お墓
沖縄のお墓はなぜ大きいのか?種類やお墓参りの作法まで解説
更新日:2022.11.18 公開日:2021.06.30
沖縄のお墓は、本州のお墓に比べて大きいのが特徴です。
なぜそのようになっているのかをご存知でしょうか。
今回は沖縄のお墓について、以下のポイントを中心にご紹介します。
- 沖縄のお墓が持つ特徴
- 沖縄のお墓の種類
- 沖縄でのお墓参りの仕方やしきたり
- 沖縄のお墓参りで主要な3つの行事
- 沖縄のお墓の費用相場
沖縄のお墓の種類や形態まで記載してますので、ぜひ最後までご覧ください。
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沖縄のお墓の特徴とは
沖縄のお墓は、本州のお墓とは異なり、故人のご遺骨を納めた骨壺を多く収容できるように大きく作られています。
中には、お墓に屋根が付いていたり、収容スペースの前に観音開きの扉が設置されているものもあります。
なお、扉の前には本格的な焼香台もあり、お墓参りに合わせて供養できる点も特徴です。
沖縄のお墓はなぜ大きい?
沖縄のお墓が家に例えられるほど、大きいのはなぜでしょうか。
沖縄のお墓が持つ特徴は、沖縄の気候条件や独特な文化などが背景にあります。
風葬文化によるもの
沖縄のお墓が大きい理由として、沖縄では古くから風葬の慣習があったことが挙げられます。
風葬とは、火葬などをせず、ご遺体が骨の状態になるまで風化させるお弔いのやり方を指します。
具体的には石などで作った枠の中にご遺体を寝かせて風化した後、ご遺骨を洗って骨壺に収めるというものです。
現在では、風葬はあまり行われなくなりましたが、風葬の名残で沖縄のお墓は大きく作られています。
激しい雨風にも耐える設計
次に、激しい雨風にも耐えられる設計であることがあげられます。
沖縄は日本列島でも台風が通りやすい上、雨季には雨が強い地域として有名です。
激しい雨風に見舞われる中でご遺骨を安全に安置するには、簡単には倒れない頑丈な石造のお墓が必要であるため、雨風対策として土台や壁などがしっかりしており、お墓が崩れたり傷んだりしないように大きくて耐久性のある設計にしたとされています。
門中制度でお墓を共用していたため
沖縄に古くある門中制度でお墓を共用していたという理由があります。
門中制度とは、父系で直系の人々が共通の祖先を祀るというもので、お墓も彼らで同じものを使っています。
納骨される際も、同じ門中に属する人たちが長い年月にわたって同じお墓に骨壺を納めていくのが特徴です。
大人数分の納骨が行われることを考えて、お墓のサイズも大きめになったとされています。
お墓の前で宴会ができるように
沖縄では納骨やお墓参りの際、お墓の前で宴会を行うのが習わしです。
お墓参り用の料理での宴会を通じて、ご先祖様を供養します。
宴会は同じ門中に属する人々が集まり盛大に行うため、広いスペースが必要とされてきました。
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沖縄のお墓の種類・形態
沖縄のお墓は種類や形態も本州などのものとは異なります。
代表的な3種類のお墓をご紹介しましょう。
お墓の種類
まずお墓の種類からご紹介します。
主に、破風墓(はふうぼ)と亀甲墓(きっこうばか)と掘り込み墓の3つです。
破風墓
破風墓は、屋根の部分が本州などの伝統的な家屋にも良く見られる破風(はふ)のようになっているものを指します。
もともとは琉球王国の王族だけが使ってきたタイプのお墓でした。
しかし、1871年に明治政府による琉球王国がなくなると、一般庶民も建立が許可されるようになりました。
かつてはコンクリ―トのものが主流でしたが、現在では石造りのものが多くなっています。
亀甲墓
亀甲墓は屋根の部分が亀の甲羅に見えるものを指します。
実際には子宮をイメージしてデザインされており、故人が母親の胎内に戻っていくという考え方に基づくものです。
納骨スペースと1本道、宴会ができる墓前のスペースから構成されています。
奥行きがあるため、第二次世界大戦末期に沖縄で地上戦の舞台になった際、防空壕として活用されました。
掘り込み墓
掘り込み墓とは、石や漆喰を使ってお墓の入り口をふさいだだけの、かなり簡易的なお墓です。
沖縄方言では「フィンチャー」と呼ばれ、本格的に納骨する前に使う仮のお墓とも言われています。
お墓の形態
沖縄のお墓に見られる形態もご紹介します。
代表的なものに、門中墓など4つのタイプがあります。
門中墓
父系で血のつながった人々である門中が共有するお墓です。
主に沖縄本島の南側に多く作られています。
先祖代々大切に使うため、同じ門中に属すご先祖様の骨壺が多く安置されているのが特徴です。
清明祭などお墓参りの際には、多くの親族が集まり宴会も催します。
村墓
村で共同管理するタイプのお墓です。
ただ、近年ではほとんど姿を消したため、現在沖縄を訪れても目にすることはありません。
模合墓
自分の知人・友人とともに入るお墓です。
購入の際も、一緒に入る者同士でお金を出し合います。
1人暮らしの高齢者の増加や、終活ブームを背景に増加傾向です。
家族墓・兄弟墓
家族や兄弟で入るためのお墓で、最近増えてきています。
集落から少し離れた海に近い場所に建立されるケースが多いです。
特に兄弟墓については、1人ずつ入るお墓が並んでいる形になっています。
兄弟本人のほかにも、彼らの子孫が入るケースも見られます。
門中墓のように入れる人の制限がなく、血縁があれば比較的自由に入れるのが特徴です。
近年の沖縄のお墓事情は?
沖縄でも、近年ではお墓事情が大きく変わってきています。
門中墓なども維持管理への負担が大きいことや、戦後に火葬が普及したことで、従来の大きなお墓へのニーズも少なくなってきました。
現在では比較的規模の小さいお墓が建てられることが一般的です。
本州などと同じような和風墓も普及しているほか、和風墓と沖縄の伝統的なお墓を組み合わせたものも建てられるようになってきています。
墓地についても、公園型墓地や民営霊園など現代的な形態のものも多いです。
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沖縄でのお墓参りの仕方・しきたり
沖縄はお墓参りの方法もとても独特なやり方になっています。
主に以下のようなやり方です。
お墓参りの手順
最初のお墓参りの手順からご紹介します。
ヒジャイヌカミへのお参りとお墓へのお供え
沖縄でお墓参りを行う際、まずは土地の神様であるヒジャイヌカミのお参りを行います。
「左の神様」という意味があるため、お墓から見て左側(入口の右側)に祀られているケースが一般的です。
なおヒジャイヌカミへのお参りでもお供えをします。
ヒジャイヌカミへのお参りを終えた後は、ご先祖様の墓前で初と呼ばれるお供えです。
先ほどヒジャイヌカミにお供えしたものの中から2つを選び、同じくお供えします。
初が終わったらヒジャイヌカミへのお供えを補充します。
ご先祖様への供養と墓前での宴会
お供えが終わったら線香に火を付け、故人が天国で使うお金であるウチカビを、カニバーキと呼ばれるボールの中で燃やします。
この際、生前に縁の深かったご先祖様から順に行っていきます。
そして、お墓に合掌し、墓前でお供え物の料理をいただいて終わりです。
お墓参りの持ち物
沖縄のお墓参りでは、持ち物にも独特さが見られます。
大きく分けて以下の3つです。
ビンシ―
ビンシーは沖縄風のお供えセットで、中にはお米やお酒、塩などが入っています。
便利に持ち運びできるように、引き出し付きで携帯できるのが特徴です。
なおビンシ―は家の実印とされているため、他人と貸し借りしないしきたりもあります。
ヒラウコー
沖縄で使われる線香で、平たい形状で1組6つにまとまっているのが一般的です。
実際にお供えする際は、ご先祖様1人につき半分ずつ使います。
ウチカビ・カニバーキ
ウチカビは天国でご先祖様が使うお金で、茶色の紙に古銭のデザインが特徴です。
そして、カニバーキはウチカビを燃やす際に使われる金属製のボールのことです。
お墓参りでウチカビを燃やすことで、故人が天国での生活に困らないように願う意味があるものです。
お墓参りのしきたり
沖縄ではお墓参りのしきたりにも、いくつか独特なものがあります。
自分の家以外のお墓を拝まない
自分の家以外のお墓は拝まないというしきたりがあります。
他家のお墓に眠る人々やご遺族に配慮するというのが作法とされているためです。
軽く会釈することや敷地を通り抜けることもタブーとされています。
妊婦などはお墓の扉を開く時は同席NG
またお墓の扉を開く際、妊婦などは同席できません。
お墓に引かれて縁起が悪いとされるためです。
また、新しい家を建築中の方も立ち会うべきではない人に含まれます。
決まった日だけお墓参りをする
沖縄では本州などと異なり、お墓参りは決まった日だけに行うのがマナーです。
好きなタイミングでやたらとお墓参りすると、故人の霊が付いてきたり寂しがられたりするとされています。
代わりに決まったタイミングでのお参りを盛大に行うのが習わしです。
沖縄のお墓参り・3つの行事
沖縄ではお墓参りの時期が決まっており、人々は主にその時期でお参りします。
主要な時期は以下の3つです。
十六日
毎年旧暦の1月16日に行われるの行事は、十六日(ジュウルクニチー)と呼ばれています。
新暦では2月12日のことを指します。
お墓参りは、特に宮古地方や八重山諸島では非常に重要で、里帰りする人々も多いです。
理由があって里帰りできない人は、三重城(ミーグスク)で故郷の方角に手を合わせます。
清明祭
毎年新暦の4月下旬から5月にかけて本島の中部・南部で行われ、お祝いの意味が強いです。
親族や一族がお墓参りを済ませた上で、墓前で楽しく賑やかに宴会を行います。
七夕
毎年旧暦の7月7日に行われ、ご先祖様にお盆の時期が始まることを告げることが目的です。
ごく親しい家族がお参りし、お墓の掃除や基本的なお供えをします。
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沖縄のお墓の値段はどのくらい?
沖縄でお墓を建てる際の費用についても説明します。
伝統的なお墓に入りたい場合は、コンパクトなもので200~300万円、大きいお墓の場合は最高500万円程度が相場です。
国内で多く見られる形の和風墓も利用でき、100万~200万円程度が相場となっています。
費用を抑えたい場合は、50万円程度のコンパクトな簡易墓や、10~20万円程度の納骨堂や霊廟もおすすめです。
沖縄のお墓のまとめ
今回は沖縄のお墓について色々と見てきました。
沖縄のお墓は、本州などとは異なる独特な特徴があることが分かったと思います。
- 沖縄のお墓は広く、観音開きの扉や屋根が付いているものも多い
- 沖縄のお墓参りやお供え物には独特なマナーや特徴がある
- 沖縄でお墓参りが行われる時期は、十六日と清明祭、七夕である。
- 沖縄のお墓相場は、伝統的なお墓で200~500万円程度、和風墓で100~200万円程度である
ここまで沖縄の葬儀の情報や、特徴や費用などを中心にお伝えしてきました。
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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監修者
山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。
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