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塔婆の意味と由来は?塔婆を立てる意味や書かれている内容を解説
更新日:2022.11.17 公開日:2022.02.12
「塔婆(とうば)」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。
塔婆は、お墓の後ろに立てられている文字が書かれた細長い板のことです。
しかし、見たことはあっても塔婆が何のために立っているのかよく分からないという方もいらっしゃるでしょう。
本記事では「塔婆」の意味と由来、その種類について詳しく解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
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塔婆とは
塔婆はお墓の脇や後ろに立っている細長い木製の板で、長さは1m〜2mほどあります。
近くで見ると、両サイドにギザギザと切り込みが入っており、先端は尖った形をしています。
故人を供養するうえで大切な意味をもち、法要やお墓参りなどで見かけることが多くあります。
しかし「なぜ塔婆を立てるのか、なぜ必要なのか?」と、その詳細や意味を知っている方は意外にも多くはないのが現状です。
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なぜ塔婆を立てるのか、またその意味や由来について解説していきます。
塔婆の意味
塔婆は、「卒塔婆(そとば・そとうば)」とも呼ばれており、故人を追善供養するために立てられています。
追善供養とは、故人の冥福を祈って法要を執り行ったり、読経やお墓参りで手を合わせることを意味します。
その追善供養の一つとして、納骨やお盆、年忌法要の時に塔婆を立てるのです。
塔婆を立てるということは、故人への供養であることは言うまでもありませんが、塔婆を立てた人の「善行」になると言われています。
仏教の教えでは、塔婆を立てることで善を積むこととなり、現世の人の行いが、故人の「功徳」でもあり冥福に繋がると考えられているのです。
塔婆の由来
「塔婆」という言葉は、サンスクリット語の「ストゥーバ(またはストゥーパ)」(仏塔)が語源です。
「ストゥーバ」を漢字に当てはめて出来た「卒塔婆」は、言葉のリズムも似ています。
その後、卒塔婆が簡略化され「塔婆」と呼ばれるようになりました。
ストゥーバと言われる「仏塔」にお釈迦様の遺骨を納めたものが「仏舎利塔(ぶっしゃりとう)」です。
これを基にして、日本独自に広まったといわれる「五輪塔」が建立されるようになりました。
この五輪塔は異なる五つの石を積み上げた形をしています。
この五つにはそれぞれ意味があり「空(キャ)・風(カ)・火(ラ)・水(バ)・地(ア)」を表しています。
これは私たちの地球を構成している「五大要素」であり、五輪塔が簡略化され形を変えたものが塔婆です。
塔婆の両側に切り込みが入っていることも「五輪塔」のように仏教思想を表す形になっているのが特徴です。
また、浄土宗は「南無阿弥陀仏」、日蓮宗は「南無妙法蓮華経」と宗派ごとに大切にされている唱名を書くこともあります。
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塔婆に書いてある内容の意味
塔婆をよく見ると、筆のようなもので多くの文字が書かれており、それぞれがさまざまな意味をもちます。
宗派や寺院、また法要の内容によって記載する内容が異なります。
表面の梵字
「空・風・火・水・地」の五大を表している「キャ・カ・ラ・バ・ア」や、仏様を表す梵字(ぼんじ)が塔婆の表面に書かれています。
戒名や俗名
僧侶につけてもらった故人の戒名や、俗名(生前の名前)が書かれます。
年忌・命日
故人の命日と、「一周忌」や「三回忌」などの法要の名称が書かれています。
種子
種子(しゅじ)は仏様の種を表し、法事ごとに関わる十三仏の一人を表す梵字です。
十三仏とは、故人を極楽浄土まで導いてくれる仏様のことを意味します。
裏面の梵字
大日如来(だいにちにょらい)を意味する一文字の梵字が記入されています。
建立年月日
お墓に塔婆を立てた年月日が書かれています。
施主名
塔婆の建立を依頼した人の名前です。
お墓の継承者や親族が立てる場合が多いですが、親しい友人など誰が立てても問題ありません。
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ここからは塔婆を立てる意味を解説していきます。
立てる意味
塔婆の基になっているのが「五輪塔」であり、別名では「供養塔」とも言われています。
そのため塔婆を立てること自体が立派な供養としての意味をもちます。
法事やお彼岸などに塔婆を立てることは、故人やご先祖様の冥福を祈る「追善供養」となります。
追善供養は仏教の「回向(えこう)」という教えから、故人へ対する祈りや供養は、現世の人を通じて「故人の善行」となっていくという考え方に繋がります。
立てる時期
塔婆を建立する時期は「納骨」や「一周忌・三回忌」などの法要の時、「お盆」や「お彼岸」などがあげられます。
一般的に最初の塔婆を建立するのは、おもに納骨の時です。
その他にお釈迦様が亡くなった日の「涅槃会(ねはんえ)」や、お釈迦様が生まれた日の「灌仏会(かんぶつえ)」があります。
また、「施餓鬼法要(せがきほうよう)」など寺院や宗派による行事の時にも建立します。
施餓鬼法要とは、飢餓道に落ちた霊や無縁仏などを供養する意味があります。
自分に縁はなくても、ご先祖様の供養と一緒に手を合わせ、飢餓供養をすることで自身が善を積み功徳をもたらすとされています。
立てる本数
塔婆を立てる本数は、とくに決まりはありません。
個人で塔婆を一本立てたり、「兄弟・姉妹一同」や「家族一同」などの数名単位で一本の塔婆を立てることもあります。
また塔婆の数え方は、「〇本」または「〇基(き)」と数えます。
地域の風習にもよりますが大きな塔婆は1基、小さめの塔婆は1本とサイズによって呼び方が変わります。
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浄土真宗が塔婆を立てない意味
ほとんどの宗派では供養に塔婆を用いますが、「浄土真宗」では塔婆を立てません。
浄土真宗では、人は亡くなったあと直ぐに阿弥陀如来のお力により、極楽浄土へ行けると考えられています。
そのため、故人やお先祖様への追善供養の必要がなく、現世の人が塔婆を立て「善を積む」必要がないとの捉え方をします。
ただし、寺院の意向や地域によっては宗派にこだわらず塔婆を立てる場合もあります。
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塔婆には種類やさまざまな意味があり、地域や建立した時期によっても異なります。
板塔婆(いたとうば)
法要やお墓参りで見かけることが多い一般的な塔婆です。
厚さは1cm、長さは1m〜2mほどの細長いもので「板塔婆」と呼ばれています。
地域によっては長さに違いがみられ、静岡県の東部では「花立塔婆(はなたてとうば)」や「ミニ塔婆」といわれる長さ40cm〜60cmほどの短めのものを使用します。
角塔婆(かくとうば)
四角の柱型の塔婆です。
厚さは10cm、長さは120cm〜210cmほどで先端が少し尖っているのが特徴です。
お墓が完成するまでの間に、目印の墓標として用いられることが一般的です。
また、お寺の修理や新築で完成したときの「落慶法要(らっけいほうよう)」の式典のときに用いられることもあります。
七本塔婆(しちほんとうば)
1本の長さが30cm〜40cm程度で、字の通り7本の塔婆のことです。
7本である理由は、初七日から四十九日までの7回の法要が7日ずつ行われ、その際に用いるためです。
1本ずつ計7本立てていくものや扇状にまとめたものがあります。
法要ごとに1本ずつ立てる場合や、最初に7本立てて法要が終われば裏返したり、7日ごとに1本ずつお焚き上げをするなど、地域によって方法が異なります。
水塔婆(みずとうば)・経木塔婆(きょうぎとうば)
経木塔婆は厚さが1㎜くらい、長さが27cm〜36cmくらいの小さくて薄い塔婆です。
経木といわれるスギやヒノキなどの薄い木の板でできており、戒名や経文を書き水回向として水に浮かべたり川に流すため「水塔婆(みずとうば)」とも言われています。
おもに関西地方で多く用いられ、お盆や施餓鬼法要など寺院の行事の時に使用します。
梢付き塔婆(うれつきとうば)
スギや松、柳などの生木に枝がついたものを立てる塔婆で「生木塔婆(なまきとうば)」と呼ばれることもあります。
梢付き塔婆は、三十三回忌や五十回忌など最後の年忌法要の際に立てられ、年忌法要を終えると永代供養となります。
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塔婆を処分する意味と方法
追善供養で大きな役割をもつ塔婆ですが、半永久的に残るものではありません。
では、塔婆はどれくらいの期間立てておくのでしょうか。
また、処分する意味や方法もあわせて解説します。
処分する本来の意味
基本的には、塔婆を立てておく期間の明確な決まりはありません。
法要の際に立てた塔婆の功徳は1日のみとされ、その役割を終えます。
そのため、法事を終えてからすぐに処分するのが本来の在り方です。
ですが、実際には次の日に処分するのはごく稀で、多くの場合は次の法要までは残しておきます。
ただし、雨風にさらされ古くなった塔婆が劣化し倒れる恐れがある場合や、文字がかすんできた場合は放置せずに次の法要前に処分しましょう。
処分方法
処分の方法は、お寺や霊園によって考え方はさまざまです。
お寺の場合は、新しい塔婆を立てるときに古い塔婆と入れ替えたり、定期的にお焚き上げをするところもあります。
霊園では、管理事務所に依頼し処分してもらいます。
一般的には無料で処分してくれるところが多いですが、中には有料のところもありますので分からない場合は事前に確認しておきましょう。
もう一つの方法は、自分で処分する方法です。
塔婆の功徳は1日のみですので、供養が終わったあとに燃えるゴミとして出します。
昨今の住宅事情や条例などで、寺院などではお焚き上げが難しくなっている現状もあり、家庭ごみとして処分するという考え方です。
「抵抗がある」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、役目を終えた塔婆を処分しても「心から供養した」という気持ちが最も大切なので問題はありません。
ただし、どうしても不安がある場合はお寺や霊園に相談し、自分が納得できる処分法を見つけておきましょう。
塔婆は必ず必要?必ず立てるべき?
塔婆は、追善供養のひとつであることを解説してきましたが、必ず塔婆を立てなければいけないものなのでしょうか。
塔婆を立てるか否かは、宗派の違いや寺院の意向にもよりますが、最終的には家族や親族の気持ちです。
塔婆を立てるということは、いわば故人が浄土への険しい道を進んでいるときに、現世の家族や親族が「無事に成仏出来るように」と故人へ声をかけ、祈ることです。
大切な故人へのエールとして、現世の私たちができることを形にしたのが「塔婆」と言えるでしょう。
また違う視点で、菩提寺や日頃お世話になっている寺院への感謝と維持費を出し合う機会にしたいという信徒としての考え方もあります。
「故人を供養する」ということは、現世を生きる私たちのためでもあります。
故人への感謝や懐かしい思い出に浸り、故人との関わりを思い返すことで自身の心に平安をもたらしてくれます。
供養の形にこだわる必要はなく、大切なことは故人を想う「心」なのです。
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塔婆の意味のまとめ
ここまで「塔婆」についてその意味や種類などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 塔婆は細長い木製の板が一般的
- 塔婆を立てることは善行になる
- 五輪塔が簡略化されたのが塔婆
- 塔婆は誰が立てても良い
- 塔婆を立てておく期間は決まっていない
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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監修者
山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。
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