」と「家族信託」

このような認知症対策には「後見人」という方を付けるか「家族信託(民事信託)」という制度を活用し、主に第三者による財産管理を行うほかありません。

まず、後見人という立場の方ですが、認知症となり、自分の財産を法的に有効に利用することができなくなった方に代わり、不正に財産が減少するおそれがないか、被後見人(認知症の方)のための財産の支出かどうかを、代理人となって代わりに判断・処理する権限を持つ方を指します。

この後見人にも種類があります。認知症になる前に、本人が「もし自分が認知症になったら、この人にお願いしたい」と選んでおくのが「任意後見人」です。また、認知症になったあと、親族の申立てにより裁判所に選任してもらうのが「法定後見人」です。

いずれも、法的な役割には違いありませんが、任意後見人の場合、専門職の方がつくわけではないので、ご親族の方が不正な財産利用をしていないか「後見監督人」という第三者の専門職の方が監督することになります。

この「後見監督人」「法定後見人」について「専門職」という言葉を使いましたが、事案や必要性に応じ、弁護士、司法書士、行政書士など、血縁関係のない専門職の方が就任するケースが多くあります。第三者の専門職の方であるため、この方々には報酬が必要です。

「家族信託(民事信託)」も、上記の「後見人制度」と類似したものであり「受託者」という方に、認知症になった方の財産の運用を委ねておく制度です。

家族信託については、こまごまとした用語を知ることより「後見人」と何が違うのかを理解することが、制度の理解として重要です。

「後見人制度」「家族信託」…それぞれの活用範囲

「後見人」は、法的に認知症になった方の財産が不正に利用されないよう、また、財産の減少を食い止めるため、本人の代理として財産に関する行為を行っていきます。すなわち、基本的には維持管理が目的であり、必要以上に出費を抑えることに主眼がおかれています。

「家族信託」とは、財産の減少を目的とするだけでなく、運用や財産の増加を目指して利用される制度です。前述の「施設に入るために自宅を売却したい」ということなら、基本的に後見人でも行えます。自宅の売却価格が不当に安いといった問題がなければ、認知症になった方に必要な行為であり、不動産が金銭に代わるものの、基本的に財産を減らす行為とはいえないからです。

他方、「古くなった賃貸アパートを建て替えたい」「多額の預貯金を寝かせておくのはもったいないから、株式で運用したい」などは、後見人では基本的に実現できない行為であり、家族信託の利用が必要となります。

以上のことから「積極的な財産の運用をするなら、家族信託の利用が必要」だと覚えておけばよいでしょう。

実際のところ、一般的にどのようにして認知症に備えるべきかというと、相続対策としての遺言書作成に加え、任意後見契約という契約を結び、任意後見人を利用できる状況にしておくのが、基本だといえます。

任意後見契約は、公正証書にて契約する必要があるので、相続時のトラブルを減らすためにも「公正証書遺言」とセットで作成しておくのが無難です。

基本となる「公正証書遺言+任意後見契約」の組み合わせですが、とくにアパートの建て替えや余った土地へのアパートの建設、多額の預貯金による株式運用等のニーズがある場合、これらに加えて、家族信託を検討するという形がよいでしょう。

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資産防衛のためにも「認知症対策」の検討を

認知症対策のためには、一定の費用が発生することは否めませんが、もし準備がないまま親御さんが認知症になってしまえば、せっかくの財産を活用できず、十分な介護ができないという、本末転倒な結果になってしまいます。

ひと昔前は、社会的な整備が整っておらず、良くも悪くも「認知症なのに、金銭の引き出しや契約等が行えてしまう」状況にありました。しかし、近年では認知症対策が重視されてきており、預貯金の引き出し等も金融機関からストップがかかり、手続きが進められないといった状況にあります。

資産防衛と資産活用の双方を実現するという観点から「後見人」の指名「家族信託」の組成、「公正証書遺言」の作成など、事前の対策をとることが重要なのです。

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