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墓じまいをして散骨するには?費用や流れ、注意点を解説
更新日:2021.09.29 公開日:2021.09.29

お墓の維持管理が困難になったことで、「墓じまい」を行う人たちが最近増えています。
ですが、移動先がなかなか見つからない場合もあり、墓じまいをあきらめる人もいます。
そんな人たちにお勧めなのが、「散骨」です。
遺骨を破砕して、山林や海洋に撒くことで供養を行う方法ですが、散骨そのものについてまだまだ理解が深まっているわけではありません。
- 散骨とは何か
- 散骨のメリットやデメリットは何か
- 散骨の費用
- 散骨をして後悔しないためには?
今回は、散骨を検討している人や、墓じまい後の遺骨の行き先を検討している人におすすめの記事となっています。
散骨に関して、上記に掲げたポイントを踏まえて、詳しく解説いたします。
この機会に、ぜひご覧ください。

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- 散骨とは
- 墓じまい・散骨に向いている人
- 散骨のメリット・デメリット
- 墓じまいをして散骨をしたい時の注意点
- 墓じまいから散骨するまでの流れ
- 墓じまいから散骨するまでの費用
- 墓じまいをして散骨すると後悔するって本当?
- 墓じまいの後の散骨まとめ
散骨とは

散骨とは、遺骨を破砕して自然に還るように供養する方法です。
散骨は、遺骨をまく場所によってその形式が異なります。
海洋散骨
海洋散骨は、破砕した遺骨を海に散骨する方法です。
堤防や海岸で散骨をすることはほぼなく、船で沖合に移動して散骨します。
この時、自身や知人の船などで移動する人もいますが、一般的には散骨を請け負う業者がチャーターする船を使用します。
山林散骨
山林散骨は、指定された森林内に遺骨を撒き、自然に返すことを目的とした方法です。
樹木葬との相違点は、樹木葬が樹木をシンボルとして埋葬するスタイルなのに対し、山林散骨は指定された山中のエリアの中に粉砕した遺骨を撒く点です。
エリアが指定されているのは、土地の所有権や水源保全などの関係からで、許可されたエリア以外への散骨は厳禁です。
墓じまい・散骨に向いている人

墓じまい後に散骨を選ぶことは、次のような事情を抱えている人におすすめです。
- 没後に自然に還ることを望んでいる
- 供養において霊園など特定の場所に縛られたくない
- 子孫に供養の手間をかけさせたくない
- 子孫がいない、あるいは子孫が独身のため絶家する
やはり通常のお墓と比べ、その後の維持管理の手間がかからないことがポイントです。
散骨の場合、自然に還るのでその後の供養は自然そのものに畏敬を払って供養することになります。
その他、子孫が少なく絶家する事が確定している場合も、散骨はお勧めの方法です。
無縁墓になって墓地を放置するよりも、元気なうちに墓じまいを行っておけば、その後の供養の手間を軽減する事ができます。
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散骨のメリット・デメリット

では、散骨のメリットとデメリットについて、詳しく解説します。
散骨のメリット
散骨のメリットは「その後の供養」に関する手間が軽減されることや、自身が望む供養の在り方を選べることです。
自然に還ることができる
海や山という自然に抱かれて、自身が自然と同化したいという考え方を持つ人は増えてきています。
また、自然が好きだった、という故人の意思も尊重することができます。
費用が安い
散骨は、墓石を作らず霊園を購入しないため、供養にかかる費用が安価で済みます。
例えば、山林散骨の場合、5万〜10万円で行える場合もあります。
一方お墓を購入する場合、墓石を建てるのに100万円、霊園を購入するのに100万円程かかります。
後継者の心配が不要
散骨はお墓の管理に係る手間が軽減されます。
また、「お盆」「お彼岸」等、定期的にお墓参りをすることも不要になります。
さらに、定期的な法要も必要ないので、寺院との付き合いも必要とはなりません。
このことから、散骨は後継者がいなくても行うことができる供養の方法として、注目されています。
散骨のデメリット
では、散骨のデメリットについてここから解説します。
特にデメリットに関わるのは、「遺骨」の存在とその扱い方です。
遺骨が残らない
散骨をしてしまえば、自然に還るので遺骨がどこにも残りません。
そのため、どこに向かって供養をすればいいのか、戸惑うことになります。
ちなみに散骨は、すべての骨を散骨せず、一部の骨を手元に残しておくことも可能です。
自宅に遺骨の一部を安置するときは、仏壇などきっちり管理できる場所にすることをおすすめします。
お墓参りが難しくなる
散骨後はお盆やお彼岸のお墓参りをどうすればいいのか戸惑うこともあります。
一般的には、散骨をした海や山を訪れて手を合わせることになりますが、やはり一般的なお墓参りとは方法が違います。
家族や親戚とのトラブルの原因となる
故人の遺骨を山や海に撒くとなれば、納得しかねる家族や親族もいます。
「お墓に納めるのが当たり前」といった、従来の宗教的慣習を優先するように求めてくる人も少なからず存在します。
そのため、散骨を提案した際に家族や親族と言い争いになったり、散骨後に親族と関係が悪化し、絶縁するような場合もあります。
墓じまいをして散骨をしたい時の注意点

では、墓じまいと散骨を同時に行うときに注意したいことを、ポイントごとに解説します。
散骨は「改葬」にあたらない
遺骨の扱いについては、「墓地、埋葬等に関する法律」で次のように定められています。
第二条第三項
「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。
この法律は、改葬を遺骨をほかのお墓又は納骨堂へ移すこととしています。
しかし散骨はお墓への移動でないため、改葬にあたらないというのが一般的な解釈です。
散骨をするときは改葬許可証は不要
散骨の場合、お墓からお墓、という概念にあたらないため「改葬」という行為とは解釈されません。
そのため、自治体の許可を得る必要もなく、改葬許可証も本来は必要ありません。
改葬許可証とは
改葬許可は、お墓からお墓に遺骨を移動する際に必要となります。
自治体に「改葬許可申請書」を行い、移動を認めた時に発行される証明書のことです。
改葬許可証の発行が困難の場合も
本来は必要のない改葬許可証ですが、提示を求められるケースもあります。
一般的に、改葬許可を得るためには自治体が求める以下の書類を用意する必要があります。
- 1. 改葬許可申請書
- 2. 改葬元(墓じまいするお墓)の墓地管理者による故人の納骨を証明するもの
- 3. 改葬先(墓じまいした後の埋葬先)の墓地管理者による遺骨の受入を証明するもの
このうち、3にあたる部分は、行き先が「お墓」ではないため、受入を証明するものを発行しない業者もいます。
そのため、散骨に際して改葬許可証を求められても、対応できない場合があります。
ただし、散骨を請け負う業者の中には、自治体からの指導などを避けるため、改葬許可証を提出するように求めるころもあります。
そのような業者の場合、受け入れを証明するものを発行し、自治体への申請ができるように対応してくれます。
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墓じまいから散骨するまでの流れ

それでは、墓じまいから散骨に至るまでの流れを、簡潔に解説します。
家族・親族に散骨について相談する
散骨することを、家族や親族に相談します。
前もって相談しておくことで、人間関係のトラブルを避けることができます。
時間をかけて相談することで、理解を得られる可能性も高まります。
お墓の管理者に墓じまいの相談をする
今のお墓の管理者に、墓じまいについて相談をします。
寺院がお墓の管理者である場合、「離檀料」など、根拠の不明瞭な費用を請求されることもあるため、場合によっては弁護士に相談することも必要になります。
墓じまいの業者を決める
墓じまいの業者は、今のお墓を建てた石材店でもよいですし、見積もりを取って複数の業者を比較して決定しても問題ありません。
見積もりを取る方が相場も理解できるため比較検討するようにしましょう。
閉眼法要
今のお墓から骨を移動する際、工事の安全などを願って行う法要です。
僧侶を招いて、現地で行うことが多いです。
墓石の解体工事
石材店が、墓石の解体工事を行います。
その間、遺骨は自宅に仮安置しておきます。
散骨業者の手配
散骨業者を手配して、遺骨を預けて粉砕してもらいます。
散骨業者と言っても、専門で行っている業者もいれば、葬儀業者が「散骨プラン」などを提供している場合もあるので、複数の業者を調べてみましょう。
遺骨を粉砕する
散骨業者が決まれば、遺骨を預けて粉状に粉砕してもらいます。
遺骨を散骨する
実際に散骨をします。
業者の「散骨プラン」を利用する場合は、葬祭業者のスタッフが当日の進行をサポートしてくれます。
「散骨プラン」には、散骨式などのセレモニーがセットされている場合もあります。
墓じまいから散骨するまでの費用

では、墓じまいから散骨するまでにかかる費用について、詳しく解説します。
地域や提供されるサービスによって差があるため、ご自身でもお調べになることをおすすめします。
墓じまいの費用
墓じまいに必要な費用は、墓石の撤去や処分費用、それに現地を更地にする費用が主な費用になります。
墓じまいの工事費用
墓石撤去費用の相場は、1平方メートル当たり約10万円が相場です。
墓地の場所によっては、機械を使うことができず、人力で作業を行う場合もあり、その場合は人件費が割り増しになる場合もあります。
閉眼法要の費用
閉眼供養は、古い墓地において僧侶を招いて供養を行い、遺骨を取り出すことと古いお墓の撤去にかかる工事の安全を祈願するものです。
(寺院墓地の場合)離檀料
寺院墓地の場合、お寺と縁を切ることに対する「離檀料」を請求され、その相場は3万~20万円とも言われています。
墓じまいをするということは、檀家を辞めるということになるため、納得ができる金額の場合は支払った方がよいとも言われます。
(改葬許可申請を代行する場合)代行料
改葬許可申請を行う場合、その手続きを石材店などに代行してもらう際の費用です。
500円から1000円程度を請求されることがありますが、業者によってはサービスで対応してくれる場合もあります。
散骨の費用
散骨時には、次のような作業が必要になります。
- 粉骨料:1万〜3万円
- 散骨場所の使用料:5万〜10万円
- 散骨場所への移動にかかる費用
- 散骨時のセレモニーにかかる費用:0〜50万円
散骨そのものにかかる費用は、その場所やセレモニーの有無によって大きく変わります。
また、業者を依頼するか、個人で段取りをするかでも変わってきます。
個人での散骨
仮に個人で全ての作業を行う場合、費用はかかりません。
しかし粉骨は、時間と体力がかかるだけでなく、精神的負担もあるため業者に依頼することをおすすめします。
海洋散骨:2万〜10万円程度
海洋散骨を行う場合、船をチャーターして家族だけで参加する「家族散骨式」が一般的です。
この時の費用は、船のタイプによって変動する場合はありますが、業者によっては10万円前後で行ってくれるのが一般的な相場です。
費用の中には、献花などの花代も含まれていますが、「故人が好きだったお酒」等を持ち込む場合には、追加料金を払って用意してもらうことも可能です。
山林散骨:2万〜10万円程度
山林散骨の場合は、散骨場所に対して使用料を支払う必要があります。
散骨場所によって使用料は上下しますが、安い場合には2万円程度、高い場合でも10万円程度で済むことが多いです。
それに加えて、散骨場所までの移動にかかる費用は別途必要です。
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墓じまいをして散骨すると後悔するって本当?

墓じまいをしてから散骨をしたことで、後悔したという事例もあります。
その理由はいったいどんな理由なのでしょうか。
散骨をして後悔した事例
散骨をしたことで後悔をした事例を紹介します。
親族や家族からの理解を得られなかった
家族や親族が理解してくれず、結果的に関係が破綻してしまった事例があります。
まだまだ供養と言えば「石のお墓」という概念があるため、説明を十分に行っていればこの事態は避けられたかもしれません。
地域住民とのトラブルに発展した
散骨をすることで、地域の住民から苦情が寄せられトラブルになった事例です。
例えば海洋散骨の場合、漁業関係者に風評被害が及び、収入に影響を及ぼす事もあり得ます。
山林散骨の場合でも、隣地の土地所有者や林業関係者、地域住民への風評被害が及べば、訴訟に発展する可能性もゼロではありません。
心の拠り所がなくなってしまった
お墓という印が無くなり、供養するにも場所が思い当たらなくなった結果、供養そのものが行われなくなった事例があります。
また、遺族としては辛い時や寂しい時、遺骨の眠っているお墓を心の拠り所にできますが、散骨をすればその拠り所が無くなってしまいます。
そのため、散骨を行う前にはその後の供養の在り方について考えておく必要があります。
散骨で後悔しないためには?
散骨をして後悔をしないためには何に気をつければ良いのでしょうか。
親族や家族としっかり話し合う
墓じまいをすることや、散骨をすることについて時間をかけて親族や家族と話し合いをすることは重要です。
特に、子供がいる場合は、墓じまいをして散骨してしまうと実家のお墓がなくなってしまうため、あまりおすすめできません。
実際、墓じまいをすることは、子どもたちが入るお墓がない事を意味します。
そのため、子どもたちが将来的にどのような供養を望むのかを踏まえて決定することも必要です。
分骨をおこなう
分骨は、遺骨を2つに分けることを言います。
そのため、遺骨の一部を本山納骨し、残りを散骨するといった方法も選択できます。
分骨をするにあたり1つは散骨でも、もう1つを自宅で手元に置いて供養する「手元供養」も選択肢の1つです。
手元供養を行う場合、仏壇などに遺骨を安置することになりますが、後の世代にもそのことを引き継げる環境が必要です。
もし、自身の代で絶家してしまえば、行き場を無くした遺骨だけが残されることになり、後々問題になりかねません。
散骨以外の選択肢も検討しよう
散骨は、墓じまいとその後の供養の手間を軽減する意味でメリットがあることは、今までの記事で紹介しました。
ですが、同様のメリットを得られる供養の方法は他にもあります。
その方法について、詳しく解説します。
永代供養墓
永代供養墓は、定期的な供養を霊園管理者が行ってくれるので、絶家してしまっても、安心して供養してもらえます。
はじめは個別のお墓に入れてもらい、数十年後に合祀するといった方法が多いようです。
納骨堂
納骨堂は、建物内に棚やロッカーを設けて家ごとに遺骨を納めて供養する形式のもので、こちらも数十年程度たてば合祀される事が一般的です。
この時、合祀される場所は前述の「永代供養墓」と準じた場所になるので、将来的に絶家する場合でも、自身の代までは安心して利用することが可能です。
樹木葬
樹木葬は、霊園内の一角に樹木をモニュメントにしたお墓を設けるもので、遺骨は樹木の根元に埋めて自然に還すことも可能です。
樹木葬の場合、モニュメントとして樹木が存在するので、心の拠り所があることは遺族にとってメリットになります。
手元供養
自宅の仏壇に遺骨を安置するのが「手元供養」です。
お墓に関する費用が一切かからないこと、お墓の維持管理の手間がかからないというメリットがあります。
ただし、子孫にお墓が残らないことと、子孫が遺骨の存在を知らずにトラブルになることを考慮する必要があります。
墓じまいの後の散骨まとめ

今回は、散骨に関する流れや、メリット・デメリットについて解説しました。
この記事のポイントをおさらいすると、以下の通りです。
- 散骨とは粉砕した遺骨を海や山に撒いて故人を供養する方法
- 散骨のメリットは、費用が安く、お墓の維持管理の手間が軽減できること。
- デメリットは、親族や家族の理解が得られないこと、後の世代にお墓を用意することができないことなど。
- 散骨の費用は10万円程度
- 散骨をして後悔しないためには、散骨以外の選択肢をしっかり検討する。
この記事が、多くのみなさまのお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

唐沢 淳(からさわ じゅん)
経歴
業界経歴10年以上。大手プロバイダーで終活事業に携わる。葬儀の現場でお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから大人数の葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとにも数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、ユーザー目線でのサービス構築を目指す。
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