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「古民家 「終活」 の時代: 持続可能性に潜む諸行無常の理 (ことわり)」について

更新日:2024.11.07 公開日:2024.11.07

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  1. 研究内容について
  2. 今後の目標について
  3. 先生の経歴について
  4. 先生の所属先
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研究内容について

Q1.「古民家 「終活」 の時代: 持続可能性に潜む諸行無常の理 (ことわり)」の研究を始めたきっかけは何ですか?

1960~70年代の高度成長期に、文化庁が全国の古民家調査を行い、鳥取県においても昭和43年(1978)に県全域で古民家が調査され、何棟かが重要文化財や県保護文化財の指定を受けました。
その後50年近く経って追跡調査に取り組んだ結果、文化財に指定されている大型民家は古風な姿をとどめているものの、それ以外の民家はほとんど撤去されたり、改造・再建が進んでいることが分かりました。とくに驚いたのは、山間過疎地にある自治体指定の文化財民家まで指定解除されていた事実です。

こうした状況を目のあたりにして「諸行無常」を強く感じたことが、本研究の動機です。


Q2.研究対象である、「持続可能性に潜む諸行無常の理 (ことわり)」とは何ですか?


「持続可能な社会の実現」を多くの政治家や研究者が口にしますが、どんなに知恵をめぐらせても、そこに人間がいなくなってしまえば「持続可能」な状態ではなくなります。


とくに日本海側の過疎地では、おそろしいほどの人口減少が進み、民家集落どころか自治体そのものが消滅に向かっています。私たちの身の回りに起こっていることは、すべて「空」でありながら、様々な条件によって「色」として現象しているけれども、それは仮そめの状態に過ぎず、まもなく「空」に戻るという仏教の無常観を、古民家の追跡調査であからさまに体感したのです。

Q3.本研究の研究成果を教えてください。


昭和40年代の調査で文化財指定された古民家も、条件の悪い山間過疎地では「指定解除」になっている。自治体がいったん指定した民家ですら消滅しているのですから、あとは推して知るべし。過疎地の状況はそれだけ厳しく、安易に「持続可能な社会をめざす」などとは口にできないレベルだと考えています。


Q4.浅川様が考える本研究の意義を教えてください。

「色即是空 空即是色」が諭す仏教的無常観は、人間社会の理(ことわり)として、いつの時代でも不変です。いまや世界を席巻している「持続可能」というキャッチコピーが、じつは、その理に抗う考え方であることに現代人はまだ気づいていない。わたしは古民家の追跡調査を通じて「持続可能」という概念にいっそう懐疑的になりました。私たちが、どうあがいても、どうにもできない課題がある。

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今後の目標について

Q5.浅川様の研究における最終的な目標を教えてください。

古民家の存続はイージーな課題のようで、じつはもう絶望的な状況にある。国の重要文化財になった古民家は考古学標本のようなもので、オーセンティシティ(文化財としての真実性)はあるが、アメニティ(快適性)はない。人が住める代物ではないのです。

一方、指定の対象外になれば、古民家は危険家屋を経由して消滅するか、大改変を受け入れるかのどちらかの途を辿る。危険家屋としての民家を撤去するには相当な経費が必要です。今の補助金では到底不十分であり、古民家「終活」の方法を制度的に成熟させなければなりません。家屋を消滅させればよいというわけではなく、民家廃絶に伴う古材・骨董等のリサイクルを促進し、古民家移住希望者への支援を厚くする必要があります。それら全ての行為に対して補助する政策を整備しなければならない。ただ唯一希望の光を与えてくれるところがあります。新潟の豪雪地帯で古民家再生による人口増加を実現させているのです。


カール・ベンクスさんという東ドイツ出身の建築家が十日町市竹所で実践中です。古民家のオーセンティシティ(真実性)を発露させながら、アメニティ(快適性)を見事に向上させている。住み心地の良い民家に人が集まり、集落人口を増加させています。

カール・ベンクスさんは大谷翔平選手に匹敵する稀有の人材であり、他の地域で模倣できるかといえば簡単ではないでしょう。しかしながら、「地方創世」を唱う総理大臣が本気で過疎地に活力を与えようとするならば、カールさんの活動を範としつつ、国の総力をあげて取り組まなければ、とてもじゃないけど、明るい未来は導けないでしょう。それほど重い地域課題が我々の身近にあることにもっと危機感を抱かなければなりません。

《参考文献》 浅川編(2020)『古民家「終活」の時代』ASALAB報告書39輯、公立鳥取環境大学

先生の経歴について

Q1.先生の略歴を教えてください。

・京都大学工学部建築学科卒業後、大学院に進学し中国留学(同済大学)

・奈良国立文化財研究所遺構調査室長

・京都大学大学院人間環境学研究科併任助教授

・公立鳥取環境大学環境学部教授

・中村元記念館東洋思想文化研究所客員研究員


Q2.先生の資格・学会・役職を教えてください。

・日本建築史学会

・木造建築士

・2級建築士

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先生の所属先

公立鳥取環境大学

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