終活
遺品査定士はどんな仕事?給料や遺品整理士との違いも紹介
更新日:2022.07.06 公開日:2022.05.09
昨今の日本では遺品整理を遺族だけで行うことが困難で、遺品整理業者に依頼することも多いことはご存知でしょうか。
遺品整理業者の中には、遺品査定士がいることを知らないかと思います。
そこでこの記事では、遺品査定士について詳しく解説します。
この機会に、遺品査定士の給料などについて覚えておきましょう。
後半には遺品整理士についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
都道府県一覧から葬儀場を探す
こちらでご希望のエリアから葬儀場を検索できます。
こちらでご希望のエリアから葬儀場を検索できます。
遺品査定士とは
遺品査定士は、社会の高齢化や核家族化に伴い増加している遺品の買取や査定に対して、専門的に行えることを証明する資格になります。
遺品査定士という資格は、遺品整理士認定協会が2014年から開始した、日本で初めての遺品整理に関する資格です。
遺品整理の需要が急増したため、遺品整理業者に法律知識の不足や依頼者とのトラブルが起こるなど、質の悪い遺品整理業者も増えてしまいました。
また、遺品整理で買い取りが適正な価格で行われたのか不安に感じる依頼者も増えてきています。
遺品査定士は、これらの問題の解決や依頼者の不安を払拭するために誕生した資格です。
遺品査定士の資格取得には、遺品整理に関する法律知識や査定、買取の専門知識から遺族に寄り添う気持ちなどが必要になります。
遺品査定士は、遺品整理のプロフェッショナルである証明です。
また、悪徳業者でないことも証明するので、遺品整理業界全体の健全化にも貢献しています。
遺品整理業者に整理を依頼するのは、高齢の女性が多い傾向にあります。
また、遺品整理業者とのトラブルに遭遇する人は67%が女性だとされているようです。
遺品査定士は、女性や高齢者などの社会的に立場が弱い方にも、安心して遺品整理を依頼してもらえる資格です。
遺品査定士の仕事は、故人が残した遺品を適正価格で査定し買取を行ったり、査定した遺品を買取業者に紹介することです。
遺品の種類は多岐にわたるので、依頼者が自分で色々な買取業者に持ち込み査定してもらう手間を省くことができます。
故人の遺品を適正に査定し、依頼者の納得をしてもらったうえで買取を行うことが、遺品査定士の仕事で一番重要な点になります。
また、リサイクルやリユースといった点から見ても、遺品を社会に循環させることで、環境問題にも貢献できる仕事です。
遺品整理では、自分の家には売れるものは何もないと思ってる方が多くいらっしゃいます。
しかし、一般的に築30年の家から約10万円の買取額が期待できるそうです。
家族と別れた後の生活を、少しでも安心して過ごせるようお手伝いする仕事でもあります。
遺族の約80%ほどが遺品の買取を希望するといわれているので、遺品査定士は社会的な需要も併せて、これからさらに必要とされていく資格だと言えるでしょう。
遺品査定士の査定範囲
遺品査定士の査定範囲は多岐にわたり、ジャンルを一切問いません。
遺品と一口に言っても様々なものがあり、価値を判断しやすい家電から専門知識がなくては価値が分からない骨董品や貴金属など、幅広い種類に分かれています。
遺品査定士は自分で査定するだけでなく、価値の判断が難しいものに対しては、各分野の専門家に相談して適正な価格で買取します。
遺品査定士本人が価格を判断できない場合でも、専門家に当たりを付けて査定してくれるため、安心して査定を依頼できるのです。
遺品査定士の給料
遺品査定士になりたいと考えているのなら、給料がどれくらいもらえるかが気になる方は多いと思います。
ここでは正社員やアルバイト、独立開業した場合とそれぞれいくらくらいの給料になるのか、一般的な金額を紹介していきます。
正社員の場合の給料相場
正社員の場合は、月収で約17~40万円となっています。
年収にすると200~500万円程度となります。
こちらの金額は初任給から算出した金額になるので、勤続年数が長くなればさらにもらえる金額は高くなっていくことでしょう。
平成30年の統計調査では、正規雇用者の平均年収が504万円となっています。
そのため、初任給の時点でこれくらいの金額になるというのは、長期で勤めることを考えるなら、どちらかというと高めの年収と言えるでしょう。
アルバイトの場合の給料相場
次に、アルバイトで遺品査定士の仕事をした場合にもらえる給料の金額になります。
アルバイトなので時給換算で比較していきましょう。
地域別 | 給料相場 |
---|---|
東京都 | 1200円 |
埼玉県 | 980円 |
千葉県 | 1280円 |
大阪府 | 1000円 |
アルバイトの時給は、地域によって金額に差が出てきます。
ただ、どの県においても遺品査定士の時給は、アルバイトの平均時給よりも高くなっているようです。
遺品整理という仕事の特殊性や、場合によってはかなりの力仕事になることなどが、高い時給に影響しているのでしょう。
独立開業した場合の給料相場
次に、独立開業した場合の給料ですが、社員やアルバイトと違い金額の相場はありません。
独立開業した場合の給料は、どれくらい仕事を受けることができるかにかかっています。
そのため、安定して仕事を受けることができるようになれば、社員として就職するよりも高い年収を稼ぎ出すことも可能でしょう。
このように、遺品査定士は遺品を扱うという特殊性から、他の職業と比べて高めの給料になっています。
また、高齢化や核家族化が進んでいる社会状況からも、需要が高まることが予想される仕事です。
さまざまな面から考慮しても、遺品査定士は安定して働いていくことが可能な仕事と言えるでしょう。
遺品査定士のなり方
遺品査定士として働くためには、まずは遺品査定士の資格を取得しなければなりません。
遺品査定士の資格を取得するには、3つのステップを踏んでいく必要があります。
最初に行うのは、遺品整理士認定協会に遺品査定士資格養成講座の申し込みです。
このとき、受講料2万5000円と2年間有効の会費を7500円支払います。
申し込みが終わると数日で教材が届くでしょう。
遺品査定士資格養成講座は通信講座なので、自宅で勉強しながら資格取得を目指すことになります。
教材は、教本と資料集や問題集で構成されます。
これらの教材で勉強を進めていき、すべての学習が終了するとレポート試験を受けることになるでしょう。
レポートをwebもしくは郵送で送ることで、受講過程が終了です。
レポート試験が一定の基準を上回れば合格となり認定証書が届き、遺品査定士資格の取得が可能となります。
遺品査定士資格養成講座は、2カ月ほどで取得する方が多いようです。
遺品査定士の資格を取得したら、遺品整理業者や片付け業者に遺品査定士として就職できます。
また、遺品査定士として遺品整理業を開業することも可能なので、自分の力で働きたい方は独立もおすすめです。
遺品整理士には古物商の申請が必要
遺品整理士として遺品を売買する場合には、古物商許可を受ける必要があります。
遺品も中古品なので、古物営業法で定められる古物の一種に含まれます。
古物商許可なしに古物を商売のために売買してしまうと、3年以下の懲役または100万円以下の罰金を課せられてしまいます。
古物商許可を取らずに古物の売買を繰り返して逮捕された事案もあるので、安全に取引をするためには古物商許可を忘れずに取るようにしましょう。
ただ、古物商許可は取れない人もいます。
「成年後見人、被保佐人、又は破産者で復権を得ないもの」や「未成年者」は古物商許可を取得できません。
成年後見人や被保佐人、未成年は自分で有効な契約行為をできないものなので、売買するための許可である古物商許可を取得できないのです。
また、破産者で復権を得ないものは、破産した時に様々な権利が失われるため古物商の許可も通らなくなります。
ただ、破産時に失った権利を取り戻す復権をした場合は、古物商許可の取得も可能です。
このほかにも、犯罪者や住所不定の者など、古物商許可を取得できない場合がありますので、申請時は自分が当てはまっていないか確認しましょう。
遺品整理士との違い
遺品査定士と似た資格として、遺品整理士という資格もあります。
こちらも遺品整理士認定協会で取得できる資格です。
遺品整理士の仕事は、遺品査定士と比べて多岐にわたります。
主な仕事は遺品の仕分け、査定、搬出、清掃、処分、供養です。
一般的に遺品を片付けることとして思いつくような仕事は、すべて遺品整理士の業務範囲に入っていると考えてよいでしょう。
遺品整理士の仕事内容として中心になるのは、故人の残した遺品を仕分けすることです。
形見として残すものといらないものを、依頼者と相談しながら分類します。
そして、不用品に分類されたものを家の中から搬出、処分し、家の中の清掃をします。
処分、清掃までが遺品整理士の仕事となり、ゴミとして捨てる場合は各自治体のルールに則って処分する必要があるので、注意しなければいけません。
故人の残した物を供養する気持ちで整理していくことが大切です。
また、実際に依頼者から遺品の供養を頼まれるケースもあるので、その際にはお寺などに供養の手配をすることもあります。
さらに、不用品を捨てるだけでなく、査定して買取を行う場合もあります。
この査定については、査定のプロである遺品査定士に依頼したり、査定のノウハウを持っているなら自ら査定したりと、その遺品整理士の能力で変わるでしょう。
このように、遺品査定士と遺品整理士の仕事は一部で共通していますが、遺品査定士は遺品の査定に特化した資格となります。
反対に遺品整理士は、遺品整理全体を一貫して行うことができる証明となっています。
遺品整理士も遺品整理業界の健全化を目的とした資格で、遺品整理士に依頼すればトラブルのない安心のサービスを提供してくれます。
遺品の処分や清掃を頼むつもりがなく、遺品の査定だけを目的とするならば遺品査定士に、仕分けや処分、部屋の清掃まで頼みたいなら遺品整理士に依頼すると良いでしょう。
遺品査定士まとめ
ここまで遺品査定士についての情報や、遺品査定士のなり方について中心に解説してきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 遺品査定士は遺品の査定または買収業者への仲介をする
- 遺品査定士が査定する遺品はジャンルを問わない
- 遺品査定士は遺品整理士認定協会で取得できる資格
- 遺品整理に関わることすべてに対応できるのが遺品整理士
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
遺品や相続の費用などに関するアンケート調査を行なった記事があるのでこちらも参考にしてみてください。
スポンサーリンク都道府県一覧から葬儀場を探す
こちらでご希望のエリアから葬儀場を検索できます。
こちらでご希望のエリアから葬儀場を検索できます。
監修者
袴田 勝則(はかまだ かつのり)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。
終活の関連記事
終活
更新日:2023.04.23
遺品整理業者の選び方・利用するメリットとトラブル事例を説明
終活
更新日:2022.04.10
遺品を処分するときお清めの塩は必要?遺品の供養方法について紹介
終活
更新日:2024.09.28
家財の片付けをしてくれる業者はある?サービス内容と費用を説明