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遺言書の代筆をしてもらうには?代筆が必要な場合の作成方法を紹介

更新日:2022.03.31

遺言書

記事のポイントを先取り!

  • 自筆証書遺言は自筆の手書きのみ認められる
  • 秘密証書遺言なら代筆で残せる
  • 公正証書遺言が一番確実な遺言の残し方

自分が亡くなったあとのことを考えて、遺言書を残したいと考えている方は多いのではないでしょうか。

ただ、自分で遺言書を書くのは難しそうだと諦めてしまう場合もあるようです。

そこでこの記事では、遺言書の代筆が可能なのかについて詳しく説明していきたいと思います。

遺言書を書く際の決まりや、遺言書が無効になってしまう場合などにも触れていくので、この機会に覚えておくと良いでしょう。

この記事を読めば遺言書の基本的な部分を押さえることができるので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 遺言書とは
  2. 遺書の代筆は可能?
  3. 代筆かどうかを見分けるには
  4. 秘密証書遺言なら代筆でも有効
  5. 公正証書遺言なら代筆は必要ない
  6. 他に遺言書が無効となる条件
  7. 遺言書は元気な内に用意する
  8. 遺言書の代筆まとめ
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遺言書とは

遺言書とは故人(被相続人)が最後の思いを残した書面です。

相続人が遺産分割でもめることがないように、相続手続きをよりスムーズに行えるようにするために、必要不可欠な物となっています。

遺言書を作成する最大のメリットは、遺産分割協議を経ることなく相続手続きを完了させられる点にあります。

遺産分割協議は相続人全員の合意によって成立するものなので、なかなかまとまらないことが多いものです。

遺産相続はトラブルが多いというイメージが付いているのも、この遺産分割協議が簡単にはまとまらないためなのです。

また、遺産分割協議書は相続人全員分の署名と実印での捺印、印鑑証明書が必要になります。

そのため、遺産分割協議書を作成するだけでも手間と時間がかかってしまいます。

遺言書はこのようなトラブルを未然に防ぐことができ、円滑な相続を手助けしてくれるのです。

残された家族の負担を減らし、自分の思いも伝えられるので、遺言書を残しておくことをおすすめします。

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遺書の代筆は可能?

遺言者本人の手で作成する遺言は自筆証書遺言といいます。

最低限の紙とペン、印鑑があれば作成可能で、最も気軽に書くことのできる遺言書になります。

そのため、最も多く作成される形式の遺言書になりますが、書き間違いや遺言の内容が曖昧など、無効になってしまう場合も多い形式です。

自筆証書遺言は書き方が法律で定められており、その要件から外れた書き方をすると遺言が無効になってしまいます。

ここでは、自筆証書遺言の書き方を説明していきます。

代筆された遺言書は無効となる

自筆証書遺言はその名前の通り、自筆で書かれていないと遺言自体が無効になってしまいます。

そのため、パソコンで作られたものや、代筆で書かれたものは無効となります。
また、遺言者の口述を正確に記述してあったとしても、代筆扱いになり無効となります。

自筆証書遺言は必ず自分の手で書くようにしましょう。

判例によると、本人の手書きしか認められない理由は、遺言者の同一性と真意の確保にあるとのことです。

また、遺言者が病気やその他の理由で手が震えて自力で文字を書くことができない場合は、他の方に手を添えてもらわなければならないこともあるでしょう。
しかし、他人の補助を受けて書かれた自筆証書遺言も、基本的には無効になってしまいます。
添え手の補助がなければ自筆証書遺言をかけない場合は、遺言者の真意が反映されているか疑わしいので、遺言として認めることができないのです。

自筆証書遺言は自由に撤回や書き直しが可能です。
遺言者の死後、複数の自筆証書遺言が見つかった場合は、日付が最も新しいものが遺言として効力を発揮します。

サインや押印だけでもダメ

自筆証書遺言は本人の同一性を担保するために署名と押印を必要とします。
押印に使われる印鑑は認印や拇印でも大丈夫ですが、後のトラブルを防止するために実印を選ぶことをおすすめします。

署名に関しては一般的には戸籍の氏名を使用しますが、ニックネームや芸名など本人と特定できるものであれば無効にはなりません。

しかし、署名や押印のみ自筆で遺言部分は代筆といった場合は、自筆証書遺言は無効になってしまいます。

あくまでも、自筆での遺言署名、そして押印が揃って、はじめて遺言として認められるのです。

連名なら代筆は可能?

「連名の遺言ならば代筆が可能ではないか」と考える方もいるかもしれませんが、日本では連名の遺言自体が認められていません。

民法975条で、2名以上が共同で同一の遺言を作成する共同遺言を禁止しています。
共同遺言が禁止されている理由は、遺言の撤回が自由にできなくなるためです。
2名以上の共同で遺言を作成すると、撤回も2名以上の共同で行わなければならなくなり、簡単に撤回できなくなります。

これを避けるため、共同遺言は禁止されているのです。

財産目録なら代筆は可能

財産目録は本人の署名や押印があれば、代筆することが可能です。

また、財産目録に限っては自筆でなくパソコンで作成されたものでも、署名と押印があれば正式なものと認められます。

ただし、財産目録が複数のページに渡る場合は、すべてのページに署名と押印が必要になります。

代筆かどうかを見分けるには

本人以外が自筆証書遺言を代筆した場合は、当然無効となります。

ただ、死後にでてきた遺言書は本人が書いたものか判断が難しい場合もあります。

そのような場合に、どのように対応すればいいかについて説明していきます。

筆跡や遺言能力から判断する

自筆証書遺言が本人に書かれたものか疑わしい場合は、筆跡鑑定や書かれた当時に遺言を作成する能力があったかどうかで判断します。

筆跡は年齢だけでなく、筆記具や書かれたときの体調、姿勢などでも変化します。
一般人には遺言者本人の字か、真似して書いた字であるかの判断は難しいので、筆跡鑑定のプロに依頼しましょう。

ただ、筆跡鑑定は国家資格などではないので、鑑定士ごとに能力の差があります。
誰に依頼するかはよく調べてから決めるようにしましょう。

また、筆跡鑑定だけでは限界があるので他の方法と併用して遺言書の真偽を確かめます。

遺言書を作成した際の過程や、遺言書を書く動機、遺言者と相続人との利害関係や関係の良し悪し、遺言を作成できる精神状態であったかなど、総合的に判断します。

偽造が疑われる場合

遺言書が偽造されていた場合、民法と刑法の両面からペナルティがあります。

民法では相続欠格に当たり、相続人ではなくなります。
つまり、遺産を受け取ることができなくなってしまうのです。

刑法では、遺言書の偽造は私文書偽造罪・有印私文書変造罪に当たり、3月以上5年以下の懲役が科されます。

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秘密証書遺言なら代筆でも有効

代筆で遺言を残したいならば秘密証書遺言というものがあります。
秘密証書遺言は署名と押印以外なら手書きやパソコン、代筆とどのような方法で記載しても大丈夫です。

秘密証書遺言は公証役場で、公証人と証人2人以上に遺言の存在を証明してもらうものです。

また、遺言の中身を公証人と証人に見せる必要がないので、遺言の内容を秘密にしたまま遺言が存在することを証明できるのも利点となります。

ただ、秘密証書遺言にもデメリットはあります。

遺言を公証人に確認してもらった記録は公証役場に残りますが、遺言の元本は自分で保管しなければなりません。
紛失の可能性があるので注意しましょう。

また、遺言の内容を誰にも見せないため、遺言書に不備が残る可能性があります。
遺言の形式が間違っていたり、内容が曖昧だったり、遺言が無効になってしまうことがあるので、遺言の内容には気を付けましょう。

公正証書遺言なら代筆は必要ない

字が書けないなどの理由で代筆が必要な方でも、公正証書遺言ならば問題なく遺言を残せます。

公正証書遺言は公証役場で公証人が代わりに作ってくれるものなので、遺言者が字を書けなくても問題ありません。

また、法律のプロである公証人が作成してくれるので、遺言の内容に不備があることも少なく、一番確実に遺言を残す方法でもあります。

代筆が必要ない理由

秘密証書遺言は、公証人が遺言者の口授した内容を筆記して遺言書を作成するので、自分の手で書く必要がありません。

そのため何かしらの理由で字が書けない場合でも、代筆してもらう必要がないのです。

公正証書遺言の注意点

確実な方法である公正証書遺言ですが、注意しなければならない点もあります。

口授ができない場合は注意しなければなりません。
基本的に公正証書遺言は公証人への口授で作成されます。

口がきくことができない場合でも、筆談や手話などの方法で意思を伝えることが出来れば、公正証書遺言を作成可能です。
このような方法で公正証書遺言を作成した場合、公証人はそのことを公正証書に記載しておく必要があります。

しかし、頷くだけであったり身振りのみで意思を伝えたりして作成した公正証書遺言は無効になる可能性が高いので、注意しましょう。

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他に遺言書が無効となる条件

他にも遺言が無効になってしまう条件があります。

せっかく用意した遺言が無効になってしまうのはもったいないので、しっかりと条件を確認しておきましょう。

形式が間違っている場合

日付の記載忘れや、訂正方法の間違いなど形式が間違っていると無効になります。

遺言書の作成日は明確に確認できるように記載しなければなりません。
日付が記載されていたとしても、「○月吉日」のような正確な日付がわからないものは無効になってしまいます。
「末日」などの日付が特定できる表現ならば有効な遺言書となりますが、カレンダー通りに作成日を記載する方が確実な書き方です。

また、間違った箇所の訂正方法も法律で定められています。
訂正箇所に二重線を引き、二重線の近くに訂正印を押しましょう。
そして、縦書きの場合は訂正箇所の横に、横書きの場合は訂正箇所の上に正しい文章を書きましょう。
法律で決められた方法に則っていなければ無効になってしまいますので、注意が必要です。

もし心配ならば、遺言書を一から作り直す方が確実でしょう。

内容が不明な場合

内容が曖昧な場合も無効になります。

「〇〇に託す」という表現だと、相続させたいのか、管理を任せたいのか、判別がつきません。
「相続させる」「遺贈する」など、自分がどうしたいかを明確に記載するようにしましょう。

また、不倫関係の維持を目的にしたものなどの、公序良俗に反する遺言も、他の法律行為と同様に無効となります。

遺言能力に問題がある場合

精神疾患がある方や認知症などの、正常な判断ができない可能性が高い方が書いた遺言も無効になることがあります。
このような場合は判断能力が戻っている場合もあるので、2名以上の医師の立会いのもとで作成された遺言は有効になります。

また、15歳未満も遺言を残すことが出来ません。
15歳未満の遺言は親や後見人が代理で作成したとしても無効となります。

証人が不適切な場合

秘密証書遺言と公正証書遺言は2名以上の証人の立ち合いを必要とします。

この証人が不適切な人物だった場合も遺言は無効になります。

  • 未成年者
  • 推定相続人とその配偶者や直系血族
  • 遺言により財産を得る方とその配偶者や直系血族
  • 公証人の配偶者及び四親等内の親族
  • 公証人役場の職員

などは証人になることができません。

遺言書は元気な内に用意する

遺言書は元気なうちに用意しておきましょう。

「遺言書なんて縁起の悪いものは書きたくない」と思われるかもしれませんが、自分に何かあった時に家族を助けてくれるのが遺言書の役割です。

もし、自分の行為能力がなくなってしまい遺言を残せなくなると、残された家族同士で相続トラブルが起こってしまうかもしれません。

自分の意思を表明できる元気なうちに遺言書を残しておくべきなのです。

また、遺言書は何度でも書き直すことができるので、遺言書の内容が気に入らなくなったとしても変更可能です。

遺言書といわれるととても重大なものだと感じますが、紙とペンと印鑑があれば作成できるものなので、気軽に作ってみてもいいのではないでしょうか。

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遺言書の代筆まとめ

ここまで、遺言書の代筆や、どのように書くとよいかについての情報を中心にお伝えしてきました。

この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 自筆証書遺言では代筆は認められていない
  • しっかりと要件を満たした遺言書でないと無効になってしまう
  • 公正証書遺言なら代筆を必要としない

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(たなか)

田中 大敬(たなか ひろたか)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。

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