相続
遺産の遺言信託とは?サービス内容やメリット・デメリットを解説
更新日:2022.04.29 公開日:2022.05.11

記事のポイントを先取り!
- 遺言書を正しく書くため、なくさないためには遺言信託を活用
- 遺産が多い方や事業を持っている方は遺言信託がおすすめ
- 遺言信託は途中解約ができないため、慎重に決めるべき
相続に向けて利用される遺言信託ですが、そのサービス内容についてご存じでしょうか。
ご自身に見合ったサービスを選ぶためにも費用相場などについて知っておくことが大切です。
そこでこの記事では、遺産の遺言信託について解説します。
この機会に、遺言信託のメリット・デメリットを覚えておきましょう。
後半には遺言信託の途中解約についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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遺産の遺言信託のサービス内容
人が亡くなると葬儀や火葬、お墓への納骨、法要などさまざまな儀式や手続きが行われます。
主に故人の遺族がその役割を担いますが、一通りの儀式が終わっても相続について手をつけていかなくてはなりません。
経験されたことがない方は想像が難しいかもしれませんが、故人の所有物や遺産を整理し複数人で相続することは大変な作業です。
そんな家族の負担を大きく減らしてくれるのが、遺産の遺言信託サービスです。
遺言書作成の相談
遺産の信託サービスでは遺言書作成の相談が可能です。
遺言書とは自分の遺産を誰にどのような割合で相続するのかという意志を記録した書面です。
定められた書式で作成された遺言書は、法的に効力を持つため自分の希望に沿った遺産分割相続が可能です。
しかし、遺言書は規定から外れた書き方をすると法的効力が無効になってしまう恐れがあるため、遺産の信託サービスでの相談に相談すると安心です。
遺言書の保管
どんなに正しい遺言書を作成したとしても、ご自身が亡くなる前やその後に紛失してしまったり発見されなかったりすると意味がありません。
遺産の信託サービスでは、そのようなことがないように遺言書を保管してくれます。
遺言の執行まで相続に関する手続きをサポート
遺言が効力を発揮し実際に希望通りの相続がなされるまでには、いくつかの段取り手順に則った執行が必要です。
しかし、遺言の執行は日常的に行われるものではないこともあり、不明点も多いものです。
その点、遺産の信託サービスであれば遺言執行までの手続きを手厚くサポートしてくれるので、落ち着いて対応できることでしょう。
遺産の遺言信託の注意点

遺産相続についてさまざまなメリットがある信託サービスですが、いくつか注意しておきたい点があるので確認しておきましょう。
公正証書遺言以外の形式の遺言は保管してもらえない
遺言書には大きく3つの形式に分けられるのですが、その中の公正証書遺言書が信託サービスを受ける対象となります。
つまり、公正証書遺言書以外の形式の遺言書を検討されている場合は、考え直す必要があるかもしれません。
遺言は遺留分を侵害しない内容にする
遺留分とは、遺言書によって指定された相続人以外の法定相続人が、たとえ1円も相続分割されていなくても得られる分の遺産のことです。
遺言書は大きな効力がありますが、遺産は相続人の協力のもとで作られるものという考えがあるため、権利を有する相続人であれば財産が分けられます。
遺言執行の報酬は相続人が払う必要がある
遺言信託サービスの報酬は、執行後に取り扱われますがその支払い義務は相続人にあります。
あとでトラブルや争いのもとにならないよう、家族間で共有しておくのが無難です。
遺産の遺言信託のメリット・デメリット
遺産の遺言信託にはメリットがある一方でデメリットも存在します。
賢く利用するためにも、ここでメリットとデメリットについて確認しておきましょう。
遺産信託のメリット
遺産信託のメリットは下記の通りです。
- 遺言書作成の相談ができる:遺言書作成について金融的な知識を有した相談員のアドバイスを受けられます。
- 遺言書の保管と管理:信託銀行内で遺言書を作成してくれるため、紛失や遺族に死亡後に遺言書が発見されないというリスクを回避できます。
- 定期的な遺言書の見直し:時間が経過するとともに家庭環境や心境の変化があるものです。信託サービスは定期的に内容を確認、変更するため安心です。
- 遺言の執行:遺言通りにことが運ばれるためには死亡後にさまざまな手続きや手間ががかかります。信託サービスが執行まで行うため希望通りの相続が安定して可能になります。
遺産信託のデメリット
遺産信託のデメリットは下記の通りです。
- 法的な相談はできない:信託サービスでは金融的なアドバイスのみ可能で、法的なアドバイスは法律家に相談しなければなりません。
- 争いが起きた場合は介入しない:親族間で相続トラブルが発生した場合は、弁護士などの法律家でないと引き受けてもらえません。
- 利用料が高額:サービス利用料はさまざまな項目に分かれています。そのため想定以上の利用料に膨れ上がってしまう可能性もあります。
遺産の遺言信託の費用相場

遺産の遺言信託の概要を知ると気になってくるのは、やはり費用相場ではないでしょうか。
しかし、信託銀行によって費用やサービスが異なるため、費用相場をひとくちで説明することはできません。
正確な数字はご利用になる信託銀行に問い合わせが必要です。
そこであくまでひとつの事例としてですが、目安となる利用料についてご紹介します。
- 基本手数料:33万円〜88万円程度
- 遺言書保管料:年間0円〜6,600円程度
- 遺言書変更手数料:5万5,000円程度
- 遺言執行報酬:33万円〜110万円程度
遺産の遺言信託の利用がおすすめな人は?
遺産の遺言信託を利用する方にはいくつかの特徴があります。
遺産の遺言信託利用がおすすめな人は下記の通りです。
- 資産家や日常的に信託銀行を利用している方
- 複数の事業主で事業の引き継ぎを吟味している方
- 特定の相続人がいないため、遺産を社会に役立てたいとお考えの方
遺言信託は途中で解約できる?
遺言信託にさまざまなメリットを感じ、デメリットも許容できそうな方はもちろんのこと、親族に迷惑をかけたくない方も信託サービスは検討すべきでしょう。
自分の遺産が自分の希望通りに分配されることが早い段階で保証されたら安心です。
しかし、生きていると仕事や家庭環境の変化、ご自身の心境の変化などさまざまな要因により遺言信託を解約する選択も出てくるかもしれません。
もしも、遺言信託サービスを解約するとなると、それにはどのような手続きや費用が発生するのか、そもそも解約は可能なのでしょうか。
考え始めるとさまざまな疑問が出てきますよね。
そこで本記事の最後に遺言信託サービスの解約について解説します。
すでに遺言執行人に依頼が済んでいる場合、解約するためにはまず家庭裁判所の審判を仰ぐ形を取ります。
つまり、依頼した立場の方は一方的な解約ということはできずに、家庭裁判所の判断を仰ぐ必要があるのです。
また、すでに遺言執行人を立てている場合、執行人側もまた一方的に辞退することは不可能です。
その場合も依頼人と同様、家庭裁判所の審判を受けることになります。
そのため執行人を立てる際には十分に吟味して決める必要があります。
遺産の遺言信託まとめ

ここまで遺言信託の情報や、遺言信託のサービスについて解説してきました。
まとめると以下の通りです。
- 遺言書には遺産を誰にどのような割合で相続するかの指示が書かれる
- 遺言信託では遺言書作成相談や保管といったサービス内容が提供される
- 依頼者側も執行人も、一方的な解約や事態はできず家庭裁判所の審判が必要
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者

山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。