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公正証書遺言は開封しても問題ない?開封のタイミングについても紹介
更新日:2022.05.01 公開日:2022.05.22

記事のポイントを先取り!
- 公正証書遺言は公証役場で管理される遺言書
- 公正証書遺言は勝手に開封しても問題ない
- 公証役場で公正証書遺言の原本を確認できる
人が生前に残す遺言書には、大きく分けて3種類あるのをご存知でしょうか。
その中でも、公正証書遺言を開封する際の注意点などを知っておくことも大切です。
そこでこの記事では、公正証書遺言の開封について解説します。
この機会に、公正法書遺言の開封タイミングも知っておきましょう。
後半には公正証書遺言の原本を確認する方法についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 公正証書遺言とは
- 公正証書遺言を勝手に開封したらどうなる?
- 自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合
- 公正証書遺言を開封する時期は?
- 意図的に遺言書を開封しないとどうなる?
- 公正証書遺言の原本を確認するには
- 公正証書遺言の探し方
- 公正証書遺言の開封についてのまとめ
公正証書遺言とは
遺言書は大きく3種類に分かれますが、一般的には自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらかで作成されます。
自筆証書遺言は、故人が直筆で書き残した遺言書であり、正式な開封が認められた際にその効力が発生する遺言書です。
公正証書遺言は、公証役場にて複数名の証人のもと行われる遺言書作成方法であり、公証人が書面を書き役場で保管することから、正確かつ安全な遺言書になります。
自筆証書遺言では予想外のトラブルに発展したり、そもそも遺言書が見つからなかったりすることもあるでしょう。
公正証書遺言であれば、トラブルの心配も少なく確実な遺言を残すことができます。
遺言書には秘密証書遺言と呼ばれる、遺言書の存在だけを明らかにして誰にも内容を確認させないものもあります。
それぞれ手続きなどに差異もあるため、実際に遺言書を残す際は目的に応じて作成方法を選ぶと良いでしょう。
公正証書遺言を勝手に開封したらどうなる?
遺言書を見つけたとしても勝手に開封してはならない、という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。
これには遺言書の正確性を求める役割があるため、遺言書の種類によって適用される場合とされない場合があります。
公正証書遺言について、勝手に開封してもいいのかどうかと、その際に心配される偽造について解説します。
勝手に開封しても問題ない
遺言書は原則、勝手に開封してはいけません。
ただし、その遺言書が公正証書遺言によって作成されたものであれば、遺族が勝手に開封することが認められています。
これはその作成方法に起因しており、遺言書の作成段階で誰が関与しているのか、またその管理がどうなっているのかがポイントです。
自筆証書遺言の場合、そもそも故人がひとりで書き残して管理しているため、その内容を知っているものは故人のみで遺言書も1枚しかありません。
秘密証書遺言も基本的に故人のみが内容を知っていて、原本も故人の管理下にあります。
対して公正証書遺言は、証人や公証人に内容を確認しつつ書面を残し、その原本は公証役場にて保管するため故人が持つのは写しでしかありません。
故人以外に内容を知っている者がいる、原本の管理が役場であるといった観点から、公正証書遺言に限っては勝手に開封しても問題ないとされています。
偽造の心配は?
勝手に開封した際の一番の不安点として、遺言内容の改ざんについて考える方も多いでしょう。
実際、自筆証書遺言や秘密証書遺言において検認を必要とする一番の理由はその点になります。
しかし、公正証書遺言に限ってはその心配もありません。
公正証書遺言によって作成された遺言書の原本は役場にて管理されているため、仮に故人の持つ写しを改ざんしたとしても、その内容が適用されることはないのです。
公正証書遺言で遺言内容を確認する際は、役場に保管されている原本を確認します。
いくら写しを改ざんしようとも原本の改ざんはできないため、遺言書の偽造を心配する必要はないでしょう。
また、改ざんではなく別の遺言書を偽造している方がいたとしても、公正証書遺言のように役場を通している遺言書の内容が優先されます。
そのため、不備や不審点がない限りは、相続人全員の合意なくして公正証書遺言の内容が変更されたり無効にされたりすることはありません。
自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合
公正証書遺言の場合は勝手に開封しても問題ありませんが、その他の方法で作成された遺言書は少し異なります。
自筆証書遺言や秘密証書遺言を勝手に開封してしまった場合、どのような問題が発生するのかを解説するので、ぜひ覚えておきましょう。
遺言書は家庭裁判所で検認が必要
遺言書を見つけた場合は原則、家庭裁判所にて検認をしなければなりません。
検認というのは、相続人と裁判官などの立会のもとで遺言書を開封し、その内容や書式に不備がないかどうかを確認することです。
この検認が正確に行われることで初めて遺言書の内容が公的に認められるため、検認を終えていない遺言書に効力はありません。
公正証書遺言についてはこの限りではありませんが、自筆証書遺言や秘密証書遺言のように、原本を個人管理している場合は必ず検認してください。
勝手に開封した場合
遺言書を勝手に開封することが禁止されているとはいえ、その事実を知らずに開封してしまう方もいるかもしれません。
検認が必要とされてはいるものの、仮に遺言書を勝手に開封したとしても基本的には罰則が発生することはありません。
また、その遺言書が無効になることもないでしょう。
罰則がないのはあくまで、意図せず開封してしまった場合に限ります。
検認の必要性を知ったうえで事前に開封したことが明らかとなった場合や、内容の改ざんや不審点が認められた場合では事情が異なります。
意図的な開封であっても罰則がないケースはありますが、原則としては5万円以下の罰金が科せられることになっています。
遺言書を見つけた場合は、基本的には検認をするようにしましょう。
公正証書遺言を開封する時期は?
公正証書遺言はすでに公証役場の許可を得た遺言書といえます。
そのため、その効力は遺言書の存在を知った時点で発生しているものとなり、検認の必要もないことからいつ開封しても問題ありません。
ただし、いつでも開封していいというのは、あくまで効力や罰則に関しての問題がないというだけです。
遺族間のトラブルなどを避けるためにも、公正証書遺言であっても相続人全員の立ち会いのもと開封することをおすすめします。
全員の立ち会いは難しいとしても、事前に相続人全員へ連絡しておくことで、後からトラブルに発展する可能性を少なくできるでしょう。
意図的に遺言書を開封しないとどうなる?
遺言書を見つけた場合、原則として相続人への連絡と検認や開封をする必要があります。
もし、最初に遺言書を見つけた方が意図的に遺言書を隠して黙っていた場合、法的処置はどうなるのでしょうか。
意図的な遺言書の隠匿については、その状況や目的によって処置が異なります。
まず、もっとも可能性の高い隠匿理由となる「自分に不利な遺言内容だったため隠匿した場合」は相続権利を失います。
基本的に、隠匿によりその隠匿者が利益を得る場合は、相続権利を失うものと思っておきましょう。
「相続人全員が意図して遺言書を隠匿した場合」や「自分に有利すぎる内容だったため遺族間トラブルを避けるために隠匿した場合」などでは、基本的に相続権利は残ります。
これは利益を目的とした隠匿理由ではないため、相続権利を失う要件を満たしていないからといえます。
ただし、遺留分侵害額請求など、相続内容が不利なものからの正当な請求を拒むための隠匿であった場合は、相続権利を失うケースもあります。
仮に遺言書が残っていたとしても、相続人全員の合意があれば分割内容の変更が可能です。
遺族間トラブルを避けるためだったとしても、その内容に不審点や不安点がある場合は、相続人同士で相談するようにしましょう。
隠匿理由がいずれの場合であっても、その事実が発覚してしまえばトラブルに発展しかねません。
故人のことも考え、遺族間で仲良く相続することこそ大切であるといえます。
公正証書遺言の原本を確認するには
自筆証書遺言や秘密証書遺言は故人が所持していたものが原本となるため、検認にて開封することで内容を公的に確認できるでしょう。
公正証書遺言の原本を確認する場合は、必要書類を持参のうえで公証役場にて手続きをする必要があります。
この手続きを行う際は故人がすでに亡くなっており、請求者が相続人または相続財産管理人などの利害関係にある人物でなければなりません。
公正証書遺言の原本確認請求の際に必要なものは以下の通りです。
- 故人の死亡を確認できる戸籍謄本
- 請求者が請求要項を満たした人物であることを証明する書面
- 写真付きの本人確認書類
- 実印
故人との血縁を証明できる戸籍謄本であれば、故人の死亡と自分と故人の関係をまとめて証明する書類になります。
相続人であれば、故人との関係が記された戸籍謄本で請求要項を証明できるでしょう。
本人確認書類については運転免許証やパスポートなど、一般的に利用される書類で問題ありません。
公正証書遺言の探し方
自筆証書遺言や秘密証書遺言は基本的に、故人が生前に自主管理しているものとなるため、自力で見つけるほかありません。
しかし、公正証書遺言のように役場にて管理している遺言書については、遺言検索システムで探すことができます。
これは公証役場で、必要書類を用意して相談すれば使えるシステムであり、公正証書遺言があるのかどうかや、どの公証役場に保管されているかを教えてくれるものです。
遺言検索システム自体はどの公証役場でも利用できるため、身近な公証役場を訪ねてみると良いでしょう。
必要書類については前項で紹介した、故人の死亡と故人との関係を証明できる戸籍謄本や書面、本人確認書類と実印です。
遺言書の有無がわからない場合は、公証役場にて一度確認してみることをおすすめします。
公正証書遺言の開封についてのまとめ

ここまで交渉証書遺言についての情報や、開封時の注意点を中心に解説してきました。
まとめると以下の通りです。
- 公正証書遺言は、公証役場を介した正確かつ安全な遺言書
- 公正証書遺言であれば、勝手に開封しても問題ない
- 利益を目的として遺言書を隠匿した場合は、相続権利を失う
- 遺言検索システムによって公正証書遺言の有無などを確認できる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者

袴田 勝則(はかまだ かつのり)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。