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相続

祭祀承継者の選び方は?候補が何人かいた場合の優先順位について解説

更新日:2024.03.10

記事のポイントを先取り!

  • 祭祀承継者の決定時、最も優先順位が高いのは被相続人からの指定
  • 祭祀承継者がいない場合は永代供養や墓じまいを準備しておく
  • 祭祀財産は相続財産に含まれない

祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)を決定する際の、優先順位をご存知でしょうか?
もし祭祀承継者を引き受けてくれる人がいない場合は、どのような対応が必要なのでしょうか。

そこで、この記事では祭祀承継者の選び方や優先順位について詳しくお伝えします。

この機会に、祭祀承継者が担う役割についても学んでおきましょう。

記事の後半では、祭祀承継者に選出された際に行う手続きについてもお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 祭祀承継者とは

  2. 祭祀財産とは
  3. 墳墓
  4. 祭祀承継者の選び方と優先順位
  5. 祭祀承継者は遺産分割協議で変更可能
  6. 祭祀承継者は拒否できる?
  7. 祭祀承継者がいない場合
  8. 祭祀承継者に選ばれたら
  9. 祭祀継承者は「ひとり」
  10. 祭祀承継者の順位まとめ
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祭祀承継者とは

祭祀承継者とは、先祖代々のお墓や仏壇等を継承する人のことです。
そもそも「祭祀」とは神様やご先祖様を祀ることを意味し、祭事全般を指します。

言葉の意味だけ聞くと、では結局何を継承するのか、となりますが、具体的には「祭祀財産」を継承する人のことを指します。

祭祀財産を適切に維持管理していくことが、祭祀承継者の最も重要な役割といえるでしょう。
さらに法要の取りまとめや、檀家であればお寺の付き合いなども祭祀承継者が請け負います。

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祭祀財産とは

祭祀財産は「系譜字」「祭具」「墳墓」の3つのことをまとめた言い方になります。

下記で詳しくご説明します。

系譜字

家系図や家系譜など、先祖代々の血縁関係を記載している図表のことです。
巻物や軸物、額に入れて保管されていることが多いです。

祭具

仏壇や仏像、位牌などの祭祀にまつわる器具全般のことです。
例を挙げると、神道であれば神棚、キリスト教であれば十架などが祭祀財産にあたります。

墳墓

墓地や墓石など、遺体の埋葬にかかわる土地や物品を指します。
お墓の使用権なども墳墓に分類されることを覚えておきましょう。

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祭祀承継者の選び方と優先順位

祭祀承継者を選ぶ際に優先順位はあるのでしょうか?
詳しく解説していきます。

祭祀承継者の選び方

祭祀承継者の選び方は、民法上のルールでは以下の優先順位で行われます。

被相続人からの指定

優先順位が最も高いのは、以前の祭祀承継者である被相続人から指定される選出方法です。
必ずしも遺言である必要はなく、口頭や書面で生前の指定も可能となっています。

親族内の慣習

ついで優先順位が高いのは、その家や地域の慣習に従った選出方法です。

被相続人が承継者の指定をしていない場合は、親族内で話し合って新しい祭祀承継者を決定します。
被相続人との続柄を考慮して決められることが多いようです。

家庭裁判所からの指定

被相続人からの指定がなく、慣習でも決定しない場合は家庭裁判所へ審判を申し立てましょう。
家裁は被相続人との続柄や財産の管理能力、住まいの場所などを考慮して総合的に判断します。

続柄での優先順位

一般的に祭祀承継者は、本家の長子が受け継ぐことが多いようです。

しかし、必ず長子が継承しなければいけないという法律はありません。
次子や従兄でも祭祀承継者になれます。

被相続人が遺言書で祭祀承継者を指定した場合は、法的拘束力が発生しますので優先順位は高くなります。
内縁の妻など血縁関係のない親族以外でも継承が認められるケースもあります。

ただし、契約している寺院や霊園のルールで「祭祀承継者は被相続人の3親等以内」と決められていることもあるようです。

親族以外の祭祀承継者を考えているのであれば、寺院や霊園へ問い合わせしておきましょう。

祭祀承継者は遺産分割協議で変更可能

遺言書では長男が祭祀承継者に指定されていたが、健康状態が悪く祭祀財産の維持管理が難しい、といったような事例もあるかもしれません。

指定された祭祀承継者が承継することが難しいなどの場合、相続人全員が納得していれば遺産分割協議で他の人を承継者に指名できます。

被相続人の指定や慣習とは異なる継承者に決定した際は、「遺産分割協議書」に記載しておくのがおすすめです。

祭祀財産は相続財産に含まれないため、祭祀承継者になったからといって遺産の取り分が少なくなることはありません

祭祀財産は基本的にすべて非課税対象ですが、骨董品や投資対象となるような高価な物品は課税対象となります。

現金は相続財産にあたりますが、お墓は祭祀財産で非課税対象ですので、生前にお墓を購入しておけば相続税は発生しません。

ただし、購入するのであれば現金一括払いがおすすめです。
ローン支払いの途中で万が一のことがあった場合、残った借金は相続対象になってしまうためです。

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祭祀承継者は拒否できる?

祭祀承継者に指定されたが、辞退したい場合はどうすればいいのでしょうか?

祭祀承継者は拒否できない

祭祀承継者に指定された人は、基本的に辞退できません
祭祀財産は分割して継承はできず、単独ですべて引き継ぐことが民法で決められています。

祭祀承継者になるということは、祭祀財産は承継者の所有物になることを意味します。
つまり、祭祀財産を引き継いだ後は、処分するのも自由ということです。

祭祀承継者が所有物を処分したとしても罰則はありません。

祭祀承継者がなかなか決定しない場合、無理やり誰かに押し付けてしまうと、処分されても文句が言えなくなってしまいます。

相続人全員が納得したうえで祭祀承継者を決定することが大切です。

相続破棄しても継承される

祭祀財産は相続財産に含まれません。
たとえ相続放棄しても、祭祀財産の継承は放棄できないことになっています。

祭祀承継者になることは問題ないが、遺言者のマイナス資産の相続をしたくない場合は相続放棄しておく方が良いでしょう。

祭祀承継者がいない場合

祭祀承継者がいなくなってしまった場合、残されたお墓は無縁仏となります。

お墓を管理する寺院や霊園には、毎年管理料を支払わなくてはなりません。
年間管理料の負担も祭祀承継者が請け負うため、承継者の不在は管理料の滞納を意味します。

滞納期間が続くとお墓は撤去され、更地にされます。

あらかじめ祭祀承継者が見つからないことが分かっているのであれば、永代供養や墓じまいを考えておきましょう。

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祭祀承継者に選ばれたら

祭祀承継者に決まったら行う手続きについて説明します。
併せて祭祀承継者が担う役割についてもお伝えしますので、参考にしてください。

墓地の名義変更

新しい祭祀承継者が決定したら、既存の墓地を管理している寺院や霊園へ名義変更を申し立てます。
墓地を管理している霊園では年間管理料を徴収しています。

年間管理料の相場は5,000円〜2万円程度です。
支払いの窓口は祭祀承継者が請け負うため、忘れずに手続きしてください。

必要な書類

管理する寺院や霊園によって必要書類は異なりますが、主に以下の書類を準備することが多いようです。

  • 名義変更申請書

霊園によっては「承継使用申請書」という名称の場合もあります。

書式も各霊園で異なりますので事前に請求しておきましょう。

  • 墓地使用許可証(永代使用許可証)

お墓の契約をした際に寺院・霊園から発行される書類です。

紛失している場合は管理者へ連絡して再発行が可能ですが、数百円〜1万円ほどの手数料が発生します。

  • 戸籍謄本・住民票

新しく祭祀承継者になる人の戸籍謄本と住民票を提出するのが一般的です。

前承継者が死亡している場合は、死亡の明記された戸籍謄本も取得しておきます。

戸籍謄本と住民票は発行から3カ月以内のものを提出してください。

  • 祭祀承継者を引き継ぐ人の実印・印鑑登録証明書

霊園によっては、実印と印鑑登録証明書を求められる場合もあります。

  • 親族の同意書

霊園によっては、親族の同意書の提出を求められるかもしれません。

前承継者の遺言書がある場合、提出を求める霊園もあります。

名義変更の流れ

寺院・霊園の名義変更の流れは以下のようになります。

  1. 寺院・霊園の管理者へ連絡して必要書類を確認する
  2. 必要書類の準備
  3. 書類に記入して寺院・霊園の管理者へ提出
  4. 新しい祭祀承継者名義の墓地使用許可証を発行してもらう

霊園には公営と民営がありますが、公営霊園の場合は市区町村役場へ変更届を出すのが一般的です。
民営霊園に墓地がある場合は、管理事務所へ連絡しましょう。

昔から付き合いのある寺院で檀家の場合、前承継者の死亡を伝えるだけで済むこともあります。

墓地や仏壇の管理

名義変更が完了したら、墓地や仏壇の管理を継続して行っていきます。
墓地は定期的な清掃やメンテナンスが必要です。

屋外にある墓石は雨風にさらされるため、経年劣化は免れません。
変色やヒビの修理は祭祀承継者が負担することになります。

劣化だけでなく自然災害の可能性も考えておきましょう。
地震などの災害で墓石が倒れてしまい、隣接する墓石を破損してしまうケースもあります。

法要の主宰

一周忌や三回忌などの年忌法要の主宰も、祭祀承継者の役割となります。
法要の日時や場所を決定して参列者へ案内状を送付します。

食事や引き出物、供花の準備も必要です。

檀家の務め

寺院に墓地があり、檀家に入っている場合は、檀家としての務めも祭祀承継者が行います。
檀家とは、お布施や奉仕作業で寺院を支える家のことです。

檀家は、お盆や年忌法要等を優先して行ってもらえることが特権といえるでしょう。
寺院では定期法要塔の行事がありますが、檀家は基本的に参加しなくてはなりません。

祭祀主宰者は別の人にお願いもできる

祭祀承継者は墓地や仏壇の管理のほか、法要の主宰などかなりの負担を強いられます。
祭祀承継者に兄弟が複数いる場合は、法要の主宰だけは別の人にお願いするなど作業を分担しても問題ありません。

法要には僧侶に渡すお布施も必要です。
主宰は祭祀承継者が行い、お布施は承継者以外の兄弟で負担する、というやり方もあります。

祭祀継承者は「ひとり」

祭祀承継者になると家の事柄を中心となって決められるため、そうなりたい方は問題ないですが、やはり祭祀財産を維持・管理する負担の大きさが気になる方の方が多いかもしれません。

兄弟や姉妹がいらっしゃる方はその時、負担を分け合えばいいのでは、と考えることもあるでしょう。
ですが、法律上それは厳しいです。
祭祀主宰者が「単独で」、お墓を引き継ぐと決められているからです。

しかし、法律上厳しくても協力し合うことは充分可能です。
もちろんどちらかの名義を使ってお墓の手続き等は必要になりますが、金銭面等では折半することで、体力面的には交互にお墓の管理をすることで、ひとりにのしかかる負担を軽減することができます。

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祭祀承継者の順位まとめ

ここまで、祭祀承継者の優先順位について解説してきました。
まとめると以下の通りになります。

  • 優先順位が最も高いのは被相続人からの指定
  • 祭祀承継者に指定されると基本的に辞退不可
  • 祭祀財産は相続遺産に含まれない

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(たなか)

田中 大敬(たなか ひろたか)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。

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