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公正証書遺言の証人になれる人は?証人がいない場合についても紹介

更新日:2022.05.01

遺言書

記事のポイントを先取り!

  • 公正証書遺言の証人は2人以上必要
  • 証人として認められない人もいる
  • 証人は遺言内容が本人の意思に沿っているか確認する

複数の方式がある遺言の中でも、最も確実な遺言方法と言われているものが公正証書遺言です。
その公正証書遺言を残すためには証人が必要となります。

そこでこの記事では、公正証書遺言を遺す際に必要な証人について詳しく説明していきます。

公正証書遺言の証人になれる人の条件や、証人がいない場合はどうすればいいかなども解説します。
また、公正証書遺言についても詳しく触れていきますので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 公正証書遺言とは
  2. 公正証書遺言の証人とは
  3. 証人として認められない人
  4. 欠格者が証人になるとどうなる?
  5. 証人がいない場合はどうすれば良い?
  6. 依頼した場合の費用
  7. 公正証書遺言に必要な書類
  8. 証人に選ばれたら何をする?
  9. 遺言書ごとに必要な証人の数
  10. 公正証書遺言の証人まとめ
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公正証書遺言とは

そもそも公正証書遺言とはどのようなものなのかについて説明していきます。

遺言の方式は一般的に、自筆証書遺言秘密証書遺言公正証書遺言の三種類に分かれます。

この三種類の中で、最も確実性や安全性が高いのが公正証書遺言だとされています。

自筆証書遺言と秘密証書遺言は遺言を残す遺言者が自らの手で書きますが、公正証書遺言は公証役場で公証人に作成してもらいます。

公証人は裁判官や検察官、法務局長など長年法律にかかわっている法律の専門家が努めます。

そのため、遺言の内容に不備が出ることはなく、公証人が作成する公正証書は公文書となるため高い信用力を備えています

公正証書遺言は遺言内容に不備がないことが確定しているため、裁判所が遺言内容に不備がないか確かめる検認が必要なく、素早く相続に入れるというメリットがあります。

また、作成された公正証書遺言は原本が公証役場で保管されるため、遺言書の紛失の心配もなく保管面でも確実性が高いものとなります

その他の遺言方式では、遺言は基本的に自らの手で作成しなければいけません。

しかし、公正証書遺言は公証人が作成するため、病気で手が震えて遺言を書けないなどの事情がある方でも遺言を遺すことができます。

公正証書遺言は遺言者が口述した内容を公証人が遺言として作成するのが一般的です

さらに、聴覚や言語に障害がある方でも、通訳を通すことで公正証書遺言を遺せるため、多くの人が遺言を残せる方法でもあります。

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公正証書遺言の証人とは

公証人に作成してもらわなければならない公正証書遺言ですが、作成時に公証人以外の証人の立ち会いを必要とします。

証人が立ち会わなければならない理由は、遺言内容に遺言者の意思がしっかりと反映されているか、第三者の目線でチェックするためです。

後日、裁判などの争いになった場合、有効な遺言であったか証言することになります。

作成には証人が2人必要

公正証書遺言の作成には2人の証人が必要になります。

法律では「証人2人以上の立ち会いがあること」とされているため2人以上でも問題ありませんが、一般的に2人の証人で作成することがほとんどです。

主な証人対象者

公正証書遺言の証人になるために、特別な資格はありません。
おじやおば、いとこなどの親戚や、友人などに依頼することもできます。

証人として認められない人

上記で説明したように証人になるのに特別な資格は必要ありませんが、証人として認められない人がいます。
ここでは、証人になれない人を具体的に説明していきます。

未成年者

未成年は公正証書遺言の証人になれません。
未成年には十分な判断能力がなく、遺言の内容をしっかりと把握する能力がないためです。

相続人・受遺者

遺言者が亡くなった時に相続人になる可能性がある人は、公平性が保てないため証人になれません。
利害関係が発生した場合、嘘を証言する可能性があるからです。

相続人・受遺者の家族

遺言者の親や祖父母である直系尊属や、子や孫である直系卑属も証人になれません。
これも、相続にかかわる人間が証人になってしまうと公平性が保てないためです。

公証人の関係者

公証人の配偶者や、四親等以内の親族も証人になれません。
これは公証人に近い人が証人になってしまうと、チェック機能が甘くなってしまう可能性があるためです。

公証役場の職員

公証役場の職員も公証人の関係者と同じく、チェック機能が働きづらくなるため証人になれません。

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欠格者が証人になるとどうなる?

証人として認められない人のことを欠格者と呼びます。
欠格者が証人として立ち会った公正証書遺言は、原則的に遺言全体が無効となります。

遺言が無効になってしまう可能性を排除するためには、証人を依頼する人が欠格者かどうか、あらかじめ確認しておきましょう。

証人がいない場合はどうすれば良い?

公正証書遺言の作成では証人が必要となりますが、全ての人が証人を用意できるわけではありません。
証人になってくれる人が周りにいない場合は、どうすればいいかを解説していきます。

弁護士や司法書士などに依頼する

弁護士や司法書士などの専門職に遺言の作成を依頼している場合は、弁護士や司法書士本人または事務員が証人となってくれるケースが多いです。

公証役場で手配してもらう

遺言の作成を弁護士などの専門職に依頼していない場合でも、公証役場で証人がいない旨を相談すれば証人を手配してくれます。

自筆証書遺言を選ぶ

公正証書遺言ではなく自筆証書遺言を選ぶという方法もあります。

自筆証書遺言ならば証人を用意する必要はなく自分一人で遺言を作成するため依頼料などの費用が掛かることもありません

ただ、自分で遺言を作成するので、遺言内容や形式の不備により遺言が無効になったり、自分で保管するため紛失したりする可能性があります。

また、遺言の作成は自筆のみが許されており、代筆やパソコンで書いてしまうと無効になってしまいます。

自筆証書遺言は公正証書遺言に確実性や安全性でどうしても劣ってしまうので、万全を期したい方はお金を出して証人を依頼するほうが良いでしょう。

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依頼した場合の費用

弁護士や公証役場に証人を依頼する場合、依頼料がかかります。

弁護士や司法書士などの専門職に依頼する場合は、証人1人につき1万円が相場となります。
公証役場に依頼する場合は、証人1人につき6,000〜7,000円程度が相場となります。

ただし、弁護士などの専門職に証人の手配だけを依頼することはほとんどなく、遺言の作成と合わせて依頼する形になります。

そのため、遺言の作成費用なども別途かかることを覚えておきましょう。

公正証書遺言に必要な書類

公正証書遺言の作成には証人以外にも必要となるものがあります。
ここでは公正証書遺言の作成に必要な書類を箇条書きでまとめていきます。

  • 遺言者の本人確認書類(印鑑登録証明書または自動車運転免許証などの官公署発行の顔写真付き証明書)
  • 遺言者と相続人の続柄、氏名、生年月日が分かる戸籍謄本
  • 相続人以外の人に財産を遺贈する場合は、受遺者の住所、氏名、生年月日が分かる住民票や保険証の写し
  • 相続する財産に不動産がある場合は、登記事項証明書(登記簿謄本)と、固定資産評価証明書又は固定資産税・都市計画税納税通知書中の課税明細書
  • 不動産以外の財産がある場合は、預貯金の残高、投資信託等の現在額、上場株式の銘柄・株数など、不動産以外の財産が分かる通帳(写し)や取引状況報告書(写し)など
  • 証人を遺言者が用意した場合は、証人の氏名、住所、生年月日、職業を記載したメモ

これらの書類が必要となります。
遺言内容によって必要な書類は変わってくるので、あらかじめ公証役場に確認するのが一番確実です。

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証人に選ばれたら何をする?

ここまでは遺言者の側から証人について説明してきましたが、ここからは証人に選ばれた場合は何をするのか説明していきます。

証人がすること

公正証書遺言の証人になったら、公正証書遺言の作成日に公証役場に行き作成に立ち会わなければいけません

公証人が遺言者と証人2人が集まる中、遺言の内容を読み上げるので、遺言内容が本人の意思に沿っているかを確認します。

公証人が読み上げた遺言内容に間違いがなければ、遺言者と証人2人公証人の4人がそれぞれ遺言書に署名押印します。

作成当日の手順はこれで終了です。

後日、相続人間で公正証書遺言の有効性について紛争が起こった場合は、裁判所などで遺言作成時の状況説明を求められることがあります。

「どのように遺言者への確認が行われたか?」や「当日の遺言者の意識ははっきりしていたか?」などが質問されます。

立ち会った時のことは覚えておいた方が良いでしょう。

このように公正証書遺言の証人になるとトラブルに巻き込まれてしまう可能性もゼロではありません。
証人を依頼された場合はその点にも留意して、証人を引き受けるかどうか決めるようにしましょう。

証人は守秘義務

証人は公正証書遺言の作成時に遺言内容を知ることになります。

公証人には法律上の守秘義務があるように、証人にも遺言の内容を漏らさないように表明していなくても、遺言の趣旨に照らし民法上の秘密保持義務を負います。

そのため遺言の内容は絶対に周りに話さないようにしましょう。

遺言書ごとに必要な証人の数

遺言には公正証書遺言以外にも様々な形式の遺言が存在します。
ここではそれぞれの遺言形式がどのような内容か、また何人の証人が必要かを紹介していきます。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は遺言が存在していることを証明するために使う遺言になります。
自らの手で作成した遺言を、公証役場で2人の証人と一緒に提示することで遺言の存在を保証してもらいます。

秘密証書遺言のメリットは2点あり、1つは遺言の内容を他人に明かすことなく遺言の存在を周知できる点です。
もう1つは、遺言書の作成を自筆以外の代筆やパソコンでの作成が可能な点です。

ただ、遺言を誰にも見せないため、遺言内容や形式に不備があり無効になってしまうこともある点に注意しましょう。

危急時遺言

危急時遺言は病気やケガ、遭難などで死が迫っている特殊な状況でのみ利用できる遺言形式です。
危急時遺言には、一般危急時遺言と難船危急時遺言の2種類があります。

一般危急時遺言

病気やケガなどの一般的な理由で死が迫っている時に利用できる遺言方式です。
一般危急時遺言を作成するには3人以上の証人の立ち会いが必要となります。

一般危急時遺言の作成は、遺言者が自分で遺言を作成しても、証人に口授したものを代筆してもらっても大丈夫です。

遺言の内容は証人全員に伝えられ、問題がなければ全ての証人が署名押印し遺言が完成します。

一般危急時遺言が作成されたら20日以内に裁判所で確認手続きを受けなければなりません。
これを怠ると遺言が無効になってしまいます。

難船危急時遺言

船や飛行機に乗っている時に遭難し死の危機が迫っている場合に利用できる遺言方式です
難船危急時遺言を作成するには2人以上の証人が必要になります。

遺言者本人が遺言書を書き残す以外にも、代筆や口述したものを証人が書きとることも可能です。
遺言内容を遺言者と証人が確認し、全員が署名押印することで遺言が完成します。

難船危急時遺言も一般危急時遺言と同じく裁判所の確認を必要とします。

ただ、難船危急時遺言が利用される際は、一般危急時遺言の時と違いすぐに裁判所で手続きできない場合もあるため、手続きの期限は決められていません。

隔絶地遺言

隔絶地遺言は、伝染病や乗船中などで、一般社会と離れている人が利用できる遺言方式です。
隔絶地遺言には、一般隔絶地遺言と船舶隔絶地遺言の2種類があります。

一般隔絶地遺言

伝染病などで一般社会から隔絶されていて普通の遺言方式で遺言を遺せない人が利用する遺言方式です。
一般隔絶地遺言の作成には、警察官1人と証人1人の立ち会いが必要となります。

一般隔絶地遺言の作成は、遺言者本人が作成しなければならず、代筆や聞き取りでの作成だと無効になってしまいます。

立会人全員の署名押印で完成となります。

一般隔絶地遺言は遺言者本人が作成しているため、裁判所での確認手続きは必要ありません。

船舶隔絶地遺言

長期の渡る航海などで普通の遺言方式で遺言を遺せない人が利用する遺言方式です
船舶隔絶地遺言の作成には、船長もしくは事務員と2人以上の証人の立ち会いが必要となります。

船舶隔絶地遺言は、遺言者本人が作成しなければならず、代筆や聞き取りでの作成だと無効になってしまいます。
立会人全員が遺言書に署名押印することで、遺言が完成します。

船舶隔絶地遺言も遺言者本人が作成しているため、裁判所での確認手続きは必要ありません。

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公正証書遺言の証人まとめ

ここまで公正証書遺言の証人についての情報を中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 公正証書遺言は数ある遺言方式の中で最も確実性が高い遺言方式
  • 公正証書遺言は証人が2人以上立ち会わなければ作成できない
  • 公正証書遺言の作成には証人以外にも必要な書類がある

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(はかまだ)

袴田 勝則(はかまだ かつのり)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。

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