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墓じまい後の遺骨はどうすれば良い?改葬や処分について解説
更新日:2021.10.13 公開日:2021.10.13
近年、少子化や核家族化が進み、墓じまいをされる方が増えているようです。
今あるお墓を墓じまいする場合、納めてある遺骨はどうすればいいのでしょうか?
この記事では以下の内容について解説します。
- 墓じまいの流れについて
- 墓じまい後の改葬の種類について
- 遺骨を移動する際の注意点について
併せて、墓じまいせずにお墓を放置するとどうなるのかについてもご説明します。
ぜひ最後までご覧ください。
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墓じまいの流れ
墓じまいはどのように行えばいいのでしょうか?
全体の流れについてご説明します。
お墓の管理者と親族に墓じまいする旨を伝える
墓じまいにおいて一番重要ともいえるのが、既存のお墓の管理者と親族への相談です。
現在遺骨を納めている管理者へ墓じまいを伝えるときは、決定事項としてではなく相談という形がおすすめです。
特に寺院に遺骨を納めている場合、墓じまいするということは檀家から抜けること(離檀)を意味します。
墓じまいして離檀する際は寺院へ離檀料を納めなくてはなりません。
相談がこじれると高額な離檀料請求などのトラブルに繋がります。
お世話になった感謝の気持ちを込めて話を進めることが大切です。
また、親族への連絡も必ずしましょう。
先祖代々のお墓だった場合、遠縁の親族の遺骨が埋葬されている可能性があります。
後々の親戚付き合いに影響が出ないようしっかりと連絡しておきましょう。
行政にて改葬の手続きを行う
改葬には行政手続きが必要です。
まず新たな遺骨の受け入れ先を決め、受入証明書を発行してもらいます。
改葬元の管理者からは埋葬証明書を発行してもらいます。
改葬元の地区の自治体で改葬許可申請書をもらい記入しますが、その用紙には改葬元の管理者の署名捺印が必要です。
地区によって埋葬証明書は必要なく、改葬許可申請書に管理者の署名捺印するだけで良いところもあるようです。
受入証明書・埋葬証明書と共に改葬許可申請書を提出します。
受諾され、改葬許可証が発行されたら新しい遺骨の受け入れ先へ提出します。
閉眼供養を行う
行政手続きが終わったら遺骨を取り出す作業を行います。
お墓から遺骨を取り出す際には閉眼供養を行う必要があります。
閉眼供養とは、お墓に宿っている故人の魂を一旦抜くために行われる供養のことです。
お墓に魂が入った状態で遺骨は取り出せません。
閉眼供養は僧侶にお墓の前で読経をあげてもらいますが、お布施として3万~5万円ほどが必要です。
僧侶に墓地まで来てもらう場合はお布施とは別に御車代を5000~1万円ほど包みます。
ちなみに新しい受け入れ先でも開眼供養が必要になります。
お墓撤去の工事を行う
最後にお墓の撤去工事を行います。
基本的にはお墓を建ててくれた石材店へ依頼しますが、公営霊園はとくに指定がない場合が多いようです。
閉眼供養後の遺骨を取り出すために、出骨費として3万~5万円ほどの費用が必要です。
墓石の撤去費用は1㎡あたり10万~20万円が相場のようです。
お墓の立地条件や墓石の大きさ、巻石(外柵)の石材の量などによって異なります。
墓石はクレーン車などで釣り上げて運び出すため、重機の入りにくい立地だと費用がかさみます。
お墓の周りを囲う巻石を解体した後はその下にある残土も処分が必要です。
巻石が大きなものだと石材の量が多く、その分解体・撤去費用も高額になります。
お墓の撤去に関しては複数の石材店で見積もりを取ることをおすすめします。
墓じまい後の改葬方法
墓じまい後の遺骨にはどんな改葬方法があるのでしょうか?
代表的な4つの改葬方法をご紹介します。
納骨堂
納骨堂にはロッカー型や位牌型、仏壇型などさまざまな種類があります。
ロッカー型はコインロッカーのように個別スペースが並んだタイプです。
位牌型はひな壇に位牌が並んでおり、お参りは共有のご本尊の前で行うタイプです。
仏壇型は上段が位牌やお供え物を置くスペースで、下段に遺骨を収蔵するタイプになります。
近年はICチップで遺骨が礼拝スペースまで運ばれてくる機械式の自動搬送型納骨堂も人気です。
- ロッカー型
約20万〜50万円 - 仏壇型
約50万〜200万円 - 自動搬送型
80万〜200万円
樹木葬
樹木葬は墓標を樹木とする埋葬方法です。
ガーデン風の樹木葬である都市型や、自然とより密接したところに植える里山型などがあります。
また、樹木葬には主に個別型・集合型・合祀型があります。
個別型は故人の埋葬スペース1か所につき1本の木を植えるタイプで、費用相場は20万~80万円です。
集合型は1本のシンボルツリーの根元に区切られた区画があり、それぞれの遺骨を埋葬するタイプで15万〜60万円ほどかかります。
合祀型は集合型と似ていますがスペースが区切られておらず、最初からほかの遺骨と一緒に弔われます。
合祀型の費用は5万~30万円と最も安価です。
散骨
散骨は供養の後の費用がかからない人気の供養方法です。
主に海洋散骨と森林散骨があります。
海洋散骨には20万~30万円程度の船を使って家族や親族と共に散骨するタイプと、約5万円の業者へ依頼して散骨してもらうタイプがあります。
森林散骨は山や森の中に散骨する供養方法になりますが、近年はあまり数が多くないようです。
手元供養
手元で遺骨を供養する方法もあります。
故人をより身近に感じられますし、引き取った後の費用もかかりません。
5~10cmほどの陶器でできたミニ骨壺であれば、4000~7000円ほどで購入できます。
遺骨や遺灰をずっと身に付けていたい方には、ペンダントやリングなどのアクセサリー加工がおすすめです。
ペンダントであれば2万~10万円位のものがあります。
素材もチタンやシルバー、木製などがありお好みに合わせて作れます。
また、ダイヤモンドに遺骨や位牌を組み込むこともできるようです。
40万~50万円程度が費用相場となりますが、200万円ほどかかる高額なものもあります。
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遺骨をそのまま捨てるのはダメ?
墓じまい後に遺骨の処分に困り、山の中などに遺棄することは犯罪となります。
刑法190条には死体や遺骨を形が残ったまま損壊・遺棄したものは3年以下の懲役に処すると記されています。
殺人事件で山に遺体を遺棄した人と同様に、遺骨の処分を怠った人は処罰の対象になるということです。
また、墓地と埋葬に関する法律の第4条には埋葬または焼骨の埋蔵は墓地の区域外で行ってはならないとあります。
人の来ない森林や敷地であっても、土地の名目が墓地となっている場所以外での埋葬は法律で禁止されています。
ただし散骨は埋葬にあたらないため、墓地と埋葬に関する法律には触れていないとされます。
法務省も非公式ですが、節度を持った散骨は死体遺棄に当たらないという見解を出しています。
遺骨を移す際の注意点
故人の遺志によって納骨や散骨を遠方で行いたい場合、遺骨の移送が必要です。
移送する際の注意点をお伝えします。
骨壷に納めてしっかり梱包する
いずれの手段でも骨壺はしっかりと梱包することが大切です。
カロート内に湿気があると遺骨に水が溜まっている場合があります。
水が溜まっていた場合は乾かしたり布を入れて吸収させたりしましょう。
移送中に何らかの衝撃で遺骨が骨壺から出ないよう、蓋をガムテープや食品用ラップで巻いておくのがおすすめです。
骨壺の蓋には上に持ち上げるだけで簡単に開くタイプと、回してから持ち上げないと開かないロック式タイプがあります。
ロック式でない場合はガムテープを使用したりして、特に丁寧に梱包しましょう。
蓋を固定した後、さらにビニール袋に入れて新聞紙を巻きます。
段ボール箱に入れるときは緩衝材を詰め、下にタオルを敷きます。
国内でも海外でも遺骨の移送は可能
国内でも海外でも遺骨の移送はできます。
国内は公共交通機関を利用することも可能です。
海外の場合は受入先の国までは飛行機が使えますが、その後の手続きは各国によって異なります。
飛行機を利用する場合は各航空会社でルールが定められています。
手荷物として扱う企業もあれば、公に公表していない企業もあるため搭乗前に確認が必要です。
搭乗前のX線検査で引っかからないよう、遺骨の入れ物の素材に制限を設けている企業もあるため併せて確認しましょう。
郵便局にて郵送することができる
国内ではゆうパックのみが遺骨の移送サービスを請け負っています。
トラブルに巻き込まれて紛失してしまう可能性はゼロではありませんが、心配であれば有料でセキュリティサービスも付けられます。
時間指定や追跡サービスは無料でできるため便利です。
送る際は縦、横、高さの合計で荷物のサイズが決まります。
遺骨のサイズと重さ、移送先の住所によって宅配料金は異なります。
送り状には「遺骨」と書いておくと丁寧に扱ってくれるでしょう。
遺骨と書くのに抵抗がある方は「割れ物」でもOKです。
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墓じまいをせずお墓を放置すると
墓じまいをしないままお墓を放置するとどうなるのでしょうか?
無縁仏になる
無縁仏とは祀ってくれる親戚や縁者がいなくなったお墓のことです。
もしくは親戚や縁者がいても遺体の引き取りを断られた場合を指すこともあります。
少子高齢化や人間関係の希薄な社会が背景にある無縁仏は近年増加しているようです。
遺体の引き取り手がない故人の場合は地方自治体が引き取り、合祀墓(ごうしぼ)へ埋葬します。
合祀とは他の方の遺骨と一緒に弔われることです。
法律に則って処分される
お墓に入った後で無縁仏となった場合は、一定期間を経て墓地の管理者が合祀墓へ改葬します。
これは厚生労働省が平成11年3月に改訂した「墓地・埋葬等に関する法律」によるものです。
改定後はお墓の管理費が数年支払われなければ、管理者が墓地の整理を行うことが可能になりました。
お墓の管理費滞納期間については寺院・霊園によって異なりますが、3~5年のところが多いようです。
滞納が続くと管理者からお墓の名義人・利用者へ連絡がいきます。
さらにお墓の周りに立て札や張り紙を掲示され、官報への掲載も行われます。
官報とは政府や地方公共団体からの告知や広告を示した新聞のようなものです。
官報での呼びかけでも1年間連絡が取れなかった場合に、管理者はようやく撤去する権利を得ます。
墓じまいの遺骨まとめ
ここまで、墓じまい後の遺骨の改葬や処分についての情報を中心にお伝えしました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りになります。
- 墓じまいはお墓の管理者や親族へ相談後、行政手続きやお墓の撤去工事を行う
- 墓じまい後の遺骨は納骨堂や樹木葬などの供養方法がある
- 遺骨を移送する際は乾燥させた状態で丁寧に梱包する
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。
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