相続
遺産を寄付するにはどうすれば良い?寄付の仕方や注意点を紹介
更新日:2023.12.19 公開日:2022.05.06
遺産を寄付するにはどうしたら良いかご存じでしょうか。
遺産を寄付する際の、方法や注意点について知っておきましょう。
そこでこの記事では、遺産の寄付について解説します。
この機会に、遺産を寄付するにはどうしたら良いか覚えておきましょう。
後半では、寄付できないものについても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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遺産とは
遺産とはどのようなものを指すのでしょうか。
遺産には、利益となる資産と負債となる遺産があります。
遺産について詳しく説明していきます。
遺産の意味
遺産とは、亡くなられた方が残した財産のことをいいますが、財産というと現金や不動産などのプラスの財産を思い浮かべる方も多いと思います。
しかし、亡くなられた方の借金などマイナスの財産も遺産になります。
亡くなられた方のすべての権利義務が遺産の対象となりますが、亡くなられた方でなければ成立しないような権利や義務である一身専属権などは除きます。
遺産の主な対象
遺産の主な対象は以下の通りになります。
利益となる遺産
- 現金や預金
- 債権(貸付金・売掛金・不動産賃借権・損害賠償請求権など)
- 投資信託
- 仮想通貨(暗号資産)
- 不動産
- 動産(自動車・船舶など)
- 特許権や著作権などの知的財産権
負債となる遺産
- 借金(借入金・ローン・クレジットカードの未払い分など)
- 未払いの税金
- 未払いの光熱費や家賃
- 敷金などの預り金
- 連帯保証人などの債務
遺産を寄付するには
遺産を寄付する場合には、遺言書により故人が望む場合と、遺産を受け取った遺族が寄付をする場合があります。
それぞれの場合についての方法を詳しくご紹介します。
故人が望む場合
故人の意向により、遺産を寄付する場合には、寄付をする相手を遺言書で指定しておく遺贈という方法と、相手と契約を結んでおく死因贈与契約という方法があります。
どちらの方法も遺産の処分を決める点としては同じですが、遺贈による遺言書は自分の意思だけで作成することができるのに対して、死因贈与契約は相手方との合意を結ぶことが必要となります。
遺言書による寄付であっても、相手が寄付の受取を断った場合には目的を果たすことができないため、遺言書で寄付の相手を指定する場合には、事前に受け取ってもらえるかどうかを確認しておくことが必要となります。
特に、現金以外の不動産や有価証券が財産に含まれており、そのまま寄付したいという場合には、事前確認は必須といえるでしょう。直接寄付先に相談するのは難しい、もしくは控えたいといった場合には、遺贈寄付をサポートする窓口に相談してみるのも良いでしょう。無料で相談できる「あんしんよろず相談ダイヤル」をご活用ください。
遺族が望む場合
遺族が故人から受け取った相続財産を寄付したいと望む場合には、寄付したい相手方へ連絡をし、手続きの方法を確認します。
寄付の受領後に、寄付をした相手方から領収書等の発行をしてもらいます。
寄付金には(一部の法人を除いて)相続税がかかりません。この相続税の対象としない特例を検討する場合には、相続税の申告期限までに手続きを行う必要があり、基本的には「財産をそのままの形」で寄付することが求められます。こちらも、寄付先に受取が可能か相談してみましょう。
遺言を寄付をする場合の注意点
遺言により寄付をする場合には、さまざまな注意点があります。
後々のトラブルにならないように、しっかりと押さえておきましょう。
勝手に決めると問題になる
遺族などの相続人がいる場合に、故人が全財産を寄付するという遺言書を作成したとしても、相続人には遺留分として財産を受け取る権利があります。
遺留分を侵害した遺言書を作成してしまうと、相続人と寄付を受け取る相手方との間でトラブルが発生しかねません。
そうならないためにも、亡くなった後に寄付をする意向がある場合は、相続人としっかり相談して決める必要があります。
ただし、全ての相続人に遺留分が認められているわけではなく、故人の兄弟姉妹、兄弟姉妹が先に亡くなっている場合に相続人となる甥姪には遺留分は認められません。遺留分の対象となる相続人の範囲を把握しておきましょう。
相手が受領しないと遺産の寄付はできない
遺言書に寄付する旨を記載していたとしても、相手が受取しなかった場合は目的を果たすことはできません。
そのような事態にならないように、事前に寄付を受取してもらえるかを確認しておく必要がありますし、遺言書の内容を実現してもらうために、遺言執行者を定めましょう。
終活ノートだと寄付されない場合もある
遺言書とは異なり、終活ノートに書かれた内容には基本的には法的な効力がありません。
終活ノートに書かれた内容はあくまで、家族や相続人に対するお願い事に過ぎないからです
終活ノートに遺産の寄付についての記載があった場合には、遺族の善意として寄付が行われるものであり、もし故人の意向に従わずに寄付をしなかったとしても、問題はありません。
有効な形で自らの意向を示したい場合には、法的な効力を持つ遺言書を作成する必要があります。
遺産の寄付は税金の対象内?
故人の遺言書による寄付の場合、寄付の相手先が株式会社などの営利法人であったとしても(一部の法人を除いて)相続税は課税されません。
ただし、親族が運営する法人に遺贈して親族が過大な報酬を得たりするなど、税逃れとみなされれば、課税対象とされることが考えられます。
例えば、自身が入所している老人ホームに寄付を考えた場合に、遺言書にお世話になった老人ホームを寄付先に指定しておくといったことも考えられます。
一方、遺族による寄付の場合は、遺族が受け取った相続財産の中から寄付を行います。相続税の対象としない特例を利用するには、基本的には寄付の相手先が公益性の高い法人を選ぶなど、対象が限られることに注意が必要です。
寄付先となる法人が、相続税の対象としない特例を利用できる法人であるかを事前に確認しておく必要があります。
このように、故人がする遺産による寄付と、遺族がする遺産による寄付では、手続きや条件面に違いがあるため事前に確認したうえで手続きを進めるようにしましょう。
寄付できないものは?
遺産の中には寄付できないものもあります。
詳しく確認しましょう。
基本的には寄付に決まりはない
基本的には寄付に決まりはありませんが、負債などのマイナスの財産は寄付の対象外となります。
包括遺贈として、団体に寄付をする場合には、包括受遺者である寄付の相手先は相続人とほぼ同じ立場になるため、故人のプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことになってしまいます。
相手側からすると、多くの寄付が期待できる部分もありますが、マイナスの財産を引き継ぐ怖さもあるため、包括遺贈で遺言書を書く場合には、事前に相手先の団体に必ず相談しましょう。
寄付が難しい遺産
基本的には寄付に決まりはないと説明しましたが、不動産や株など、換金が難しい財産や扱いにくい財産は、寄付として受け付けていないことも多くあります。特に農地や山林が含まれる場合は、そのような資産を除いて寄付する必要性が多く、受け取ってもらえる財産かどうかを慎重に判断する必要があります。
不動産や有価証券を寄付する場合には、現金化や換金に伴う税務面の諸条件も確認をしておく必要があります。
遺留分は寄付できない
遺留分とは、兄弟姉妹、甥姪を除いた相続人に認められている相続財産の取り分のことをいいます。
遺言書に書かれている寄付の内容が、遺留分を侵害するような場合でも、遺言としては有効ではありますが、遺留分を侵害された相続人は自身の遺留分を寄付の受領先に請求することができます。
遺留分の請求は権利なので、必ず行使されるものではありませんが、相続人と寄付の受領先の間でトラブルになる可能性があります。
また、寄付の受領先の団体もトラブル要素を含むような寄付は望んでいないため、遺留分を侵害するような遺贈寄付は避けましょう。
寄付の相談窓口
遺産を寄付するためには、寄付先の選定、受取可能な財産であるかの確認、遺言書の作成だけでなく多くの確認事項が必要となります。このような複雑な手続きを相談する寄付の専門家をご案内いたしますので「あんしんよろず相談ダイヤル」にご連絡ください。
寄付先のご紹介を始め、寄付先に寄付財産の受取が可能かどうかの確認、寄付が実行されるまでの必要な手続きのご案内など、広くご相談いただけます。
遺産の寄付まとめ
ここまで遺産を寄付する際の方法や注意点などを解説してきました。
まとめると以下の通りです。
- 遺産とは亡くなった方は残した財産のこと
- 遺産の寄付には、故人が希望する場合と遺族が希望する場合がある
- 寄付の意向を遺言書で残す場合には注意点がある
- 財産の遺留分の寄付は避ける
- 迷った時は寄付の相談窓口を利用
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
田中 大敬(たなか ひろたか)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。
齋藤 英里奈(さいとうえりな)
経歴
大手信託銀行、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)会社にて、資産運用や相続・遺言などの資産相談業務に従事。 1級ファイナンシャルプランニング技能士 宅地建物取引士試験合格者