相続
離婚したら遺産相続はどうなるの?子供の遺産相続についても解説
更新日:2025.02.12 公開日:2022.05.11

記事のポイントを先取り!
- 離婚した相手の遺産はもらえない
- 離婚した後も実子は第1順位の法定相続人
- 親の遺産は財産分与の対象に含まれない
離婚した相手が亡くなった場合に、遺産をもらえるのかどうかご存じでしょうか。
財産を相続する権利があるのか、また離婚相手との子どもがいた場合、その子どもは遺産をもらえるのか知っておきましょう。
そこでこの記事では、離婚した場合の遺産相続について解説します。
この機会に、生前贈与についても理解しておきましょう。
後半では、再婚した場合の遺産相続について触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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離婚しても遺産は貰えるの?
まず結論から申し上げますと、離婚した場合は離婚した相手からの遺産はもらえません。
遺産を相続する権利があるのは、婚姻関係で結ばれた正式な夫婦になります。
しかし、離婚するということは婚姻関係を解消することになります。
法律上で夫婦ではなくなるため、遺産を相続する権利も消失してしまうのです。
離婚相手に遺産を渡したい場合は?

離婚した場合、配偶者は遺産を相続する権利を失ってしまうことを前述しました。
しかし、離婚した相手に遺産を渡したいと思われる方もいるでしょう。
そのような場合における対処法を紹介していきます。
遺言書に指名しておく
遺言は法定相続分に関係なく、遺言者が自由に遺産の分配方法を指定できます。
そのため、遺言書で指名しておくことで、本来ならば相続権のない離婚相手に遺産を渡すことができます。また、遺言によって自身が所有する遺産を渡すことを遺贈といいます。
相続と遺贈では、税務や手続きに違いが生じるため注意が必要です。
生前贈与しておく
生前贈与は、贈る側と受け取る側の双方が合意することで自由に行うことができます。
そのため、生前贈与を活用することで、離婚相手に遺産を渡すことができます。
生前贈与は毎年110万円までの非課税枠が設けられています。そのため、年間の贈与額が110万円より多くなった場合は、贈与税を納める必要が発生するので注意が必要です。
離婚したら子供の相続権はどうなる?

離婚した場合、配偶者は相続権を失います。
しかし、子供の相続権はどうなるのか詳しくみていきましょう。
離婚しても子供は相続できる
離婚した場合でも親子関係は解消されないため、実子は法定相続人として第1順位の相続権が認められます。
親権をどちらが持っているのか、どちらと同居しているのかといった点は関係なく、両方の親の遺産を相続する権利があります。
また、離婚した相手が他の人に多く遺産を渡すよう遺言で指定していたとしても遺留分の申請を行ない、自分の取り分を確保することができます。
この手続きのことを遺留分侵害額請求といいます。
遺留分侵害額請求には期限があるため注意しましょう。
被相続人が亡くなった日から、もしくは遺留分が侵害されていることを知った日から1年です。
また、相続開始から10年が経過すると遺留分侵害額請求はできなくなります。
いつのまにか期限が切れていた、なんてことのないようにしましょう。
子供の相続割合
遺産分割の割合も法律によって定められています。
そのことを法定相続分といいます。
法定相続分は相続人の順位や組み合わせによって割合が変化します。
離婚した相手に再婚相手がいる場合は、法定相続分は再婚相手が1/2、子供が1/2となります。
再婚していない場合の相続割合
離婚したあと、再婚をしなければ相続順位が1位となる子供が全て相続することになります。
もし、子供が2人いるならば1/2ずつ分割し相続します。
借金も相続してしまう
相続によって引き継ぐことになる財産は、金銭的にプラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれます。そのため、遺産相続をすると借金も相続してしまう可能性があります。
遺産の総額がマイナスのものが多い場合は、相続人が遺産を相続する権利の一切を放棄する相続放棄の手続きをした方が良いでしょう。
相続放棄をすると次の相続人へ相続の権利が移ります。
自分勝手に相続放棄をした場合、親族にマイナスの遺産を押し付けることになります。
借金などのマイナスの遺産を相続放棄する場合は、事前に親族に相談しましょう。
親族間で遺産放棄することを認知しておくことでトラブルを未然に防ぐことができます。
また相続放棄手続きは、相続が発生してから3ヵ月以内に行う必要があります。
期日に遅れないように手続きを進めましょう。
子供が亡くなっていた場合は?
離婚した相手との間の子供が亡くなっている場合はその子供の子供、つまり被相続人の孫が遺産を相続します。
このことを代襲相続といいます。
代襲相続とは、相続人としての権利を持つ人が死亡、相続欠格、相続廃除などに該当し、相続権を失った場合にその子どもが相続人に代わり遺産を相続する制度です。
離婚相手の子に遺産相続させない方法
離婚した場合でも親子関係は解消されないため、離婚相手の子供には相続権が残ります。
しかし、離婚相手との子供に遺産を渡したくない場合はどのようにすればよいのでしょうか。
離婚相手の子供に遺産相続させない方法は2つあります。
次に、それぞれの方法を詳しく説明していきます。
遺言書に記載しておく
遺言書には「遺言によって指定された相続方法は法定相続に優先する」という効力があります。
そのため、離婚相手の子供以外に相続する旨を記載した遺言書を作成することで、離婚相手の子供に遺産が渡ることを避けられます。
しかし、前述した通り離婚相手の子供には遺留分が保証されます。
そのため、遺留分をめぐってトラブルにならないためにも、遺留分の遺産は相続するよう配慮した遺言を残した方がスマートな対応かもしれません。
相続人廃除をする
相続人排除は被相続人に対し虐待侮辱がある場合、またはその他の著しい非行がある場合に認められます。家庭裁判所が、虐待等の行為が事実であったかどうか、相続人排除は妥当な判断なのか検討したうえで決定します。
相続排除をすることで、離婚相手の子どもは相続人から除外され、遺留分の権利もなくなります。
相続人廃除を行うためには、生前に裁判所に対して申し立てを行うか、あるいは遺言で行います。
遺言で相続人排除を申し立てた場合、遺言執行者が家庭裁判書に申し立てをする必要があります。
再婚した場合の遺産相続
再婚した場合に再婚相手や連れ子は相続人となるのか、悩むところです。
相続人はだれになるのか、相続の順位はどうなるのか混乱しやすいポイントなのでこの機会にしっかりと整理し把握しておきましょう。
再婚相手は相続人になる
再婚相手は、相続人になります。
いくら婚姻期間が短かった場合においても、相続人から除外されることはありません。
再婚相手との間に生まれた子供は第一順位の相続人になります。
相続発生時に妊娠中の場合、胎児も同様に相続人となります。
それぞれの配偶者に子供がいる場合は?
被相続人の子である場合は、離婚した相手との子供であろうと、再婚後の相手との子供であろうと、どちらも同じ第一順位の相続人となります。
どちらか一方に遺産相続したいと考えたとしても遺産相続においては同じ立場となります。
仮に、再婚相手との子供に全ての遺産を相続させたいといった旨の遺言書を作成したとしても、離婚した相手の子供には遺留分を請求する権利があります。
そのため、再婚相手との子供に全ての遺産を相続させる旨の遺言を作成する場合は、遺留分を請求されたときのために、資金を用意しておくことをおすすめします。
資金を供える方法としては、生前に生命保険契約を結び、再婚相手の子供を受取人に指定します。
そして、もしも遺留分を請求された場合は生命保険金を遺留分として渡せるようにしておくと良いでしょう。
連れ子も相続人になれる?
再婚相手に連れ子がいた場合、連れ子は被相続人の子供とはみなされないため法定相続人となる権利はありません。
そのため、連れ子にも遺産相続をさせたいと考える場合は、連れ子と被相続人の間で養子縁組を行う必要があります。養子縁組を行うことで連れ子は法定相続人となり、相続する権利を獲得します。
しかし、法定相続人の権利を得ずとも、連れ子に財産相続する方法もあります。
それは、連れ子に財産相続するといった旨の遺言書を作成して遺産相続する方法です。
この方法も連れ子に対し遺産を相続させることのできる有効な方法のため検討してみてください。
親の遺産は財産分与に含まれる?

婚姻中の夫婦の財産には、「共有財産」と「特有財産」の2種類があります。
共有財産とは、婚姻中に夫婦の協力によって得た財産をいいます。
特有財産とは、婚姻中に夫婦が得た財産をいいます。
ちなみに財産分与とは、共有財産を離婚時に分割することです。
親の遺産は特有財産に分類されるため、財産分与の対象にはなりません。
参考:親の遺産が財産分与の対象になるケースとは?遺産分割との違いも解説|ツナグ離婚弁護士
こちらの記事では離婚する際の夫婦の財産と、損をしない財産分与の方法について解説しています。良ければご覧ください。
離婚時に夫婦の財産はどうなる?夫婦の財産一覧と損をしない財産分与の方法 | ベンナビ離婚
離婚の遺産まとめ

ここまで離婚した場合の遺産について解説してきました。
まとめると以下の通りです。
- 離婚した場合、離婚した相手の遺産はもらえない
- 離婚相手に遺産を渡したい場合は遺言書を作成するか、生前贈与する
- 離婚しても親子関係は解消されないため実子は法定相続人として第1順位の相続権をもつ
- 再婚相手は相続人となるが、連れ子も相続人になるためには養子縁組をする必要がある
- 親の遺産は特有財産に分類されるため、財産分与の対象にはならない
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考:任意売却の全日本任意売却支援協会
離婚の相談
離婚についての解説のサイトです。
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監修者

袴田 勝則(はかまだ かつのり)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。