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相続

祭祀財産を放棄するには?管理できない場合の対処法も紹介

更新日:2024.02.03

記事のポイントを先取り!

  • 祭祀財産は祖先を祀るためのもの
  • 祭祀財産は放棄できない
  • 管理できない場合の対処法は3つ
  • 祭祀承継は複数人でも可能

被相続人から祭祀財産を受け継ぐことになると、自分が管理する必要が出てきます。
ただ、その祭祀財産を事情があって管理できない場合、権利を放棄したいと考える方もいるでしょう。

そこでこの記事では、祭祀財産の放棄について解説します。

この機会に、祭祀財産の概要についても理解しておきましょう。
後半では、祭祀継承者と祭祀主宰者の違いにも触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 祭祀財産とは
  2. 祭祀財産は放棄できない
  3. 祭祀財産を管理できない場合は?
  4. 相続放棄すれば祭祀財産も破棄される?
  5. 祭祀継承者は複数人でなれる
  6. 祭祀継承者と祭祀主宰者の違い
  7. 祭祀財産の放棄まとめ
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祭祀財産とは

まずは、祭祀財産の意味について紹介します。
祭祀財産への理解を深めておけば、自身が実際に受け継ぐことになったときにも安心です。

祭祀財産の意味

財産には大きく分けて、相続財産と祭祀財産の2種類があります。

このうち祭祀財産とは、仏壇や墓地を始めとした祭祀を行う際に必要となる財産全般のことです。

祭祀財産は系譜祭具墳墓の3種類に分けられます。
系譜とは、家系図などの血縁関係が書かれた書物のことを指します。

祭具は、祭祀などで使われる位牌や仏壇、仏像のことを表す用語です。
墳墓は、遺体や遺骨が安置されている施設のことを指します。

これら3つはすべて祭祀財産として管理されます。

祭祀財産の継承者

原則として、この祭祀財産は1人で継承されることとなっています。
そして、この継承者のことを「祭祀承継者」と呼びます。

祭祀承継者は、被相続人が指定する場合もあれば、親族の話し合いによって決められることもあります。
また、その家の長子が代々受け継いでいる場合、その慣習に従って選ばれることもあります。

親族間で誰を承継者にするかで争いが生じている場合など、話し合いなどで決めることが難しいときには、家庭裁判所に申し立てましょう。

家庭裁判所は、様々な事情を考慮した上で、祭祀承継者を代わりに決定してくれます。
祭祀財産は相続財産とは違い、基本的に相続税がかからないものとされています。

そのため祭祀承継者は、祭祀財産を非課税で受け継ぐことが可能です。

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祭祀財産は放棄できない

相続財産は相続放棄が可能ですが、祭祀財産に関しては基本的にその権利を放棄することができません
これは、相続財産は放棄する権利が法律で定められていますが、祭祀財産には定められていないことが原因です。

もし、自分が被相続人の指名によって祭祀承継者に選ばれた場合でも、自分の判断でその権利を放棄することはできません。

ただし、祭祀財産の管理に関して、しなければならないことが明確に決まっているわけではありません。

そのため、祭祀財産の管理が大変で放棄したいと考えている方は、自分のできる範囲でやったり、親族の手を借りたりすることも可能です。

祭祀財産を管理できない場合は?

祭祀財産の管理や、様々な維持管理に関する費用の支払いは、すべて祭祀承継者が行います。
そのため、お墓の距離や金銭面の負担となるケースもあるでしょう。

そこで、ここからは祭祀承継者に選ばれたものの、自身が祭祀財産を管理することが不可能な場合の対処法について紹介します。

自身が祭祀財産を継承したときや、祭祀承継を放棄したい方は、以下の対処法を覚えておきましょう。

永代供養をする

祭祀財産を管理するのが難しい方は、お墓を永代供養するという選択肢があります。
永代供養とは、お墓や遺骨の管理を霊園やお寺に永代にわたってお任せする供養方法です。

この方法だと、自分でお墓を掃除したり、管理したりする必要がなくなります。
永代供養であれば、お墓の年間管理費がかからないケースも多く、初期費用も一般墓と比べて安価です。

祭祀承継者で予算に不安を抱えている方は、永代供養墓を立てるという選択肢を検討しましょう。

墓地を移転する

もし、お墓までの距離が遠いなど、地理的な問題で祭祀承継者としての務めを果たせない場合は、墓地の移転を検討しましょう。

たとえば、現在住んでいる地域の霊園や墓地にお墓を移転すれば、お墓の管理も以前より大変ではなくなります。
墓地を移転することで祭祀財産の管理ができないという問題が解決するのであれば、良い選択肢となるでしょう。

しかし、遠方の墓地への移転には大きな費用がかかる点に注意が必要です。
予算があまりない方にとっては、現実的ではないかもしれません。

墓じまいをする

祭祀承継者としてお墓の管理ができない場合は、墓じまいをするという選択肢もあります。

墓じまいとは、その言葉の通り、お寺や霊園にあるお墓を撤去することを指します。
祭祀承継者は祭祀に関するものを管理する立場であるため、自分の判断でお墓を閉じることも可能です。

しかし、墓じまいには撤去やお寺との契約の取り消し、改葬許可の申請など様々な手続きが必要となります。
また、墓じまいをした場合、墓石を撤去するだけでも30万ほどお金がかかります。

そして、新たに遺骨を保管する場所も確保しなければなりません。
そのため、墓じまいをするのは最後の手段にしてまずは他の方法を検討しましょう。

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相続放棄すれば祭祀財産も破棄される?

財産には、祭祀財産と相続財産の2つがあることは前述した通りです。

この記事を読んでいる方の中には、相続財産を放棄した場合、祭祀財産の権利はどうなるのか疑問に思っている方もいらっしゃるでしょう。

結論をいうと、祭祀財産と相続財産は別物として扱われるため、相続放棄したとしても祭祀承継者としての権利が放棄されることはありません

たとえば、相続財産に借金が含まれているため、相続を放棄した場合であっても、祭祀承継者の権利はなくなりません。

また、祭祀承継者になることで、相続する資産などが影響を受けることはありません。

祭祀承継者だからという理由で、自身の取り分である相続財産が増えたり減ったりすることはないと覚えておきましょう。

相続財産と祭祀財産は明確に区別されており、影響し合うことはないことを知っておきましょう。

祭祀継承者は複数人でなれる

前述した通り、祭祀承継者は原則1人と考えられていますが、実際には複数人でなることも可能です。
以下で、複数人が祭祀承継者になる場合についてご紹介します。

1人だけで祭祀承継者を務めることに不安を感じている方は、以下の項目を参考にしてください。

祭祀継承者の人数に決まりはない

祭祀継承者に関して、その人数に明確な決まりはありません

たとえば、被相続人が複数人で継承して欲しいと考えていた場合や、親族で話し合った結果であれば、問題ありません。
また、親族間で承継者を誰にするかでトラブルになった場合、複数人で分担して承継することも可能です。

しかし、祭祀承継者が原則1人とされているのには理由があります。
お墓や仏壇、仏具などを親族で分けた場合、後からトラブルになる可能性があるためです。

たとえば、仏壇や位牌などを分けて承継した場合、法要のたびにそれらを持ち寄らなければいけなくなります。
また、お墓などは物理的に分割することが不可能です。

そのため、複数人が祭祀承継者になる場合、系譜・祭具などはある程度まとめて承継した方が良いでしょう。

祭祀継承者は相続人以外もなれる

祭祀承継者に関してよくあるのが、承継できるのは相続人のみだという誤解です。

祭祀承継者は、親族や被相続人から指名されれば、相続人以外や血縁関係にない人物であっても、承継者となることが可能です。

ただし、一部の墓地・霊園ではお墓に関する手続きが親族にしかできない場合もあるため注意しましょう。

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祭祀継承者と祭祀主宰者の違い

祭祀承継者と祭祀主宰者は、同じような言葉ですが言葉の意味が異なります

祭祀承継者とは、ここまで解説してきた通り、祭祀財産を承継する人物のことです。
一方で祭祀主宰者とは、お彼岸やお盆などの法要の主宰者のことを指します。

そのため、承継者と主宰者を別の人物が務めることも可能です。
また、祭祀主宰者は祭祀承継者と同様に、被相続人と血縁関係にない人物であっても、務めることができます。

祭祀財産の放棄まとめ

ここまで、祭祀財産を放棄したい場合の対処法を中心に解説してきました。
まとめると以下の通りです。

  • 祭祀財産とは、お墓や仏具などの祭祀に関する財産のこと
  • 祭祀財産を承継する権利は放棄できない
  • 祭祀財産の管理ができない場合は永代供養や墓の移転、墓じまいなどで対処する
  • 祭祀承継者は複数人で分担することも可能

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(たなか)

田中 大敬(たなか ひろたか)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。

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