終活
遺言書を偽造するとどうなるの?鑑定方法や偽造防止方法も紹介
更新日:2022.03.30 公開日:2022.04.21

記事のポイントを先取り!
- 遺言書はすべての文を自分で手書きする必要がある。
- 遺言書の偽造判定には筆跡鑑定やデータ照合で鑑定する
- 相続人全員の合意があれば、遺言書の内容を無視できる
相続に関しての遺言書が偽造されるケースがあることについてご存じでしょうか。
遺言書の偽造が疑われる時、どのような対応をすればいいか知っておくことが大切です。
そこでこの記事では遺言書の偽造について、詳しく説明していきます。
この機会に偽造の鑑定方法を覚えておきましょう。
遺言書が複数発見された場合についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 遺言書とは
- 遺言書が偽造されていた場合の対応
- 偽造の鑑定方法
- 遺言書の偽造を疑われないためには
- 封を開けてしまうと偽造になる?
- もし偽造を疑った場合には
- 遺言書の内容は無視できる?
- 正式な遺言書が複数見つかる場合もある
- 遺言書の偽造まとめ
遺言書とは
遺言書とは資産を持つ故人が自分の死後、誰にどのような割合で相続するかを記した書類です。
遺言書は法的な効力を持つため、適切に作成されれば遺言書の作成者である被相続人の意志が最優先されます。
また自分の資産を自由に分配できるだけでなく、相続のトラブルを防ぐためにも役に立ちます。
https://www.eranda.jp/column/25253
スポンサーリンク遺言書が偽造されていた場合の対応
相続をめぐってのトラブルをしばしば耳にすることがあると思います。
遺言書の内容によって受け取る金額が大きく異なる場合、遺言書の偽が疑われます。
もしも遺言書の偽造が行われ、偽造であることが発覚した場合には、どのような対応がされるのでしょうか。
遺言書の内容は無効となる
遺言書が法的に効力を持つ条件のひとつとして、必ず自分が書いた手書きの文面である必要があります。
そのため遺言書が誰かの手によって偽造されることは、必要条件を満たしていないため無効となります。
法的措置が適用される
偽造を行った人物には法的措置が適用されることになります。
遺言書の偽造は有印私文書偽造および同行使罪に該当し、3月以上5年以下の懲役となります。
破棄でも法的措置は取られる
遺言書の内容が不服などの理由から、偽造ではなく隠す、燃やす、捨てるなどの破棄がなされても法的措置が取られます。
ただし破棄をしたということを立証できた場合に限ります。
https://www.eranda.jp/column/25263
偽造の鑑定方法

遺言書の偽造が誰かの手によって行われた場合、それを鑑定するにはどのような方法があるのでしょうか。
筆跡鑑定
遺言書は基本的に自筆で全文を書くことが条件です。
そのため遺言書作成者の筆跡と、偽造の疑いのある遺言書の筆跡を鑑定することで本物か偽造かを判別します。
遺言能力の確認
被相続人の認知能力の低下を悪用して、本人になりすまして遺言書が偽造されるケースもあります。
さまざまな判断能力が正常でない場合、遺言書のような文章を書くことはできません。
また遺言書の内容を本人に確認しようにも、認知能力が低下している状況では確認も難しいものです。
そのような状況を利用して行われる偽造に対応するには、被相続人に関する様々なデータを検証に使用します。
認知症のレベルを測る方法や介護日誌、カルテなどから遺言書の作成能力を照合して整合性を検証します。
https://www.eranda.jp/column/24786
スポンサーリンク遺言書の偽造を疑われないためには

遺言書の偽造を疑われないようにするためには、主に下記の3つの方法が効果的です。
封筒に入れて封をする
遺言書を故人以外が勝手に封を開けることは法律に反する行為です。
そのため封筒に入れて封をすることで、たやすく遺言書の偽造ができないようにします。
遺言書が封筒に入ったままであれば、文面を変えるなど内容の偽造もできないでしょう。
公正証書遺言で遺言を残す
公正証書遺言とは、自筆ではなく公証人に代筆してもらう遺言書です。
遺言内容を口頭で公証人に伝え、公証人がチェックした上で遺言書が作成されるので破棄や偽造を防ぐ効果があります。
自筆証書遺言保管制度を利用する
自筆証書保管制度とは、遺言書などを法務局に保管してもらえる制度です。
基本的に相続の開始が行われるまで、相続人は遺言書を工夫してもらえませんので偽造を疑われることはありません。
https://www.eranda.jp/column/24436
封を開けてしまうと偽造になる?
もしも封がされてある遺言書を見つけても、封は勝手に開けてはいけません。
必ず家庭裁判所に持ち込んで検認し、正規の方法で内容を確認する必要があります。
仮に検認前に封を開けてしまっても、効力がなくなりはしませんが罰則があるため慎重に取り扱いましょう。
もし偽造を疑った場合には
自分の家族がなくなり発見された遺言書を確認したところ、文面が怪しい内容だったら偽造を疑ってしまうものです。
また自筆で書かれているはずの遺言書が、本人とは異なる筆跡だと感じたら偽造の可能性があり得ます。
そのような場合は下記の対応が推奨されています。
検認時に申し立てをする
遺言書の開封や検認を行う家庭裁判所では、遺言書に疑わしい点があれば異議を立てることができます。
遺言書の内容が無効になるように調停を申し立て、正当な遺産手続きになるよう争います。
弁護士に相談をする
遺言書に疑わしい点がある場合は、弁護士に相談するのもひとつの方法です。
疑わしい点を含め、あらゆる情報の整理が必要ですが、専門家によるサポートはトラブルを解決するために役立ちます。
遺言書の内容は無視できる?
遺言書の内容に納得できない場合、故人の意志を無視して遺産分割をすることはできるのでしょうか。
一般的には原則的にできないとされていますが、場合によっては故人の意思を反映させないで、遺産分割することがあります。
複数いる相続人全員の合意を得ることができれば、内容を無視して遺産を相続することが可能です。
ただし遺言書を無視することで不利益を被る方もいる場合がほとんどです。
そのためなかなかスムーズに全員から同意を得ることができないケースが想定されます。
https://www.eranda.jp/column/24775
スポンサーリンク正式な遺言書が複数見つかる場合もある
遺言書を作成する人は、必ずしも遺言書を一通だけ保管しているわけではありません。
自筆の遺言書はひとりで簡単に作成が可能で、いくらでも書き直しができます。
そのため日付が古い遺言書と新しい遺言書が複数見つかる場合もあり得るのです。
さらには自筆で書いた遺言書とは別に、公正証書として作成した遺言書が出てくるなどパターンもさまざまです。
その場合に有効になる遺言書は1枚だけで、作成時の生年月日が最も新しいものが効力を持ちます。
遺言書の偽造まとめ

ここまで遺言書の情報や、遺言書の偽造などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです
- 遺言書とは法的に効力を持つ書類で、誰にどの程度の遺産相続をするか記載される
- 遺言書の偽造が明らかになると、その遺言書の効果はなくなる
- 遺言書偽造の疑いがあると思ったら、異議申し立てや弁護士に相談する
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者

田中 大敬(たなか ひろたか)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。