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夫が死亡した場合遺族年金はいくらもらえる?金額の計算方法を解説
更新日:2022.05.17
夫が死亡したら年金はどうなるのかご存知でしょうか。
夫が死亡した場合、誰がどのくらいの遺族年金をもらえるか知っておきましょう。
そこでこの記事では、夫が死亡した場合の遺族年金について解説していきます。
この機会に、遺族年金の金額を計算する方法についても覚えておきましょう。
再婚した場合の遺族年金の扱いについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 遺族年金とは
- 遺族基礎年金の受給金額の計算方法
- 寡婦年金とは
- 死亡一時金とは
- 遺族厚生年金の受給金額の計算方法
- 中高齢寡婦加算とは
- 経過的寡婦加算とは
- 遺族年金が支給されないケースがある
- 再婚すると遺族年金はもらえなくなる?
- 夫が死亡した場合の遺族年金まとめ
遺族年金とは
遺族年金とは、遺族が受け取ることのできる年金です。
国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が、亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受取れます。
遺族年金には、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があり、亡くなった方の年金の加入状況などによって、いずれかまたは両方の年金が支給されます。
亡くなった方の年金の納付状況・遺族年金を受け取る方の年齢・優先順位などの条件をすべて満たしている場合、遺族年金を受け取れます。
遺族基礎年金
遺族厚生年金は、国民年金の被保険者等であった方が、受給要件を満たしている場合、亡くなった方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が、受け取れます。
次の1から4のいずれかの要件を満たしている方が死亡したときに、遺族に遺族基礎年金が支給されます。
- 国民年金の被保険者である間に死亡したとき
- 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
- 老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき
- 老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
遺族厚生年金
遺族厚生年金は、会社員等で厚生年金に加入していた被保険者等であった方が、受給要件を満たしている場合、亡くなった方によって生計を維持されていた遺族が受け取れます。
次の1から5のいずれかの要件を満たしている方が死亡したときに、遺族に遺族厚生年金が支給されます。
- 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
- 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
- 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき
受給対象者は、故人により生計を維持されていた遺族のうち、最も優先順位の高い方が受け取ることができ、配偶者や子だけでなく、父母、孫、祖父母まで含まれます。
スポンサーリンク遺族基礎年金の受給金額の計算方法
遺族年金の受給条件についてはお伝えしましたが、その受給者と故人の関係によって受け取れる金額は異なります。
今回は、夫が死亡したときの妻と子どもの場合について、遺族基礎年金の受給金額を紹介します。
受領するのが妻(配偶者)の場合
夫の死亡時に妻が受け取れる遺族基礎年金は、基本的に年額78万900円です。
上記の金額にくわえて、子どもの人数に応じた金額が加算されます。
子ども1人につき加算される金額は、2人までは22万4,700円、3人目からは7万4,900円です。
子どもと認定される年齢は、18歳未満または障害等級が1・2級となる20歳未満の未婚者となります。
また、子どもの年齢については年度末での年齢を参照してください。
仮に故人の死亡時に胎児であった場合でも、年度末となる3月31日までに出生している場合は1人の子どもと認定されます。
例として3人の子どもがいる場合の妻の受給額は以下の通りです。
78万900円+44万9,400円(2人目)+7万4,900円(3人目)=130万5,200円(総額)
受領するのが18歳未満の子どもの場合
受給者が故人の子どもであった場合、その受給額は妻の場合に似ており、基本的な年額が78万900円です。
しかし、子ども1人当たりの加算額は2人目が22万4,700円、3人目以降が7万4,900円となります。
子ども1人あたりの加算額に、1人目の子どもは含まれません。
また、子どもが受給する場合は受給額をそれぞれが受け取ることとなり、1人当たりが受給する金額は受給額を人数で割ったものとなります。
例として3人の子どもが受給する場合は以下の通りです。
78万900円+22万4,700円(2人目)+7万4,900円(3人目)=108万500円(総額)
108万500円(総額)÷3(人数)=36万166円(1人当たりの受給額)
寡婦年金とは
寡婦年金(かふねんきん)とは、第1号被保険者として10年以上にわたり保険料を支払ってきた夫が死亡した際に、その妻が受給できる年金です。
第1号被保険者は、厚生年金や共済組合に加入している者(第2号被保険者)、第2号保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(第3号被保険者)でない国民年金加入者をさします。
寡婦年金は条件を満たした夫を失った妻が受給できる年金であり、妻を失った夫が受け取ることはできません。
また夫を失った場合でも、夫が生前に年金受給歴があった場合や他の年金を受給している場合も受け取ることは不可能です。
寡婦年金を受け取れるのは受給者が60〜65歳となる5年間であり、その金額は故人が受け取る予定だった老齢基礎年金の4分の3です。
また、夫の死亡後5年が経過すると受給資格が失効となり、受け取れなくなるので注意してください。
死亡一時金とは
死亡一時金とは、第1号被保険者として36ヶ月以上の保険料納付歴のあった故人の遺族に支払われるお金です。
また、故人が生前にいずれの年金受給もしていないことも条件となります。
前項の寡婦年金や、遺族基礎年金などと一緒に受給することはできません。
死亡一時金の受給額は故人の保険料納付期間によって異なり、納付期間に応じて12万円〜32万円となっています。
また、死亡一時金は故人の命日から2年で資格失効となり、2年を経過した時点で死亡一時金の請求はできなくなります。
遺族厚生年金の受給金額の計算方法
遺族基礎年金と同様に、遺族厚生年金も計算によって受給金額を特定できます。
遺族厚生年金は、故人が受け取るはずだった老齢厚生年金における報酬比例部分の4分の3が受給額になります。
報酬比例部分とは、老齢基礎年金に上乗せされる老齢厚生年金です。
報酬比例部分は対象者の生年月日や給与などによって変動するため、都度計算する必要があります。
また、遺族厚生年金は受給者が老齢厚生年金を受給しているかによっても金額が異なります。
他にも65歳前後で金額は変わるため、それぞれのケースにおける遺族厚生年金の受給額算出方法を紹介します。
65歳までの場合
自分が65歳より若い場合、遺族厚生年金で受け取る金額は故人の老齢厚生年金における報酬比例部分の4分の3となります。
ただし、特定の条件下ではこの金額に中高齢寡婦加算として、受給額が上乗せされる場合もあるでしょう。
報酬比例部分に関しては、計算以外にもねんきん定期便やねんきんネットにて確認ができるようです。
65歳以降の場合
自分が65歳となり老齢厚生年金を受け取る場合は、自分の老齢厚生年金を超過する分の遺族厚生年金を受け取れます。
仮にそれ以前から遺族厚生年金を受け取っていた場合は、自分の老齢厚生年金を上回る分の遺族厚生年金しか受け取れません。
また、老齢厚生年金を受け取れない方の場合では、それ以前同様に故人の老齢厚生年金における報酬比例部分の4分も3が受給額となります。
こちらの場合は上記の金額に加えて、経過的寡婦加算というものが上乗せされる場合があるようです。
中高齢寡婦加算とは
中高齢寡婦加算とは、65歳未満の妻が遺族厚生年金を受け取る場合に、その受給額に加算される可能性のあるものです。
中高齢寡婦加算を受け取るためには複数の条件があり、そのいずれかに該当する方が受け取れます。
中高齢寡婦加算の条件のひとつは、故人が亡くなったときの妻の年齢です。
故人が亡くなったときに妻の年齢が40〜65歳だった場合は、中高齢寡婦加算の対象者となります。
この際、18歳未満または障害等級が1・2級となる20歳未満の子どもがいないことも条件です。
もうひとつは、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取っていた妻が40歳になったとき、子どもの年齢などが原因で遺族基礎年金を受け取れなくなった場合になります。
遺族基礎年金を受け取れなくなった際に40歳に到達していれば、その代わりとして中高齢寡婦加算を受け取れるのです。
また、夫の厚生年金への加入期間が20年未満の場合や他の年金を受けている場合は、中高齢寡婦加算の対象外となります。
経過的寡婦加算とは
経過的寡婦加算とは、65歳を超えて中高齢寡婦加算を受け取れなくなった際に代わりとして受け取れるものと思って良いでしょう。
中高齢寡婦加算がなくなり、年金の受給額が低下することを避けるための措置となります。
ただし、経過的寡婦加算は生年月日が昭和31年4月1日より前の妻のみが対象です。
65歳に到達した時点という条件もあるため、令和4年となる現在では経過的寡婦加算の対象者になることはありません。
遺族年金が支給されないケースがある
遺族年金は、いずれの種類においても受給条件があります。
受給条件をひとつでも満たしていない場合は、遺族年金を一切受け取ることはできません。
20歳以降、国民年金加入期間の内3分の2以上は納付を終えていることが条件になります。
もし3分の2以上を納付していなかった場合は、条件を満たせていないので支給を受けることはできないのです。
ただし、令和8年の3月31日までに限り、故人の死亡月を含む1年と2ヶ月の間に保険料の滞納が一切なければ、受給できる措置があります。
保険料の支払いなどは、特定条件下であれば免除を受けることもできるため、滞納だけはしないようにしましょう。
再婚すると遺族年金はもらえなくなる?
遺族年金とは、生計を維持していた家族が亡くなった際に遺族に支払われる救済措置のようなものです。
いずれかの遺族年金を受給している方が再婚した場合は、遺族年金の受給資格も失います。
この再婚についてですが、戸籍上だけにかかわらず事実婚などの社会的に夫婦と認められる状況も含むものです。
基本的には、生計を維持する者が家族に加わったことで遺族年金の必要性がなくなり、受給資格がなくなったものと思っていいでしょう。
ただし、故人の配偶者が再婚した場合でも、特定の場合に限り遺族年金の受給を継続できます。
その特定の場合についてと、その際に行うべき手続きについて紹介します。
再婚しても遺族年金をもらえる場合がある
再婚してしまえば、故人の配偶者には受給資格がなくなります。
ただし、遺族年金の受給資格は配偶者のみのものではありません。
つまり、遺族年金の受給を継続したい場合は、受給資格のある別の遺族が遺族年金を請求することで可能となっているのです。
遺族年金は基本的に、故人と関係の深い順番にひとりしか受給できないため、配偶者が受給資格を失った時点でその子どもに受給資格が移ります。
子どもが遺族年金を請求することで、遺族年金の受給を継続できます。
ただし、受給資格のある子どもと認定されるためには一定の条件があります。
子どもが受給資格を得るための条件は以下の通りです。
18歳または障害等級1・2級にあたる20歳未満の未婚者
故人の配偶者と生計を一にしていない
再婚する配偶者が、成人前の子どもと別居して再婚した場合のみ、子どもが受給資格を得られるのです。
遺族年金受給中に再婚した場合に行う手続き
故人の配偶者で遺族年金を受給している方が再婚し、遺族年金の受給が不可能となった場合「遺族年金失権届」を提出する必要があります。
遺族年金失権届は、お住まいの地域の年金事務所または年金相談センターに提出しましょう。
遺族基礎年金の場合は再婚日から14日、遺族厚生年金の場合は再婚日から10日が期限となり、期限を過ぎた場合はペナルティが発生します。
期限を過ぎて受給していた場合は、受給した金額の返金義務がペナルティのひとつです。
また、不正受給とみなされるため罰金や罰則などの措置を受ける場合もあるでしょう。
遺族年金失権届の提出は、必ず忘れないようにしてください。
夫が死亡した場合の遺族年金まとめ
ここまで夫が死亡した場合の遺族年金について解説してきました。
まとめると以下の通りです。
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金がある
遺族基礎年金は配偶者と子どもの人数で計算される
遺族厚生年金は65歳を境に受給方法が変わる
再婚した場合、故人の配偶者の受給資格がなくなる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
田中 大敬(たなか ひろたか)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。
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