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遺言書はパソコンで書いてもいいの?作成方法や注意事項を解説

更新日:2022.11.13

遺言書

記事のポイントを先取り!

  • 遺言書は大きく分類すると3種類
  • パソコンで作成可能なものもある
  • 訂正方法は民法に定められている

遺言書とは、財産の所有者が承継者や取り扱いについて指定した書面ですが、そのマナーについてご存知でしょうか。
遺言書の種類や、パソコンで書いても良いのか知っておきましょう。

そこでこの記事では、遺言書の書き方や注意事項について詳しく説明していきます。

この機会にパソコンでの遺言書の書き方について覚えておきましょう。
財産目録を作成するメリットについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 遺言書とは
  2. 遺言書の種類
  3. 遺言書はパソコンで書いても良いの?
  4. 財産目録に書くべきリスト
  5. 財産目録の作成方法
  6. 自筆証書遺言をパソコンで作成する際の注意
  7. 秘密証書遺言の作成方法
  8. 秘密証書遺言を作成する際の注意点
  9. 財産目録を作成するメリット
  10. パソコンでの遺言書の書き方まとめ
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遺言書とは

遺言書とは、「臨終に近い人が、所有する財産を誰にどの程度の配分で相続させるのか」を記載した法的な効力をもつ書類です。

遺言書と混同されやすいものに遺言があります。
遺言は法的効力を持たない「お気持ち」を記したもので、遺言書とは別物です。
遺言の内容によっては法的効力を持つこともありますが、レアケースです。
財産分与で遺族間トラブルが起きないよう、頭を悩ませる方も多くいらっしゃいます。
遺言書の作成には時間がかかるものです。
慌てて作成することのないように、ゆとりをもって取り掛かりましょう。

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遺言書の種類

遺言書と一言でいっても、書き方や保管方法によって自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類に分けられます。
それぞれの特徴、違いをみていきましょう。

自筆証書遺言

全文手書きで作成する遺言書を指します。
自筆証書遺言は、費用がかからず最も経済的に遺言書を作成できる手段ではあります。
しかし手軽に作成できる反面、本文を自筆していなかったり、日付・氏名が記載漏れの場合は無効となります。

氏名や日付は、消えて読めなくならないようにボールペンや万年筆を用いて書くと良いでしょう。
また2019年以降、財産目録のみパソコン等で作成することを承認されています。

しかし、複数のページにわたって書かれている場合は全てのページに、両面にわたって書かれている場合は両面に署名押印が必要です。

遺言の内容を訂正したい場合は、訂正したい箇所に訂正印として認印または実印を押します。
自筆証書遺言は自宅で保管されることが多いです。

ただ、相続人に存在を伝えていないと発見されないことや、紛失の恐れがあるため注意が必要です。
2020年の民法改正により、自筆証書遺言が法務局で保管できるようになりました。
自宅保管に不安を感じる場合は、この制度を利用することをおすすめします。

公正証書遺言

公証役場へ申込み、公証人という専門家が作成する公文書のことです。

証人2名以上の立会いの下、遺言を残す方が口頭で伝えた遺言の内容をもとに作成します。
作成後に遺言者と証人が内容を確認し、問題なければ遺言者と証人、公証人が署名と押印をします。

公正証書遺言を作成するには公正役所との打合せが必要ですので、2週間から1か月程の余裕をもちたいところです。
また、遺言者本人の身分証や印鑑証明書、財産を渡す相手の住民票や戸籍謄本といった資料を用意する必要があります。
基本的に、公正証書遺言は公証役場に出向き作成するものです。
しかし、事情があって外出が難しい場合は自宅や病院で作成できるケースもあります。

秘密証書遺言

遺言の内容を誰にも秘密にしたまま、遺言書の存在のみを公証人に証明してもらう遺言書のことです。

したがって秘密証書遺言は、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらの性質も持っています。

自筆証書遺言と同様に遺言書を自分で作成し、封筒に入れ封印します。
ここまでの作業は遺言者自身が行なうため、遺言書の内容を誰にも知られたくない方におすすめです。

遺言書はパソコンでの作成や、代筆での作成も認められています。
代筆の場合は、本人の自筆による署名が必要になります。
遺言書の作成が完了したあとは、公証役場に持ち込みます。
公証人と証人2人へ遺言書を提出し、署名・押印をしてもらうことで遺言の存在を証明します。
遺言内容まではチェックされず、あくまで存在を証明するだけなので、秘密は守られるのです。

遺言書はパソコンで書いても良いの?

相続内容が多い場合や、体力的に多くの文字を書かなければいけない場合など手書きで遺言書を作成することが大変なこともあるでしょう。

その場合パソコンで作成できれば便利ですが、実はパソコンで書いても良い遺言書と書いてはいけない遺言書が存在します。

ルールを把握し、正しく遺言書を作成しましょう。

自筆証書遺言の「財産目録」

財産目録とは、自身が保有する不動産や預貯金、借金なども含めた資産や負債を一覧にまとめたものを指します。

保有する財産や負債が多い場合は、遺言書には財産や負債の内容は書かず財産目録を添付します。
遺言書には「遺言者が所有する別紙目録○○を□□□□に相続させる。」と記載します。

注意点として、遺言書自体は手書きで書かなければいけません。
パソコンで作成可能なものは財産目録だけなので混同しないようにしましょう。
また、財産目録をパソコンで作成することが認められたのは平成30年の民法改正からです。
民法改正前にパソコンで財産目録が作成された場合は無効になります。

秘密証書遺言

秘密証書遺言に限り、遺言書自体もパソコンで自作することが可能です。
また、本人の署名押印が必要ですが、代筆も可能です。
秘密証書遺言とは遺言書を自作したのち、公証人と証人2人へ遺言書を提出し署名・押印していただくことで、遺言の存在を証明するものです。

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財産目録に書くべきリスト

財産目録に書くべき内容は以下の通りです。

  • 不動産
  • 預貯金
  • 株や投資信託の有価証券
  • 自動車
  • 貴金属
  • 貸金
  • 住宅ローン
  • 借金など

財産目録の作成方法

財産目録の作成方法について、ポイントを踏まえて説明します。
書き漏れなどのミスがあると正しく相続されないので、注意しましょう。

遺言書を自筆する

自筆証書遺言を法的に効果も持たせるためには、遺言者が全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押す必要があります
重要なポイントは「日付を具体的に書く」ことです。
「〇年〇月吉日」という書き方では日付が特定できず、無効となってしまうので注意しましょう。

使用する印鑑は認印でも可能ですが、実印が最も確実でおすすめです。

ひな形を利用して財産目録を作成

書き漏れのないように確実に財産目録を作成するためには、ひな形を利用しましょう。
「財産目録ひな形」で検索すると、簡単にひな形をダウンロードすることが可能です。

また、相続する財産が多い場合はエクセルなどの表計算ソフトを利用すると良いでしょう。
手書きで財産一覧を書き出し、それをもとにパソコンに入力していくと整理しやすく書き漏れを防げます。

遺言書本文に添付する

添付する方法については、明確なルールはありません。
遺言書本文と財産目録が一緒に保管されていれば問題ありません
書類の枚数が多い場合は、紛失を防ぐためにもホチキスなどで綴じると良いでしょう。
ただし、法務局で保管してもらう場合にはホチキスなどは使用しないよう注意しましょう。

保管する

自筆証書遺言を保管する方法は2通りあります。

一つ目が自分で保管する方法、二つ目が法務局で保管してもらう方法です。

一つ目の自分で保管する場合は、自宅の金庫や引き出しにしまう方が多くいらっしゃいます。
しかし、相続人の手に渡る場所でなければ意味がありません。
自宅に保管する場合は、保管場所を相続人に伝えておきましょう。

二つ目の法務局で保管してもらう方法は、法務局で遺言書の原本、および画像データが保存されます。
公正証書遺言や秘密証書遺言は対象外で、自筆証書遺言のみ対象です。

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自筆証書遺言をパソコンで作成する際の注意

自筆証書遺言の財産目録をパソコンで作成する際の注意点がいくつかあります。
法的効果を持った遺言書にするためにも、しっかり把握しておきましょう。

遺言書とは別の紙で作成

遺言書と財産目録は、別の用紙で印刷する必要があります。
遺言書は縦書き・横書きのどちらでも良いので、自身が書きやすい方法で書きましょう。

また、使用する筆記用具なども指定はありません。
ただ一般的には、文字が消えることのないようにボールペン、万年筆、毛筆がよく使われます

両面に署名捺印が必要

パソコンで作成された財産目録には、記載のあるページ全てに遺言書の署名、押印が必要です

押印に使用する印鑑は認印も可能ですが、実印の方が遺言者本人が作成した財産目録であることを明確に表すことができます。
代筆で作成された財産目録やコピーの添付などの書類も同様です。

訂正する場合

作成後に誤字・脱字を発見し、訂正したい場合、訂正方法は民法に定められたルールがあります。
訂正方法は、訂正箇所の元の文字が見えるよう二重線を引いてその上に押印し、横や上に正しい内容を記載します

そして、付記として余白に訂正内容(例:〇行目〇字削除〇字追加)を書き、遺言者の氏名を署名します
この訂正方法に沿って訂正していない場合は、訂正の効力が認められません。
パソコンで作成した場合は、修正後に再度印刷するだけで簡単に訂正できます。

財産目録以外はすべて自筆する

パソコンを用いて作成できるのは財産目録だけで、それ以外は自筆する必要があります
混同しないように注意しましょう。

秘密証書遺言の作成方法

遺言書の内容を知られたくない方におすすめなのは秘密証書遺言です。

次に秘密証書遺言の作成方法を紹介していきます。

遺言書を作成し署名捺印をする

秘密証書遺言は、自分で遺言書の内容や形式を作成しなければいけません。
また、内容を他人に確認されることがないので、不備のないように細心の注意が必要です。

秘密証書遺言はパソコンで作ることができる遺言書ですが、自筆はもちろんのこと、代筆で作成することも可能です。

自筆で書かれている場合は、秘密証書遺言としての要件を満たさない場合でも自筆証書遺言としては認められます。
秘密証書遺言としての要件が満たしていないことを、後々発覚した際に有効なのでおすすめです。

秘密証書遺言を作成するにあたって、署名押印が必要です。
押印は、認印でも、拇印指印でも可能です。
ただ、相続人が作成したことを明確に表すことのできる実印が最適とされています。

また、遺言書を作成した日付の記入は必ずしも必要ではありません。

しかし、日付を記入しておくことで、秘密証書遺言としての要件を満たさない場合に自筆証書遺言としては認められるので、記入しておくとよいでしょう。

封筒に入れ封印する

遺言書を封筒に入れ封印します。

封印に使用する印は、遺言書に使用した印と同じである必要があります
異なる印を押した場合、秘密証書遺言の要件を満たさないので無効になってしまいます。

証人2名と共に公証役場へ行く

秘密証書遺言を提出する際は証人2人と共に公証役場へ行く必要があります。

ただし、証人は誰でもなれるわけではありません。

次のいずれかに該当しないことが条件です。

  • 未成年者
  • 推定相続人、受遺者、これらの人の配偶者や直系血族
  • 公証人の配偶者、4親等内の親族、書記、使用人

証人を身の回りで用意できない場合は弁護士や司法書士などに依頼するのが良いでしょう。

公証役場の手続きの際は予約が必要なことがほとんどです。
事前に予約をとっておくとスムーズに手続きできます。

また、そのほかに必要な持ち物はないか、併せて問い合わせておきましょう。

証人と共に署名捺印をする

遺言者は公証役場で、証人2人の目前で遺言書を封印した封筒を公証人へ提出します。
提出時には、自身の遺言書であること、氏名、住所を述べます。

公証人は、日付、遺言者の遺言書であること、氏名と住所(遺言書のもの)を封筒へ書き入れます

その後、公証人、証人、遺言者が封筒に署名、押印します

公証役場に残る記録は、遺言者と公証人の住所・氏名、申述した日付のみです。
遺言書の内容までは残らないので、秘密は守られます。

保管する

公証人、証人、遺言者が署名と押印した封筒は返還されます。

秘密証書遺言は公証機関では保管できないので、自分で保管しなければなりません

秘密証書遺言は開封されてしまうと効力がなくなる可能性があるので、なるべく人目につかない場所に保存したいものです。
しかし、遺族が発見できなくてはわざわざ作成した秘密証書遺言が無駄になってしまうこともあります。

保管した場所は事前に遺言執行者などに伝えておきましょう

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秘密証書遺言を作成する際の注意点

秘密証書遺言を作成する際に注意すべき点があります。

守られなければ、要件を満たしていないとされ遺言が無効になることもあるのでこの機会に確認しておきましょう。

無効にならないように様式を守る

秘密証書遺言は自分で遺言書の内容を作成します。

公証役場に提出する際にも内容は確認されないので、様式に不備があったとしても誰にも指摘されません

相続が開始する時に不備が発覚し、遺言書が無効となることも実際に起こっています。
作成する際は様式を守り、慎重に作成しましょう。

証人になるためには資格が必要

前述した通り、証人になるためには資格が必要です。

  • 未成年者
  • 推定相続人、受遺者、これらの人の配偶者や直系血族
  • 公証人の配偶者、4親等内の親族、書記、使用人

以上に該当する場合は証人になれないので注意しましょう

破棄・訂正をしたい場合

秘密証書遺言を変更したい場合、一般的な加筆修正では変更できません
変更するためには、遺言書を作成し直す必要があります。

作成し直す場合は、秘密証書遺言である必要はなく、自筆証書遺言や公正証書遺言で作成してもよいです。
遺言書は作成日時の新しいものが有効とされますが、間違いのないよう古い遺言書は処分したほうが良いでしょう。
秘密証書遺言を破棄したい場合は、自分でシュレッダー等にかけて処分しましょう。

ただし、公証役場には秘密証書遺言を作成した記録が残ってしまいます。
相続人を混乱させないためにも、遺言執行者等に処分したことを伝えましょう
もしくは、法定相続分通りに相続することを記載した遺言書を新たに作成しましょう

財産目録を作成するメリット

財産目録は、改正によって以前よりも容易にパソコンで作成できるようになりました。

容易に作成できるようになったからこそ、財産目録を作成するべきか悩まれる方も多いのではないでしょうか。

では、財産目録を作成するメリットをみていきましょう。

相続税申告の有無の判断

相続財産の合計額が基礎控除額を上回った場合には、相続税の申告が必要になります。

そこで、財産目録に各財産の金額も合わせて書き入れておきましょう
財産の総額を把握しやすくなり、相続税申告の有無の判断が容易になります

財産の全体像を把握できる

財産といわれると、不動産や預貯金といった財産を想像する方が多いと思います。
しかし、借金などの負の財産もあります。
通常の財産を相続する場合は、負の財産も引き継がなければなりません。
財産の内容は、遺言者本人でも忘れているようなものもあります。

財産目録で財産を一覧に書き出すと、失念しやすい財産まで把握できるのでおすすめです。

また、家族にも確認してもらい、自分で忘れていた財産が見つかることがあります。
財産の全体像を書き表し把握することで、相続すべきなのか判断を下しやすくなるでしょう。

相続税納付額の検討

財産目録に各財産の金額も合わせて書き入れてあれば、財産の総額を簡単に把握できます。
よって、相続財産納付額の計算がスムーズに取り掛かれます。

各人の相続税額の計算の仕方は「相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額 = 各相続人等の税額」です。

相続手続きがスムーズに

財産目録は遺言者本人の財産が一覧で表記されているので、どういった財産があるのか一目瞭然となります
そのため、相続手続きは何から取り掛かればよいのか明瞭になっています。

また、財産目録を作成する段階で、各財産について状態や内容を調査してあることが多いです。
結果、手続きが効率良くスムーズに進められるようになるのです。

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パソコンでの遺言書の書き方まとめ

ここまで遺言書の種類や、パソコンでの遺言書の書き方などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

  • 自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類に分けられる。
  • 自筆証書遺言の「財産目録」と秘密証書遺言はパソコンで作成可能
  • 秘密証書遺言を変更する場合、一般的な加筆修正では変更できない
  • 財産目録を作成すると、相続手続きをスムーズに進められる

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。



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監修者

評価員(やまぐち)

山口 隆司(やまぐち たかし)

一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター

経歴

業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。

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