お墓
墓石にはどんな形が存在するの?和型や洋型などそれぞれの特徴を紹介
更新日:2022.02.24
墓石とは、その名の通り故人を埋葬する場所に建てるシンボルのことです。
その墓石にはさまざまな形の墓石があることをご存知でしょうか。
そこでこの記事では、墓石の形やその種類について詳しく説明していきます。
この機会に、墓石の種類やその特徴について覚えておきましょう。
墓石の文字に決まりがあるのかについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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形状による墓石の種類
現在建立されている墓石は、大きく分けて和型、洋型に分類されます。
その他にデザイン墓石、供養塔というものもあり、合わせて4種類あります。
和型墓石と洋型墓石は、名前の通りそれぞれ、日本特有のデザインのものが和型墓石、欧米風の墓石が洋型墓石です。
供養塔は、石造の少し特殊な形をした塔のことで、永代供養などでよく用いられる形のものになっています。
デザイン墓石というのは名前が示す通り、依頼者の望む形に造られたお墓のことを言います。
和型墓石とは
和型墓石とは、日本でもっともオーソドックスな形の墓石であり、仏舎利塔や五輪塔を簡略化したものです。
仏舎利塔とはお釈迦様の遺骨を納めたものをいいます。
お墓と聞いてよく想像されるものが、この和型墓石ではないでしょうか。
墓石の構成
墓石は様々なパーツの組み合わせでできています。
和型墓石では棹石(さおいし)、上台、中台、下台(芝台)の組み合わせでできている三段墓の構成が主流です。
それぞれのパーツについて詳しく解説していきます。
まず棹石とは、墓石の中でも最重要部位とされており、軸石や仏石とも呼ばれて仏様やご先祖様の魂が込められると考えられています。
また、墓石の中心である棹石には様々なことを彫刻します。
家名、宗派により題目を彫るのが一般的ですが、その他に戒名や建立年月日、建立者名を側面や裏面に彫刻します。
上台とは、台石の中で一番上部に据えられる石のことであり、棹石を支える石です。
天面は棹石や台座と接する面なので、角面を水垂加工、亀腹加工、下蓮華加工などさまざまな形に加工します。
中台とは、下台、中台、上台と積み上げられる台石の中で2番目に据えられる石のことで、正面に刳り穴が開けられ、中に遺骨が納められるようになっています。
また、この下に置かれる下台がない場合は、中台を下台と呼びます。
下台とは、台石の中で一番下に据える石をさします。
石塔の安定感をだしながら、美しさも保ちます。
4つの石で組まれているため四ツ石とも呼ばれ、カロートとして使われることもあります。
ちなみにカロートとは遺骨を埋葬したり安置したりする空間のことです。
これらのメインパーツの他に、水鉢や花立、香炉といった墓参りの際に使うものも墓石に付属していることが多いです。
形状の意味
和型墓石は仏舎利塔を原形にしていると言われており、一般的には下台という敷石の上に、中台、上台、棹石と重ねて1つのお墓になります。
棹石から順に、天、人、地を表しており、それぞれ家庭円満、人望・出世、財産維持という意味があります。
形状の歴史
和型墓石とは、江戸時代に一般化した伝統的なものです。
石で墓を作る習慣自体は平安時代から始まったものですが、室町時代までは墓といえば五輪塔と呼ばれる供養塔や供養墓が一般的でした。
ただこの時代においては、墓を建てていたのは上流階級の人だけでした。
その後、江戸時代中期に檀家制度が確立していき、江戸時代後半には一般庶民も石造の墓を建てるようになりました。
家族単位で墓を持つ時代となると墓地の区画面積を広く取れないため、コンパクトな三段墓が主流だったようです。
兜巾型と角柱墓
神道では、棹石の頭部が角垂状に尖った形状の墓石を使用します。
この形は、修験者が被った黒色の小さな布のずきんの形をしています。
この形状を兜巾型(ときんがた)と呼びます。
これは神道の三種の神器の一つの天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)を表しています。
古い墓では、今でも旧日本軍の軍人のものを見かけますが、これらも神道にしたがって建てられたものです。
一方、私たちがよく目にする一般的な仏教墓石を角柱墓と呼び、これはいわゆる三段墓のことです。
本来、角柱墓は個人や夫婦のための石塔であり、家の先祖を祀るための墓は五輪塔でした。
しかし戦後、墓地や埋葬に関する法律が制定され、遺骨の埋葬をする場所が不足していったことから、角柱墓が先祖代々の墓となっていきました。
また、墓石の一番上にある棹石のすぐ下に、蓮台や蓮華台というものがついた墓石もあり、これを菩薩型(ぼだいがた)といいます。
古くから蓮の花や蓮華は、泥等のある汚れた池でもしっかりと根を張り綺麗な花を咲かせる生き様が仏教に近似することから、様々な仏教宗派の中でも大切にされてきました。
そして蓮華台が墓に使用される理由は、お釈迦様が蓮華台の上で瞑想し、それが極楽浄土の象徴とされるためです。
墓石以外の構成
墓石以外の付属パーツには以下のものがあります。
それぞれについて説明していきます。
外柵
墓域を囲む石のことで、家の外壁や垣根の役割を果たします。
羽目、玉垣とも言います。
灯籠
墓域の前面、左右に置かれて灯を灯すためにあり、墓域の境界部に灯を灯すことで邪気を払います。
物置石
荷物を置くための石です。
墓参りの際にお花や線香、ローソクなどが置けて便利です。
根石
墓域を囲む石で、外柵の土台となる部分です。
根石には、隣接する墓域との境界、盛り土を囲うための石材という2つの意味があります。
門柱
一般的な住宅でも見かけますが、墓でも入り口の左右に位置します。
卒塔婆立
卒塔婆を建てるための石で、石製のものやステンレス製のものなどがあります。
拝石
墓地の地面に置かれる敷石のことで、地域によってこれでカロートをふさいでいるところもあります。
墓誌
亡くなった人の名前を刻むための板石のことで、霊標、戒名板とも呼びます。
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洋型墓石とは
洋型墓石の特徴について解説していきます。
墓石の構成
洋型墓石では棹石、上台、下台(芝台)、香炉の組み合わせでできている高級型と、棹石と香炉の組み合わせでできている標準型があります。
棹石は、和型と同じく墓石の中でも最重要部位とされており、お墓の中心にして頂点に設置されています。
和型とは違い、横書きで家名を彫るのが一般的です。
また彫刻する文字も自由なので、故人が好きだった言葉を彫ったり、メッセージを刻むことも可能なので特別感があります。
更に、文字だけでなく絵や模様を入れることも可能です。
上台は、背丈の低い洋型墓石に高さを出す台のことです。
次に中台ですが、洋型墓石では通常下台を使わないので、この中台が最下部に位置する土台となるパーツです。
この他に、香炉、花立、拝石といったパーツから構成されています。
形状における利点
洋型墓石は、仏塔としての墓が完全に形骸化した昭和初期に出始めました。
そこからはあっという間に全国に普及したのです。
和型墓石と比べて幅が広く、高さは低く作られるため、場所も取らず安定感があることや、視界が開けることで明るい雰囲気を感じられることが理由の一つです。
そして、同じ石材を使用した場合のコストは洋型の方が安いことも、洋型墓石のメリットとして挙げられます。
更に現在では核家族化などが進み、家族墓、個人墓、永代供養墓など、急速に多様化が進んだため、より自由度の高い洋型墓石が多く選ばれるようになりました。
形状の種類
洋型墓石には、オルガン型、ストレート型、プレート型の3つの型があります。
それぞれについてその特徴を紹介します。
オルガン型
まずオルガン型とは、形がオルガンに似ていることから名付けられた洋型の定番です。
そして、ただの横長ではなく名前を彫る前面を斜面にした洋型墓石のことです。
洋型墓石は背が低いため、正面を斜面にすることで彫刻された文字が見やすくなります。
土台の上に棹石を直接乗せたものを一段型、土台と棹石の間にもう一つ石を挟んだものを二段型と言います。
ストレート型
ストレート型とは、洋風のシンプルさを残しつつ棹石部分を縦長にした洋型墓石です。
また、竿石の角度は垂直に近くなっています。
横長の墓石だとスペースを取ってしまう場合に、スペースを取らないようにするために利用されます。
ストレート型とオルガン型の大きな違いは角度なので、どちらも定番と言えるでしょう。
プレート型
最後にプレート型とは、芝生型の墓地などに直接名前が刻まれたプレートを埋め込んであるものです。
他のタイプに比べて使用する墓石の量が極端に少ないので、安価なのが特徴です。
キリスト教における墓石の形状
キリスト教における墓石の形状に決まりはありません。
和型の形をしたもの、洋型墓石や、プレート型、十字架の形の墓石もあります。
これらは墓地の広さによって決めていることもあります。
更に、プロテスタントやカトリックの区別も特にありません。
キリスト教では個人墓が元々の形ですが、家族墓も見られるようになり、あまり仏教の墓とも変わらなくなってきました。
デザイン墓石とは
和型や洋型と別に、デザイン墓石というものもあります。
デザイン墓石は自分の好きなようにデザインできる墓になりますが、その目的やメリット・デメリットについても紹介します。
デザイン墓石の目的
近年、故人の人となりを表すことのできる記念碑的な意味合いで、デザイン墓石が建てられるようになっています。
デザインの多様性から、故人の思いや考えを表現したり、家族の故人への想いを込めることが可能になっています。
デザイン墓石のメリット
自分でデザインを考えて建てることができるため、人とは違った墓を建てられるということが最大のメリットです。
形状や文字のフォントなども自由に選べますので、既存の墓のイメージに囚われることなく、故人を思い出すきっかけとなるような個性的なデザインが可能です。
デザイン墓石デメリット
自由にデザインできることがデザイン墓石の特徴である反面、技術や費用の問題から希望に添えない場合もあります。
また、寺院や霊園によっては高さや面積の制限があるため、自分の思い描いたものを建てられない場合もあるでしょう。
デザイン墓石をオーダーできる店は限られている上、何度も打ち合わせや修正を重ねるので時間がかかってしまい、一回忌や生前墓などに限定されてしまいます。
デザイン墓石の種類
ハープの形をしたものや本の形のものなど、故人の人となりを偲んでモチーフをオリジナル墓石に取り入れたデザインも可能です。
他にも、強化ガラスを使用したガラス墓や、石の色に特徴をもたせたもの、個人の写真をプリントしたものなど、個性的なデザインのものも存在します。
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供養塔とは
墓の周囲には供養を目的とした供養塔が置かれていることがあります。
供養塔にはどんな目的や形状のものがあるのか説明していきます。
供養塔の目的
供養塔は、死者や先祖の冥福を祈るために供養塔が建てられます。
供養を行うための集いを行った記録や、天災や戦争などで亡くなった方々のために建てられることもあります。
この場合、死者のゆかりの地に建てられるため全国各地に点在しています。
近年では、少子高齢化のために墓の継承者がいない場合や、親族が遠方であったりすることから、永代供養の埋葬方法として供養塔が選ばれることが増えています。
形状の種類
供養塔には五輪塔、多宝塔、宝篋印塔、石塔婆、無縫塔の5つの種類があります。
それぞれの特徴や形状の意味を説明します。
五輪塔
五輪塔は平安時代中期から存在し、仏教において宇宙の構成要因である空、風、火、水、地を表わす5つの石材から成る輪が重なった形を持つのが大きな特徴です。
多宝塔
多宝塔とは、仏舎利を納めるものではなく多宝如来を祀った塔です。
四方の屋根部分が上に向かって反った形をしており、二枚の屋根と相輪が特徴です。
宝篋印塔
宝篋印塔(ほうきょういんとう)とは、平安時代以降に建立されたものです。
台座部分となる基部、塔身、屋根に似た形の笠とその上に付けられた棒状の相輪から構成されており、個人墓の周りに建てるのが一般的です。
また、相輪の先に宝珠を乗せ、正方形の石を積み重ねた笠の部分の四隅に付けられた三角形の隈飾と、スリムなデザインが特徴です。
石塔婆
石塔婆とは、板碑とも呼ばれる細長い台形の供養塔です。
墓の後ろに立ててある木製の卒塔婆と違い、石で作ったものをさします。
表面に彫り込んだ梵字が特徴的です。
無縫塔
無縫塔とは、八角形の台座に蓮の花、上部に白い卵型の大きな石が乗っているのが特徴です。
この卵型の塔身はひとつの石から切り出されるため継ぎ目が無く、この独特な形状から無縫の名がついたと言われています。
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文字に決まりはあるのでしょうか。
フォントの指定
墓石に刻む文字のフォントは自由ですが、和型墓石の場合には基本的に楷書、行書、草書、隷書の中から選ぶのが無難です。
中でも楷書体は読みやすいため多く使用されています。
洋型墓石の場合には、デザイン性を考慮してフォント選びをするのも良いかもしれません。
色の指定
文字色についての決まりは無く、何色を使用しても良いのですが、白や黒、あるいは何も入れないと言うのが定番となっています。
地方によっては金を使用することもあるようです。
色に指定はない
色に指定はありませんが、宗教的にも問題なく使用できる色として、仏教の五色である白、黒、赤、青、黄が挙げられます。
また五色には該当しませんが、金色も神々しく上品な仕上がりになることから九州地方で人気です。
地域によって色が異なる
白→関西地方でよく見られます。
黒→関東で人気です。
赤→正面にはほぼ使用しませんが、生前戒名や建立者を彫刻する際に使用します。
青→家庭繁栄や陽明の観点からつくられる墓で使用される事が多いです。
黄→棹石に使用されることは極めて稀ですが、仏教においては重要な色です。
金→九州地方で人気です。
色を入れない場合もある
あえて文字に色を入れない場合もあります。
墓石を自然石にする場合、色を入れず自然な風合いにする事が多いです。
地域によって、エリア一帯が色を入れないとするところもあります。
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墓石の形まとめ
ここまで墓石の形やその種類についての情報や、それぞれの形状における意味や目的などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 墓石には、和型、洋型、デザイン墓、供養塔の4種類ある
- 4種類それぞれに意味や目的があり、その選択は多様化してきている
- 墓石に刻む文字のフォントや色は特に決まっていない。
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。
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