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公正証書遺言は絶対に無効にならない?無効になるケースについて解説

更新日:2022.05.01

遺言書

記事のポイントを先取り!

  • 公正証書遺言は正確かつ安全な遺言書
  • 公正証書遺言も無効になるケースがある
  • 相続人全員の合意があれば無効にできる
  • 遺言書無効の場合は遺産分割協議をする

自分の死後の遺産相続のために、財産分割などに関する情報を遺す「遺言書」についてご存知でしょうか。
遺言書の中でももっとも信用できるとされる「公正証書遺言」について知っておきましょう。

そこでこの記事では、公正証書遺言は絶対に無効にならないのかについて解説します。

この機会に、公正証書遺言が無効になるケースについても覚えておきましょう。
後半には公正証書遺言が無効になった際にやるべきことについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 公正証書遺言とは
  2.  公正証書遺言が無効になる事例
  3. 公正証書遺言が無効か確認するための流れ
  4. 公正証書遺言が無効になったらやるべきこと
  5. 公正証書遺言は無効にならないことについてまとめ
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公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公正証書として正確かつ安全に作成した遺言書のことです。
法務大臣が任命する公証人を介して遺言書を作成します。

法律に則った形式で作成される公正証書遺言は、ほぼ不備のない確実性の高い遺言書とされます。
また、役場にて保管することで遺言に関わるトラブルを最小限に抑えられます。

自分で書き記して残す遺言書のことを自筆証書遺言といいますが、あくまで個人が残した場合の遺言書は、検認と呼ばれる正式な開封手続きが必要です。
公正証書遺言であれば役所にて保管しているため、この検認作業を必要としないこともあり、遺族への負担が少ない遺言書であるといえます。

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 公正証書遺言が無効になる事例

公正証書遺言は、その作成段階の厳密さから無効になることはないと考える方も少なくないでしょう。
しかし、公正証書遺言であっても、その内容を無効とするケースはあります

例えば、実際の内容と遺言書の内容に錯誤があった場合や、遺言書の内容に不審点がある場合です。
公正証書遺言が無効となるケースの詳細を以下で紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 遺言者に遺言能力がない

遺言能力の有無とは、当人の判断能力に問題があるかないかということです。
遺言者となる作成依頼者が、作成時に遺言能力がないと判断される人物であった場合は、公正証書遺言であってもその効力は無効となります。

遺言能力がないとされる具体的な例は、認知症患者や精神障害者です。
また、満15歳未満の残した遺言書についても無効となります。

いずれの場合も、作成段階で遺言者に遺言能力がなければ作成できませんが、後から遺言能力がないと発覚した場合でも、その遺言書は無効となります。

口授を欠いていた

口授とは、公正証書遺言を作成する際に行われる手順であり、公証人が遺言者から遺言内容を口頭で受け取ることです。
この口授の内容について不備があると判断された場合には、その遺言書の内容も無効となります。

口授では、遺言者からの遺言内容の伝達とは別に、公証人が内容の正誤を遺言者に確認する手順もあります。
この確認が行われていない場合や遺言者の遺言能力に不審点があった場合などでは、口授を欠いたとされ、その遺言書の効力が無効となるのです。

立ち会った証人が不適格だった

公正証書遺言では、公証人とは別に2名の証人が必要となります。
この際に証人となり得る人物は以下の通りです。

  • 成年者
  • 相続人あるいはその家族でない人物
  • 財産を受け取る人物またはその家族でない人物
  • 公証人の5親等以上の人物
  • 公証役場の職員ではない人物
  • 公証人に雇われていない人物

基本的には、相続人と公証人の近親者または利害の関係を持っている人物が、証人としての権利を除外されるものと思っておきましょう。

上記の条件を満たしていなければ作成できませんが、後からその事実が発覚した場合でもその遺言書の効力は無効となります。

真意と内容に錯誤があった

本来の遺言内容と公正証書遺言の内容に違いが生じていた場合も、その遺言書の効力は無効となります。

この場合の錯誤にはさまざまな事例があり、少しでも誤りがあったと判断されれば無効とされるケースがあるようです。

遺言者の発言と誤った内容が書かれていた場合は当然ですが、遺言者の発言通りの内容であっても、その考え方や原因が誤っていれば無効とされます。

また、遺言内容に付随条件があった場合に、その付随条件が遺言者の真意通りに履行されなかった場合なども錯誤による無効の条件となりえます。
この条件については判断が困難なうえ、裁判を必要とするケースが多いので弁護士などに相談するようにしてください。

公序良俗に違反していた

公序良俗とは、社会的または道徳的に問題とならないかどうかを意味します。
この公序良俗に反するような遺言内容であった場合は、その遺言書の効力が無効となります。

公序良俗に反するか否かの判断としては、客観的に見た際に明らかに不自然でないかどうかを考えましょう。
例えば、表面上問題のない家族にもかかわらず、無関係な人物にすべての財産を相続する内容などであれば、明らかに不自然な相続といえます。

基本的には作成段階で拒否されるものですが、仮に後から公序良俗に反すると判断された場合でもその効力は無効とされます。

公正証書遺言が無効か確認するための流れ

公正証書遺言について、実際に効力があるかを確認するためにはいくつかの手順を踏む必要があります。
公正証書遺言だからといって考えなしに従ってしまうと、なんらかのトラブルに発展するケースもあるでしょう。

以下で説明する確認手順を参考に、遺言者の意思と相続人の納得を得られる相続をしてください。

他の相続人の意見を確認する

遺言書の内容は基本的に絶対的なものですが、そこには相続人の意見が関与する余地もあります。
遺言書というのは、法定相続人全員の意見が合致していれば、その内容を無効とすることができるのです。

そのため、事前に他の相続人に意見を確認することで、無効かどうかの確認をするまでもなく遺言内容を無効にできます。
ただし、この場合の無効条件は前述した通り相続人全員の合意です。
ひとりでも合意を得られない場合は条件を満たせないため、次の段階へと進める必要があります。

「家事調停」を申し立てる

相続人全員が合意しない場合、遺言書の無効を拒否する相続人との家事調停をしなければなりません
これは、相手側の相続人が住む地域の家庭裁判所に申し立てる調停になります。

この家事調停は、意見の異なる相続人と調停委員会の裁判官1名、調停委員2名の合計5名以上で行われる調停です。
各相続人の意見を聞いた調停委員会の人員が公正に判断し、その意見の内容が有効か無効かを判断します。

あくまで調停であり、この際の調停委員会からの意見は絶対的なものではなく、相続人全員の合意が得られなければ調停終了とはなりません。
この際、話し合いでは全員の合意を得られないと判断した場合は、次の段階である訴訟を起こすことになります。

「遺言無効確認訴訟」を提起する

家事調停でも意見がまとまらない場合は、「遺言無効確認起訴」を起こします。
遺言無効確認訴訟は、その遺言書の内容は公平ではないため無効とするべきだと申し立てることです。
この訴訟の中では専門知識を要する場面もあるため、訴訟を起こすのであれば弁護士へ依頼しましょう。
ただし、訴訟を起こしたからといって必ず無効となるわけではありません

もし取り分の少なさなどで遺言内容に不満がある場合は、遺留分侵害額請求により法的に定められている最低限の相続割合分までの金額を請求できます
遺留分侵害額請求についても別途手続きが必要なため、訴訟の際にお世話になった弁護士に相談しても良いでしょう。

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公正証書遺言が無効になったらやるべきこと

公正証書遺言であれ自筆証書遺言であれ、遺言書が無効となった場合には相続内容について再度決める必要があります。
そのため、遺言書がなかった場合などに行われる遺産分割協議をする必要があるでしょう。

ここでは、遺産分割協議やその手順などについて解説するので、ぜひ参考にしてください。

遺産分割協議とは?

遺産分割協議とは、故人の残した財産の相続内訳を決める協議です。
この協議は、法定相続人全員の参加が前提条件となっており、ひとりでも未参加の場合はその内容が認められることはありません。

遺言が無効となったことを知らない相続人がいた場合などは、すぐに予定などを確認するようにしましょう。
相続放棄や相続税の納税期限などもあるため、可能な限り早期に進めることをおすすめします。

遺産分割協議の進め方

遺産分割協議をするとなった場合、スムーズに進めるためにも法定相続分などの知識を身につけておくことをおすすめします。
法定相続分とは、法的に定められた相続人の順位に応じた相続割合です。

法定相続分に合わせてある程度の財産を分割し、うまく分けられないものなどについて相談していくことで全員が納得できる分割内容を定められます。

また、預貯金などであれば金額が数字でわかるので計算もしやすいですが、不動産などはその価値を定めなければなりません。
さまざまな方面から調査して遺産の価値を定めることを便宜的に評価といいますが、この遺産の評価を終えることでより正確な分割が可能となります。

遺産分割協議では、最終的に相続人全員の合意をもって分割内容を確定します。
法定相続分や遺産評価について解説しましたが、全員の合意が得られるのであればその内容は基本的に自由です。

法定相続分に従うにせよ相談により確定するにせよ、全員の合意が得られた後には遺産分割協議書の作成をします。
遺産分割協議書は遺産分割協議の内容に合意したことをまとめるものであり、これには相続人全員の署名や捺印が必須となります。
遺産分割協議書が完成したら、その後は各々で相続手続きを進めるようにしましょう。

また、遺産分割協議で内容を確定できない場合は、遺産分割調停・遺産分割審判といった確定方法もあります。
これは家庭裁判所の調停委員会に立ち会ってもらうことで助言をもらったり、公正な判断をしてもらったりする手段です。

どうしても全員の合意を得られない場合は、これら調停や審判も視野に入れておきましょう。

公正証書遺言は無効にならないことについてまとめ

ここまで公正証書遺言についての情報や、公正証書遺言が無効になった場合について解説してきました。
まとめると以下の通りです。

  • 公正証書遺言とは公証人を介して作成する遺言書
  • 公正証書遺言であってもその内容に錯誤や不審があれば無効となる
  • 遺言書は相続人全員の合意があれば無効にできる
  • 公正証書遺言が無効となった場合は、遺産分割協議を進める必要がある

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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