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時宗とは?浄土教から枝分かれした一派の成り立ちや特徴を解説
更新日:2022.11.18 公開日:2022.01.29
仏教には様々な宗派がありますが、時宗という宗派についてご存知でしょうか。
この記事では、時宗について詳しく説明していきます。
この機会に、時宗という宗派について覚えておきましょう。
時宗のお墓についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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時宗とは
時宗は阿弥陀仏を本尊とし、極楽浄土にいくために念仏を唱えています。
浄土宗の1つであるため、念仏は南無阿弥陀仏を唱えます。
浄土宗では阿弥陀仏を信じ、念仏を唱えたとき初めて極楽浄土にいくことができるという考えがあります。
時宗はそれに付け加え、信仰していようとしていまいと、南無阿弥陀仏と唱えれば、誰でも極楽浄土に行くことができると説きました。
時宗の開祖
時宗の開祖は一遍上人です。
一遍上人は元々四国の豪族出身でしたが、10代の頃に天台宗の寺で出家しました。
それから各地の寺で修行し一度は僧を辞めて世俗に戻りますが、32歳で再び出家します。
その後、遊行して仏教を布教するうちに布教方法に悩んだ一遍上人は、熊野権現の神託をうけて他力本願とは何かを悟ります。
これが時宗の開宗と言われています。
二祖である真教上人は、一遍上人が九州で遊行している時に出会い、真教上人はそこで時衆へ入門しました。
そして「他阿弥陀仏」という名を授かり、その後12年間、一遍上人と一緒に遊行します。
一遍上人は遊行することを生業にしていたため、寺院の建立や、教団を作ろうとは思っていませんでした。
一遍上人が亡くなった後、本拠地である寺もなく教団としての形も無いため、一度時宗は消えてしまったのです。
しかし、亡くなった後も教えを伝え続けてほしいという人々がいたため、その人々にこたえて真教上人が再び、時宗を蘇らせました。
時宗を教団として成立させたのは真教上人です。
鎌倉仏教の1つ
時宗は浄土教の一派です。
浄土教とは死後極楽浄土に行く事を目標とし、阿弥陀仏を信じて念仏を唱える宗教です。
そもそも浄土教は、鎌倉時代に新しく生まれた鎌倉仏教の一つです。
鎌倉仏教は他の仏教とは違い、主に武士や一般庶民の間で広く信じられました。
阿弥陀仏を信じて浄土に行こうという浄土思想が生まれ、禅宗が入ってきたことで鎌倉仏教が生まれました。
鎌倉仏教には浄土教系の仏教の他に法華教、禅宗があります。
スポンサーリンク時宗の成り立ちと歴史
時宗がどうやってできたのか、その歴史を解説します。
「六時衆」から「時宗」に
一遍上人も真教上人も、時宗に属し仲間となった僧尼を時衆と呼びました。
一遍上人や弟子たち一行は、1日6回、決められた時間に念仏をとなえる勤行をしていたため、当時の人々から六時衆とも呼ばれていました。
時衆は本来個々の僧尼を示す言葉ですが、他の教団が使わなくなり、一遍上人の時衆だけが使うようになったため、それが教団の名称になりました。
江戸時代に入ると、時衆が時宗という名前に代わって宗派の名前になります。
一遍上人を中心とした僧や尼のグループは、江戸時代より前は時衆、江戸時代以降は時宗と呼ばれます。
「ご賦算(ごふさん)」
一遍上人は弟子と一緒に、遊行として仏教布教のために旅をし、出会った人々に「南無阿弥陀仏決定往生六十万人」と書かれた名号札を配っていました。
ご賦算(ごふさん)とは、この名号札を配ることです。
名号札を配る対象は誰でもよく、阿弥陀仏を信じていなくてももらうことができます。
元々は阿弥陀仏を信じることと「南無阿弥陀仏」と称することを条件に札を配っていましたが、そんな中で熊野権現の神勅がありました。
神勅の内容は「既に一切衆生の往生は、南無阿弥陀仏だと決まっている。受け取る人が信じようと信じまいと、浄であろうと不浄であろうと配るべきだ」というものです。
この神勅を受けた後は、無条件で誰にでも配ることにしました。
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時宗の本山と本尊
時宗における本山はどこか、本尊はなにかを紹介します。
総本山は「清浄光寺(遊行寺)」
時宗の総本山は、神奈川県藤沢市にある清浄光寺です。
1325年に開山され、1631年に江戸幕府から時宗の総本山と認められました。
何度か焼失したり、地震で倒壊したりしましたが、そのたびに再建されています。
本尊は「阿弥陀仏(阿弥陀如来)」
時宗では阿弥陀仏を本尊としています。
阿弥陀仏を本尊にするのは、浄土教系の仏教の特徴です。
阿弥陀仏を信仰することで、死後極楽浄土に行けるとされています。
しかし一遍上人は、阿弥陀仏を身近に具体化したものとして「南無阿弥陀仏」という名号を本尊とする、とも信徒に教えています。
スポンサーリンク時宗の教えと特徴
ここからは時宗の教えと特徴について解説していきます
「他力念仏」
時宗では他力念仏という考えが大切にされています。
他力念仏とは、阿弥陀仏を信仰しようとしまいと、南無阿弥陀仏と念仏を唱えれば誰でも極楽浄土に行くことができるというものです。
この考えは、ご賦算にも見られます。
「踊り念仏」
時宗の特徴として一番有名なのは「踊り念仏」です。
踊り念仏の様子は歴史の教科書にも載っているため、知っている人もいるでしょう。
鉦や太鼓などの楽器を打ち鳴らし、念仏をとなえながら踊り歩くのが踊り念仏です。
踊り念仏自体は平安時代からあり、空也という僧が浄土信仰と念仏を広めるために始めました。
一遍上人と時宗の踊り念仏は、空也のものを元としています。
一遍上人の踊り念仏は乱舞形式で、僧侶も信者も合わせてみんなが好き勝手に踊り、決まった型はありませんでした。
決まった型がないため、宗教的というよりも娯楽的になり、全国各地でいろいろな特色をもった踊り念仏が行われるようになりました。
長野県佐久市では今でも踊り念仏の実演が行われていて、その貴重さから重要無形民俗文化財にも指定されています。
この踊り念仏は、今の盆踊りの元となりました。
踊り念仏が、お盆である盂蘭盆会の行事とくっついて盆踊りになったのです。
また、近世の初めに出雲の阿国が、このころ民衆に浸透していた踊り念仏に、歌も混ぜて踊ったのが歌舞伎の始まりとなりました。
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時宗の経典
時宗では浄土三部経を経典としています。
浄土三部経は、「無量寿経」(むりょうじゅきょう)、「観無量寿経」(かんむりょうじゅきょう)、「阿弥陀経」(あみだきょう)の三つです。
「無量寿経」は、浄土三部経の中でもっとも大きい経典です。
このお経は、霊鷲山(りょうじゅせん)で、お釈迦様が阿弥陀仏について説法をしているという内容です。
阿弥陀仏がとても優れていること、極楽がどんなところなのか、三輩往生という、どんな人が極楽浄土へ往生できるのかの分類などが説かれています。
「観無量寿経」とは、浄土経典のなかでも代表的なものです。
このお経では、お釈迦様が、極楽や阿弥陀仏、観音と勢至の二菩薩について考え、13の観法を説きます。
極楽に往生する人を「上品上生」から「下品下生」までの九つに分けています。
「阿弥陀経」は小さな経典で、「無量寿経」を簡単にした内容です。
最初に極楽がどんなところか、阿弥陀仏と極楽の住人が永遠に生きられること、理想の世界がどうあるのかが説かれています。
こうした極楽世界へ往生したいんだという願いは外に出すべきとされ、南無阿弥陀仏を一心に称えれば、臨終するときに必ず阿弥陀仏が迎えに来て極楽往生できるとされています。
また、読経では六時礼賛(ろくじらいさん)も読みます。
六時礼賛は往生礼賛とも呼ばれます。
極楽浄土へ往生することを目的とした具体的な方法と、六回行う勤行の礼讃文を収録した書です。
前序、六時礼讃、懺悔発願、後序でできています。
スポンサーリンク時宗の葬儀について
時宗の葬儀形式やその作法はご存じでしょうか。
時宗では、どのように葬儀をするのかをご紹介します。
時宗本来の形式で葬儀を行うことはあまりありません。
時宗は浄土宗から派生しているので、葬儀は浄土宗の葬儀の形式や作法で行われます。
浄土宗の葬儀では、下炬引導(あこいんどう)と念仏一会(ねんぶついちえ)という儀式があります。
「下炬引導(あこいんどう)」
「下炬引導」は故人が極楽浄土へ行くための「引導」を渡す儀式です。
僧侶が線香または紙など、松明に見立てた法具を取り、1本を捨てます。
残った方の法具で円を描き「下炬の偈(あこのげ)」という文章を読んで、残った1本も捨てます。
最初に捨てる1本は、この世からの別れを意味する「厭離穢土(えんりえど)」に見立てています。
最後に捨てる1本は、浄土の求めを意味する「欣求浄土(ごんぐじょうど)」に見立てています。
「念仏一会(ねんぶついちえ)」
「念仏一会」は、僧侶と葬儀の参列者全員が一緒に「南無阿弥陀仏」と10回以上唱えます。
「南無阿弥陀仏」と唱えて、故人が仏に助けてもらう手助けをします。
参列者も唱えることで、故人だけではなく葬儀に来てくれた人達も阿弥陀仏との縁が結べるのです。
焼香の回数
時宗では、焼香の際に左手に念珠や数珠をかけ、お香をつまんだ手を額まで上げて、押しいただいて香炉にくべます。
焼香の回数は特に決まっていませんが、一回から三回ほど焼香します。
二連の形の数珠(念珠)
時宗の正式な数珠は、二つの輪を交差させて付ける二連の形の数珠です。
この形は時宗と浄土宗のみで使われる珍しい形です。
時宗では数珠のことを数珠とは呼ばず、一般的に「念珠」と呼びます。
男性用の念珠は「三万浄土」、女性用の念珠は「六万浄土」と呼んでいます。
時宗の信者以外が時宗の葬儀に参列する際、自分の宗派で使っている数珠や略式の片手数珠でも大丈夫です。
特徴的な合掌
時宗の葬儀では合掌の形にも特徴があります。
手の真ん中を少し膨らませて手を合わせます。
この手の形が蓮の蕾のように見えるため「未敷蓮華合掌(みぶれんがっしょう)」と呼ばれています。
この合掌は時宗の葬儀でなければ経験できません。
非常に珍しいため、葬儀にならないとなかなか知ることがないでしょう。
葬儀でのマナーを知りたかったり心配な場合は、事前に導師や葬儀場の方へ確認するようにしましょう。
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時宗には戒名がない
他の宗派では戒名が与えられますが、時宗には戒名はありません。
時宗では戒名とは呼ばず、法名と呼びます。
男性の法名は阿弥陀仏、女性の法名は一か仏の文字が入っています。
一遍上人が女性の法名に「一房」や「仏房」とつけていたため、女性の法名には一か仏の字がよく使われているのです。
法名には阿という号がつき、有名な人の法名としては、室町時代に能で活躍した観阿弥の法名である観阿弥陀仏があります。
時宗のお墓について
時宗のお墓は浄土真宗のお墓とほとんど変わりません。
そのため、墓石の一番上にあたる棹石の部分に、念仏である「南無阿弥陀仏」と刻まれることが多いです。
家名は「南無阿弥陀仏」の一段下の部分に入るのが一般的です。
「南無阿弥陀仏」は浄土教から派生した宗派でよく墓石に刻まれており、時宗もその中に入ります。
最近では見慣れた和型のお墓だけでなく、棹石が横になった洋型や、いろいろな形にしたデザイン型も人気です。
そうしたお墓では石の部分に「南無阿弥陀仏」ではなく、好きな言葉やイラストを刻む人もいます。
しかし未だに和型がメジャーなため、和型の幹石には「南無阿弥陀仏」と刻まれています。
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時宗の寺院数や信者数は?
ここまで時宗について解説してきました。
歴史の教科書でしか聞く機会はありませんが、今でも時宗のお寺はあります。
時宗は全国で約400の寺院を持ち、信者数も約5万9000人(宗教年鑑 平成28年版より)います。
日本全国を26の教区に分け、それぞれに宗務支所が設置され、支所長が選ばれています。
岡山県、徳島県、高知県、佐賀県、長崎県、沖縄県には時宗のお寺が存在しません。
広島県の尾道市には時宗のお寺が6つも集中して存在しており、時宗の修行場である道場が3つありました。
藤嶺学園という、総本山清浄光寺が作った学校法人もあり、中学校と高校があります。
また大正大学では、時宗の僧侶になるための勉強をすることもできます。
毎年9月21日から24日までの間、清浄光寺では一遍上人の忌日法要である「秋季開山忌」が行われています。
インターネット上にサイトを持っているお寺もあります。
時宗についてもっと知りたいと思ったらサイトを見てみたり、近くにあるお寺の行事に参加してみるのもいいかもしれません。
時宗についてのまとめ
ここまで時宗についての情報や、時宗での葬儀の方法などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 時宗は一遍上人が始めた、阿弥陀如来を本尊とする浄土教の一派
- 「南無阿弥陀仏」を唱え、極楽浄土にいくことを目的とする
- 時宗では浄土三部経を経典としている
- お墓や葬儀は浄土教の形式で行われる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
山口 隆司(やまぐち たかし)
一般社団法人 日本石材産業協会認定 二級 お墓ディレクター
経歴
業界経歴20年以上。大手葬儀社で葬儀の現場担当者に接し、お葬式を終えた方々のお困りごとに数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、位牌や仏壇をはじめ、霊園・納骨堂の提案や、お墓に納骨されるご遺族を現場でサポートするなど活躍の場が広い。
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