お墓
供養塔とはどんな塔?一般的なお墓との違いも解説
更新日:2024.02.03 公開日:2022.02.09

記事のポイントを先取り!
- 供養塔とは亡くなった方を供養する塔のこと
- 分散したお墓の合祀や永代供養として建てられている
- 災害などで多くの方が亡くなられた際にも建てられる
- 供養塔は宗派によって刻印する文字が異なる
供養塔は亡くなった方を供養するために建てられますが、その役割をご存知でしょうか。
また、どのようなときに建てられるのかについて知っておきましょう。
そこでこの記事では、供養塔について詳しく説明していきます。
この機会に供養塔の役割について覚えておきましょう。
宗派による違いや近年の供養塔についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

4つの質問で見つかる!
ぴったりお墓診断
Q.お墓は代々ついで行きたいですか?
都道府県一覧からお墓を探す
こちらでご希望のエリアからお墓を検索できます。

こちらでご希望のエリアからお墓を検索できます。
- 供養塔とは
- 供養塔の種類と特徴
- 供養塔と一般的なお墓の違い
- 供養塔が建てられる状況とは
- 個人が供養塔を建てる場合とは
- 供養塔の費用相場
- 日本の代表的な供養塔
- 宗派によって異なる供養塔
- 近年における供養塔の意味とは
- 供養塔についてのまとめ
供養塔とは
供養塔とは名前の通り、ご先祖様や亡くなられた方を供養するために建てられる石造りの塔のことです。
供養塔の起源は、サンスクリット語のストゥーパといわれる仏塔だといわれており、日本では平安時代末期が始まりとされています。
近年では少子高齢化などに伴って、永代供養として供養塔を建てる方も増えてきています。
供養塔は、災害や戦争などが理由で多くの方が亡くなられた際に身元不明のご遺体を合祀し供養するために建てられることもあります。
供養塔の多くが寺院や霊園の墓石の周辺に建てられていますが、災害や戦争などが理由で建てられる供養塔はそのゆかりの地に建てられます。
そのため、供養塔は全国各地で見られます。
供養塔の種類と特徴
供養塔には5つの種類があります。
ここでは、各形状とそれぞれの特徴について説明していきます。
五輪塔
五輪塔は、上から
- 空輪 宝珠型(上が尖った円型)か円型
- 風輪 半球型
- 火輪 三角型
- 水輪 球型
- 地輪 四角型または六角型
の5つのパーツで構成されています。
「空輪」「風輪」「火輪」「水輪」「地輪」とは仏教において、宇宙を構成する5つの要因といわれています。
石塔婆
石塔婆(いしとうば)とは、お墓の後ろに建てられてる卒塔婆(そとうば)と形が似ている石で造られた供養塔で、板碑(いたび)とも呼ばれています。
表面に彫られた梵字(ぼんじ)というサンスクリットを表す文字が特徴的です。
宝篋印塔
宝篋印塔(ほうきょういんとう)は、上から
- 相輪
- 笠
- 塔身
- 基礎
で構成されています。
宝篋印塔の起源は宝篋印蛇羅尼経を写して納める塔でしたが、時とともに供養塔の役割も果たすようになりました。
無縫塔
無縫塔は、一番上に笏(しゃく)のような形の石が乗っている供養塔になります。
この笏のような形の石はひとつの石から作られるため、繋ぎ目がないことが特徴で、ここから、「無縫塔」の名前がついたとされています。
無縫塔は、原則的に御僧侶のお墓になります。
多宝塔
多宝塔は上から「四角形」「円筒形」「四角形」の建物で、四角形の角の部分が上向きに沿い、屋根からは相輪という細い棒が伸びています。
この相輪は、ストゥーパの上に建てられた笠を基にしており、ストゥーパの中でも重要な部分になります。
多宝塔は供養塔だけではなく、仏塔の建築物様式の名前でもあるため、全国各地で同じ形状の建築物を見かける機会も多いと思います。
みんなが選んだお墓の電話相談
みんなが選んだお墓ではお墓選びのご相談に対応しております。 お客様のご希望予算と地域に応じた霊園をご提示することも可能ですので遠慮なくお申し付け下さい。
24時間365日無料相談
電話をかける

後悔しないお墓選びのためにプロのお墓ディレクター
を無料でご紹介いたします。
供養塔と一般的なお墓の違い
一般的にお墓は、一家族でひとつのお墓を継承していくものになります。
一方で供養塔は、家族単位に縛られず複数の方々の遺骨を合祀(ごうし)しており、身元の分からない方々やご先祖様を供養しています。
近年ではお墓を持たない方も増えているため、永代供養として供養塔を利用する方も増えてきました。
また、先祖供養のために個人で供養塔を建立される場合もありますが、高額ということもあり個人での供養塔はそれほど多くありません。
整備に関しても、お墓の場合はお墓を継承する方やご家族が行いますが、供養塔の場合は自治体などの供養塔を管理している団体が行います。
供養塔が建てられる状況とは

お墓の場合はご家族が亡くなられた際に建てます。
しかし、供養塔は不特定多数の方の遺骨を合祀するため、多くの方が亡くなられた際に建立されます。
ただし、故人を供養するために建てられる供養塔と、二度と同じ過ちを繰り返さないようにと建てられる慰霊碑は異なることを覚えておきましょう。
戦後
第二次世界大戦などの戦争で、戦場に赴き亡くなられた方や空襲を受けて亡くなられた方を供養するために供養塔が建立されています。
災害後
災害と聞くと地震や津波、洪水などを思い浮かべる方が多いと思いますが、農作物の不作による飢餓なども災害に当たります。
災害が長期にわたると身元不明が多くみられたり、引き取ってくれる方がいない場合があり、そのような方々を供養するために災害後には供養塔が建立されます。
みんなが選んだお墓の電話相談
みんなが選んだお墓ではお墓選びのご相談に対応しております。 お客様のご希望予算と地域に応じた霊園をご提示することも可能ですので遠慮なくお申し付け下さい。
24時間365日無料相談
電話をかける

後悔しないお墓選びのためにプロのお墓ディレクター
を無料でご紹介いたします。
個人が供養塔を建てる場合とは
一般的に供養塔は自治体などの団体が建てていますが、個人で建てることも可能です。
では、どのような場合に故人で供養塔を建てるのでしょうか。
先祖の供養を手厚くする場合
お墓と供養塔はどちらか片方しか建てられないということはなく、両方建てることが可能です。
供養には様々な種類があり、その中のひとつに「私たちが現世で積む徳が、故人様が徳を積み重ねることになる」という意味の行供養(ぎょうくよう)というものがあります。
私たちが故人様の供養を行うということは、徳を積み重ねる行為のひとつになります。
そのため、お墓と供養塔のふたつを建てるということは、より手厚くご先祖様を供養することができ、さらに徳を積む行為にもなります。
お墓をまとめる場合
「継承したお墓の古い遺骨がどなたのものかわからない」「各地にあるお墓をひとつにまとめたい」などの際に、供養塔を建てる場合があります。
古い遺骨がどなたのものかわからずに供養塔を建てる場合には、菩薩寺に相談すると良いでしょう。
永代供養をする場合
永代供養とは、合祀した遺骨を永代的に寺院や霊園に供養してもらう方法になります。
近年では昔と異なり、生涯を同じ土地で過ごす方が少ない傾向になってきました。
この傾向により、お墓を継承していくことが難しくなってきたため、供養塔を建てる方が増えてきました。
住・生活環境の変化に応じて、寺院や霊園にも合祀墓や永代塔などが建てられている場所が増えたため、そちらを利用する方も多くいます。
供養塔の費用相場
供養塔の相場は、供養塔の種類や形状、使用されている石材の種類、供養塔を建てる場所などによって異なります。
需要の多い五輪塔は取り扱いが多く20万円ほどで建てることができますが、装飾の多い多宝塔や宝篋印塔では、作り手の技術が必要なため100万円を超えます。
無縫塔は価格を表示していないことが多いですが、無縫塔も造るのに技術が必要になるため相場は高くなっています。
また、表面に彫る文字や設置費用などで別途料金がかかることが多いため、事前に確認しておくと良いでしょう。
みんなが選んだお墓の電話相談
みんなが選んだお墓ではお墓選びのご相談に対応しております。 お客様のご希望予算と地域に応じた霊園をご提示することも可能ですので遠慮なくお申し付け下さい。
24時間365日無料相談
電話をかける

後悔しないお墓選びのためにプロのお墓ディレクター
を無料でご紹介いたします。
日本の代表的な供養塔
日本各地には供養塔がいくつも建立されています。
代表的なものとして「原爆供養塔」「源頼朝(みなもとのよりとも)供養塔」「高野山奥の院の供養塔」があります。
ここでは、それぞれについて詳しく説明していきます。
原爆供養塔
広島県広島市の広島平和記念公園内に建てられているのが、原爆供養塔です。
直径16メートルほどの円形の盛土の上に、相輪の塔が立っている供養塔になります。
原爆供養塔が建てられた場所は1945年8月6日に原爆が投下された場所の近くで、身元不明の方々のご遺体が埋葬された場所になります。
そのためそこに、市民の寄付によって仮説の供養塔を建て、翌年1946年に現在の供養塔を改築しました。
改築した際に、戦争で亡くなられた市内の身元不明の方々のご遺体を一緒に埋葬しています。
源頼朝供養塔
神奈川県鎌倉市には、石造りの五重塔の源頼朝供養塔が建っています。
源頼朝は鎌倉幕府を開いた人物で、源頼朝供養塔は源頼朝が持仏堂としていた法華堂の跡地に子孫である島津藩主、島津重家が建てました。
持仏堂とは、その方が信仰する仏様などを安置する部屋や建物のことをいいます。
高野山奥の院の供養塔
和歌山県にある高野山奥の院には、徳川吉宗をはじめ、武田信玄や伊達正宗、明智光秀などの歴史的著名人のお墓や供養塔が20万基建てられています。
そのほかにも、UCCホールディングスやパナソニックなど有名企業が建てるユニークな形の、亡くなった従業員を供養する慰霊碑も建てられています。
さらに奥の「御廟の橋(みみょうのはし/みびょうのはし)」の奥の聖地といわれる場所にも供養が建てられていますが、御廟の橋から奥は写真撮影が一切禁止になっています。
このことからも高野山奥の院が神聖な場所であることが分かります。
宗派によって異なる供養塔
仏教はいくつかの宗派に分かれており、宗派によって供養塔の考え方などが異なります。
浄土真宗では、南無阿弥陀仏と唱え、本願するだけで極楽浄土に連れて行ってもらえるという「他力本願」という考え方があります。
そのため、「故人様のことに関する善い行いをすることで自分に善行が帰ってくる」という意味の追善供養を行う必要がなく、供養塔をお墓に用いることはありません。
浄土真宗の考え方では、永代供養はないため供養塔は必要ありません。
反対に真言宗においては、お墓として五輪塔を建てるのが一般的です。
五輪塔は真言宗の覚鑁上人(かくばんしょうにん)が広め、平安時代には存在していたといわれています。
覚鑁上人は「五輪塔で供養することで極楽浄土へ行ける」という話で人々を惹きつけ、五輪塔を広げていったとされます。
こうして覚鑁上人が広めた五輪塔は鎌倉時代には多くの武士たちがお墓として使用し、のちの戦国武将たちも好んで使用したといわれています。
この五輪塔は、現在の和型のお墓が一般的になるまで身分の違いに関係なく建てられてきました。
真言宗では、表面に彫られる文字はサンスクリット語になりますが、この表面に彫る文字も宗派によって異なります。
浄土宗の場合は「南・無・阿弥・陀・仏」、曹洞宗の場合は「空・風・火・水・土」、日蓮宗の場合は「妙・法・蓮・華・経」と彫られています。
宗派による文字の違いは、江戸時代に存在した檀家制度により他宗との横並びが禁じられていたことが影響しているといわれています。
供養塔は基本的には仏教の建築物になりますが、宝篋印塔などのデザインが派手なものは神道でも使用されています。
また、五輪塔は一般的に真言宗の建物であり、その他の宗派では宝篋印塔などを使用しています。
みんなが選んだお墓の電話相談
みんなが選んだお墓ではお墓選びのご相談に対応しております。 お客様のご希望予算と地域に応じた霊園をご提示することも可能ですので遠慮なくお申し付け下さい。
24時間365日無料相談
電話をかける

後悔しないお墓選びのためにプロのお墓ディレクター
を無料でご紹介いたします。
近年における供養塔の意味とは
供養塔は、納骨堂などの永代供養と比べるとやや高額にはなりますが、一般家庭でも供養塔による永代供養を選ばれる方が増えてきています。
その理由として、「少子化などの影響でお墓を継承できる人がいないため」という生活環境の変化によるものがあります。
お墓の場合は、「○○家之家」と書かれたその家の方しか入ることができません。
しかし、御本尊をお迎えした供養塔であれば異なる姓の方でも合祀することが可能です。
御本尊とは、その宗派が最も重要視する信仰対象のことです。
供養塔には御本尊がいらっしゃるため、その恵みで広いご先祖様の供養を行うことができるとされており、異なった姓の遺骨も合祀できるとされています。
お墓を継承できる人がいない、という理由からお墓を建てる方が減ってきている現代では、供養塔を建て、身内の遺骨を一つにまとめる家系が増えてきています。
また、地方に継承できていないお墓がいくつもある場合に、供養塔としてひとつにまとめる方も増えてきています。
継承できていないお墓というのは、無縁墓になってしまっているということです。
無縁になってしまったご先祖様の霊を、供養塔を建てることで供養することができます。
しかし、複数のお墓をひとつにまとめ供養塔を建てる際にはいくつかの注意点があります。
まず、その家系を整理することが必要になります。
お墓に刻印されているご先祖様のお名前を調べ、除籍謄本を取って家系図を作成すると整理しやすくなります。
家系図をご自分で行うのが難しい場合には、業者に頼むと良いでしょう。
次に宗旨の問題です。
家系が一緒だからといって、宗旨が一緒とは限りません。
御親戚と話し合いをし、宗旨に合う寺院で供養塔を建てましょう。
宗旨によって供養塔に刻印する文字が異なるため、これは避けられない問題になります。
供養塔についてのまとめ

ここまで供養塔の役割やどのようなときに建てられるのかを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下のとおりです。
- 供養塔は、亡くなった方を供養するため建てた石造りの塔のこと
- 供養塔は、合祀する際や災害などで多くの方が亡くなられた際に建てられる
- 供養塔は、宗派によって表面に刻印する文字が異なる
- 近年では、少子高齢化に伴う合祀や永代供養として供養塔が建てられている
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

4つの質問で見つかる!
ぴったりお墓診断
Q.お墓は代々ついで行きたいですか?
都道府県一覧からお墓を探す
こちらでご希望のエリアからお墓を検索できます。

こちらでご希望のエリアからお墓を検索できます。
監修者

袴田 勝則(はかまだ かつのり)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。
お墓の関連記事
お墓

更新日:2022.11.08
墓石の追加彫りはどのように行う?彫刻する内容や相場費用も紹介
お墓

更新日:2024.01.24
お墓で除草剤を使うのはダメなの?雑草対策を一挙公開
お墓

更新日:2024.02.03
お墓に戒名や名前は彫らないといけないの?戒名を彫る費用や時期は?
お墓

更新日:2024.05.14
墓石の色は何色でも良いの?墓石の色が持つ意味や購入の流れまで解説
お墓

更新日:2022.11.17
塔婆は連名で出せる?連名の時の費用と塔婆料の包み方・渡し方を説明
お墓

更新日:2022.11.10
墓石の花立の交換方法は?花立の交換方法やかかる費用まで解説