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相続

遺産を相続した時に作成する財産目録とは?自分で作成できる?

更新日:2022.04.14 公開日:2022.05.02

遺産

記事のポイントを先取り!

  • 財産目録を作成すれば、スムーズに相続できる
  • 財産目録には、すべての遺産を記載
  • 財産目録は、法務局の書式例を参考

遺産相続をするとき、財産目録は作成するべきでしょうか。

もし作成する場合は、何を書けばいいのか気になるところです。

そこでこの記事では、遺産相続と財産目録について解説します。

この機会に、財産目録の記載内容を把握しておきましょう。

後半では、専門家に依頼した方が良いケースについて触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 財産目録とは
  2. 遺言執行者には財産目録の作成義務がある
  3. 財産目録はいつ作る?
  4. 遺産相続の際に財産目録を作成するメリット
  5. 財産目録に記載する内容
  6. 財産目録を作成するとき注意すべきこと
  7. 財産目録の作成方法
  8. 専門家に依頼した方が良いケース
  9. 専門家に依頼した場合の相場は?
  10. 遺産相続と財産目録についてのまとめ
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財産目録とは

財産目録とは、故人が亡くなったときに有していた財産一覧のことを指します。

遺産を種類、数量、所在、価額などで分類し一覧表にまとめたものになります。

この遺産の中には、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含まれます。

遺産のすべてを表記するので、相続財産の把握が容易になり、相続税の申告時や相続方法の検討などに役に立ちます。

ただ、財産目録の作成は法的な義務があるわけではないので、ほとんどの方が作成したことがない、というのが現状です。

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遺言執行者には財産目録の作成義務がある

財産目録の作成に法的義務はありません。

しかし、遺言執行者になった場合は、財産目録の作成が義務となります。

遺言執行者とは、遺言執行に必要な手続きを第三者の立場から公平・確実に行うために設けられた制度のことです。

遺言執行に必要な所有権移転登記や相続財産に関する訴訟など、法律の専門知識が必要になる場合があります。

また、相続人間の利害関係の対立により手続きが進まなかったり、各相続人が勝手に相続財産を処分してしまい、財産を引き渡すことができないなど、多くのケースが存在します。

このような状況でも、遺言が確実に執行されるように遺言執行者が選任されます。

遺言執行者には未成年と破産者以外なら誰でもなることができますが、弁護士や司法書士などの専門家がなることがほとんどです。

事務手続きの経験や法的知識がない人が遺言執行者になってしまうと、トラブルが起きるケースも多いので、遺言執行者は専門家に任せることをおすすめします。

財産目録はいつ作る?

財産目録は、いつ作っても問題ありません。

生前にあらかじめ用意しておくこともできますし、死亡後に作ることも可能です。

ただ、死亡後に財産目録を作成する場合は、相続が発生した後すみやかに作成すると良いでしょう。

遺産分割協議前に作成しておけば、遺産分割協議をスムーズに行えます。

また、生前に財産目録を作成しておく場合は、終活の一環として作成することが多いようです。

ただ、財産目録を作成した時点と、死亡後に残った遺産の内容が変わってしまうこともあります。

そのため、財産目録が故人の手で用意されていたとしても、相続人は財産目録のチェックを怠らないようにしましょう。

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遺産相続の際に財産目録を作成するメリット

財産目録を作成することには多くのメリットがあります。

ここでは、どんなメリットがあるか具体的に説明していきます。

相続放棄の判断材料になる

財産目録を作成すれば、遺産の内容が明確になります。

つまり、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナス遺産の存在も判明するのです。

借金などのマイナスの遺産が多い場合は、相続放棄という手続きをとることで、すべての相続財産を相続する必要がなくなります。

ただ、相続放棄してしまうと初めから相続人ではなかったことになるので、プラスの遺産の相続権も失ってしまいます。

相続放棄は相続人が相続を知った時から3か月以内に手続きをしなければいけません。

もし相続放棄を検討している場合は、3か月以内に忘れずに手続きを行いましょう。

無用なトラブルを避けられる

遺産相続のトラブルにおいて、どれだけ遺産があるかを相続人たちが把握していないケースが多いです。

そのような場合、遺産分割において誰がどれくらいの遺産を相続したのか、またはするべきなのか分からないという状況に陥ってしまいます。

また、相続人全員で行う遺産分割協議において、遺産の全容を知っている人と知らない人が出てきてしまいます。

すると、遺産の全容を知らない人が「まだ財産を隠しているのではないか」という疑いを持ってしまうことも少なくありません。

このように一度疑われてしまうと、そのあとに財産目録を作成しても信用してもらえなくなってしまいます。

そのため、あらかじめ財産目録を用意しておくことで無用なトラブルを避けられるのです。

財産の内容が明確になる

遺産の内容が明らかになっていれば、上記のような疑心暗鬼によるトラブルは回避可能です。

また、「我が家は大したお金がないから関係ない」と考える方もいるかもしれませんが、遺産分割でのトラブルの約30%は遺産の額が1000万円以下の場合に起こっています。

相続トラブルが起こるかどうかは遺産の額とは関係ないので、どんな家庭でも相続トラブルが発生する可能性があります。

財産目録による遺産の可視化をすれば、相続トラブルの可能性を下げることができるので、財産目録は作成するようにしましょう。

相続税申告の際に負担が減る

財産目録を作成しておけば、相続税を申告する際の負担を軽減することが可能です。

相続税は、基礎控除額を超える相続財産がある場合に払う必要があります。

基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人の人数で決定します。

財産目録を作成しておけば、一目で相続税の申告が必要かどうか分かります。

また、申告が必要な場合は、申告書と合わせて財産目録を提出すれば良いので、申告自体も多少楽になります。

財産目録に記載する内容

財産目録には、遺産のすべてを記載する必要があります。

プラスの財産もマイナスの財産も記載しなければなりません。

ここでは、プラスの財産とマイナスの財産がどういうものか、具体的に紹介します。

プラスの財産とは

プラスの財産とは、不動産・預貯金・有価証券(株式や債券など)・自動車・美術品・貴金属・ゴルフ場の会員権など財産的な価値のあるものを指します。

マイナスの財産とは

マイナスの財産とは、住宅ローン・家賃・未払いの税金・未払いの医療費・偶発債務などの負債のことを指します。

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財産目録を作成するとき注意すべきこと

財産目録を作成する際に決まった形式はなく、自分で財産を調べて作成することができます。

ただ、財産目録を作成するときに注意すべきこともあるので、ポイントごとに説明していきます。

価額を記載する場合

価額を記載する場合は、いつの時点の評価額かを明記する必要があります。

相続開始前なら作成時点、相続開始後なら相続開始時点などはっきりさせなければなりません。

また、何を基準とした評価額かも明記します。

不動産ならば固定資産評価額なのか、相続評価額なのか、時価なのかを明記しておきます。

もし、作成時点で不明なものは、不明であることを記載しておきます。

財産の所在をはっきりさせる

財産を財産目録に記載する場合は、財産内容が特定できる情報を記載しなければなりません。

たとえば、預貯金の場合は、銀行名・支店名・口座種別・口座番号・口座名義など詳しく明記しましょう。

また、美術品や貴金属なども財産にあたります。

これらも、保管場所や製造番号など、具体的に製品を特定できる情報を併記することが望ましいです。

所定の形式を満たすこと

自筆証書遺言を作成する場合は、財産目録を添付できます。

目録の形式に決まりはありませんが、署名と押印が必要になります。

ただ、自筆証書遺言に添付する際は所定の方式があり、その方式を満たしていないと遺言書として認められなくなってしまいます。

具体的には、目録の各ページに署名と押印が必要、自書によらない財産目録は遺言本文が書かれた紙と違う紙に記載する、などです。

これらの方式を守ることを忘れないようにしましょう。

財産目録の作成方法

自筆証書遺言の財産目録は手書きでなければいけませんでしたが、2019年の民法改正により必ずしも全文手書きにする必要はなくなりました。

誰が見ても分かりやすく書かれているならば、手書きで作成してもエクセルなどのツールを使用しても問題ありません。

また、財産目録の書き方が分からない場合は、インターネットで検索すればフォーマットを見つけられます。

インターネットにある情報を参考にすれば、間違いのない財産目録を作成できるでしょう。

法務局が公開している書式例

法務局でも財産目録の書式例を公開しています。

インターネット上には多くのフォーマットが公開されていますが、法務局で公開されている書式を参考にするのが一番確実です。

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専門家に依頼した方が良いケース

財産目録を自分で作成するのは難しく、専門家に依頼したほうが良いケースもあります。

財産目録の作成は弁護士や司法書士、税理士、行政書士など法律のプロが専門分野としています。

ここでは、これらの専門家に任せたほうが良いケースについて説明していきます。

相続財産の額が大きい

故人の残した遺産の額が大きい場合は、税務署に相続税の申告が必要になります。

この申告をしない場合は脱税になってしまいます。

相続税の申告書の作成と税務署への申告作業は税理士にしか許されていない業務です。

ただ、財産目録の作成自体は相続税が発生する場合も、他の専門家が行うことが可能です。

相続財産に土地や不動産がある

遺産に土地や不動産がある場合は、法務局で名義登録を変更する必要があります。

法務局に不動産を名義登録申請することは司法書士にしか許されておらず、他の専門家にはできない業務となっています。

ただ、司法書士にしかできないことは名義登録申請だけなので、その他の専門家でも不動産を含む財産目録を作成することは可能です。

しかし、司法書士ならば不動産の名義登録申請を含めて一括で財産目録の作成もしてくれるので、不動産を含む財産目録を作る場合は、司法書士に依頼することが多いようです。

相続人の間でトラブルが起きそうな場合

相続人間で争いが起きてしまいそうな場合も、あらかじめ専門家の手で正確な財産目録を作成することで、その争いを回避できることがあります。

訴訟が起きてしまいそうな場合は弁護士に、不動産がある場合は司法書士に、相続税が発生する場合は税理士とそれぞれの問題に合わせて依頼する専門家を選ぶと良いでしょう。

また、行政書士は遺言書や遺産分割協議書の作成が可能で、遺産相続の書類作成に特化しているので、相続関連の手続きの際に選ばれることも多いようです。

専門家に依頼した場合の相場は?

財産目録の作成を専門家に依頼すると費用がかかりますが、どの専門家に依頼するかで相場が変わってきます。

財産目録の作成を弁護士や税理士に依頼した場合、必要書類の収集から財産の調査を含めて、5万~10万円の費用が必要になります。

行政書士に依頼すると3万円~が相場になるようです。

専門家ごとにできる業務内容に違いがあるので、自分の状況に合わせて依頼する専門家を選ぶと良いでしょう。

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遺産相続と財産目録についてのまとめ

ここまで、遺産相続と財産目録について解説してきました。

まとめると以下の通りです。

  • 財産目録とは遺産を具体的に一覧表にまとめたもの
  • 財産目録を作成すれば、相続時のトラブル回避につながる
  • 財産目録には、すべての遺産を記載する

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(はかまだ)

袴田 勝則(はかまだ かつのり)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。

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