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終活

終活に遺言書の作成は必要なの?遺言書の書き方や準備について紹介

更新日:2022.07.23

遺言書

記事のポイントを先取り!

  • 終活は自分の死を考える活動
  • 終活において遺言書も残す
  • 遺言書の作成ではいくつかの注意点がある

自分の死を考えることとなる、終活という言葉をご存知でしょうか。
終活の中で、遺言書を作成するかどうか悩んでいる方も多いと思います。

そこでこの記事では、終活における遺言書について解説します。

この機会に、遺言書の書き方も覚えておきましょう。
後半にはデジタル遺言についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 終活とは
  2. 遺言書の必要性
  3. 遺言書の書き方
  4. 遺言書はいつ頃用意すれば良い?
  5. 遺言書の種類
  6. エンディングノートとの違い
  7. デジタル遺言とは
  8. 終活で他に準備すること
  9. 終活の遺言書まとめ
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終活とは

終活は、人生の終わりを考える活動です。
終活の意味合いの大部分は、自分の死後に遺族が困らないようにするための準備になります。
生きているうちに財産を整理したり、遺族に対して言葉を残したりなどします。

しかし、終活の細部を見ていくと、終活には別の意味合いがあるのです。
ひとつは自分の人生の最後に向けた整理活動、ひとつは自分の人生を見つめ直して今後の人生をより良く生きるためということです。

自分の死に向けてさまざまなものを整理することで、物理的にも精神的にも死と向き合うことができます。
そして、終活をすることで人生を見つめ直せるので、今後の自分の人生においてより充実した時間を過ごすことができるでしょう。

終活は死を考える活動でありながら、今後の自分の生活を明るくするための生の充実も兼ねている活動です。

昨今では広く知られるようにもなりましたが、それでもまだ終活をする方が少ないのも事実です。
自分が生きる今後の人生のためにも、死後の遺族のためにも、簡単にでもいいので終活をしてみることをおすすめします。

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遺言書の必要性

終活はどの活動も大切ですが、その具体的な内容の中には遺言書の存在もあります。
遺言書は、遺族に向けて財産の具体的な相続内容を書き残したり、自分の想いや考えを書き残したりすることができるものです。
終活において、遺言書を書く工程も大切な部分となります。

相続に関するトラブルは多く、過去には大きな問題に発展した事例もあります。
そのため、遺言書などによる法的な力を持つ故人の言葉というのは、とても大きな抑止力にもなるのです。

終活は自分の人生を見つめ直すための活動ではありますが、死後の家族のことを考えた活動でもあります。
終活をする際は、可能な範囲で遺言書を残しておくとよいでしょう。

遺言書の書き方

遺言書を残そうと考えた場合、その書き方を知らないことがほとんどかと思います。
内容を誤ってしまえば遺言書の効力もなくなりますので、相続内容は明確かつ確実に記載しなければなりません。

とはいえ、厳格に書式などが定められていることはなく、必要な内容が記載されてさえいれば問題ありません。
遺言書に記載すべき内容と簡単な一例、注意するべき点について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

遺言書に記載する内容

遺言書に記載しなければならない内容は以下の通りです。

  • 遺言者の氏名
  • 遺言者の捺印
  • 遺言者の遺言意思表明
  • 具体的な相続内容
  • 相続者の氏名および続柄
  • 遺言書を作成した日付



上記の内容に記入漏れがあると効力を発揮しない可能性がありますので、書く場合は十分に注意してください。
相続人の生年月日を記載する必要はありませんが、家族以外であれば生年月日があったほうが確実に特定できるでしょう。

また、遺言書の内容を実行するための手続きを行う人物として、遺言執行者の特定をすることも少なくありません。
遺言執行者は多くの場合、配偶者または長男、あるいは弁護士などの専門家に依頼します。
弁護士などに依頼する場合は弁護士事務所の住所と事務所名を記載してください。

また、遺言者の財産であればおおよそ相続可能ですが、遺言書では効力を発揮しないものもあります。
主に記載される内容で、実際に効力があるものは以下の通りです。

  • 金銭的財産(現金や預貯金など)
  • 物的財産(車や家財など)
  • 不動産(土地や持ち家など)
  • 有価証券


他にも相続可能なものは多数ありますが、多くの相続内容が上記の範囲になるでしょう。

特定ジャンルの財産すべてや指定しなかった財産すべてといった、広範囲の指定でも認められるものもあります。
財産が多い方や相続人が少ない方などは、こういった書き方をすることもあるので覚えておきましょう。

また、遺言書に記載されていない財産に関しては、遺産分割協議または遺産相続分によって決まった割合で相続されます。
少しでもトラブルの可能性を避けるのであれば、思い浮かぶ財産すべてについての記載を残しておきましょう。

遺言書の文例

遺言書

遺言者〇〇は、以下のように遺言する。

1.遺言者の有する以下の財産を妻〇〇に相続する。

預貯金
〇〇銀行
〇〇支店
普通預金
口座番号:1234567

証券
株式会社〇〇証券
〇〇支店
口座番号:7654321
内訳
株式会社〇〇:500株
〇〇株式会社:1000株

2.遺言者の有する別紙記載の財産を長男〇〇に相続する。


3.この遺言書に記載のない遺言者の財産をすべて次男〇〇に相続する。

4.遺言者は、この遺言書の執行者として以下の者を指定する。
(弁護士事務所の住所)
(弁護士事務所名)

令和〇年◯月◯日


(遺言者住所)
(遺言者名)捺印

※上記は一例であり、書き方などはある程度変更しても問題ありません。

また、財産目録などを添付することで、遺言書内に具体的な財産状況を書かずとも「別紙の財産相続する」と記載できます。
財産が多い方などは財産目録をまとめておき、遺言書に添付しておくと良いでしょう。

無効にならないための書き方

遺言書に正式な書式はないものの、記載内容に誤りがあったり具体性に欠ける部分があると、無効になってしまう可能性があります。
無効となるケースは以下の通りです。

  • 遺言者の自筆以外の場合(一部例外あり)
  • 遺言者や相続人の氏名に誤りがあった場合
  • 相続内容の記載に誤りがあった場合
  • 遺言者名が自筆でない場合
  • 遺言者の捺印がなかった場合
  • 作成日の記載がなかった場合
  • 訂正があった際に訂正方法に誤りがあった場合


公正証書遺言など、他者の手を借りて作成する方法以外の遺言書は自筆でなければなりません。
そのため、遺言書の多くは自筆で記入されていなけば無効となります。

遺言者および相続人の名前はフルネームで記載します。
この際、漢字の誤りなどがあると無効となりますので、十分注意して書きましょう。

相続内容の誤りも無効になる原因です。
特に注意しなければならない点は、遺言執行時に誤りがあれば無効となることです。
そのため、預貯金などを記載する際に金額まで特定すると、利子などで1円でも違いがあっただけで無効となるので注意してください。

遺言者名の記載は自筆でなければなりません。
また、遺言者の捺印がないものについても無効となります。

作成日は遺言書の信憑性を高めるためにも、記載が必須となる項目です。
作成日の記載が日付まですべて記載されていなければ無効となりますので、十分注意してください。

遺言書の内容を訂正する場合、訂正する箇所に二重線を引いてすぐ近くに押印し、訂正箇所の近くまたは遺言書の最後に訂正内容の記入と遺言者氏名を書き足します。

これらのルールに反した訂正方法の場合、相続内容自体が無効となる可能性がありますので注意しましょう。

また、遺言書作成時に遺言者の判断能力に問題があると認められた場合も無効となります。
夫婦連名の遺言書なども認められませんので、一人ひとりがそれぞれ遺言書を作成しましょう。

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遺言書はいつ頃用意すれば良い?

遺言書自体の作成は、基本的にいつでも可能です。
少しでも早く作成しておくことで、万が一に備えることができます。
終活も含めて、思い立った際にはすぐに行動することをおすすめします。

遺言書を作成するタイミングとして注意するべき点をいくつかご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

遺言書は15歳から用意できる

遺言書の作成自体はいつでも可能です。
しかし、法的に遺言能力が認められるのは15歳からになります。
そのため、15歳以前に作成した遺言書は法的効力がありません。

15歳で個人財産を所有している方は少ないかと思いますが、もし遺言書を作成する場合は年齢に注意しましょう。
15歳に達した時点で効力のある遺言書を作成できるので、必要に応じて作成しておくとよいかもしれません。

定期的に更新すること

遺言書の相続内容は、相続時点で少しでも変化があると効力を失います。
そして、複数枚の遺言書がある場合は、日付がもっとも遅いものを優先します。
そのため、確実な効力を得るためにも定期的に新しい遺言書を作成しておくと安心です。

また、一度作成してしまった遺言書は、作成日が遅い遺言書があるか遺言者による撤回が無い限り、いつまでも効力を発揮します。
作成したことを忘れたまま亡くなってしまい、あとから遺言書を見つけられた場合、本人の意思に関係なく、その遺言が執行されてしまうのです。
一度でも遺言書を作成したのであれば、定期的に更新するか必要に応じて撤回しておくようにしましょう。

遺言書の種類

遺言書といっても、いくつかの種類があります。
具体的な遺言書の種類を知っている方は少ないと思いますので、覚えておくことをおすすめします。

主な遺言書を3種類ほどご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は自分ひとりで作成した遺言書です。
紙にも書式にも決まりがなく手軽に作成できることから、多くの場合はこの自筆証書遺言によって作成されます。
一般的に利用される遺言書も、自筆証書遺言がもっとも多いでしょう。

手軽に作成できるメリットがあるのと同時に、紛失や偽造のリスクがあるのも自筆証書遺言の特徴です。
作成から管理まですべて自分で行いますので、仮に紛失した場合でもすべての責任が自分にあります。
安全性という面では、あまり信用できない作成方法と言えるでしょう。

また、すべて自分で作成することから、遺言内容に誤りが生じて無効になるリスクもあります。
自筆証書遺言で作成する際は十分に注意してください。

自筆証書遺言の正式な開封は、家庭裁判所における検認が必要となりますので、仮に見つけた場合でも勝手に開封することは避けましょう。

公正証書遺言

公正証書遺言公証役場にて作成する方法で、複数の証人のもとで遺言書を作成します。
また、作成した遺言書は役場にてしっかりと管理されるため、紛失や偽造のリスクも最小限に抑えられるでしょう。
作成も専門家のもとで作成しますので、内容に不備が生じる可能性も低くなります。

証人は、相続人になり得る人物および公証人の近縁にいる人物はなれませんので、選ぶ際は注意しましょう。
役場に依頼することで、公正な立場の証人を用意してくれますので、用意できない場合はお願いすることをおすすめします。

もっとも確実な作成方法ではあるものの、作成における費用や手間、訂正時における手間などもあります。
手間や費用を惜しまない方は、公正証書遺言での作成が一番おすすめです。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、自分以外に内容を知られずに作成できる公的な手段です。
遺言書の作成および封入は遺言者が行い、遺言書が作成されたことを証人のまえで公証人に認めてもらいます。

遺言内容を誰にも知られずに作成し、その存在だけを公的に認めてもらう場合には、とても有効な作成方法です。
ただし、管理などは自分でする必要があるため、紛失や偽造には注意しなければなりません。

自筆証書遺言と公正証書遺言の中間的な立ち位置にある作成方法ですが、必要に応じて利用するかどうか判断すると良いでしょう。

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エンディングノートとの違い

エンディングノートは、終活ノートとも呼ばれるもので、終活における作業内容や遺族に遺しておきたい言葉などをつづるノートです。
遺言書とエンディングノートはある程度似通った書類になりますが、もっとも大きな違いは法的効力にあります。

遺言書は正式に開封されれば法的効力を持っていますが、エンディングノートには一切法的効力がありません。
そのため、仮にエンディングノートに遺言を書いたとしても、その内容に関する強制力は皆無です。
確実な遺言を残したい場合は、遺言書を作成することをおすすめします。

とはいえ、手軽に始められるうえに内容がどこまでも自由なのが、エンディングノートを書くメリットといえます。
終活に関することであれば何を書いても問題ありませんし、生前の自分の想いをつづっても良いでしょう。

また、強制はしないけれどこうして欲しいなどの希望を込めた遺言を残す場合も遺言書ではなくエンディングノートがおすすめです。
エンディングノートであれば間違っても法的効力が発生しませんので、強制力を持たない遺言を残すことができます。

終活をする際は、ぜひエンディングノートの作成も考えてみるとよいでしょう。
最近では100円ショップなどでも販売していますし、無料でエンディングノートを配っているところもあります。
普通のキャンパスノートやスマホのメモ帳などで作成しても良いので、自由に作ってみることをおすすめします。

デジタル遺言とは

デジタル遺言とは、PCやスマホのメモ帳などを利用して遺言を残す方法で、エンディングノートに近いものです。
具体的に何を書けばいいのかなどについてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

デジタル遺言の内容

デジタル遺言は、遺言書よりもエンディングノートに近いものになります。
遺族に遺したい言葉、死後の相続に関する提案、財産をまとめた財産目録など、終活における情報をまとめて残します。

手軽に始められるほか、場所を取らないのでいくらでも残せる点がメリットです。

また、文章だけでなく音声や映像で残すこともできるため、より自由度の高いエンディングノートと言えるでしょう。

文章を書くのが苦手で何度も書き直してしまう方、病気などで手書きが困難な方などにおすすめです。
他にも、認知症や15歳未満の方などは遺言書を残すことができません。
そういった方が、少しでも自分の意思を遺族に遺したい場合などには、デジタル遺言の利用をおすすめします。

データとしてしか残らないため、見つけてもらいにくい点はデメリットです。
そのため、もしデジタル遺言を残す場合は、事前に身内の誰かには伝えておくことをおすすめします。

デジタル遺言に法的効力はない

デジタル遺言は、エンディングノートに近い遺言です。
そのため、遺言書のような法的効力がありません。

あくまで、遺族などに向けた指示や言葉を残すためのものとなりますので、強制力には期待しないようにしましょう。
どうしても確実な遺言を残したい場合は、遺言書の作成をおすすめします。

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終活で他に準備すること

終活では、さまざまな活動をします。
遺言書の作成だけでは終活ではありませんので、どのようなことをするべきか覚えておくことも大切です。

エンディングノートや遺言書を除く、終活で行うべき活動や準備するべきことを以下にまとめておきますので、ぜひ参考にしてください。

  • 生前整理
  • 寿陵墓(じゅりょうはか)の購入
  • 任意後見契約
  • 死後の事務委任契約
  • 老後に関する整理

生前整理

生前整理は、いわゆる遺品整理などを生前のうちに自分で行なっておくことです。
人の死後、遺族は悲しみの中遺品整理などをしなくてはならず、体力的にも精神的にも憔悴してしまいます。

そういった負担を少しでも減らすために生前整理することは大切です。

生前整理する際は、財産目録の作成やデジタル財産および契約などの見直しもしておくと、遺族への負担がより小さくなるでしょう。

寿陵墓

寿陵墓は生前墓と呼ばれるもので、生きているうちに自分のお墓を建てることです。
生前にお墓を立てたり契約したりしておくことで、遺族の負担をさらに抑える事ができます。

任意後見契約

年齢を重ねて認知症などによる判断能力の低下が認められた場合、さまざまな手続きで後見人が必要となります。
通常であれば法定後見人として公正な立場の人物が選ばれますが、事前に後見人と契約しておくことで、任意に決めることが可能です。
この契約を任意後見契約といい、事前に行なっておくことで自分が希望する方に後見人を任せられるのでおすすめです。

死後の事務委任契約

死後の事務処理は、基本的に遺族が行います。
しかし、相続人となる遺族が不仲だったりする場合、話し合いがうまく行かずにトラブルに発展します。

そういった事態を避けるためにも、事務手続きを代わりに行なってくれる専門家に事前に依頼することが可能です。
この契約をしておくことで、死後のさまざまな手続きを安心して任せることができるでしょう。

老後に関する整理

老後の闘病生活や老人ホームに関する準備は、老後を迎えてからでは困難な場合があります。
そのため、早いうちに貯金をためておいたり手続きの準備をしておいたりすることで、必要になった際の契約がスムーズにいきます。
終活の流れで老後のことも考えておくことで家族も楽になりますので、ぜひ老後のことも考えて終活を進めましょう。

終活の遺言書まとめ

ここまで遺言書についての情報や、終活の情報を中心に解説してきました。
まとめると以下の通りです。

  • 終活において遺言書も作成すると良い
  • 遺言書に書式はないが最低限書かなければならないことがある
  • 確実な遺言を残すなら公正証書遺言がおすすめ
  • デジタル遺言によって自分の生前の想いを残すことが可能


これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(たなか)

田中 大敬(たなか ひろたか)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。

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