法事法要
御霊前はいつ使うもの?渡し方や書き方のマナーについても解説
更新日:2021.10.20 公開日:2021.10.20
通夜・葬儀に参列する際に持参するお香典には、御霊前と表書きするのが一般的です。
しかし、香典袋の表書きには宗旨宗派により違いがあるため、判断が難しいケースもあります。
そこで、この記事では
- 御霊前と御仏前の使い分け
- 宗旨宗派ごとの香典袋の表書き
- 御霊前に関するマナー
以上の内容で解説していきます。
故人の宗派が分からない場合の対応法にも触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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御霊前とは
仏式での通夜・葬儀の際の香典袋には、御霊前と表書きするのが一般的です。
しかし、浄土真宗では通夜・葬儀であっても御仏前を用います。
以下でその理由や、御仏前以外の書き方についてご説明します。
御霊前の意味
御霊前とは、亡くなった方を敬い、御霊の前に金品などを捧げ供えることを表します。
そのため、通夜・葬儀の際に喪家に対して贈る弔慰金の表書きに用いられます。
仏教では、人は亡くなると浄土に向けて49日間の旅に出るとされ、その間は霊の状態であると考えられています。
そのため、四十九日の法要までは、「御霊前」と表書きをした香典袋を用います。
御霊前は、仏教以外の神道やキリスト教(カトリック)の葬儀でも使用することが可能です。
ただし、キリスト教でもプロテスタントの場合は、使用することができません。
御仏前との違い
仏教では、亡くなった方が無事に49日間の旅を終え、審判を受けて浄土に迎えられると仏になるとされています。
そのため、四十九日の法要を境に、御霊前から御仏前に切り替えるのが一般的です。
四十九日の法要では、故人は仏になるための審判を受けている最中のため、御霊前を用います。
四十九日の法要を後ろ倒しで行う場合は、御仏前と書きましょう。
しかし、仏教でも宗派によっては、通夜・葬儀で御仏前を用いるケースがあります。
浄土真宗では、人は亡くなるとすぐに阿弥陀如来(あみだにょらい)の力で成仏するとされています。
そのため、他の宗派のように霊という考え方はなく、通夜・葬儀でも御仏前を使用します。
また、曹洞宗では、浄土についての教義がなく、霊という考えもないため、御霊前ではなく御仏前とします。
御霊前は仏教以外でも使えますが、御仏前を仏式以外の葬儀で使用することは大変失礼にあたりますので注意が必要です。
迷ったら御香典を使う
仏式の通夜・葬儀に参列する際に、亡くなった方の宗派が分からない場合もあります。
また、四十九日に法要に参列する際も、本来の四十九日がいつなのか知らないこともあります。
こうしたケースでは、御霊前と御仏前のどちらを用いるべきか判断がつきません。
判断に迷った場合は、「御香典」と表書きした不祝儀袋を用いれば問題ありません。
御香典は、お香やお花の代わりに供えるものという意味ですので、仏式であれば宗派に関係なく使用できます。
ただし、仏式以外では用いることができない表書きのため注意しましょう。
香典袋の選び方
亡くなった方への弔意を示すお香典ですが、対応を間違えるとマナー違反になることもあります。
お香典を用意する際には、特に亡くなった方の宗旨宗派に気をつける必要があります。
仏教
葬儀が仏式であれば、白黒や銀の水引が使用されている香典袋が最適です。
関西地方では黄白の水引を使用する地域もあるので、事前に確認しておきましょう。
仏式での香典袋は、無地もしくは蓮の花が描かれているデザインのものが一般的です。
ただし仏式であっても、先方の宗派が浄土真宗や曹洞宗の場合は、御霊前ではなく御仏前を用います。
キリスト教
キリスト教の場合は、十字架や百合の花が描かれたもの、または無地の香典袋を用います。
蓮の花が印刷されたものは仏式用ですので、キリスト教式の場合は使用できません。
またキリスト教式の場合は、水引がかけられているものも利用しないのが一般的なので、注意が必要です。
キリスト教の場合は、葬儀の際に花を供えることから「御花料」と記載するのが一般的です。
カトリックでは、人は死後霊魂となって神に召されると考えられているため、御霊前でも問題ありません。
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香典袋を印刷するのは失礼?
香典袋の表書きをする際には、薄墨を使用して毛筆で手書きするのが一般的です。
しかし、毛筆が苦手という方は、できれば印刷したいと感じることも多いかと思います。
香典袋の表書きに印刷を用いるのは、失礼にあたるのでしょうか。
基本的には問題ない
香典袋の表書きは手書きが丁寧ですが、印刷すること自体はマナー違反ではありません。
近年では、通夜・葬儀に参列する際に、市販の香典袋を購入される方も多くいらっしゃいます。
コンビニなどで販売されている香典袋には、すでに表書きが印刷されているものも多く存在します。
最近のこういった事情から、香典袋の表書きを印刷しても問題ないとされています。
名前は手書きの方が良いとされている
香典袋を印刷することはマナー違反ではありませんが、名前の部分だけは手書きにした方が無難です。
印刷された文字は確かにきれいですが、心がこもっていないと感じる方も少なくありません。
お香典は故人への弔意を示すことが重要ですので、名前だけは手書きのほうが好印象でしょう。
名前を書く際にも、薄墨を使用して毛筆で書くのが基本ですが、筆ペンでも問題ありません。
お香典では、ボールペンや鉛筆の使用はマナー違反ですので、筆ペンがない場合は黒のサインペンを使用します。
フォントや文字の薄さに注意が必要
通夜・葬儀に参列する際の香典袋の表書きには、薄墨を用いるのがマナーとされています。
薄墨を使う理由は「悲しみの涙で墨が薄まってしまった」といった気持ちを表現するためなど諸説あります。
四十九日以降は普通の墨を使用しましょう。
また、香典袋の表書きは、毛筆の手書きが基本となりますので、使用するフォントにも気を配る必要があります。
ご家庭で印刷する場合は、できるだけ毛筆の字体に近いフォントを使用し、文字の色は薄墨に近いグレーを選びます。
御霊前を渡す際のマナー
通夜・葬儀に参列する際には、御霊前の渡し方にも気を配る必要があります。
また、御霊前を用意する際にも、書き方や紙幣の入れ方などのマナーがあります。
香典袋の書き方
一般的な香典袋は、外袋と中袋の二重構造となっており、それぞれの書き方にも決まり事があります。
外袋
外袋は、薄墨を使用して毛筆で書くのが基本ですが、毛筆が苦手な方は薄墨の筆ペンを使用しても問題ありません。
表書きは水引の上の部分の中央に記入し、下部分の中央に名前を記入します。
市販の表書きが印刷されている香典袋を使用する場合は、名前だけ薄墨で記入します。
個人で参列するときはフルネームを記載します。
3名以下の連名で出す場合は、中央部分に代表者の名前を書き、その左側に残りの人の名前を記載します。
4名以上の連名で御霊前を出す場合は、所属する会社や団体名に「一同」をつけて記入します。
夫婦で参列する場合は、夫の名前だけを書くのが一般的とされています。
また、夫の代理で妻が参列する場合は、まず夫の氏名を記載し、その左下に「内」という小さな文字を添えます。
中袋
中袋の表面には金額を記入します。
中袋が縦書きの場合は漢数字の旧字体を使用します。
例えば1万円を入れる場合は、「金壱萬圓」と記載します。
ただし、中袋に横書きで金額を書く欄がある場合は、算用数字を使用して書きます。
中袋の裏面には住所と氏名を記入しますが、連名の場合は別紙に記入し中袋に同封します。
また、中袋がないケースもあります。
中袋がないタイプの香典袋では、外袋の裏側下段に、金額と住所と氏名を記入します。
お札の入れ方
御霊前を用意する際には、お札の入れ方にも気を配る必要があります。
新札を避ける
一般的に、御霊前に使用するお札は、新札を避けるべきとされています。
これは、不幸に備えて事前に新札を用意していたことをイメージさせてしまうためです。
やむを得ず新札を使用する場合は、一度折り目を付けて包むようにしましょう。
人物画を下にする
お札には表と裏があり、人物が書いてある方が表、人物が見えない方が裏となっています。
香典袋を開いた際に、人物画が見えないように向きを揃えて入れるようにします。
これは、悲しみから顔を伏せている様子を表現するためです。
袱紗に包んで持っていく
通夜・葬儀に参列する際には、御霊前を袱紗(ふくさ)に包んで持参するのがマナーです。
喪家を思いやる気持ちから、水引の乱れや汚れを防ぐために袱紗を使用します。
袱紗は慶事・弔事のどちらでも使用しますが、使用できる色や包み方がそれぞれ異なります。
紫色の袱紗は、慶事・弔事のどちらでも使用できるため、一枚持っておく良いでしょう。
弔事での包み方は、まず袱紗の中央からやや右寄りに御霊前の表側を上にして置きます。
その後、右→下→上→左の順にたたんで、最後に右側にはみ出した部分を折りこみます。
葬儀会場に到着したら、受付で右手のひらに袱紗を置き、左手で袱紗を開いて御霊前を取り出します。
袱紗はたたんで香典袋の下に添え、相手が読みやすい向きにして渡します。
御霊前を渡す際には「この度はご愁傷様です」などと、一言添えて両手で差し出します。
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御霊前の相場
御霊前の金額の相場は、故人との関係性や、参列される方の年代によって異なります。
あくまでも目安となりますが、一般的な相場を以下でご紹介します。
- 祖父母・配偶者の祖父母…1万~3万円
- 父母・配偶者の父母…3万~10万円
- 兄弟姉妹・配偶者の兄弟姉妹…3万~5万円
- 叔父・叔母…2万~3万円
- 親戚…5000~2万円
- 子供…5万~10万円
- 孫…2万~10万円
- 友人…5000~1万円
- 友人の父母…3000~5000円
- 会社の関係者…5000~1万円
上記の通り、参列される方と故人との関係性が深いほど、金額が高くなる傾向があります。
年齢によっても相場は異なり、参列者が20代などの場合は、30代・40代に比べて低くなるようです。
喪主の立場の場合は香典を出す必要はありません。
御霊前まとめ
ここまで、御霊前の意味や、香典に関するマナーなどを中心にお伝えしました。
この記事のポイントをおさらいすると、以下の通りです。
- 御霊前と御仏前は、渡すタイミングや故人の宗派によって使い分ける
- 葬儀の際の表書きは御霊前が一般的だが、宗旨宗派により異なるため注意が必要
- 御霊前は書き方や渡し方などにも気を配る必要がある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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監修者
田中 大敬(たなか ひろたか)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴15年以上。葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから著名人や大規模な葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、特に士業や介護施設関係の領域に明るい。
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