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墓地の所有権は誰が持つ?永代使用権や相続、継承権についても解説
更新日:2022.08.24 公開日:2021.08.27

記事のポイントを先取り!
- 墓地の所有権は寺院や霊園などの運営主体者にある
- 墓地は相続財産(遺産)に含まれない
- 墓地を処分する権利は、永代使用権を持っている人が持つ
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お墓を建てるには、寺院や霊園などの墓地が必要になります。
そんな墓地ですが、所有権は土地と同じように持つことができるのでしょうか
そこで、今回の記事では墓地の所有権について解説していきます。
墓地にまつわるさまざまな権利について学び、トラブルにならないようにしましょう。
墓地の登記についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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墓地の所有権は誰のものか

墓地の所有権は、寺院や霊園などの運営主体者のものとなっています。
もちろん、墓石はお墓を建てた人のものとなります。
しかし、お墓を建てた人のものにはなりません。
お墓を建てるには墓地の「使用権」を寺院や霊園などから購入する必要があります。
永代使用権とは
永代使用権とは永年に渡りお墓の一区画を代々使用できる権利のことです。
この使用権はお墓を購入した際に、お墓の土地所有者や管理者などの運営主体者に対し永代使用料を支払うことで取得できる権利になります。
永代使用権は墓地の土地所有者と、墓石の所有者で交わされる契約の中の権利であり、明確な法律は存在しません。
永代使用料とは
永代使用料とは、墓地の一区画を永久的に使用する権利(永代使用権)に支払う料金で、使用契約を結ぶ際、お墓の管理者に初期費用として支払います。
永代使用料は毎月や毎年支払うものではなく、契約時一括で支払うものなので金額そのものは大きく、相場は約60万〜80万と言われています。
しかしお墓の建つ所在地や、1㎡あたりの区画の面積の価格は地価に比例するので、都心部と地方では価格に大きな差があります。
相場を知る際は、墓地の購入を検討している付近の霊園や墓地をいくつか調べてみるとよいでしょう。
永代使用権の譲渡
「年を取ってお墓の管理が困難になった」「家族が遠方に住んでいるため頻繁にお墓参りに行けない」などの理由で、墓地の移転や墓じまいをする人が近年増えています。
使用しなくなった墓地は通常、墓石を取り壊し整地したうえで管理者へ返還しますが、返還せずに他人に譲渡したり、使用権を自由に変更することは原則できません。
墓地や永代使用権は先祖をまつるために必要な財産(祭祀財産)であり、墓地を継承する者が祭祀財産も引き継ぐため、第三者に売却や譲渡は禁止と謳われているものが多いです。
ただし、永代使用権の譲渡を認めるケースもありますので、墓地の購入時に交わされる契約書を確認してみることをおすすめします。
永代使用権の有効期間
「墓じまいをして墓地そのものを使用しなくなった」「墓地の継承者が途絶えてしまった」などの場合は、墓地の区画を継続的に利用することができなくなります。
一般的に永代使用権が認められる有効期間は、遺骨を埋葬する場所として墓地を使用している間や、墓地を管理する継承者が途絶えない限り使用権は存続します。
永代使用料の返金
墓地の購入時に支払う永代使用料は、墓地の区画を使用する権利を得るための初期費用、いわばレンタル料になります。
使用料を支払ったことで墓地の永代使用権はありますが、実際に墓地の区画を所有しているのは管理運営者側になります。
墓じまいや、墓地として区画を使用しない場合は墓地を管理者に返還しますが、永代使用料は返金されません。
しかし、規約によっては墓地未使用の場合や墓地の区画を返還した場合、その一部(永代使用料の3分の2〜3分の1)を返還すると明記しているものもあります。
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墓地の承継権は誰のものか

墓地の名義人(永代使用権を持った人)が亡くなった場合、権利はどうなるのでしょうか。
ここでは墓地の承継について解説していきます。
承継する人
墓地や墓石などの財産を「祭祀財産」と言います。
祭祀財産は分割することができず、承継者は基本的に一人のみとなっています。
承継者をきめるには、被相続人による指名が最も重要になります。
昔は「長男や長女が継ぐもの」という慣習がありましたが、法律上の決まりはなく、誰でも承継することができます。
親、兄弟の他に姪や甥、血のつながりのない姻族など誰でも可能です。
民法では、祭祀財産の承継者について次のように規定しています。
「第897条(祭祀に関する権利の承継)
系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。
ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。」
承継者の決定の仕方は以下の3つがあります。
- 指名
- 一族や地域の慣習
- 家庭裁判所
墓地の使用規約の中には、「原則3親等まで」「原則、所有者の親族であること」などの条件があるところもあります。
使用規約の確認を行い、墓地に直接問い合わせてみましょう。
承継した人の役割
祭祀財産を承継した人(祭祀承継者)の役割は以下の3つです。
- お墓の維持管理
命日やお彼岸、お盆などに、親族がお参りできるようお墓の手入れをします。
寺院ではお布施、霊園では維持管理費の支払いをします。
- 先祖の法要を主宰する
一周忌や三回忌などの法要や、盆や彼岸などの先祖供養に関する行事を主宰します。
- お墓や遺骨の所有権を持つ
祭祀承継者はお墓と遺骨の所有権を持ちます。
寺院墓地の場合、檀家の務めも承継することになります。
承継の方法
承継者が決まりましたら、名義変更の手続きをしなくてはいけません。
以下は承継に必要な書類の一般例です。
- 承継者の戸籍謄本や住民票
- 承継者の実印と印鑑登録証明書
- 承継する理由がわかる書類
- 永代使用権を取得した際に発行された書類
永代使用権を取得した際に発行された書類は、墓地使用許可証や永代使用承証などがあります。
必要事項は墓地によって異なりますので確認が必要です。
公営墓地の場合
公営墓地の運営主体は自治体になります。
墓地を管理する自治体の窓口や墓地の管理事務所に連絡をし、お墓の名義変更に必要な書類を準備します。
お墓の名義変更には名義変更手数料を支払う必要があります。
公営墓地の場合、約500円〜数千円程度が目安になるので自治体の窓口や管理事務所に確認してみましょう。
民営墓地の場合
民営墓地は民間企業や宗教法人が主体の墓地で、運営や管理は石材店などの民間会社が行っていることが多いです。
民営墓地も公営墓地と同様に墓地の管理者に連絡をしましょう。
民営墓地の場合、名義変更手数料の目安は約1万円〜となっています。
寺院墓地の場合
寺院墓地は宗教法人が主体となり管理や運営を行う檀家用の墓地で、寺院の敷地内にあることが多いです。
寺院墓地も公営墓地や民営墓地と同様で、墓地を管理する寺院に連絡をします。
墓地の継承と同時に、檀家の立場も継承するため名義変更手数料の代わりに数千円〜数万円のお布施が必要になる場合もあります。
名義変更手数料の目安は3千円〜1万円程ですが、寺院により金額や規約が違うため、名義変更手数料に加えてお布施を支払うこともあるようです。
檀家の仕組みを理解していないと突然の出費や、思わぬトラブルに発展する場合もあるので、寺院墓地の規約や檀家の仕組みを理解しておきましょう。
承継する際の税金は発生しない
墓地や墓石など祭祀財産は、相続財産の対象ではありません。
そのため、承継する際には税金はかかりません。
しかし、お墓の名義変更の際に手数料が数千円程度かかります。
承継する際は分割ができないことに注意
祭祀財産は分割することができません。
そのため承継者は一人のみとなります。
名義人が亡くなってから慌てなくて良いように、祭祀承継者を誰にするか話し合いをしておきましょう。
どうしても祭祀承継者になる人がいない場合は、改葬や、墓じまいを検討するのも良いかもしれません。
墓地を処分する権利は誰のものか

墓地を処分する権利は、永代使用権を持っている人です。
権利を持っている方が亡くなった場合は、祭祀継承者(お墓を継承した人)に移ります。
継承者が誰もいない場合は、永代使用権を放棄する必要があります。
その際の費用は自己負担となります。
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永代使用権の消滅
墓地を契約する際は、墓地を管理する自治体や墓所、寺院、霊園と契約書を交わします。
契約書の規約には墓地の運営管理に必要な事項や、墓地の利用に関する事項が細かく明記されています。
しかし、この規約に違反すると永代使用権が消滅する可能性があるので気をつけましょう。
契約解除例には以下のものがあります。
- 管理者に無断で永代使用権の譲渡や、使用場所の転貸を行ったとき
- 使用許可を受けた後、使用者の所在が不明になり連絡がつかないとき
- 使用許可を受けた者が死亡し、一定の期間が経過しても墓地継承者が不在のとき
- 墓地の定める年数以上、管理料の滞納が発生したとき
- 墓地の目的外使用をしたとき
- 墓地が定める石材業者以外の業者で墓石を建立したとき
- 寺院墓地の場合、管理者に無断で寺院宗派以外の法要や宗教行為を行ったとき
- 使用者が他の使用者に対し、迷惑行為を行ったとき
特に、「永代使用権の譲渡」「管理費の滞納」「目的外使用」をした場合は、勧告なしに永代使用権を取り消すことができると明記する規約も多数存在します。
これらは正当な理由がないにもかかわらず約束した義務を果たさない、債務不履行とみなされるため契約の解除が可能になります。
永代使用権の消滅でお墓はどうなる
墓地が定める規約に違反したからといって、すぐに永代使用権が消滅するものではありません。
しかし契約が解除された場合、墓地の使用者あるいは継承者は直ちに墓石を撤去し埋葬された遺骨を引き取らなければなりません。
墓石の撤去や遺骨を引き取らない場合は、墓地の管理者が墓石や遺骨を移動させることができ、移動に関する費用は使用者負担になります。
永代使用権の消滅までの流れ
昔は、長男が継承者として墓地を管理するのが通例でした。
しかし少子高齢化や社会情勢の変化、墓地に対する考え方の変化から、墓地そのものを継承する人がいないというケースが増えています。
永代使用権の消滅までのおおまかな流れは以下のようになります。
- 墓地の継承者が不在及び不明で、数年間(約5年程度)管理費の支払いがない場合、永代使用権は消滅したとみなされます。
- 墓地の管理者は、親族や継承者に対し1年以内に申し出るように官報に公示すると共に、同様の内容を立札に記載し、墓地の敷地内に設置します。
- 官報や立札で勧告したにもかかわらず、1年間申し出がない場合は無縁仏とみなされ墓石が撤去されます。
- 遺骨はお墓から取り出され、他の無縁墓の遺骨とともに合葬されます。
これらの流れは「墓地、埋葬等に関する法律」に規定されており、遺骨や墓石の撤去は墓地の管理者や自治体の負担になるため、近年社会問題化しています。
スポンサーリンク墓地は相続財産になるのか

結論から言いますと、墓地は相続財産(遺産)に含まれません。
お墓などの祭祀財産は、祭祀を主宰できる者が承継します。
被相続人が指名すれば、内縁の妻など法定相続人とは関係のない人でも承継できます。
このことから、相続を放棄した場合でも、祭祀財産を引き継げます。
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墓地の登記は必要なのか

登記とは、土地や建物の所在・所有者を公示することです。
登記によって法的な不動産の権利を主張することが可能になります。
墓地において登記が必要になるのはどういった場合でしょうか
それぞれのケースについてまとめました。
墓地の登記が必要な場合
墓地に登記が必要な場合は、大きく分けて2つあります。
それは墓地の名義変更の際と、墓地の地目変更の際です。
名義変更が必要になる時は、祭祀財産を承継する場合と相続を原因とする場合です。
地目変更が必要になる時は、新たに宅地や農地などとして利用したい場合です。
墓石は祭祀財産に含まれますが、土地ではないため登記することは出来ません。
墓地の名義変更を行う際の登記方法
祭祀財産を承継する場合と、相続を原因とする場合は名義変更の手続きが必要になります。
名義変更をするタイミングはいくつかあります。
名義をもっていた人物が亡くなった時や、高齢などを理由として承継したい時などです。
また、住所や本籍が変更された場合や、名字が変わった場合にも手続きが必要になります。
登記に必要な書類は以下の通りです。
祭祀財産を承継する場合
- 祭祀承継者に指定された人物がわかる書面
- 登記済証(または登記識別情報通知)
- 指定を受けた祭祀承継者の住民票または戸籍の附票
- 遺言執行者の印鑑証明書(遺言執行者を選任していない場合は相続人全員分)
- 遺言書
相続を原因とする場合、遺言書の有無で必要書類が変わります。
遺言書がある場合
- 遺言書
- 故人の死亡の記載がある戸籍謄本
- 故人の住民票または戸籍の附票
- 墓地を取得する人の戸籍謄本
- 墓地を取得する人の住民票または戸籍の附票
遺産分割協議による相続の場合
- 遺産分割協議書
- 法定相続人全員の印鑑証明書
- 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 故人の住民票または戸籍の附票
- 法定相続人全員の戸籍謄本
- 墓地を取得する人の住民票または戸籍の附票
墓地の所有権まとめ

ここまで墓地の所有権の情報や、相続や継承権、処分する権利などを中心に書いてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 墓地の所有権は寺院や霊園の管理者であり、お墓を建てた人ではない
- 墓地の継承権は法律上の決まりはなく、誰でも承継することができる
- 墓地を処分する権利は祭祀承継者にある
- 墓地は祭祀財産であり、相続財産ではない
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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