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融通念仏宗とは?特徴や葬儀方法、マナーを紹介
更新日:2022.11.18 公開日:2022.01.29
日本には仏教だけでも数多くの宗派が存在しますが、融通念仏宗(ゆうづうねんぶつしゅう)もその1つです。
歴史ある宗派ですが、寺院数が少ないことからご存じない方も多いようです。
そこでこの記事では、融通念仏宗について詳しく説明していきます。
この機会に、融通念仏宗の葬儀マナーも知っておきましょう。
融通念仏宗における仏壇の飾り方についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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融通念仏宗の特徴
融通念仏宗は平安時代末期の西暦1110年頃に、天台宗に僧籍を置いていた良忍(りょうにん)上人が興した宗派です。
大念仏宗(だいねんぶつしゅう)や融通宗と呼ばれることもあり、念仏信仰の先駆けとなりました。
日本における仏教の主要十三宗派の中で、融通念仏宗は6番目に成立した宗派です。
天台宗や真言宗など従来の仏教宗派は、中国で仏教を学んだ僧が日本に持ち込んでいました。
しかし融通念仏宗は、日本で学んだ仏教を基礎にした国産念仏門の最初の宗派とされています。
融通念仏宗の教義は開祖である良忍上人が学んだ「法華経」や「華厳経」の影響を強く受けています。
また、融通念仏宗は、良忍上人の「一人一切人 一切人一人 一行一切行 一切行一行(いちにんいっさいにん いっさいにんいちにん いちぎょういっさいぎょう いっさいぎょういちぎょう)」の偈で知られています。
これは、「一人の念仏があらゆる人々に功徳をもたらし、あらゆる人々の念仏の功徳が一人に注がれ、念仏の行いが全ての行いに融通し、全ての行いが念仏に融通する」という意味です。
仏の名号を唱える称名念仏を重視する点が宗派最大の特長で、「南無阿弥陀仏」を口に出して唱えることで、功徳を共有します。
融通念仏宗の主要経典
融通念仏宗では、華厳経と法華経を主要経典とし、日々の勤行のなかでは観音経・座禅和讃・般若心経を唱えます。
観音経は正式な名称を観世音菩薩普門品第二十五といい、法華経の一部です。
融通念仏宗は浄土系の宗派といわれていますが、浄土宗などで重視される「浄土三部経」は、副次的な経典と位置付けられています。
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融通念仏宗の本尊
本尊としている十一尊天得如来は、阿弥陀及び観音・勢至を含む十一体の奏楽菩薩から構成される融通念仏宗特有の来迎図です。
十一尊天得如来は彫刻によって仏様の姿をあらわすのではなく、絵として描くことで仏様の姿を表せます。
また、上記の絵は絵像(えぞう)と呼ばれ、縦長の掛け軸状になっています。
スポンサーリンク融通念仏宗の葬儀とマナー
融通念仏宗における葬儀の流れ自体は、ほかの仏教宗派と大きな違いはありません。
しかし、銅鑼(どら)や太鼓などの葬具を多く用いることから、にぎやかな印象を受けます。
また、融通念仏宗では念仏を重要視しており、葬儀では僧侶だけでなく、参列者一同も南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)と唱えます。
葬儀では、ご本尊である「十一尊阿弥陀如来」の絵像を用意し、故人が阿弥陀如来のいる浄土へ辿り着くように皆で祈ります。
融通念仏宗では、念仏を唱えることで、誰もが功徳による救済を行えるとされています。
そのため、比較的自由度が高く、形式ばった宗派ではありません。
葬儀で唱えられるお経
融通念仏宗の葬儀では、般若心経(はんにゃしんぎょう)を唱えません。
浄土系の融通念仏宗の葬儀では、南無阿弥陀仏の題目でよく知られる「阿弥陀経」や「真身観文」が唱えられるのが通例となっています。
焼香のマナー
融通念仏宗の葬儀では、焼香の作法について独自の決まりはありません。
焼香の回数についても3回のケースが多いですが、参列者が多い場合は心を込めて1回とすることもあります。
もともと形式ばった宗派ではないため、臨機応変に対応できるようです。
服装や香典袋など
葬儀に参列する際に服装は喪服を着用します。
香典袋の表書きについては、四十九日法要まで「御霊前」を用います。
服装や香典袋などに関しては、基本的にほかの宗派と同じマナーです。
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融通念仏宗の仏壇の飾り方
仏壇は寺院の本堂を小さくして、自宅に安置したものですので、ご本尊様と三具足が必要になります。
仏壇の中心であるご本尊様や脇侍は宗派によって異なりますが、飾り方に大きな違いはありません。
最上段中央にご本尊様を安置し、さらに丁寧に祀る家庭では両隣に脇侍を安置します。
位牌を安置する場所は、上から2段目となりますが、小型の仏壇やミニ仏壇などでは段数が少ないため、ご本尊様の隣に安置するケースもあります。
この場合は、位牌の高さがご本尊様の目線より下になるよう、配置に気をつけましょう。
また、三具足とは、香炉・花立・燭台の3つの仏具を指し、花立と燭台を1対ずつにしたものを五具足と呼びます。
三具足は仏壇の最下段に配置するのが一般的ですが、宗派によって異なる場合もあります。
仏壇のお供え物には香・花・灯燭(とうしょく)・浄水・飲食(おんじき)があり、総称して五供(ごくう)と呼びます。
このうち、浄水をお供えするための茶湯器と、飲食をお供えするための仏飯器は、仏器膳に載せて2段目中央に配置するのが一般的です。
ご本尊のみで飾る
融通念仏宗のご本尊様は十一尊天得如来で、仏壇に飾るのは掛け軸が一般的です。
十一尊天得如来は、阿弥陀及び観音・勢至を含む十一体の奏楽菩薩から構成される融通念仏宗特有の来迎図のため、掛け軸などの絵像を用います。
ほとんどの仏教宗派では、基本的にご本尊様は1体であるため、仏像を置くケースが多いですが、融通念仏宗の仏壇では掛け軸が推奨されています。
ご本尊+脇侍で飾る
仏壇を丁寧に祀っている家庭では、ご本尊様の両隣に脇侍を安置するケースもあります。
融通念仏宗では、ご本尊様を中心に向かって右側に開祖である良忍上人を、向かって左側に中興の祖である法明上人を安置します。
さらに丁寧な家では、十一尊天得如来の掛け軸の前に阿弥陀如来の仏像を安置するケースもあるようです。
融通念仏宗のまとめ
ここまで、融通念仏宗についての情報を中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 融通念仏宗は法華経と華厳経を主要経典とし、念仏を重視
- 融通念仏宗のご本尊は十一尊天得如来
- 融通念仏宗の葬儀では、全員で南無阿弥陀仏を唱える
- 仏壇の中心は十一尊天得如来、脇侍は良忍上人と法明上人
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。