相続
孫に遺産を残すには?相続するための方法や注意点を紹介
更新日:2022.04.27 公開日:2022.05.09

記事のポイントを先取り!
- 孫に遺産相続することは可能
- 孫に遺産を相続するには生前贈与がおすすめ
- 孫に遺産相続する際には相続税に注意
孫に遺産を残したい場合、具体的にどういう手続きを行えばいいのか知っていますか。
亡くなった後の遺産相続で心配な方は、生前にしっかり手続きをしておきましょう。
そこでこの記事では、孫に遺産を残す方法について解説します。
この機会に、孫に確実に遺産を残すための方法について知っておきましょう。
後半では、ひ孫でも相続できるのかについて触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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遺産を相続できる人
遺産相続できる人は、法律で決まっています。
基本的に血縁関係がある人に限られていて、遺産相続できる相続権も血縁関係によって優先順位があります。
ここでは法定相続人も踏まえて、詳しく解説していきます。
法定相続人
民法では遺産の相続権のある人のことを、法定相続人と言います。
血縁者のみが対象となり、優先順位が最も高い相続人のみが法定相続人になります。
親族でさえあれば相続権があるというわけでなく、血縁関係が濃く、被相続人と関係が近い人物から順に遺産相続ができる仕組みになっています。
配偶者
法律上で婚姻を結んでいて、相続が発生するときに存命の配偶者が法定相続人となります。
内縁関係や、離婚をしてしまった配偶者は法定相続人にはなれません。
配偶者以外の相続人
配偶者以外の遺産相続人は、以下の順位で定められています。
- 第一順位:子(代襲相続人:孫)
- 第二順位:父母
- 第三順位:兄弟姉妹(代襲相続人:甥・姪)
代襲相続人(だいしゅうそうぞくにん)とは、本来遺産相続されるはずの子供が他界していて孫がいる場合、子供に代わって相続人となった人のことを言います。
孫に遺産相続させる方法

孫に遺産相続をすることは可能ですが、優先順位が低く、通常では法定相続人になれない場合がほとんどです。
ここでは、孫に遺産相続させる方法を5つ紹介します。
遺言書に記載する
相続権はあるものの順位が低い孫に相続をさせたい場合、遺言書があると有効です。
遺言書さえあれば、相続人以外のどなたでも財産を渡すことができます。
「遺産の◯割を孫に残す」といったような書き方もできます。
ただし、最低限遺産が取得できる遺留分という制度があるので、遺言書を書く際は遺留分を考慮した上で書かないと、希望通りに分配されないので気をつけましょう。
養子縁組をする
子供がいる場合は子供が遺産相続人となりますが、この子供には養子も含まれるので、孫を養子縁組で養子にすれば、遺産相続の順位が上がり相続が可能になります。
ただし、法定相続人になれる人数の制限が養子の場合はあります。
実子がいる場合、相続人になれる養子は1人までで、実子がいない場合は相続できる養子は2人までとなります。
子供が亡くなっている
子供が亡くなっている場合、孫が代わりに遺産相続人となれる代襲相続制度があります。
代襲相続は特に手続きなどする必要がなく、子と同じ権利を得られるため、孫が受け取れる法定相続分は二分の一となります。
生前贈与を孫にする
生前贈与とは、生きている間に財産を他の方へ贈与することを指します。
一番確実で安心な方法と言えるでしょう。
相続ではないので、遺留分を考慮する必要もありません。
さらに詳しく見ていきましょう。
教育資金を孫に贈与する
贈与税が非課税になる方法があり、特例のひとつである「教育資金の一括贈与の非課税制度(特例)」を利用すれば一定額までは非課税になります。
この制度は、孫名義の銀行口座に最大1,500万円までであれば、非課税として贈与することができます。
ただし30歳までに使い切らないと、贈与税が発生するので注意が必要です。
生命保険の受取人にする
生前にできる方法のひとつとして、生命保険の受取人を孫名義にしても、お金を残すことができます。
生命保険のメリットは遺産とは違い、遺産分割の対象にならない点です。
また、生命保険を受け取る孫が代襲相続人や養子など法定相続人であった場合、(法定相続人の人数✕500)までが生命保険の非課税限度額になります。
非課税限度額を超えた分は、相続税の課税対象となります。
孫が相続する際の注意点

孫が相続する際には、いくつかの注意点があります。
孫が相続をする際に、なるべく損しない方法を探していきましょう。
相続税が2割増しになる
血縁関係1親等以外の孫が相続する場合は、相続税額が2倍加算されます。
相続税額に20%上乗せした金額を納める必要があります。
ただし、孫が代襲相続人である場合は、2割増しにはなりません。
相続人同士でトラブルになりやすい
本来、孫は法定相続人ではなく、優先順位も下であるため、他の法定相続人が不満を持ちトラブルになることもあります。
また当人同士で折り合いがつかない場合、手間と時間と費用がかかる恐れもでてきます。
未然にトラブルを防ぐには、前もって親族とよく話し合うことが大事です。
トラブルなく、円満に相続できる方法を考えていきましょう。
孫が胎児でも遺産を渡せる?
万が一生まれてくる前に胎児の父親が亡くなってしまった場合、胎児にも相続権があるのかどうか気になる方もいらっしゃるかと思います。
もし、胎児の父親が亡くなってしまったとしても、お腹の中にいる胎児にも相続権は認められています。
原則、他の権利ではまだ出生されていない胎児の権利は認められないことの方が多いのですが、民法886条1項で「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。」と記載されています。
しかし、万が一死産になってしまった場合は、民法886条2項の「前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。」の記述通り、相続権は消滅してしまいます。
なお民法では「身体が母体から全部露出した時」と記述があるため、一瞬でも生きて生まれてきた時点で相続権が発生します。また代襲相続は胎児であった場合でも、同様に発生します。
離婚後に胎児の父親が亡くなった場合も、胎児は子であることに変わりはなく、両親間の離婚とはなんら関係がないため、従来通り胎児に相続権が発生します。
なお、胎児に相続権がある以上、相続を放棄する権利も認められています。
相続放棄は相続発生後3ヶ月以内と定められていますが、胎児の場合は出生してからでないと手続きを行うことができません。そのため、出生してから3ヶ月以内に相続放棄をする手続きを行わなくてはなりません。
ひ孫も相続人になれるの?
胎児も相続権が得られるということがわかりましたが、ひ孫はどうなのか見ていきましょう。
結論からいうと、直系卑属であればひ孫でも代襲相続人として遺産を相続することができます。
また、ひ孫に関わらず、直系卑属が続く限り代襲相続も生じていき、この制度を再代襲相続(さいだいしゅうそうぞく)といいます。
しかし、被相続人の兄弟姉妹や被相続人の甥や姪が亡くなっている場合は、甥や姪の子は再代襲相続ができません。
直系卑属だけが再代襲相続が続く仕組みになっていますので、気をつけましょう。
遺産の孫まとめ

ここまで、孫に遺産を残す方法について解説してきました。
まとめると以下の通りです。
- 孫も遺産を相続することができる
- 孫には生前贈与として遺産相続以外の方法で財産を贈与することができる
- 胎児も相続権がある
- 直系卑属であれば、ひ孫も代襲相続人になる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者

袴田 勝則(はかまだ かつのり)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。