法事法要
浄土真宗のお経とは?3つのお経と般若心経を唱えない理由を解説
更新日:2022.11.17 公開日:2022.05.01
仏教では、修行の一環としてお経を唱える宗派が存在しています。
そんな宗派の一つである浄土真宗では、教えの中で重視されるお経があることをご存知でしょうか。
そこで記事では、浄土真宗のお経について解説します。
この機会に、浄土真宗の教えで重要だとされる3つのお経について理解を深めておきましょう。
後半では、浄土真宗の葬儀でのマナーについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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お経とは
お経とは、お釈迦様の教えを弟子たちに口頭で伝えたもので、後に文章化され、現在まで続いてきました。別名、経典や仏典とも呼ばれ、経蔵・律蔵・論蔵という3つの種類があります。
経蔵とはお釈迦様の教えをまとめたもの、律蔵は弟子の戒律についてまとめたものです。また、論蔵は経や律についての注釈がまとめられたもののことを指します。
仏教ではこの3つを合わせて三蔵と呼びます。
お経はお釈迦様の教えを誰でも読めるように作られたもので、全ての人が幸せになれるようにという願いが込められています。
また、葬儀でお経を読む時には故人が無事に極楽浄土へ行けるようにという思いが込められます。
浄土真宗のお経とは
ここからは浄土真宗のお経について解説していきます。
浄土真宗で重要視されている3つのお経や、その由来について触れていきましょう。
浄土真宗のお経とは
仏教ではお経という形式でお釈迦様によって話された内容をまとめ、どう生きるべきかを説いています。
浄土真宗では特に「仏説無量寿経」「仏説阿弥陀経」「正信偈」の3つのお経が重要視されており、この3つがよく唱えられます。
浄土真宗のお経の由来
浄土真宗では、「南無阿弥陀仏」という念仏が重要視されていますが、これは「仏説阿弥陀経」の中に含まれています。
浄土真宗の開祖である親鸞もこの念仏を教えの根幹に据え、この宗派を開宗しました。
この念仏は、浄土真宗で最も重視される仏である阿弥陀如来への帰依を誓う言葉で、よく唱えられます。浄土真宗にとって、「南無阿弥陀仏」は前述した3つのお経を象徴する念仏なのです。
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浄土真宗の3つのお経
ここからは、浄土真宗で重視される「仏説無量寿経」「仏説阿弥陀経」「正信偈」の3つのお経について詳しく解説していきます。
どういった意味を持つのか、それぞれ見ていきましょう。
仏説無量寿経
仏説無量寿経(ぶっせつむりょうじゅきょう)は、阿弥陀如来が法蔵菩薩時代から仏になるまでの修行と苦悩について語られたお経です。
また、阿弥陀如来が西方浄土を開くに至った経緯についても語られています。
このお経の中でお釈迦様は、阿弥陀如来の本願によって全ての人にもたらされる救いについて説いています。浄土真宗で最も大切にされている仏である阿弥陀如来が、悟りに至るまでを語ったお経です。
仏説阿弥陀経
仏説阿弥陀経(ぶっせつあみだきょう)は、お釈迦様が最後に残したとされるお経です。
このお経ではお釈迦様が弟子に対して阿弥陀如来と極楽浄土について詳しく語っています。
また、その中で浄土に行くためには阿弥陀如来の力が必要であると説いています。
このお経の中でお釈迦様は、この世が悪世になることで生じる汚れを「五濁(ごじゃく)」と呼んでいます。
五濁とは以下の5つを指します。
- 劫濁(こうじょく):戦争・飢饉・疫病による汚れ
- 見濁(けんじょく):思想の乱れ
- 煩悩濁(ぼんのうじょく):煩悩による心身の汚れ
- 衆生濁(しゅじょうじょく):社会の濁り
- 命濁(みょおうじょく):命が濁って寿命が縮む濁り
これらが蔓延る現世から救われるために、阿弥陀仏の本願が必要であるということが説いています。
念仏を唱えることで極楽浄土に至れることが語られており、浄土真宗において重要視されているお経の一つです。
正信偈
正信偈(しょうしんげ)とは、浄土真宗では葬儀や謹行で必ず唱えられるものです。
これは親鸞の「顕浄土真実教行証文類(けんじょうどしんじつきょうぎょうしょうもんるい)」内に書かれたものです。そのため、厳密にはお経ではありません。
正信偈では阿弥陀如来の本願を信じることで、浄土に至れるということが語られています。
このように、浄土真宗で重視される3つのお経は、どれも阿弥陀如来について述べられたものです。
上記のことからも、浄土真宗で阿弥陀如来がどれだけ大切にされているかが分かります。
浄土真宗の念仏「南無阿弥陀仏」
ここからは浄土真宗の教えで最も重視されている念仏である「南無阿弥陀仏」について解説していきます。
この機会にこの念仏に込められた意味や、唱え方について詳しく知っておきましょう。
南無阿弥陀仏の意味
南無阿弥陀仏は、阿弥陀如来に帰依するという意味と、阿弥陀如来の本願に任せるという意味が込められています。
これらはそれぞれ「帰依」と「勅命」と呼ばれます。
ここでいう帰依とは、阿弥陀如来を拠り所にすることを意味します。
また、勅命とは人々に阿弥陀如来が帰依することを命じる声を意味します。
これは、阿弥陀如来が人々を必ず救うという慈悲を表す言葉でもあるのです。
南無阿弥陀仏の唱え方
浄土真宗では南無阿弥陀仏を唱える際、何回唱えるかは決まっていません。
何度もこの念仏を唱え続けることで、阿弥陀如来の本願への感謝を示します。
また、唱え方は地域によって異なるのも特徴です。
「なむあみだぶつ」だけでなく「なんまいだぶ」や「なんまんだぶ」などと読むこともあります。
南無妙法蓮華経との違い
南無阿弥陀仏と南無妙法蓮華経という念仏には、そこに込められた意味に違いがあります。
例えば、死後の行き場所である浄土にも違いがあります。
南無阿弥陀仏を唱える浄土真宗では、阿弥陀如来が開いた西方浄土のことを浄土と呼んでいます。
一方、南無妙法蓮華経を唱える日蓮宗は、霊鷲山(りょうじゅせん)を霊山浄土とし、死後の行き場所だとしているのです。
また、この2つにはその目的にも違いがあります。
南無阿弥陀仏は念仏として唱えられますが、南無妙法蓮華経は題目として唱えられるものです。
念仏を唱えることで浄土へ至る浄土真宗と違い、日蓮宗は題目を唱えることで功徳を積み、仏を目指します。
こうした目的の相違からも少し分かるように、これらは最終目的にも違いがあります。
南無阿弥陀仏を唱える浄土真宗は、西方浄土で全ての人が苦しみから解放されて生きることを目指しています。
一方で、南無妙法蓮華経を唱える日蓮宗は全ての人が仏と化し、霊山浄土で生きることを目指しているのです。
この二つはどちらも「南無」が含まれていますが、上述したように意味や目指すところは大きく異なります。
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浄土真宗は般若心経を唱えない
仏教では特に有名な般若心経ですが、浄土真宗ではあまり唱えられません。
ここからは浄土真宗で般若心経が唱えられない理由について解説します。
般若心経とは
般若心経は、自力で悟りを開くための思想を表した経典です。
この経典では、修行を行うことで成仏を目指すことが重要であると述べています。
そのため、自力で修行を重ねることで悟りの境地に至ることができるという考え方を基にしています。
一方で、浄土真宗は他力本願と呼ばれる思想を基にしており、これは般若心経の考え方と相反するものです。
他力本願とは、阿弥陀如来の本願の力を借りて極楽浄土に至ることを意味します。
浄土真宗が般若心経を唱えない理由
浄土真宗では上述したように、阿弥陀如来のことを信じることを重要視しています。
阿弥陀如来の本願を信じることが重要で、阿弥陀如来による救済によって極楽浄土にたどり着けるとされているのです。
そのため、般若心経の中でいわれているような修行は必要ないとされています。
浄土真宗のお経以外の葬儀マナー
ここからは、浄土真宗の葬儀に関してのマナーを紹介します。
お経以外に、お線香や焼香、仏壇などに関しても、その宗派ごとのマナーが存在しているため、この機会に覚えておきましょう。
以下で、浄土真宗の本願寺派を例にしてそのマナーを解説していきます。
お線香のマナー
浄土真宗のお線香は他の宗派とは違い、立てるのではなく寝かせるのがマナーです。
香炉が小さい場合には、香炉に合わせて線香を二つか四つに折るなどしてお供えします。
焼香のマナー
焼香をする際には、他の宗派とは違い、押しいただかずにそのままお供えします。
押しいただくとは、香をつまんだ手を額の前まで持ってくる動作のことを指します。
香を持ったら、そのまま火種に入れるのが浄土真宗のマナーです。
仏壇や掛け軸のマナー
浄土真宗の仏壇では、本尊として阿弥陀如来の仏像か掛け軸のどちらかを飾ります。
掛け軸を選ぶ際には、阿弥陀如来の後光が八本のものを選ぶのがマナーです。
脇侍は本願寺派の場合には右に親鸞、左に蓮如の御影を掛けます。
また、浄土真宗の場合は故人は死後すぐに極楽浄土に至るとされているため、位牌を祀らないのがマナーです。そのため、浄土真宗では位牌の代わりとして過去帳や法名軸を飾ります。
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浄土真宗のお経のまとめ
ここまで浄土真宗の重要な3つのお経を中心に解説してきました。
まとめると以下の通りです。
- 浄土真宗では3つのお経が重要視されている
- 南無阿弥陀仏と南無妙法蓮華経は、目指している浄土や目的が異なる
- 浄土真宗では「般若心経」は唱えられず、代わりに「南無阿弥陀仏」が唱えられる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
袴田 勝則(はかまだ かつのり)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。