相続
遺産はどうやって分ける?遺産分割の流れ・方法を解説
更新日:2022.04.14 公開日:2022.05.02

記事のポイントを先取り!
- 現物分割とは、遺産を現物のままで分配する分け方
- 法定相続人が兄弟姉妹の場合には遺留分は認められていない
- 借金などの金銭の債務については相続開始と同時に負担を負う
遺産分割の具体的な方法についてはご存じでしょうか。
遺産の分け方について知ることで、遺産相続をスムーズに進めることができます。
そこでこの記事では、遺産分割の流れについて解説します。
この機会に、遺産分割の意味合いや分け方について覚えておきましょう。
後半では、借金やローンなどの債務の分け方についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
都道府県一覧から葬儀社を探す
こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。
遺産の分け方
まずは、遺産の分け方についていくつか挙げて、それぞれの特徴を紹介していきます。
中には不動産のように分けることが難しい遺産もあるので、どのような方法があるのか参考にしてください。
現物分割
現物分割とは、遺産を現物のままで分配する分け方になります。
遺産分割ではできるだけ現物そのものを分けることが望ましいとされています。
現物分割は最もわかりやすい分け方であるため、遺産分割の基本的な考え方であるとされています。
換価分割
換価分割とは、相続財産を換価して得た金銭を相続人で分ける方法のことです。
不動産などでそのままだと公平に分けることが難しいケースなどで選ばれることが多いです。
相続人全員が換価分割を望んでいる場合にはこの方法が選択されます。
代償分割
代償分割とは、特定の相続人が一般的な相続分を超える財産を取得する代わりに、他の相続人に対して代償金を支払うといった分け方です。
たとえば、故人の持ち家に遺族がそのまま住み続けるケースなどで選択されます。
その他の分割方法
相続人全員が納得していれば、上記以外の遺産分割でも問題ありません。
たとえば、1人に遺産のほとんどを取得させ、他の人は4分の1程度しか取得せずに、ほとんどの遺産が特定の人に集中するといったケースもありです。
これは事実上の相続放棄となりますが、問題ありません。
要は相続人全員が納得していればいいというわけです。
遺産の一部だけ分割
原則としては遺産相続をする場合には、故人の遺産全てを相続することが望ましいです。
ただし、ケースによっては全ての遺産を相続することで、かえってトラブルに発展してしまうこともあります。
よって、相続人全員が遺産の一部だけ分割することを望んでいるのであれば、この意思は尊重されます。
これは民法907条で定められており、他の相続人に対して利害がない場合には、遺産の一部だけ相続することは可能になります。
遺産分割の流れ

次に遺産分割の流れについて紹介していきます。
具体的な流れを知ることで、スムーズな手続きにつながりますので、以下を参考にしてください。
遺言書の存在を確認する
遺産分割することが決まったら、まずは遺言書があるかどうか確認しましょう。
正確に記載された遺言書には法的な効力があるので、遺産は遺言書に記載された通りに相続分割されます。
遺言書には故人が誰にどのくらい遺産を渡したいのか記載してあるので、基本的にはその通りに遺産分割します。
ただし、例外もあるので注意が必要です。
たとえば相続人の中には、最低限の遺産を取得する権利をもつ人がいます。
これを遺留分と呼びますが、相続分活して決まった金額が遺留分に達していない場合には、他の相続に対して不足している金額を請求することができます。
法定相続人を確認する
故人が遺言書を作成していなかったケースでは、法定相続人全員で遺産の分け方について話し合う必要があります。
配偶者は法定相続人になる権利があります。
配偶者以外の法定相続人には優先順位があるので、以下で優先順位が高い順に紹介します。
- 故人の子ども
- 故人の親
- 故人の兄弟姉妹
法定相続人全員で遺産の分け方を決定する
法定相続人がわかったら、次は法定相続人全員で遺産の分け方を話し合う遺産分割協議を行います。
遺産分割協議は、民法で定められた遺産取得分である法定相続分を参考にして進められます。
遺産の分け方についてケースごとに以下で紹介していきますので、参考にしてください。
法定相続人が未成年者がいる場合
原則として、未成年者は遺産分割協議に参加できないので、法定相続人に未成年者がいる場合には注意が必要です。
未成年者の場合には、その親権者である親が遺産分割協議に参加することになります。
ただし、親権者とその子どもがどちらも法定相続人である場合には、特別代理人を選任することになります。
法定相続人が兄弟姉妹の場合
兄弟が相続人である場合に相続できるのは、遺産の全てになります。
兄弟が何人かいる場合には、遺産を兄弟の数で割って計算します。
法定相続人が兄弟姉妹の場合には、遺留分が認められていないため、法定相続には注意が必要です。
注意点として、故人に以下の間柄の親族がいる場合には、故人の兄弟姉妹は法廷相続人にはなりませんので覚えておきましょう。
- 故人の子ども
- 故人の孫
- 故人の親
- 故人の祖父母
故人の介護や事業を手伝っていた人がいる場合
故人を介護していたり、事業を手伝っていた人がいる場合には、他の相続人と比べると、遺産が優遇されるケースがあります。
また、故人の事業を手伝い、財産を維持することに貢献した人に遺産取得分を増額する制度を寄与分と呼びます。
たとえば、故人の事業を手伝っていた場合などに認められるのですが、これには条件があり、給料をもらっていたケースでは適応になりません。
無償または少ない金額にて事業をお手伝いしたケースで認められることが多いです。
また、長期間に渡って故人の介護に専念していた場合にも寄与分が認められることがあります。
多額の生前贈与や遺贈を受けた人がいる場合
生前故人に多額の贈与や遺贈を受けていた人は注意が必要です。
このようなケースでは、他の遺族は不公平な気持ちになってしまいますので、この不公平感を緩和させるための制度があります。
他の相続人とのバランスを取って公平にすることを特別受益といいます。
特別受益の対象となるケースはさまざまなので迷った場合には、裁判所に確認することをおすすめします。
現金以外の遺産がある場合
遺産が現金の場合には、分ける際に困ることはありませんが、不動産や株式が遺産の場合には分け方に迷われる方も多いかと思います。
こういったケースでは、1人の相続人に遺産を相続させ、その代わりに他の相続人には現金を渡し、分割したりします。
遺産分割協議書を作成する
遺産分割協議にて遺産の分け方が決定したら、その内容を遺産分割協議書にまとめます。
この協議書には法定相続人全員の同意が得られたことを証明するために全員のサインと実印が必要になります。
今後トラブルにならないようにするためにも、遺産分割協議書の作成は忘れずに行いましょう。
遺産分割協議がまとまらないときは?
遺産分割協議が行えない場合や話し合いでまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停や審判を申し立てることになります。
申し立てを行うことで、家庭裁判所が遺産分割の結果を出してくれるので、結果が出たら家庭裁判所の調停や審判に従うことになります。
また、合意内容は遺産分割協議書という形で書面に残しておくことで、後々のトラブルを回避することができます。
借金やローンなどの債務の分け方は?

遺産相続をした場合には、マイナスの遺産である借金やローンなども相続されます。
このような債務については、相続人が共同で負担することが定められています。
借金などの金銭の債務については、相続開始と同時に負担を負う形になります。
相続開始後に相続人の間で遺産分割協議にて、債務の負担額の割合を決めたり、特定の相続人が全てを負担することは可能です。
債務を分割する際の注意点は以下の通りです。
- 債権者の承諾
債権者側では、債務をどのように引き継ぐのか、誰が引き継ぐのかなどの審査をします。
場合によっては、スムーズに進まない場合もあるので、債務者の承諾は前もって確認しておきましょう。
- 債務内容は正確に記載する
他の遺産と異なる点として、遺産分割協議書に債務を記す際は、特定の名前が付けられていないため、債務内容と断定できるように正確に記載する必要があります。
具体的には、債権者・債務の種類・いつ発生した債務なのか・債権額などを記載するのが無難です。
遺産の分け方まとめ
ここまで遺産の分け方などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 遺産分割では、初めに遺言書がの有無を確認
- 法定相続人が未成年者の場合、その親権者が遺産分割協議に参加
- 遺産分割協議書は相続人全員の同意が得られたことを証明するためのもの
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
都道府県一覧から葬儀社を探す
こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。

こちらでご希望のエリアから葬儀社を検索できます。
監修者

袴田 勝則(はかまだ かつのり)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。