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死亡後の手続き

配偶者(夫・妻)が死亡した時にすべき手続きは?時系列ごとに解説

更新日:2024.12.18 公開日:2022.06.10

死亡届

記事のポイントを先取り!

  • 死亡届は死亡から7日以内に提出する必要がある
  • 世帯主変更届の期限は死亡後14日以内である
  • 死後離婚では義両親との同居を解消しやすい

大切な配偶者を亡くし悲しみや混乱の中にある中、さまざまな手続きを進める必要がありますが、手続きにはそれぞれ期限が存在することをご存知でしょうか。

亡くなった配偶者が加入していた保険などの資格喪失の手続きや名義変更など、行う必要のある手続きは多岐に渡ります。

停止や変更手続きだけでなく、生計を共にしていた配偶者が亡くなり金銭的な負担が生じる遺族が受け取れる年金もあるため、期限以内に手続きを進める必要があります。

そこでこの記事では、時系列ごとに配偶者が亡くなった際の手続きを詳しく説明していきます。
近年増えている「死後離婚」についても触れているのでぜひ最後までご覧ください。

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  1. 死亡後すぐに行う手続き
  2. 49日までに行う手続き
  3. 1年以内に行う手続き
  4. 2年以内に行う手続き
  5. 5年以内に行う手続き
  6. 相続に関する手続き
  7. その他の手続き
  8. 配偶者が死亡した後の手続きで注意する事
  9. 死亡後の手続き一覧表
  10. 近年増えている「死後離婚」とは?
  11. 配偶者が死亡した際の手続きについてのよくある質問
  12. 配偶者が死亡した時にすべき手続きのまとめ
  13. 六甲法律事務所
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死亡後すぐに行う手続き

まずは死亡後に行うべき手続きについて紹介していきます。
以下を参考にして手続きを進めていってください。

死亡診断書の受け取り

病院で亡くなられたケースでは、病院側で死亡診断書が作成されます。
死亡診断書は死亡届とセットになっており、その後の手続きにも必要になるので、なくさないように注意しましょう。

事故死や自殺、突然死などの場合には死因を特定する必要があり、警察が介入してから死体検案書が作成されます。

死亡届の提出と火葬許可証の受け取り

死亡届に必要事項を記載して市町村役場に提出します。
このときに火葬許可申請書も一緒に提出するとスムーズに手続きができます。

火葬許可申請書が受理されたら、火葬許可証が交付されることになります。
なお、死亡届の提出には期限があり、死亡の事実を知った日から7日以内に提出する必要があります。

葬儀会社の手配

病院からご遺体を安置する自宅などに搬送するためにも、葬儀会社を手配する必要があります。
あらかじめ利用する葬儀会社を家族間で話し合って決めておくことをおすすめします。

決まっていないケースでは、病院側から紹介を受けることができる場合もありますが、死亡後には慌ただしくなりますので、事前に決めておくとスムーズです。

葬儀・初七日法要

配偶者が火葬許可証を市町村役場から受け取ったら、葬儀社へ渡し葬儀と火葬を行います。

現在では仕事の都合や、親族が法要に集まれないなどの理由から初七日法要を葬儀当日に行うのが主流です。
火葬が終わると証印が押された火葬許可証が返却されるので、大切に保管してください。

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49日までに行う手続き

次に四十九日までに行うべき手続きについて紹介していきます。
それぞれに期限が定められていますので、その点にも注意してご覧ください。

世帯主変更届

故人が世帯主であったケースでは、世帯主変更届の手続きを行う必要があります。
この手続きは市町村役場で行うことができ、期限は死亡後14日以内になります。
提出先は戸籍・住民登録窓口で、住民異動届出を提出する必要があります。

窓口で故人が亡くなったことを伝え、書類を受け取り、必要事項を記入して提出する流れになります。

なお、このあとに説明していく「健康保険の資格喪失届出」や「国民年金・厚生年金の資格喪失届出」などと一緒に提出すればスムーズに手続きができます。

健康保険の資格喪失届出

健康保険の手続きは、どの保険に加入していたかによって手続きの方法が異なります。

協会けんぽや健保組合


会社員などが加入する協会けんぽや健保組合の場合は、事業主に死亡を報告すれば手続きを行なってくれます。
事業主は亡くなった日から5日以内に手続きをする必要があるので、速やかに会社に連絡しましょう。

国民健康保険


自営業者などが加入する国民健康保険の場合は、市町村役場の医療保険課の窓口に提出します。
期限は死亡後14日以内で、資格喪失届被保険者証死亡の事実が分かる資料の3点を一緒に提出することになります。
自治体によっては、死亡届を提出すれば国民健康保険の届出が不要な場合もあります。

後期高齢者医療制度


75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度の場合も、死亡から14日以内に届け出て、保険証を返却しなければなりません。

いずれの健康保険でも、埋葬料や葬祭費が支給されたり、マイナンバーの登録を行っていると手続きが省略できたりする制度もあります。
また、被扶養者として健康保険に加入していた場合、扶養者の方が亡くなってから14日以内に自分で国民健康保険に加入する必要があるので、注意が必要です。

国民年金・厚生年金の資格喪失届出

役所の所定の資格喪失届出や年金受給権者死亡届(報告書)、年金手帳、死亡の事実が分かる資料などと一緒に提出します。

国民年金

国民年金の資格喪失届は、市区町村役場の年金課の窓口あるいは年金事務所に提出します。
年金を受給していた方が亡くなった場合、死亡後10日以内に資格喪失届を提出しなければなりません。

サラリーマンの妻など、国民年金の第3号被保険者の場合、配偶者が亡くなった日から14日以内に第1号被保険者になる手続きを行なわなけれなばりません。

厚生年金(年金受給権者)

厚生年金(年金受給権者)資格喪失届は、国民年金と同様に市区町村役場の年金課の窓口あるいは年金事務所に提出します。
年金受給者が亡くなった場合、死亡後14日以内に資格喪失届の提出が必要です。

厚生年金(被保険者)

厚生年金(被保険者)資格喪失届は事業主に提出します。
死亡後5日以内に資格喪失届の提出をしなければなりません。

健康保険、年金等の資格喪失届の提出期限に関して

健康保険は3種類存在しそれぞれの期限と窓口は以下のようになります。

健康保険の種類期限窓口
協会けんぽや健保組合5日事業主
国民健康保険14日市区町村
後期高齢者医療制度14日市区町村

年金の場合、故人がすでに年金を受けている(年金受給権者)か、被保険者(現役世代)かによって、また、年金の種類によっても提出期限が異なるようです。

年金の種類期限窓口
国民年金(年金受給権者および被保険者)14日年金事務所など
厚生年金(年金受給権者)10日年金事務所など
厚生年金(被保険者)5日事業主

年金保険関連は、ものすごく複雑で用語の定義も誤解しやすいです。ご自身でどの種類に当てはまるのかご確認の上、手続きを進めてください。

介護保険の資格喪失手続き

死亡した配偶者が65歳以上または40歳〜64歳で要介護認定を受けていた場合は、介護保険の資格喪失手続きが必要です。

手続きの期限は配偶者の死亡後14日以内に行います。

提出する書類は、住民票があった市区町村の役所に「介護保険資格喪失届」と「介護保険被保険者証」を提出します。

ただし、住民票があった市区町村の役所によっては、死亡届を提出するだけで手続きが完了する場合があります。

その他にも、介護保険被保険者証を返却するだけで手続きが完了する場合や、電話での通知で完了する場合もあるため、事前に確認することをおすすめします。

雇用保険受給資格者証の返還

雇用保険受給資格者証の返還は、受給していたハローワークで行えます。
返還の期限は死亡後1カ月以内で、手続きの際には受給資格者証、死亡診断書もしくは死体検案書、住民票などが必要になります。

故人が死亡した際に受給している雇用保険があるか事前に確認し、手続きを忘れないようにしましょう。

1年以内に行う手続き

次に1年以内に行うべき手続きについて紹介していきます。
以下を参考にして手続きを進めていってください。

所得税の準確定申告

故人が自営業者や動産所得があったケースでは、確定申告が必要になるので、相続人が故人の代わりに確定申告をします。

これを準確定申告と呼び、この期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内と短いので注意が必要です。
この期限を過ぎると延滞税などのペナルティを課せられるケースもあります。

申告先は故人の住所がある地域を管轄している税務署になります。
計算期間としては、亡くなった年の1月1日〜死亡日までになりますが、計算方法が難しいケースもあるので、心配な場合には税理士に相談することをおすすめします。

相続税の申告

遺産の総額が相続税の基礎控除額を超えている場合には、相続税の申告が必要になります。
基礎控除の計算式は以下の通りです。

3000万円+600万円×法定相続人の数=基礎控除

相続税の申告の期限は、相続を開始した翌日から10カ月以内になります。
この期限を過ぎると、ペナルティが課せられることになりますので注意しましょう。

相続税の申告は、故人の住所がある地域を管轄している税務署になります。

相続の中に不動産があるケースでは特に注意が必要で、計算方法が複雑になるので経験豊富な税理士に相談することをおすすめします。

遺留分侵害額請求

遺言を優先され、自身の遺産相続分が法定相続分よりも少ない場合には、遺留分侵害額請求をすることで、一定の割合の遺産を取り戻すことができます。
この割合のことを遺留分といい、遺留分は故人との関係性によって定められていますので以下にまとめます。

  • 例1 配偶者:4分の1、子ども:4分の1(あたまわり)
  • 例2 配偶者:3分の1、両親:6分の1(あたまわり)
  • 例3 配偶者:2分の1、兄弟姉妹はなし

遺留分侵害額請求には期限があり、相続の開始および遺留分の侵害がある事実を知ったときから1年以内、あるいは相続開始から10年以内になります。

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2年以内に行う手続き

次に2年以内に行うべき手続きについて紹介していきます。
期限が長いと忘れがちですので、以下を参考に早めに手続きを済ませておくことをおすすめします。

国民年金の死亡一時金請求

故人が国民年金の加入者であったケースでは、死亡一時金がもらえるので請求の手続きが必要です。

具体的に言いますと、国民年金の加入期間が3年以上で、老齢基礎年金や障害基礎年金が受給されずに亡くなったケースで支給されます。
支給額としては、保険の加入期間によって前後しますが、12万〜32万円程度が一般的になります。

申請の際に必要なものを以下にまとめます。

  • 故人の年金手帳
  • 申請者の戸籍謄本
  • 故人の死亡が分かる除籍謄本
  • 故人と世帯全員の住民票
  • 請求する人の預貯金通帳

状況によってはこの他にも必要なものがあることもあるので、詳しくは市区町村役場や年金事務所、年金センターに確認することをおすすめします。

埋葬料請求

故人が社会保険に加入していたケースでは、健康保険組合に埋葬料を請求することができます。

加入していた健康保険が、健康保険組合あるいは協会けんぽの場合、「埋葬料」の名目で5万円を受け取れます。
期限は死亡後2年以内です。

埋葬料請求に必要なものを以下にまとめます。

  • 健康保険埋葬料請求書
  • 健康保険証
  • 死亡診断書  ※コピー可になります
  • 葬儀費用の領収証など

また、故人が国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していたケースでは、葬祭費の請求が可能です。
葬祭費の費用としては、市区町村によって金額が異なり、1〜7万円程度が一般的になります。
期限は葬儀から2年以内です。

高額療養費支給申請書

高額療養費支給とは、故人が1カ月以内に一定以上の医療費を支払っていた場合に一定額を超過した金額分の費用が返ってくるものになります。
例えば、70歳以上の一般所得者のケースでは、1万8000円以上の医療費が発生した場合が対象になります。

高額療養費支給申請書に申請に必要なものを以下にまとめます。

  • 請求する相続人の戸籍謄本
  • 該当する月の病院の領収書
  • 振込先の分かる預金通帳

5年以内に行う手続き

5年以内に行う手続きには「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の請求が該当します。
それぞれ、受給資格があるため以下でご紹介します。

遺族基礎年金の請求

遺族基礎年金は、死亡した配偶者が国民年金に加入していた場合に、故人に生計を維持されていた遺族が受け取れる年金です。

ただし、受給できる遺族には一定の条件が存在します。

故人に生計を維持されていた配偶者で子どもを持つ方」か「死亡した故人に生計を維持されていた子ども」のどちらかであれば遺族基礎年金を受給できます。

「子ども」とは、故人が死亡した年度の3月31日までに18歳以下である方、または障害年金の障害等級1級または2級を支給されている20歳未満の方を指します。

そのため、条件に該当する子どもがいない場合は遺族基礎年金は受け取れず、さらに子どもが成長して条件を超える年齢になると、遺族基礎年金の受給は停止されます。

また、生計を維持されていたという条件は、配偶者の死亡により年収が850万円または所得が655万5,000円未満になる状態を指します。

したがって、受給資格の「子どもを持つ配偶者」は妻と夫のどちらも該当するため、配偶者が死亡して受給資格がある場合は5年以内に請求手続きをすると良いでしょう。

遺族厚生年金の請求

遺族厚生年金は、故人が厚生年金保険に加入していた場合に、生計を維持されていた方が受け取れる年金です。

受給資格の優先順位は

  1. 子どもを持つ配偶者
  2. 子ども
  3. 子どものいない30歳未満の妻または子どものいない55歳以上の夫
  4. 55歳以上の父母
  5. 55歳以上の祖父母

です。
子どもの条件は、遺族基礎年金と同様になります。

また、子どものいない30歳未満の妻の受給期間は5年間と定められており、子どものいない55歳以上の夫と55歳以上の父母または祖父母は60歳から受給が開始されます。

遺族の年齢によって受給開始時期や受給できる期間が異なりますが、配偶者が死亡してしまった遺族を支える年金のため、条件を確認して請求手続きを行うようにしましょう。

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相続に関する手続き

次に配偶者が死亡した後にすべき相続に関する手続きについて紹介していきます。
相続関係はトラブルになるケースも多いので以下を参考にして手続きを進めていってください。

遺言書の有無の確認

遺言書は死後の手続きにおいて非常に重要な書類です。
そのため、故人が遺言書を書いていないかどうかは確実に確認するようにしましょう。

遺言書には公正証書遺言・秘密証書遺言と自筆証書遺言があり、それぞれ確認方法が異なります。

公正証書遺言は近隣の公証役場に問い合わせると、遺言書の有無が確認できます。
遺言書の内容をデータベース化するので、どこの公証役場でも遺言書の有無を照会できますが、この問い合わせができるのは配偶者や相続人か、その代理人に限定されます。

秘密証書遺言は故人が死亡する前に作成し、自分で保管するので遺族が心当たりのある場所を探す必要があります。
この方法はあまり使われませんが、遺言書の有無を確認したい場合は、公証役場に問い合わせてみましょう。

自筆証書遺言は公証役場で保管していないので多くの場合、遺言書を自宅の棚、タンス、金庫、書斎、机の引出しや仏壇付近に保管している可能性が考えられます。
銀行の貸金庫、信託銀行、行政書士や弁護士などに預けたり、遺品整理の際に遺言書を見つける場合もあるようです。

遺言書の検認

遺言書があることで、故人の希望に沿って遺産分割が行われていくケースが多いです。
そのため、まずは遺言書の有無を確認しましょう。

中には公正証書遺言を残しているケースもあるので、故人の自宅だけでなく、公証役場でも確認することをおすすめします。
故人が自ら記載した遺言書が見つかったら家庭裁判所にて検認を受ける必要があります。

検認は故人の住所を管轄している家庭裁判所にて行うことができ、必要な費用は収入印紙800円と連絡用の郵便切手代になります。

必要な書類としては、故人の出生時から亡くなるまでの全ての戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本などです。

状況によっては、この他にも必要なものがあるので、詳しくは最寄りの家庭裁判所に相談することをおすすめします。

相続人と相続財産の調査

親族が亡くなられた際には、相続人が誰に当たるのか調査をする必要があります。
故人の出生時から亡くなるまでの全ての戸籍謄本を集めて調べていくことになります。

戸籍謄本は本籍地の市町村役場にて申請すれば発行してもらえます。
申請先は故人の本籍がある市町村役場になります。

相続人の調査に必要な書類を以下にまとめます。

  • 申請書
  • 除籍謄本
  • 申請者の身分証明書

相続人の調査と同時に故人の相続財産調査も行っていきましょう。
故人にはどの程度の遺産があるのか通帳などの資料を探したり、金融機関に問い合わせて残高証明書を発行してもらうといいです。

また、証券会社に確認したり、法務局から不動産の全部事項証明書を取得して調べていくといいです。
相続財産と言えば、不動産や預貯金、土地や住宅などのプラスの財産に目がいきがちですが、借金などのマイナスの財産の有無も確認することが大切になります。

相続放棄・限定承認

相続財産の調査にて故人に多額のマイナスの遺産があったケースでは、相続放棄限定承認を検討するといいです。

相続放棄した場合には、プラスの財産も含めて故人の全ての財産を相続しないこととなります。
限定承認とは、資産超過であればプラスになった部分だけを承継できるものになりますが、相続人全員で手続きする必要があります。

相続放棄や限定承認は故人の住所があった地域を管轄している家庭裁判所に申請することで手続きができます。

相続放棄に必要な書類は以下の通りです。

  • 被相続人の除籍謄本
  • 被相続人の住民票除票
  • 申述人の戸籍謄本

限定承認の場合には、この他にも被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本類やその他の戸籍謄本類、財産目録なども必要になるので必要資料が多くなります。

申請期限としては、被相続人の死亡を知ってから3か月以内になります。
費用は収入印紙800円と郵便切手代が必要です。

遺産分割

相続人が複数いる場合には、全ての相続人が集まって遺産分割協議を行う必要があります。
ここで話し合いをすることで相続分割を行っていくのですが、話し合いにて相続分割が決定しないようなケースでは、家庭裁判所で遺産分割調停を行います。

遺産分割調停でも決まらないケースでは、遺産分割審判が必要になります。

不動産の名義変更

遺産分割が決定したら次は相続した不動産の名義変更の手続きを行います。
名義変更は不動産の管轄の法務局に申請しましょう。

不動産の名義変更に必要な書類は以下の通りです。

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続するもの)
  • 被相続人の住民票除票
  • 相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、住民票
  • 遺産分割協議書または遺言書
  • 固定資産評価証明書
  • 相続関係説明図

預貯金の名義変更

相続した財産に預貯金があったケースでは、取引先の金融機関にてできるだけ早めに名義変更や払い戻しの手続きを行いましょう。

ただし、金融機関は預貯金者の死亡を知ると、ただちにその口座を凍結します。
葬儀費用や故人の生前の医療費などで多額の費用を支払わなければならないケースもあるので注意が必要です。

預貯金の名義変更に必要なものを以下にまとめます。

  • 名義変更や払い戻しの申請書
  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続するもの)
  • 被相続人の預貯金通帳、銀行印、キャッシュカード
  • 相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書
  • 遺産分割協議書または遺言書

株式の名義変更

故人が株式取引を行っており、それを相続した場合には証券会社にて名義変更の手続きが必要になります。

株式の名義変更に必要な書類は一般的に以下のものです。

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続するもの)
  • 相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書
  • 証券会社への届出印
  • 相続人の証券口座が分かる資料
  • 遺産分割協議書または遺言書

この他にも書類が必要となるケースもあるので、詳しくは利用している証券会社に確認しましょう。

自動車の名義変更・処分

遺産の中に自動車があり相続をしたケースでは、名義変更あるいは売却や廃車の処分を行う必要があります。

名義変更は陸運支局に申請することで行うことができますが、ディーラーや車屋に相談すると代行してもらえることもあります。

自動車の名義変更に必要な書類を以下にまとめます。

  • 被相続人の除籍謄本など
  • 相続人全員の記載がある戸籍謄本又は戸籍の全部事項証明書
  • 相続人全員の印鑑登録証明書、実印
  • 遺産分割協議書または遺言書
  • 車検証
  • 車庫証明書  ※車の保管場所が変わるケースで必要です

単独で相続する場合と、複数で相続する場合で手続きに若干の違いがあります。

その他の手続き

ここまで期限ごとに時系列に沿って手続きを紹介してきましたが、上記以外のその他の手続きについて以下で紹介していきます。

運転免許証の返納

故人が運転免許証を持っていたケースでは、免許証をなるべく早めに警察署または自動車安全運転センターに返納しましょう。

この際に必要な書類を以下にまとめます。

  • 免許証
  • 亡くなったことを証明する書類(死亡診断書の写し、住民票の除票など)
  • 提出者の身分証明書と印鑑

死亡退職届

会社で勤務していた方が亡くなったケースでは、死亡退職とみなされるので死亡退職届を勤務先の会社に提出する必要があります。

遺族が会社に対して死亡退職届を提出することが一般的です。
この際には、社員証などの身分証明書や会社用の携帯電話などの会社側から貸し出されていたものがあれば返却しましょう。

クレジットカードの解約

故人がクレジットカードを契約し利用していた場合には、早急に利用停止手続きを行う必要があります。

クレジットカードの裏面には、カード会社の電話番号が記載してあるので、連絡をすれば利用を止めてもらうことができます。

生命保険・入院保険

故人が生命保険や入院保険に加入していた場合には、生前に指定していた受取人に保険金が支払われます。

期限は死亡後3年以内ですが、指定されている受取人は早めに生命保険会社に連絡して保険金の請求をしましょう。

保険金の受け取りには以下のものが必要になります。

  • 保険証書
  • 亡くなった方の除籍謄本
  • 受取人の身分証明書
  • 印鑑

詳しい手続きや必要なものは生命保険会社に直接確認することをおすすめします。  

電話の名義変更または解約

故人が固定電話や携帯電話の契約をしていたケースでは、そのまま放置すると基本料金がかかり続けてしまいます。

なお、利用し続けるケースであっても契約者の名義変更や番号の引き継ぎ、支払い方法の変更などの手続きが必要になります。

公共料金の名義変更または解約

故人の名義にて水道代や光熱費などの公共料金を契約していたケースでは、早急に名義変更の手続きが必要になります。

契約している電力会社やガス会社、水道代であれば市区町村に連絡をすれば手続きを行うことができます。

パスポートの失効手続き

故人がパスポートを持っていたケースでは、パスポートの失効手続きを行う必要があります。
パスポートセンターに行けば手続きを行うことができます。

手続きに必要なものを以下にまとめます。

  • パスポート
  • 亡くなったことを証明する書類(死亡診断書の写し、住民票の除票など)
  • 申請する人の身分証明書

ゴルフ会員権の名義変更

ゴルフ会員権相続は名義変更の手続きが必要になり、相続税が発生する可能性があります。クラブの規約で名義変更ができない場合もあるので、ゴルフクラブに問い合わせてみましょう。

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配偶者が死亡した後の手続きで注意する事

次に配偶者が死亡したあとの手続きにおいての注意点を紹介します。
以下で詳しく紹介していきますので参考にしてください。

死亡診断書はもらったら必ずコピーをしておく

死亡診断書は死亡後の手続きで提出を求められるケースが多いです。
そのため、必ずコピーを取っておきましょう。

万が一コピーした枚数が足りなかった場合には、再発行することが可能ですが、再度病院に行き、費用もかかるので手間や時間がかかってしまいます。

そのため、多めに10枚程度コピーをしておくことをおすすめします。

すべきことを忘れないためにチェックリストを作る

人が亡くなるとやるべきことが多く大変になります。
大切な人を失って悲しみや混乱が強い中では、普段は問題なくできることであっても、抜けがちになります。

そのため、期限ごとにやるべきことをチェックリストにまとめて漏れないように工夫していくことをおすすめします。

死亡後の手続き一覧表

死亡後の手続きは死亡届・火葬許可申請書の提出から始めます。
死亡後の手続きのほとんどは期限があるため、期限を守るようにしましょう。

以下に必要な手続きをリストにしてまとめたので、ご参考にしてください。
手続きの期限や望ましいタイミングもまとめてあります。

必要な手続き手続き期限・タイミング
死亡診断書の受け取り死亡当日
死亡届の提出死亡後7日以内
火葬許可申請書の提出死亡届提出のタイミング
葬儀会社の手配なるべく早く
世帯主変更届死亡後14日以内
健康保険の資格喪失届出世帯主変更届提出のタイミング
国民年金・厚生年金の資格喪失届出世帯主変更届提出のタイミング
雇用保険受給資格者証の返還 死亡後1か月以内
所得税の準確定申告 相続開始の翌日から4か月以内
相続税の申告 相続開始の翌日から10か月以内
遺留分侵害額請求 遺留分の侵害判明後1年以内
国民年金の死亡一時金請求 死亡日の翌日から2年以内
埋葬料請求 死亡後2年以内
高額療養費支給申請書 診察月の翌月から2年以内
遺言書の検認 申し立て後1か月程度で判明
相続人と相続財産の調査 なるべく早く
相続放棄死亡後3か月以内
遺産分割早急に
不動産の名義変更早急に
預貯金の名義変更早急に
株式の名義変更 死亡後5年以内
自動車の名義変更・処分所有者の変更から15日以内
運転免許証の返納早急に
死亡退職届早急に
クレジットカードの解約早急に
生命保険・入院保険死亡後3年以内
電話の名義変更または解約早急に
公共料金の名義変更または解約早急に
ゴルフ会員権の名義変更早急に
パスポートの失効手続き早急に
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近年増えている「死後離婚」とは?

最後に近年増えている死後離婚について紹介していきます。
このことばを初めて耳にした方もいるかと思いますので、まずは死後離婚の意味合いから紹介していきます。

死後離婚とはその名の通り配偶者が亡くなったあとに配偶者側の親族とのつながりを終了させたいなどの理由で、婚姻関係を終わらせる手続きのことです。
姻族関係終了届を提出することによって、死後離婚が成立します。

死後離婚をする方は年々増加しており、ここ最近の10年間では届出数が2倍程度にもなっているといわれております。

メリットやデメリットについて以下で紹介していきますので、参考にしてください。

死後離婚のメリット

死亡離婚のメリットについて以下にまとめます。

  • 義理の両親との同居を解消しやすい
    配偶者が亡くなったあとも義理の両親と同居を続けるケースが多いですが、死後離婚で別居しやすくなります。
  • 仲の悪かった夫と死後に関係を断てる
    夫と不仲であったケースでは、関係を絶つことでストレスが減ることにつながります。
  • 遺産は相続できる
    遺産は相続できるので経済的に不安がある方でも安心して死後離婚できます。
  • 祭祀承継者にならなくて良い
    夫の死後に夫の実家のお墓や仏壇の管理をする負担がなくなります。
  • 遺族年金はもらえる
    遺族年金はもらえるので経済的な負担を考えなくて済みます。

死後離婚のデメリット

死亡離婚のデメリットについて以下にまとめます。

  • 子どもとの関係が悪化するおそれがある
    死後離婚をすることで子どもが悲しみ、関係性が悪くなるリスクがあります。
  • 夫のお墓参りや法要への参加が難しくなる
    夫との関係性は良いが、義理の両親との関係性を絶ちたい場合には、仏事に参加しにくくなることがあります。
  • 提出したら、取り消せない
    一度提出すると元に戻せないので、よく考える必要があります。

配偶者が死亡した際の手続きについてのよくある質問

配偶者が死亡した際の手続きについてのよくある質問をご紹介します。

旦那が死んだら何をする?

配偶者が亡くなられたらまずは家族間で話し合い、葬儀会社を決めて葬儀社のスタッフと相談しながらお通夜や葬儀などの流れを決めていきましょう。
親族や故人の友人・知人への連絡も必要です。

この他にもやるべきことはたくさんあるので、期限ごとに優先順位を決めて手続きしていくことをおすすめします。

死亡 役所手続きいつまで?

死亡届は死亡の事実を知ってから7日以内に提出する必要があります。
葬儀の際には火葬許可証が必須になるので、火葬許可証も一緒に申請することをおすすめします。

自治体や葬儀会社によっては、家族が亡くなった場合にするべき手続きをまとめた一覧表などを作成している場合があります。
それを参考に、遅滞なく手続きを進めていきましょう。

亡くなった人の預金はどうなる?

故人の預貯金は死亡の事実を銀行に伝えなければそのまま残っていますが、相続トラブルを防ぐためにも、速やかに連絡することをおすすめします。

連絡して銀行が口座名義人の死亡の事実を把握した時点で口座は凍結されます。

死亡後の手続き いつから?

死亡後にすべき手続きは非常にたくさんありますが、どの手続きもできるだけ早めに行うことが大切になります。
期限を意識して優先順位をつけていくことをおすすめします。

相続などの相談は誰に行えばいい?

相続の相談先や手続き先は内容によって細分化されています。

遺産相続で揉めている場合や裁判になりそうな場合は、弁護士に相談しましょう。
また、相続税など税金に関する相談は、税理士に相談するようにしましょう。

不動産相続や、相続登記の手続きに関することは司法書士に、行政に提出する書類作成や必要書類の収集は行政書士に相談することもできます。

銀行や信託銀行は、遺産相続に必要な情報提供や、業務を請け負っているので相談してみるのもよいでしょう。
場合によっては専門家を紹介してくれる窓口となってくれます。

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配偶者が死亡した時にすべき手続きのまとめ

ここまで配偶者が死亡した際にすべき手続きなどを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 国民年金・厚生年金の期限は資格喪失届は死亡後14日以内である
  • 準確定申告の期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内
  • 遺産の総額が相続税の基礎控除額を超えている場合には相続税の申告が必要

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

六甲法律事務所

神戸の街で弁護士として15年。現在は六甲法律事務所パートナー弁護士。
遺産分割や遺留分請求、遺言書作成など相続の案件を数多く扱う。
交渉案件はもちろん、調停・審判や裁判事案の経験も豊富。
相続人の使い込み事案などの複雑な事案も対応している。
活動範囲を兵庫から大阪に広げつつ、オンラインでも相談や受任対応。

 

遺言書で遺留分対策を行う場合や侵害された場合の対応はこちら
親が養子縁組をして相続人たる兄弟姉妹になった場合に代襲相続できるかどうかはこちら
遺言書が無効かどうかと遺留分の関係はこちら

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