般若心経とは？「空」の思想と読まれるタイミングを紹介

更新日：2022.11.18

宗教

記事のポイントを先取り！

• 正式名称は「般若波羅蜜多心経」
• 「空」という思想が中心
• 「真言」は悟りに至るために必要
• 般若心経は誰でも唱えられる

般若心経は、葬儀の場などに僧侶が唱えるため、多くの人にとって馴染みが深いお経の一つです。
しかし、般若心経に込められた意味について知っているという方は少ないのではないでしょうか。

そこでこの記事では、般若心経について詳しく解説していきます。
般若心経の意味を知ることによって、仏教への理解も深まることでしょう。
般若心経を唱える宗派や、唱えるタイミング・役割などについても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

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1. 般若心経とは
2. 般若心経の中心となる「空（くう）」の思想
3. 般若心経の漢訳と和訳
4. 「真言」とは何か
5. 般若心経が読まれるタイミングと役割
6. 宗派に関係なく般若心経を唱えてもよい？
7. 般若心経のまとめ

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般若心経とは

お経の代名詞ともいえる般若心経ですが、普段から仏教に関心のある方以外は意味を詳しく知らないことでしょう。
ここではまず、般若心経の起源や意味についてご紹介していきます。

般若心経の起源

般若心経は、正式には「般若波羅蜜多心経（はんにゃはらみったしんぎょう）」といいます。
この般若心経は「般若経典」に収められたものの一つで、5〜6世紀ごろに作られたとされています。

その原書は玄奘（げんじょう）がインドから中国に持ち帰った「大般若経」にあります。
この「大般若経」は玄奘によって漢語に訳され、600巻という膨大な長さになりました。

そして、この600巻の中で書かれた内容をまとめたのが、般若心経だとされています。
「大般若経」の大切な部分が詰まっているのが、般若心経なのです。

般若心経の意味

「般若波羅蜜多心経」という言葉には、「仏の知恵によって、悟りに至るための教え」という意味が込められています。
つまり、般若心経の意味を理解すれば、どうすれば悟りの境地に至ることができるのかが分かるということです。

前述したように「大般若行」は600巻にも及ぶため、仏教をよく知らない方が読むのは大変です。
しかし、般若心経さえ読めば、仏教の思想の重要な部分を学ぶことができます。

般若心経を読む宗派

般若心経が読まれる宗派は以下の通りです。

• 天台宗
• 曹洞宗
• 真言宗
• 浄土宗

これらの宗派では、日頃から勤行などで般若心経を読みます。

一方、般若心経が読まれない宗派の代表的なものとしては浄土真宗・日蓮宗があります。
浄土真宗では「他力本願」と呼ばれる、阿弥陀様の導きによって悟りに至れるという教えがあります。

そのため、「自力本願」を根本とする般若心経が読まれることはありません。
また、日蓮宗は「妙法蓮華経」のみを唱えることで悟りに開けるとされているため、般若心経は読まれません。

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般若心経の中心となる「空（くう）」の思想

般若心経の中心となる概念が、「空（くう）」という思想です。
この「空」は「実体がない」ということを意味しています。

「空」という概念を説明した般若心経内の言葉として代表的なものに「色即是空」があります。
これは全てのものには実体がなく、刻々と変化していくもので不変のものは存在しないということを表した言葉です。

般若心経ではこの「空」の思想を取り上げ、全てのものには実体がないから、苦しみも悲しみも恐れる必要はないと唱えます。
そして、この「空」を突き詰めていくことで悟りが開けると言っているのです。

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般若心経の漢訳と和訳

ここからは般若心経の漢訳と和訳をご紹介していきます。
般若心経に込められた意味を知れば、仏教についての理解も深まることでしょう。

漢訳

観自在菩薩　行深般若波羅蜜多時　照見五蘊皆空 
かんじざいぼさつ　ぎょうじんはんにゃはらみったじ　しょうけんごうんかいくう

度一切苦厄
どいっさいくやく

舎利子
しゃりし

色不異空　空不異色　色即是空　空即是色
しきふいくう　くうふいしき　しきそくぜくう　くうそくぜしき

受想行識　亦復如是
じゅそうぎょうしき　やくぶにょぜ

舎利子　是諸法空相
しゃりし　ぜしょほうくうそう

不生不滅　不垢不浄　不増不減　是故空中
ふしょうふめつ　ふくふじょう　ふぞうふげん　ぜこくうちゅう

無色　無受想行識
むしき　むじゅそうぎょうしき

無眼耳鼻舌身意　無色声香味触法
むげんにびぜっしんい　むしきしょうこうみそくほう

無眼界　乃至無意識界
むげんかい　ないしむいしきかい

無無明　亦無無明尽　乃至無老死　亦無老死尽　無苦集滅道　
むむみょう　やくむむみょうじん　ないしむろうし　やくむろうしじん　むくしゅうめつどう

無智亦無得　以無所得故
むちやくむとく　いむしょとくこ

菩提薩埵　依般若波羅蜜多故　心無罣礙
ぼだいさつたえ　はんにゃはらみったこ　しんむけいげ

無罣礙故　無有恐怖　遠離一切顛倒夢想　究竟涅槃
むけいげこ　むうくふ　おんりいっさいてんどうむそう　くきょうねはん

三世諸仏　依般若波羅蜜多故　得阿耨多羅三藐三菩提
さんぜしょぶつ　えはんにゃはらみったこ　とくあのくたらさんみゃくさんぼだい

故知般若波羅蜜多
こちはんにゃはらみった

是大神呪　是大明呪　是無上呪　是無等等呪
ぜだいじんしゅ　ぜだいみょうしゅ　ぜむじょうしゅ　ぜむとうどうしゅ

能除一切苦　真実不虚　故説般若波羅蜜多呪　即説呪日
のうじょいっさいく　しんじつふこ　こせつはんにゃはらみったしゅ　そくせつしゅわつ

羯諦　羯諦　波羅羯諦　波羅僧羯諦　菩提薩婆訶
ぎゃてい　ぎゃてい　はらぎゃてい　はらそうぎゃてい　ぼじそわか

般若心経
はんにゃしんぎょう

和訳

観音菩薩は悟りを求めて修行をしていた時に、心と体（五蘊）は「空」であるということをはっきりと理解した
そしてこれを理解した時、観音菩薩は全ての苦しみから解放された

シャーリプトラ（ブッダの弟子）よ
この世の全てのものには実体がなく、実体がないからこそ姿や形を変えられるのだ
そして私たちの存在も「空」に過ぎない

シャーリプトラよ、この世の全ては「空」なのだ
「空」だから、全ては生まれも減りもせず、汚れも浄化もせず、増えも減りもしない

この世の全ては「空」であるのだから、私たちの心も体も存在しないのだ
眼も耳も鼻も舌も体もないし、色も声も音も香りも味も触感も心もない
眼で見る世界も、心の中の世界も存在しないのだ

全ては存在しないため、苦しみも苦しみからの解放も存在しない
この世は「空」だから、釈迦が説いた苦しみから解放される方法も存在しないのだ

菩薩はこの世が「空」であるということを悟っているため、心を惑わされることがない
智慧を完成させれば、全てのものに恐れを抱くこともない
「空」を完全に理解すれば、一切の迷いから解き放たれ、涅槃へと辿り着けるのだ

三世（過去・現在・未来）の仏・菩薩は智慧を完成させ、苦しみから解放されている
智慧の完成とは、どういったものかを紹介しよう

これは他とは比べ物にならないほど偉大な真言である
この真言は、私たちの苦しみを全て取り除いてくれる真実のものである

真言は次の通りだ
「ぎゃてい　ぎゃてい　はらぎゃてい　はらそうぎゃてい」

これが、智慧を完成させるための教えである

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「真言」とは何か

仏教には「真言」という概念があります。
この概念を理解することで、般若心経を始めとするお経についても理解が深まることでしょう。

ここでは、真言という言葉の意味と修行の方法を紹介します。

真言の意味

真言には「仏の真実の言葉」という意味が込められています。
この言葉には仏の智慧が表されており、この言葉を唱えることによって真実に至ることができるとされています。
一般的に意味よりもその音が重要視され、唱えることに意味があるとされています。

仏教では瞑想でこの言葉を唱えることによって仏の智慧を心に留めれば、最終的に悟りに至れるとされます。
真言は文字一つの中に膨大な真理が隠されており、その膨大さゆえに宇宙にさえ繋がるものです。
私たちの頭では理解できなくとも、この真実の言葉を唱え続けることでいつかその内容を体得できるとされています。

真言の修行について

般若心経の中でもこの真言について言及されており、悟りに至るためには真言を唱えるようにと言っています。
これは真言を唱えれば、願いが叶うということではありません。

真言を唱え続ければ仏に近づくことができ、悟りにも近づけるという意味です。
この真言を唱える続ける修行法のことを「念誦法（ねんじゅほう）」といいます。
般若心経では「空」を理解し、真言を唱えて意味を体得することが悟りを開くために必要であると説いているのです。

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般若心経が読まれるタイミングと役割

仏教において重要な意味を持つ般若心経ですが、これを読むタイミングはいつなのでしょうか。
また、そこにはどういった役割があるのでしょうか。

タイミング

普通の人の生活の中で般若心経が読まれる場としては、葬儀関連が代表的です。
僧侶によってタイミングは様々ですが、枕経・通夜・火葬場などで唱えられることが多いでしょう。

また、法事においても般若心経が唱えられます。

役割

般若心経の役割は、読まれる時によって異なります。
例えば、葬儀の場合には、僧侶は故人の冥福を祈るために般若心経を唱えます。

対して、法事の場合には冥福を祈るのではなく、自分の徳を故人に分け与えるために般若心経を唱えます。
これは「回向（えこう）」と呼ばれるもので、故人が浄土への道を開けるようにという思いが込められています。

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宗派に関係なく般若心経を唱えてもよい？

般若心経は、どの宗派の人が唱えても問題ありません。
また、それだけでなく、僧侶以外やお経を唱えたことがない人でも唱えて大丈夫だとされています。

般若心経を唱えない宗派に属する人が唱えたとしても、何か不都合なことが起こる訳ではありません。
「般若心経を唱えると霊が寄ってくる」という噂もありますが、そういった事実はありません。
普段、お経に馴染みがない人でも安心して唱えましょう。

また、般若心経のようなお経を唱えることには、リラックス効果があるとも言われています。
これはお経を発する内に段々と精神が統一されていき、心が落ち着くためです。
般若心経を唱えることで仏教の有難い言葉の意味を身をもって実感しながら、ストレスを軽減させることができるでしょう。

般若心経は仏教における重要なお経の一つであり、社会に属する人間のストレスを取り払ってくれるものだといえます。
この機会に、般若心経を唱えてみてはいかがでしょうか。

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般若心経のまとめ

ここまで般若心経の起源や、込められた意味などを中心にご紹介してきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

• 般若心経の正式な名称は「般若波羅蜜多心経」
• 般若心経は「空」という思想が中心になっている
• 「真言」を唱えることで悟りに至れる
• 般若心経は誰が唱えても良い

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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