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自筆証書遺言の訂正方法とは?注意点や手順を徹底解説
更新日:2022.05.01 公開日:2022.05.23

記事のポイントを先取り!
- 訂正方法は民法で定められている
- 正しい方法で訂正しないと無効
- 財産目録も同様の手順で訂正する
- 加入・削除も正式な手順がある
遺言書は故人の死後、親族の財産相続などに関わる重要な書類です。
そんな遺言書の一種である自筆証書遺言には、正式な訂正方法があることをご存知でしょうか。
今回は自筆証書遺言の訂正方法について解説します。
この機会に、自筆証書遺言を訂正する際の注意点や手順などを詳しく知っておきましょう。
後半では、自筆証書遺言に加入・削除したい場合についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 民法で訂正方法は定められている
- 訂正方法が間違っていた場合は?
- 自筆証書遺言の正しい訂正方法
- 自筆証書遺言の訂正例
- 自筆以外で作成した財産目録の訂正方法
- 訂正印は遺言書中で捺印したものを使う
- 自筆遺言書に追加・削除したい場合は?
- 自筆証書遺言の訂正方法のまとめ
民法で訂正方法は定められている
自筆証書遺言の訂正方法は、民法第968条で正式に定められています。
民法では、自筆証書遺言を訂正する際は、遺言書を変更する場所について変更したことを遺言書に追記する必要があります。
そして、そこに署名し、変更した場所には印を押すという手順が必要です。
この正式な訂正方法をしなければ、遺言書が意図した内容と異なるものとなる可能性があります。
訂正方法について間違いがないか、事前に確認してその方法通りに行いましょう。
訂正方法が間違っていた場合は?

上述した正式な方法で遺言書の内容を訂正しなかった場合、その訂正が無効になります。
これは遺言書の追記部分のみが無効になるという意味です。
そのため、訂正がなかったこととなります。
訂正が間違っていたら、遺言書が遺言者の理想とは異なる形で有効性を持つこととなります。
記述が漏れた状態で法的に認められることとなるため注意しましょう。
しかし、最高裁の判例では遺言書の誤記が明らかなものであれば、訂正方法が間違っていても効力は失われないという判決が出ています。
ただし、こうしたケースではどういったものが明らかな誤記かという点が曖昧なため、場合によっては認められない可能性があります。
そうした事態にならないためにも、できるだけ訂正方法を間違えないように注意しましょう。
自筆証書遺言の正しい訂正方法
ここからは正しい訂正方法の順序を解説します。
以下の手順で、訂正を行いましょう。
- 訂正箇所を、二重線で元の文字が見えるように消す(黒く塗りつぶさない)
- 横書きは二重線の上、縦書きは二重線の右に正しい文字や数字を記載する
- 訂正箇所の近くの余白部分に訂正文字数を書き、署名をする
- 二重線に元の文字や数字が見えるように訂正印を押す
以上が自筆証書遺言の正しい方法です。
上記の方法を参考に、遺言の訂正を行ってください。
自筆証書遺言の訂正例
自筆証書遺言で、「定期預金」と書くべき場所を「普通預金」と書いてしまった場合、「普通」と書かれた部分を二重線で消します。
この際、二重線で元の文字が消えてしまわないように注意しましょう。
そして、二重線を引いた部分の上部(縦書きの場合は右)に、「定期」と書き、二重線に訂正印を押します。
この訂正印で二重線の下の文字が読めなくならないように注意しましょう。
そして、訂正箇所の余白に訂正した内容を記載します。
具体的には「2文字削除2文字追加」といった形です。
そして、この横に署名を行います。
最後に遺言書の文末に、「三行目2文字削除2文字追加」と記載して署名します。
この行数はタイトルを除いた本文の行数のため注意しましょう。
自筆以外で作成した財産目録の訂正方法
自筆証書遺言で使用する財産目録については自筆以外での作成が認められています。
基本的に、この財産目録に関しても本文と同様の方法で訂正しなければ無効となるため注意しましょう。
また、訂正が難しい場合には新しく作り直すなど、適切な対応が必要です。
訂正印は遺言書中で捺印したものを使う
訂正印は遺言書で署名した場所の横に捺印したものと同じ印鑑を使う必要があるため注意しましょう。
これは遺言書の内容を訂正した人物が、その遺言書を書いた本人であることを証明するためです。
またその際、印鑑は実印を使いましょう。
これは法律で定められているわけではありませんが、改竄や偽造などのリスクを下げるためにも実印の使用がおすすめです。
これは遺言書の有効性を担保するのにも有効です。
訂正した内容の有効性のためには、訂正方法だけでなく訂正印にも気を配る必要があります。
必ず遺言書内の署名に使用した印鑑と同様のものを使いましょう。
自筆遺言書に追加・削除したい場合は?

ここからは自筆遺言書に内容の追加・削除をしたい場合にはどういった方法で行えば良いかを解説します。
追加・削除は訂正とは異なる方法で記載する必要があるため、この機会にその方法も併せて確認しておきましょう。
遺言書の内容を追加したい場合
自筆証書遺言に、ある文言を追加したい場合には吹き出しや「<」などの記号を使って、追加箇所が分かるようにしましょう。
記号を記載した箇所に追加する文言を書いて、そこに訂正印を押します。
そして、追加した箇所か遺言書の末尾に加入した文字数を記載し、署名を行います。
基本的に訂正する場合と同じですが、二重線で消すのではなく、記号を使って加入する形となるため注意しましょう。
遺言書の内容を削除したい場合
自筆証書遺言で遺言書の本文中にある文言を削除したい場合は、その削除したい文言を二重線で消しましょう。
二重線で消したら、その文言に訂正印を押します。
そして、訂正印を押した箇所の近くか、遺言書の末尾に削除した文言について書きます。
例えば、「◯行目の第◯条の項目を全て削除した」といった形です。
そして、この文章の隣に、自身の名前を署名します。
削除する場合の手順は、訂正後の文章を書かない以外は基本的に訂正する場合と同様です。
二重線の書き方や、訂正印・署名・削除箇所の記載方法について間違えないように注意しましょう。
自筆証書遺言の訂正方法のまとめ

ここまで自筆証書遺言の訂正方法を中心に解説してきました。
まとめると以下の通りです。
- 自筆証書遺言の訂正方法は民法第968条で正式に定められている
- 正式な方法で訂正しないと、訂正した内容が無効になるため注意
- 財産目録も自筆証書遺言と同様の方法で訂正を行う必要がある
- 自筆証書遺言の加入・削除も、正式な方法があるため注意
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者

袴田 勝則(はかまだ かつのり)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。