法事法要
繰り出し位牌の種類と値段|用意する時期や注意点を説明
更新日:2022.02.23 公開日:2022.02.04

記事のポイントを先取り!
- 繰り出し位牌は数枚の位牌を納める位牌のこと
- 素材や装飾などによって値段が異なり、数種類のデザインがある
- 繰り出し位牌にするタイミングは、年忌法要または仏壇の整理の際
繰り出し位牌とは位牌をまとめて収納するための位牌ですが、その種類や値段をご存知でしょうか。
繰り出し位牌には種類がいくつあって、値段の相場はいくらなのかを知っておきましょう。
そこでこの記事では、繰り出し位牌の種類や値段について詳しく説明します。
この機会に、繰り出し位牌を用意する時期や注意点についても覚えておきましょう。
宗派による繰り出し位牌の違いについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 繰り出し位牌とは
- 繰り出し位牌の種類と値段
- 繰り出し位牌の値段の違いの理由
- 繰り出し位牌にするタイミング
- 繰り出し位牌の文字入れ
- 繰り出し位牌を用いるときの注意点
- 宗派による繰り出し位牌の違い
- 繰り出し位牌の値段のまとめ
繰り出し位牌とは

繰り出し位牌(口出位牌)とは、戒名(かいみょう)や法名が記載された札板を10枚前後入れられるように作られた位牌のことをいいます。
戒名が記載された札板が通常の位牌と同じ役割を担っており、繰り出し位牌にその札板を納めることで仏壇周りの位牌の整理を行うことができます。
もともとは寺院で使用されていましたが、環境の変化によりご自宅に大きな仏壇を置かなくなった現在は、一般家庭でも使用されるようになりました。
繰り出し位牌の種類と値段

繰り出し位牌にはいくつかの種類があり、そのデザインによって値段も異なります。
デザインが複雑になるほど高価になりますが、デザインによる優劣はありません。
繰り出し位牌を選ぶ際には、予算の中で故人様が好きそうなデザインや故人様に送りたいと思うデザインを選ぶと良いでしょう。
現在は店舗でなくてもネットで簡単に安く購入できる時代です。
しかし、安価すぎる位牌にはそれなりの理由があります。
繰り出し位牌の値段の違いについては後ほど述べていきますので、まずは首位別の相場についても把握しておきましょう。
ここでは5つのメインとなる種類の特徴と値段の相場を紹介していきます。
春日型繰り出し位牌
春日型(かすががた)は繰り出し位牌の中でもっとも一般的なものになります。
このデザインは江戸時代から存在しており、半円形の札板(ふだいた)に四角形の台が付いているシンプルな繰り出し位牌です。
春日型繰り出し位牌は、先祖位牌と呼ばれる黒色の塗板(とばん)1枚と9枚ほどの白木板の合計10枚の札板が納められているのが一般的です。
上部が蓋になっていてそこから簡単に札板を取り出すことができます。
春日型の中には、「蓮華春日型」という種類のものもあります。
こちらは札板を受ける台に蓮華の装飾がされており、春日型よりもややデザイン性の高いものになります。
店舗によって呼び方が異なり、「蓮華春日」「蓮華付春日」とも呼ばれています。
値段相場
春日型繰り出し位牌は、もっともシンプルなデザインのため価格も比較的安価です。
値段の相場は2万~5万円ほどで、大きさによって異なります。
勝美型繰り出し位牌
勝美型(かつみがた)繰り出し位牌は、台座に「金虫食い」という装飾が施されたデザイン性の高い繰り出し位牌です。
金虫食いとは漆塗りの手法の一種で、下地の漆が乾かないうちにもみ殻を撒き、漆が乾いてからもみ殻をはずして虫食いのような凹凸を作ります。
その後凹凸部分に金粉や銀粉を蒔いて、再度漆を塗り磨き上げるという工程を何度も繰り返す技法です。
値段相場
勝美型繰り出し位牌は、金虫食いの装飾により手間暇がかかります。
そのため値段の相場も6万円ほどと高価です。
二重繰り出し位牌
二重繰り出し位牌とは、繰り出し位牌のなかでも奥行きがしっかりとあるもので、20枚ほどの札板を納めることが可能です。
二重繰り出し位牌は、奥行きもあり装飾も豪華なため、ご自宅に大きな仏壇のある方に特におすすめです。
値段相場
豪華な見た目に反して値段の相場は3万〜8万円ほどと安価なものもあるようです。
大きさにより値段が異なるため、相場に幅がみられます。
反屋根回出
反屋根回出は、全面に蝶番式の開閉式扉が付いた位牌になります。
反屋根回出は素材にこだわって作られており、紫檀(したん)や黒檀(こくたん)などの高価な木材が使用されています。
また、漆のぬり方などの装飾にも手間暇がかけられたデザイン性の高い繰り出し位牌です。
値段相場
ほかの繰り出し位牌に比べ、素材や装飾にこだわって作られた反屋根回出は、そのぶん値段も高価です。
一般的な相場は9万〜10万円ほどですが、さらに高価な反屋根回出もみられます。
モダンコレクト
モダンコレクトは繰り出し位牌の中でも、もっともシンプルな繰り出し位牌です。
近年では、仏壇を購入せず位牌のみをご自宅に祀る方も増えてきており、そのような生活環境にあわせて作られたのがモダンコレクトになります。
他の繰り出し位牌に比べてサイズも小さく、収納できる札板も5枚ほどです。
見た目も、特に装飾のないシンプルなものになるため、ご自宅にも馴染みやすくおすすめです。
値段相場
素材などによって異なりますが、一般的な値段の相場は1万~3万円ほどと安価です。
しかし、素材などにこだわった5万~6万円ほどの高価なものも販売されているため、安価なものを希望する場合には気を付けましょう。
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繰り出し位牌の値段の違いの理由

繰り出し位牌は、比較的安価なものから高価なものまで、値段に幅があります。
値段は「生産地」「素材」「装飾」の3つのポイントによって変わってきますので、繰り出し位牌を選ぶ際のポイントにしましょう。
現在は店舗に行かなくてもネットで購入できる時代ですが、ネットで購入される場合には口コミだけでなく、以下のポイントにも気を付けて選ぶと良いでしょう。
生産地の違い
日本製のものか海外製のものかという生産地の違いによって値段に差が出ます。
繰り出し位牌には漆が使用されていたり、蒔絵(まきえ)装飾などの日本独自の伝統的なデザインが施されているものもあります。
蒔絵装飾とは漆工芸のひとつで、漆を使って器に絵や文字を描き、漆が乾ききらないうちに金粉などを蒔いて器の表面に装飾を施す技法です。
このような高い技術を必要とする繰り出し位牌の装飾は、写真で見る分にはあまりわかりませんが実物を見ると日本製と海外製の差は歴然としています。
実際に、直接繰り出し位牌を見ることができる店舗販売では日本製の方が多く売れています。
日本製のものは海外製のものに比べ高価になりますが、ご先祖様を祀る大切なものなので日本製のものを選ぶと良いでしょう。
素材の違い
繰り出し位牌には、土台となる木材の他に装飾のための漆や金粉といった材料を使用しており、その材料の素材によって値段が変わります。
まず土台になる木材は、一般的なヒノキであれば比較的安価ですが、黒檀(こくたん)や紫檀(したん)といった価値の高い木材を使用すると値段も高価になります。
木材に関しては高価だから良いというわけではなく、木材によってそれぞれ特徴が異なります。
「見た目が美しい木材がいい」とか「防虫防腐効果のある木材がいい」など好みのものを選びましょう。
塗料材である漆にも種類があり、天然樹脂塗料の「本漆」か合成樹皮塗料の「カシュー漆」かによって値段が異なります。
値段が高価なのは本漆ですが、見た目の差異はそれほどありません。
金粉も同様に、金の純度が高いものほど値段も高価になります。
安価な繰り出し位牌ですと「金色の塗料」を使用し金粉が入っていない場合があるため注意が必要です。
装飾の違い
蒔絵装飾が施されていたり、純度の高い金粉をふんだんに使用し装飾されているものほど、値段も高価になります。
しかし、装飾に関しては派手なものが良いわけではありません。
繰り出し位牌を祀る場所に合わせたデザインや、故人様が好きそうなデザインのものを選ぶと良いでしょう。
繰り出し位牌にするタイミング

浄土真宗以外では、通常の位牌を繰り出し位牌にするタイミングは最後の法要である五十五回忌の「弔い上げ」の際になります。
しかし最近では、弔い上げ以外でも繰り出し位牌に切り替えているご家庭が多くみられています。
ここでは、弔い上げ以外で繰り出し位牌に切り替えるタイミングを詳しく紹介していきます。
位牌が仏壇に入りきらなくなったら
弔い上げ以外に多くみられる繰り出し位牌にするタイミングは、位牌が仏壇に入りきらなくなったときです。
仏壇の中や前に多くの位牌が並んで置いてあると、見た目も綺麗ではなく掃除の際にも時間を要してしまうため、掃除の頻度が減る原因になってしまいます。
このような状態は、ご先祖様を供養しているとはいえず、良い状態ではありません。
そこで、位牌が多くなってきたタイミングで繰り出し位牌にすることで、仏壇周りを整理しご先祖様をしっかりと供養することが可能になります。
また昔と比べて現在は、ご自宅に大きな仏壇を置く方も少なくなってきています。
ご自宅の環境に合わせて仏壇を小さくする際に、いくつかある位牌を繰り出し位牌のひとつにまとめる方もいます。
年忌法要のとき
通常は、最後の法要とされる五十五回忌の弔い上げの際に繰り出し位牌に切り替えます。
しかし現在は、五十五回忌まで執り行うご家庭も多くありません。
また、仏壇周りのスペースの都合で十三回忌や三十三回忌の年次法要の際に繰り出し位牌に切り替えるご家庭も多くみられます。
早い場合には、七回忌の法要時には繰り出し位牌にするご家庭もあります。
見た目が異なるだけで、通常の位牌と繰り出し位牌に相違はなく、早くに繰り出し位牌に切り替えたからといって失礼に当たるなどの問題はありません。
大切なのはご先祖様をしっかりと祀ることですので、位牌の数や仏壇が整頓されているかを見ながら、繰り出し位牌へ切り替えていくと良いでしょう。
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繰り出し位牌の文字入れ

繰り出し位牌には通常、8~10枚の札板が納められています。
そのなかの1枚に「○○家先祖代々之霊位」の文字を入れます。
この文字は「先祖代々」「○○家先祖代々」と記す場合もあり、地域や寺院によって異なります。
2枚目以降には故人様の「戒名」「俗名」「没年月日」「没年齢」を記しますが、このとき故人様おひとりに対して一枚の札板を使用しますので注意しましょう。
繰り出し位牌のデザインによって、全て同じ色の札板の場合と1枚だけ黒色の塗板がある場合があります。
塗板がある場合には塗板に「○○家先祖代々之霊」の文字を金色で入れ、その他の白木板に墨で故人様の戒名などを記していきます。
繰り出し位牌の文字入れは、仏壇仏具店に依頼するか、寺院にお布施をして依頼するのが一般的です。
板札の順番は、一番前に「○○家先祖代々之霊」と記された札板、2枚目以降は命日またはご先祖様の順番にいれていきます。
命日や月命日の際には、その故人様の戒名が記された札板を一番前にして供養しましょう。
繰り出し位牌を用いるときの注意点

ご先祖様の供養として繰り出し位牌を用いるときにはいくつかの注意点があります。
繰り出し位牌を選ぶ際には以下の点を意識して選ぶようにしましょう。
ご本尊よりも高くならないようにする
通常、仏壇の中心には仏教の信仰の中心となる仏像や掛け軸が祀られており、これをご本尊といいます。
ご本尊は、仏壇の中でもっとも重要な存在とされています。
そのため、ご先祖様を祀る繰り出し位牌はご本尊よりも小さなものを選びます。
故人様がご本尊に守られていることを意識するとイメージがしやすく、位牌を選びやすいでしょう。
他の位牌より大きいものにする
繰り出し位牌は、古いご先祖様をひとつの位牌にまとめて供養するものです。
新しいご先祖様よりも古いご先祖様の存在感が大きくなるように、古いご先祖様の位牌が、新しいご先祖様の位牌よりも大きくある必要があります。
そのため、小さすぎる繰り出し位牌を購入してしまうと、新たに位牌を購入する際にサイズがなくなってしまうため、ある程度大きさのあるものを購入することがおすすめです。
ただし、繰り出し位牌は通常の位牌よりも奥行きがありますので、選ぶ際には仏壇に置けるサイズかどうか奥行きの幅までしっかり確認しましょう。
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宗派による繰り出し位牌の違い

位牌は故人様の魂が宿るものとされており「追善供養」の役割があるとされています。
追善供養とは、残っているご遺族(生きている方)が、故人様が無事に仏様のいる極楽浄土へ行けるよう祈ることを意味します。
位牌には、仮位牌とされる白木位牌と、四十九日の法要後から用いられる本位牌があり、本位牌には「札位牌」と「繰り出し位牌」の2種類があります。
札位牌とは、一基の位牌に故人様おひとりの戒名を書いた位牌で、浄土真宗以外の宗派の方が使用する位牌です。
反対に繰り出し位牌とは、ご先祖様の位牌が増えてきた時にまとめるための位牌となります。
浄土真宗
浄土真宗では、「南無阿弥陀仏」という浄土門の念仏を唱えることでどなたでも極楽浄土に行けるという考え方をしています。
つまり、浄土真宗を信仰されている方に追善供養は必要がないため、基本的には位牌が必要ありません。
浄土真宗では位牌を祀らず、法名軸や過去帳といった代々のご先祖様の名前を記した仏具で記録し、故人様を偲びます。
そのため、浄土真宗では基本的に札位牌も繰り出し位牌も用いません。
浄土真宗以外の宗派
浄土真宗以外の宗派における繰り出し位牌の役割は、札位牌をひとつにまとめることで仏壇を整理することです。
位牌に書く戒名の書き方は宗派によって異なるため、覚えておくと良いでしょう。
真言宗の場合には、戒名の上に「阿」という文字をいれます。
この文字は、真言宗のご本尊である大日如来様を意味しています。
浄土宗の場合には、サンスクリット語の表記に使用されていた梵字(ぼんじ)で「キリーク」という文字を戒名の上に入れます。
キリークは阿弥陀如来様を意味しています。
禅宗の一派である曹洞宗と臨済宗の場合には、戒名の上に「空(くう)」という文字を入れます。
空には、成仏したという意味があります。
ただし、空の文字を入れない場合も多く見られます。
日蓮宗では戒名のことを法号といいます。
日蓮宗の場合には、法号の上にお経の「妙法蓮華経(みょうほうれんげきょう)」からとった「妙法」の2文字を入れます。
また、子供のための位牌の場合には、地蔵菩薩様を意味する「力」という梵字を入れる場合があります。
スポンサーリンク繰り出し位牌の値段のまとめ

ここまで繰り出し位牌の種類についての情報や、値段の相場を中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 繰り出し位牌とは、数枚の位牌をひとつにまとめて納めることができる位牌のこと
- 繰り出し位牌には数種類あり、素材や装飾などによって値段が異なる
- 年忌法要または仏壇を整理する際に繰り出し位牌にする
- 各宗派によって位牌に入れる文字が異なる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者

山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。
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