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遺言書の全財産が無効となるケースは?無効を主張する方法

更新日:2022.06.27 公開日:2022.04.19

遺言書

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記事のポイントを先取り!

  • ・遺言書は決められたやり方で書かないと無効になる
  • ・全財産が無効になるケースは、遺言書の種類によって異なる
  • ・調停か訴訟によって遺言書の無効を主張できる
  • ・遺言書を勝手に開封しても無効にはならない

遺言書を残し、自分の希望通りに財産を相続させたいと考えている方も多いでしょう。

また、遺言書に記載された内容により、自分の相続分がなくなるのではないかと心配というケースもあります。

遺言書によって、全財産を特定の人物に相続させるのか、また、遺言書の内容を無効にするのか、不明なことが多いでしょう。

そこでこの記事では、遺言書の効力について、全財産が無効になるケース、無効を主張するやり方について詳しく解説します。

遺言書が勝手に開封されていた場合、無効になるかどうかについてもふれていますので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 遺言書とは
  2. 全財産とは
  3. 遺言書の種類別の効力
  4. 遺言書の全財産が無効になる場合
  5. 遺言書の全財産が他の理由で無効になる場合
  6. 遺言症の全財産の無効を主張する方法
  7. 遺言書の一部が無効となる場合
  8. 遺言書で全財産を指定していた場合の遺留分
  9. 遺言書が勝手に開封されていた場合は無効?
  10. 遺言書の全財産無効のまとめ
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遺言書とは

遺言書とは、自分の死後に財産をどう処分するか、遺言書の指示を誰に実行して欲しいかなどを指定する書面のことです。

遺言書は、民法によって書き方が規定されていて、自筆証書、公正証書、秘密証書などの書き方に沿って書かれます。

民法の方式によらないものは、遺言書としては無効になります。

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全財産とは

遺言書によって全財産を相続させるといった書面が残っていたとき、全財産とは何のことを言うのでしょうか。

遺産相続における全財産について解説します。

自分が遺言書を書くとき「私の財産には何があるのかわからない」というケースも珍しくありません。

遺言書を書く前に、自分がどんな財産を持っているのかをはっきりさせておくことが大切です。

貯金や不動産の額を明確にしておく必要がありますし、財産と言ってもプラスの財産だけではありません。

相続で財産を引き継ぐ場合、遺族はマイナスの財産も引き継がなければならないからです。

借金やローンなどは負の財産になりますので、いくらあるのかをまとめておきましょう。

遺言書の種類別の効力

遺言書通りに相続するためには、遺言書が法律の定める方式で書かれているかが重要になります。

法律で決められた方式で書かれていないと、遺言書は無効になってしまいます。

法律で定められた遺言書の書き方には、「普通方式の遺言書」と「特別方式の遺言書」の2種類の形があり、2種類の中にも様々な形があります。

ここでは、遺言書の種類と、種類別の効力についても紹介します。

普通方式遺言

普通方式の遺言書は、一般的に利用されている作成方式です。

普通方式の遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類の方法があります。

3つの普通方式遺言書について解説します。

自筆証書遺言

民法で定められている遺言の所定方式で最も簡単なものが、自筆証書遺言です。

遺言者が自筆で作成する遺言で、作成する際には以下を自分の手で書面に書き、押印する必要があります。

・遺言者の指名

・遺言の内容

・作成年月日

・自著(パソコン不可)

・本人の印鑑(実印が望ましい)

平成31年から、新しい民法が施行されて相続財産の目録については自筆しなくても良くなりました。

自筆証書遺言は、自分で字が書ける、印鑑を押せるのであれば、自由に作成が可能で簡単にできる遺言書です。

公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言者が公証人に遺言の内容を伝え、それを公証人が遺言書として作成し保管します。

公証人が遺言を作成しますが、通常は弁護士などの専門家の力を借りて作成しますので費用が掛かります。

お金がかかる以外にも、幾つかの手順を踏んで作成しますので、時間がかかるというデメリットはあります。

ただし、遺言書の真正性が高まり確実に遺言を残すという安心感があるでしょう。

他の遺言書の場合は「検認」と言われる、内容の確認や偽造変造を防止する手続きが必要ですが、公正証書遺言は検認の作業が必要なく、多くの方に利用されている方法です。

秘密証書遺言

遺言書に書かれている内容を秘密に作成して、それを公証役場に確認してもらう方法です。

遺言者は遺言内容に署名、押印して封に入れて封じ、封印にも押印と同じものを印証します。

これを公証人は所定の処理をします。

記載内容や民法に指定されている方式で書かれているのかを公証人は確認しないので、記載内容の不備に注意しなければなりません。

不備があった場合、遺言が無効になる可能性もありますので、秘密証書遺言を書くときは、不備がないか必ず確認して封をしましょう。

特別方式遺言

特別方式の遺言は、普通方式とは違い緊急の時や特別な事情があるケースにおいて、書く遺言のことを言います。

特別方式遺言は状況によって要件も変わり、一般危急時遺言、何戦危急時遺言、一般隔絶時遺言、船舶隔絶地遺言の4つの形式があります。

4つの特別方式遺言について説明します。

一般臨終遺言(危急時)

病気や怪我などによって、死亡の危機に迫られている場合に作成するのが、一般危急時遺言です。

3名以上の証人が立会いの下で、遺言を作成します。

本人が遺言を作成することが困難な場合は、証人に口頭で遺言を伝え書面にしてもらい、他の証人が署名し、遺言が成立します。

難船臨終遺言(危急時)

難船危急時遺言は、船や飛行機の中で危機が迫っている状態で作成する遺言のことです。

作成するには2名以上の証人が立ち会うこと、口頭で伝え証人による書面作成、署名、押印することで効力がある遺言となります。

緊急性が高いので、証人は2人で、遺言者の自著、書面作成が不要です。

一般隔絶地遺言(隔絶地)

伝染病などの理由で隔離を余儀なくされている状態、または刑務所に服役中で下界との接触を断たれている立場の者が作成する遺言を、一般隔絶地遺言と言います。

警察官1名、証人1名の立会いの下で遺言を作成し、遺言者の自著、立会人による署名と押印が必要となります。

船舶隔絶地遺言(隔絶地)

航海中、船で長期間過ごしていて、陸地から離れている状態で作成する遺言を船舶隔絶地遺言といいます。

飛行機の場合は、長期間ではないのでこの遺言書を作成することはできません。

船舶関係者1名、証人2名以上の立会いの下で作成され、遺言者の自著と書面作成、立会人による証明押印が必要となります。

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遺言書の全財産が無効になる場合

遺言の種類と効力のある書き方について説明しましたが、遺言書に全財産相続させたいという希望を書いても無効になる場合があります。

わざわざ作成した遺言書が無効となってしまうケースを、遺言書の種類ごとに説明します。

自筆証書遺言が無効となるケース

自筆証書遺言は自分で簡単に作成できますが、だからこそ無効とならないように注意しなければいけません。

自筆証書遺言が無効となるケースには以下のようなものがあります。

・日付や氏名を書き忘れている

・押印がない、できれば実印がおすすめ

・自筆ではなくパソコンなどを使って書いている

・修正箇所が正しく修正されていない

・加筆がルールに従って行われていない

・土地や建物の相続で、登記事項通りに記されていない

公正証書遺言が無効となるケース

公正証書遺言は、公証人が遺言者に内容を聞いて作成しますので安心してしまいますが、それでも注意しないと無効になるケースがありますので、確認しておきましょう。

・公正証書遺言を作成された日付に認知症、精神障害として認められた

・遺言者が遺言内容を理解し返事する「口授」を欠いていた

・証人が未成年者や推定相続人など不適格だった

公正証書遺言の作成には2人以上の証人が必要ですが、証人にはなれない人間もいます。

未成年者、推定相続人とその家族、財産の受取人とその家族、公証人の4等身以内の家族や親族、公証役場の職員などがそれにあたります。

証人が不適格だとわかった場合、遺言が無効になりますので注意が必要です。

秘密証書遺言が無効となるケース

秘密証書遺言の場合は、遺言の内容を公証人が確認しているわけではありませんので、不備があり無効になるケースもあります。

・本人が自筆していない

・訂正部分に訂正印が押されていない

・遺言書の印鑑と同じものが、封筒の綴じ目に押印されていない

特別方式遺言が無効になるケース

緊急の場合や隔離されているケースで作成される、特別方式遺言が無効になるケースをみていきましょう。

・遺言者が普通の遺言を残せる状態で、6ヵ月間生存した場合

・一般臨終遺言で、疾病や怪我などの死亡の危急を逃れた場合

・一般隔絶地遺言で、隔離状態が終了した場合

・難船臨終遺言で、危機的状況が解消され無事に上陸した場合

遺言書の全財産が他の理由で無効になる場合

残した遺言書が無効となるケースを、遺言書の種類別に紹介してきました。

上記以外でも、遺言書の全財産が無効となる場合があります。

遺言者が15歳未満のケース

遺言者が15歳未満の場合、どの種類の遺言書を正式な形で残したとしても全て無効となります。

これは、親権者等の法定代理人が同意したとしても関係ありません。

15歳未満の場合、遺言能力がないとされ遺言書が無効ですが、同じ未成年であっても15歳以上であれば、遺言は有効となります。

遺言者が意思能力がないケース

遺言者の意思能力がないとは、認知症等で遺言能力がないとされる場合です。

自分の行為の結果を判断する能力がない状態となれば、遺言書に効力がありません。

意思能力があると判断し、遺言書を有効にするには、2人以上の医師に「意思能力のある状態だったこと」を証明してもらう必要があります

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遺言症の全財産の無効を主張する方法

遺族にとって、納得のいかない遺言が出てきた場合、遺言書の全財産の無効を主張する方法があります。

無効を主張する2つの方法についてここから具体的に説明していきます。

遺産分割調停

話し合いによる遺産分割を協議する方法もありますが、まとまらない場合は、遺産分割調停を申し立てます。

遺産分割調停とは、調停で遺言書が無効であることを主張し、裁判所が間に立って話し合いをする方法です。

当事者同士では解決がつかないことでも、裁判官が遺言の有効性について意見を述べることで、話し合いで解決する可能性があります。

調停を立てることで、話し合いが進まない、話し合いに応じてくれないといったトラブルを解決することができます。

民事訴訟

遺産分割調停は裁判官に間に入ってもらい、話し合いで解決する方法ですが、それでも解決しない場合は、民事訴訟をします。

遺言無効確認請求訴訟を提起し、遺言が無効であるか否かを判決で決めてもらいます。

遺言書の一部が無効となる場合

遺言書自体は有効ですが、一部が無効になるというケースもありますので確認しておきましょう。

訂正が正しく出来ていない箇所

一度書いた遺言書を訂正する場合は、やり方が決められていて、所定の方式に乗っ取られていない場合は、一部が無効になります。

訂正する箇所は二重線を引き、二重線の上に訂正印を押し横に正しい文字を記載してください。

これだけではなく、遺言書の末尾に、訂正箇所と削除した文字数、追加した文字数を追記して署名します。

正しく訂正されていない場合は、その訂正は無効になってしまいます。

遺言の内容が曖昧な箇所

遺言書は亡くなった後に他人によって開封されますので、誰が読んでも明確に内容がわかる必要があります。

曖昧な表現、間違いなど、故人に聞けませんので明確にわかるように書くべきです。

遺言書にあいまいな表現があった場合、「遺言書に表明されている遺言者の意思を尊重して合理的にその趣旨を解釈すべきであるが、可能な限りこれを有効となるように解釈する」という裁判例があります。

全てが無効になるわけではありませんが、あまりにも内容がわからず曖昧な記述がある場合は無効となるでしょう。

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遺言書で全財産を指定していた場合の遺留分

遺言書で特定の人に全財産を相続させるという記述があったとしても、実際は不可能な場合が多いです。

なぜなら、決められた相続人には、最低限相続する遺留分があるからです。

ここでは遺留分とは何か、誰が遺留分を請求できるのかについて詳しく解説します。

遺留分とは

遺留分とは、一定の相続人に最低限保証されている相続できる権利のことを言います。

一定の相続人とは、配偶者、子供、親などのことを言い、兄弟姉妹には遺留分を請求する権利はありません。

遺留分を支払う必要があるケース

遺留分を支払う必要があるケースについて、具体的に解説しましょう。

例えば、遺言に「財産を全て妻に相続させる」と書かれていたとしても、子供たちには遺留分がありますので、妻が全財産を相続することはできません。

配偶者と子供がいる場合は、遺留分は全体の二分の一あり、請求する権利が子供にあります。

遺留分を支払う必要がないケース

遺留分を支払う必要がないケースは、兄弟姉妹が相続人だった場合です。

相続人が妻以外、兄弟姉妹だけで、遺言に妻に全額相続すると書かれていた場合、兄弟姉妹は遺留分侵害額請求権がないので、妻が全額相続します。

兄弟姉妹には、遺留分を支払う必要がありません。

遺言書が勝手に開封されていた場合は無効?

家族や親族が亡くなって、遺言書が後から見つかる場合もあります。

見つかった時は、つい開封して中を見たくなるものですが、勝手に開封された遺言書は無効になるのでしょうか。

家庭裁判所以外での開封は禁止されている

基本的に封印された遺言書は、家庭裁判所でしか開封できません。

勝手に遺言書を開封した場合は、5万円以下の過料が科される可能性もあります。

封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人または代理人の立会いがなければ、開封できないと民法で定められています。

開封しても遺言は無効にならない

ただ、勝手に開封したとしても遺言の内容が無効になるわけではありません。

開封した人が相続権を失うわけでもなく、遺言書の内容は有効です。

ただし、開封しただけではなく、遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した場合には、相続人になれません。

遺言の内容は、故人の意思表示なので、勝手に開封したとしても遺言が無効になるわけではなく、可能な限り故人の意志として尊重されます。

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遺言書の全財産無効のまとめ

ここまで遺言書の全財産が無効となる場合についてや、遺言書の種類、効力などを中心にお伝えしてきました。

この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 遺言書は法律で決められた方式で書かないと効力がない
  • 遺言書には普通方式遺言と緊急時に書く特別方式遺言の2種類がある
  • 遺言書で全財産が無効となるケースは、種類によって様々ある
  • 遺言書の無効を主張するには、遺産分割調停もしくは民事訴訟
  • 遺言書の全財産を指定しても遺留分までは相続できない

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(かまた)

鎌田 真紀子(かまた まきこ)

国家資格 キャリアコンサルタント ・CSスペシャリスト(協会認定)

経歴

終活関連の業界経歴12年以上。20年以上の大手生命保険会社のコンタクトセンターのマネジメントにおいて、コンタクトセンターに寄せられるお客様の声に寄り添い、様々なサポートを行う。自身の喪主経験、お墓探しの体験をはじめ、終活のこと全般に知見を持ち、お客様のお困りごとの解決をサポートするなど、活躍の場を広げる。

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