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墓地埋葬法って何?内容や違反した際の罰則について解説
更新日:2022.06.01 公開日:2021.08.24

記事のポイントを先取り!
- 墓地埋葬法は埋葬に関すること、埋葬や火葬の手続きについて決められている法律
- 具体的には埋葬に関する禁止事項、許可証の種類が書かれている
- 墓地埋葬法を違反すると、罰金もしくは拘留される
日本には、墓地埋葬法という墓地や納骨堂、埋葬に関する法律があります。
墓地埋葬法に則って、火葬や改葬を行うとき手続きや申請書を提出しなければいけません。
そこで今回は墓地埋葬法について網羅的に解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。

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墓地埋葬法とは?

墓地埋葬法は正式名称が「墓地、埋葬等に関する法律」で、昭和23年5月31日に制定されました。
名前が長いので、墓地埋葬法と略して呼ばれることもあります。
墓地埋葬法は大きく分けて以下の3つの観点から制定されました。
- 様々な宗教的感情に適合
- 公衆衛生
- その他公共の福祉
これら3つの観点から葬儀や埋葬が行われるべきとの考えで墓地埋葬法が制定されました。
この法律は人の埋葬と墓地に関する規定であり、ペットの埋葬や霊園に関することは含まれていません。
また、各地方公共団体によって、墓地埋葬法を細かく規定する規則が定められています。
具体的には、「墓地、埋葬等に関する法律施工細則」が定められています。
例えば、東京や大阪ではこの細則により土葬が禁止されています。
墓地埋葬法の構成
墓地埋葬法の構成は以下の通りです。
- 第1章 – 総則(第1条・第2条)
- 第2章 – 埋葬、火葬及び改葬(第3条〜第9条)
- 第3章 – 墓地、納骨堂及び火葬場(第10条〜第19条)
- 第3章の2 – 雑則(第19条の2・第19条の3)
- 第4章 – 罰則(第20条〜第22条)
それぞれの内容は以下の通りです。
- 第1章:法律の目的、法律に使われている用語の意味、説明
- 第2章:埋葬、火葬、改葬に関する決まり
- 第3章:納骨堂、墓地、火葬場に関する決まり
- 第4章:法律を違反した場合の罰則
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墓地埋葬法の内容
墓地埋葬法の内容について、私たちが関係ある部分を具体的に説明していきます。
法令違反をしないためにも、墓地埋葬法の内容を把握しておきましょう。
墓地埋葬法の目的
墓地埋葬法はどのような目的で定められたのでしょうか。
第1条によると、この法律は、埋葬、墓地や納骨堂、火葬場の管理等が、国民の宗教的な感情に沿ったもので、しかも公衆衛生や公共の福祉などの見地から、支障なく行われることを目的とするものとされています。
埋葬等に関する原則
埋葬に関する基本的な決まりが定められています。
24時間以内の埋葬等の禁止
墓地埋葬法3条により、死後24時間以内の火葬や土葬は禁止されています。
なぜ24時間以内に火葬してはいけないかというと、蘇生する可能性があるためです。
ただし、妊娠6か月以下の胎児や感染症による死亡の場合は、あてはまらない場合もあります。
一度死亡とされた人が蘇生するなど、現代の医学ではまずありえないことです。
しかし昔は死亡の判定が曖昧だったために、事故を防ぐ目的で法律が制定されているそうです。
墓地外の埋葬等の禁止
ご遺体を土の中に埋める埋葬、そして焼骨は、墓地以外で行うことが禁止されています。
墓地埋葬法で決められている墓地とは、都道府県知事の許可を受けた施設のことです。
墓地にご遺体の埋葬、焼骨を埋めるのは、現代では当たり前のように感じますね。
しかし、昔は好きなところにお墓を作って埋める人も多くいたのです。
埋葬等の応諾義務
墓地や霊園、納骨堂は基本的に埋葬や火葬を依頼された場合断ってはいけないと定められています。
墓地埋葬法13条においても
「墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の依頼があった時に墓地・納骨堂、火葬場の管理者はこれを拒んではならない」
という決まりが明示されています。
埋葬、火葬などの手続き
埋葬、火葬は頼めばすぐにできるわけではなく、手続きや許可証が必要になります。
埋葬、火葬等の許可
埋葬、火葬または改葬を行う場合、市町村長の許可が必要です。
許可を受けるために必要な書類は「死亡診断書」「死亡届」で、これを提出し許可証を受け取ります。
市町村長は「埋葬許可証」「火葬許可証」「改葬許可証」を交付します。
この許可証がなく火葬埋葬を行うと、法律違反になります。
許可証のない埋葬、火葬等の禁止
墓地や、納骨堂、火葬場などの納骨を行う側に関して、許可証がなく埋葬や焼骨を行ってはいけません。
墓地等の管理者の報告義務
墓地や火葬場の管理者は、毎月5までに前月中の埋葬と火葬の状況を報告します。
所在地の市町村長、特別区は区長に報告を行う義務があります。
市町村長の埋葬等の義務
ご遺体の埋火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が行います。
亡くなった方が身寄りなしの場合は、市町村長が埋葬等を行う義務があるということです。
墓地、火葬場等の許可等
墓地や火葬場、納骨堂の経営や管理に関しての決まりです。
墓地や火葬場、納骨堂の経営をする場合は都道府県知事の許可を受けなければ、建てることも経営することもできません。
また、経営の報告徴収を行うことができ、公衆衛生等の問題があると認められたときは、改善、制限、禁止を命じることができます。
改善が見込めない場合は、墓地、火葬場、納骨堂の許可を取り消すことも可能です。
散骨に関する規定
海や樹木などに粉骨した遺骨を撒く、散骨には明確な規定はありません。
自分の遺骨を埋葬しないで海や山に撒いてほしいと願う人もいます。墓埋法は制定時に散骨というものがなかったこともあり、遺骨や死体の埋葬埋蔵または収蔵のみ規定されています。
スポンサーリンク墓地埋葬法で使用される用語の意味
墓地埋葬法で使用される用語の定義は以下のとおりです。
・「埋葬」とは、死体を土中に埋めること
・「火葬」とは、死体を葬るために、焼却すること
・「改葬」とは、1度埋葬した死体、あるいは埋蔵や収蔵した焼骨を他のお墓や納骨堂への移設
・「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設
・「墓地」とは、遺骨を埋葬するために墓地として都道府県知事・市長・区長の許可を受けた区域
・「納骨堂」とは、焼骨を納めるために都道府県知事から納骨堂としての許可を受けた施設
・「火葬場」とは、火葬場として都道府県知事から許可を得た施設
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違反するとどうなる?

墓地や埋葬に関することが、かなり細かく法律で決められていることがわかりました。
もし決まりを違反した場合どうなるのでしょうか?
罰則について説明します。
- 都道府県知事の許可なく墓地、納骨堂又は火葬場の経営を行った場合、もしくは都道府県知事が墓地、納骨堂又は火葬場の施設整備や使用制限の命令に逆らった場合は、6ヶ月以下の懲役または5000円以下の罰金に処する。(第20条参照)
- 埋葬および火葬を24時間経過していないのに行った場合は、1,000円以下の罰金または拘留もしくは科料に処する。(第21条参照)
- 埋葬、焼骨の埋蔵を墓地以外の区域、火葬を火葬場以外で行った場合1,000円以下の罰金または拘留もしくは科料に処する。(第21条参照)
- 埋葬、火葬、改装を市町村長、区長の許可を受けずに行った場合、1,000円以下の罰金または拘留もしくは科料に処する。(第21条参照)
墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)参照
以上のように、火葬や埋葬をお願いする側も引き受ける側もそれぞれ規則と罰則が存在します。
自宅敷地内に墓を作る方法

お墓参りを毎日したい、遠方の墓地は大変、という方は自宅にお墓を作りたいと思うでしょう。
敷地内に作ることで、故人を身近に感じることができ、いつでも供養することができます。
また、お寺にお墓を建てるよりも費用が抑えられるというメリットもあります。
墓地以外の場所に遺骨を埋葬してはいけない
しかし、墓地埋葬法では、墓地以外のところでお墓を作ることを禁止しています。
ここでいう墓地とは、都道府県知事の許可を受けた墓地のことであり、個人で作ることはできません。
しかし、墓地以外にも一基だけある墓石や庭などにお墓があるのを見たことがある人もいるでしょう。
これらの多くは埋葬や散骨はしていないモニュメント的な意味合いで作られたものです。
墓地埋葬法により自宅敷地内にお墓を作ることは違反ですが、これはあくまで埋葬をしてはいけないと決められているだけです。
地面から一段高い所に納骨スペースを作ることで、土に埋める埋葬とはならないので違法になりません。
また、敷地内にお墓をつくり、遺骨は自宅で安置するという方法をとっている人もいます。
埋葬しないことで敷地内にお墓を建てることが可能となります。
ただし、近隣の方の印象や、気分を害する方もいるかもしれないので配慮が必要です。
例えば目立たない場所にする、壁を建てるなどの対策が取れます。
「分骨」では自宅に遺骨の一部を保管することができる
自宅で供養をしたいけれど、先祖代々のお墓に骨を入れたいという方は、「分骨」という形で納骨もできます。
分骨だと、自宅保管する遺骨は一部でいいので、小さい骨壺で保管できます。
自宅に遺骨をおく場合は、自分たちでしっかり管理する必要があります。
日本は湿度が高く高温な気候なので、適切な管理をしなければなりません。
敷地内にお墓を作るのは、メリットもありますがデメリットも多いので、家族や親族としっかり話し合い決めましょう。
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墓地埋葬法と改葬の関係
墓地埋葬法と改葬との関係はどうなっているのでしょうか。
改葬に必要な書類
「改葬」とは、遺骨を別のお墓に移すことで、許可を得るためには、埋葬許可証や改葬許可証又は火葬許可証が必要です。
改葬に関連する埋葬法の法規
改葬に関連する法規は以下のとおりです。
・墓地、埋葬等に関する法律
・墓地、埋葬等に関する法律施行規則
・刑法第190条に定めのある「遺骨遺棄」
・墓埋法第4条「墓地以外への遺骨埋蔵禁止」
無縁墓の改葬に関するトラブル
無許可の場所での散骨
散骨は合法か、違法かのはっきりした区別がないのが実情です。
納骨や散骨が認められていない場所に散骨することで、トラブルになる可能性があります。
散骨をする際は、散骨が認められているか確認しましょう。
また、散骨する際は、必ず遺骨をパウダー状に細かく砕いて散骨するようにしましょう。
経営者により改葬される
家族や親族もなく、無縁仏となったお墓は、経営者が撤去することが可能です。
墓地を設けるのは使用権によるものであり、所有権を持つわけではありません。
墓地の所有権を持つのは、あくまでも寺院や霊です。
よって、家族と連絡がとれなくなったら、墓地をそのまま放置するわけにはいきません。
経営者は手続きにより、当該墓地を改葬することができます。
墓地の管理者が改葬する方法
少子高齢化などの影響を受けて無縁墓は急増しており、墓地の管理者を悩ます問題となっています。
無縁墓とはいえ、中には遺骨が入っている大切なものなので管理者は簡単に撤去することはできません。
墓地の契約の際に、多くの霊園は3年や5年などといった契約期間を定めて、滞納が続いた場合は所定の手続きを経て強制撤去することが可能です。
その根拠として、墓埋法の施行規則第3条に無縁墓の改葬ができる旨が規定されています。
改葬の条件としては、墓地の管理者は必要書類等を用意し、官報の掲載と立て札の掲示を行った上で1年間墓地の所有者からなんらかの連絡もない場合とされています。
とは言え、墓石という大切なものの強制撤去はできれば避けたいし、本来は家族が責任をもって行うべきです。
おまけに、後々親族などからクレームが出て、トラブルに発展する可能性もあります。
墓地埋葬法まとめ

ここまで墓地埋葬法の情報や、墓地埋葬を違反するとどうなるか?などを中心に書いてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 墓地埋葬法は埋葬に関すること、埋葬や火葬の手続きについて決められている法律
- 具体的には埋葬に関する禁止事項、許可証の種類が書かれている
- 墓地埋葬法を違反すると、罰金もしくは拘留される
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。
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