法事法要
戒名の宗派ごとの違いとは?付け方やランクについても解説
更新日:2022.06.11 公開日:2022.02.25
仏教における宗派については、どの程度ご存知でしょうか。
各宗派にさまざまな違いがありますが、戒名も異なることは知らない方も多いでしょう。
そこでこの記事では、戒名の宗派ごとの違いについて詳しく説明していきます。
この機会に、宗派ごとの戒名の付け方やランクについても覚えておきましょう。
ペットに戒名が付けられるかについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 戒名とは
- 戒名の構成と意味
- 宗派別の戒名について
- 戒名にかかる費用について
- 生きている間に授かる「生前戒名」とは
- 戒名は院号がなくても大丈夫?
- ペットにも戒名は付けられる?
- 著名人の戒名の例
- 戒名の宗派ごとの違いについてのまとめ
戒名とは
亡くなった方が戒名を授かることは、多くの方が知る仏教の習わしです。
戒名は本来、仏様の弟子になった証として与えられるものであり、生前に付けられるものでした。
現在でも生前に戒名を付けることは可能ですが、多くの場合は死後の葬儀などで付けられます。
戒名を付けるのは僧侶であり、多くの場合は菩提寺(ぼだいじ)の僧侶が故人のために付けてくれるものです。
菩提寺がない家庭の場合は、葬儀を依頼した寺院などで戒名を付けてもらうことが多いでしょう。
戒名の構成と意味
戒名は宗派によっても異なりますが、一般的な決まりというものがあります。
通常の戒名を付ける際には、4つの項目を用いて構成されます。
最初に院号あるいは道号を記し、戒名、位号の順で記されるのが一般的な戒名の構成です。
ここでは、それぞれの項目の意味や特徴について説明します。
院殿号・院号
院殿号・院号とは高貴な立場の方、あるいは社会や寺院に大きく貢献した方にのみ記されるものです。
一般の方に付けられることはなく、次項で説明する道号が戒名の最初に記されることが一般的です。
本来の院号は、天皇などに付けられるものであったため、よほどの貢献をしない限りは付けられることはありません。
形式としては、院号がもっともランクが高く、院殿号が次いでランクの高いものとなります。
しかし、院号よりも院殿号のほうが使われることが少ないこともあり、院殿号を使う戒名がもっともランクが高いとされることもあるようです。
道号
道号は、多くの場合戒名の最初に記される文字で、故人の人格や字(あざな)を表す文字が記されます。
場合によっては生前の職業や趣味をイメージすることもあり、使われる文字はかなり自由度が高くなっているようです。
ただし、道号に用いるべきでない文字というものもあり、多くは縁起に関する文字が適さないとされています。
例としては、死や狂などの縁起の悪い文字、笑や鶴などの縁起の良い文字です。
また、未成年や水子などには道号は記されません。
戒名
故人の別名となるのは、この部分に記される2文字の名前です。
主に、経典などから1文字、俗名から1文字を取って付けられます。
場合によっては、故人が尊敬していた方の名前や先祖代々にわたって受け継いでいる文字などを用いることもあるようです。
一方で戒名には、著名人の名前から取った文字や不吉な文字の使用は適していないとされています。
位号
位号は、故人のランクを示す部分で、戒名の最後に記されるものとなります。
故人の没年齢や性別を基準に、社会や寺院への貢献度を考慮して付けられる部分です。
男性には武士を表す士の文字、女性は直接的に女性を表す女や姉などの文字が用いられます。
もっともランクが低く、多くの方が該当する位号は、男性が信士(しんし)、女性が信女(しんにょ)です。
次いで多いものが、男性は居士(こじ)、女性では大姉(だいし)とされ、大抵の人はこの2つのランクから選ばれます。
一般人でも選ばれる位号のなかでもっともランクの高いものが、男性が院信士(いんしんし)、女性が院信女(いんしんにょ)です。
さらに上に院居士(いんこじ)や院大姉(いんだいし)がありますが、滅多に使われることはありません。
このランクによって、戒名料となるお布施の支払い額が想定できます。
子どもの場合
子どもは、大人とはまた違った位号が存在します。
社会への貢献などを考慮できないこともあり、子どもの場合は年齢によって定められるようです。
4〜5歳は、男児が幼児や嬰児(みどりご)、女児が幼女や嬰女(えいにょ)とされています。
15歳までは、男子が童子(どうじ)や大童子、女子が童女(どうにょ)や大童女です。
水子や乳児の場合はさらに異なり、統一して水子とされています。
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宗派別の戒名について
戒名は基本的に4つの項目から成り立ちますが、宗派によってその構成は多少違ってきます。
宗派によっては戒名がないものもあります。
ただし代わりとなる名前が存在していて、おおよその意味は戒名と同じです。
各宗派ではどのような戒名を付けるのか、特徴や意味について説明します。
真言宗
真言宗で扱われる戒名は、多くの部分は基本的なものと違いはありません。
特徴となる箇所はひとつで、それは戒名の最初にアの梵字(ぼんじ)が付けられることです。
梵字というのは、古代インドの言葉であるサンスクリット語(梵語)を文字にした際の呼び方です。
この梵字の「ア」は仏教において、大日如来を意味する文字になります。
つまり、アの梵字を付けることで大日如来の仏弟子となったことを表しているのです。
真言宗における大日如来は、宇宙そのものとされることもあり、戒名にアの梵字を付けることで故人が宇宙に帰るといった考えがあるのでしょう。
浄土宗
浄土宗は、寺院や流派によってさまざまな戒名がありますが、代表的なものに誉号(よごう)があります。
誉号とは、戒名の上に付けられる「誉」の1文字のことで、本来は僧侶などに付けられていたものです。
誉号は戒名の上に付けられますが、道号は寺院によってあったりなかったりします。
他の院号や戒名、位号などについては一般的な戒名と変わりません。
流派によって、誉号の代わりに「空」の1文字を付ける空号や「良」を付ける良号というものもあります。
浄土真宗
浄土真宗における戒名は法名と呼ばれます。
出家者を意味する戒名に対して、法名は在家者(家を出る必要がない者)でも教えを学ぶ者であれば与えられる名前です。
浄土真宗では道号は付けず、法名の上に釈合(しゃくごう)である「釈(釋)」の1文字を付けます。
この釈という文字には、お釈迦様の弟子になる意味合いがあります。
またランクを表す位号はなく、特別な貢献をした方や高貴な方の場合に限り院号が付けられます。
戒名の位置に該当する法名の付け方は、戒名と基本的に変わりません。
一般的な戒名は未成年などの例外を除き少なくとも6文字となりますが、浄土真宗では短いと「釈◯◯」と3文字の法名となることもあります。
また、流派によって多少の違いはあり、女性の故人には「釈尼(しゃくに)」とする流派もあるようです。
日蓮宗
日蓮宗には戒律がないため、戒名が存在しません。
日蓮宗での戒名に変わるものを、法号(日号)と呼びます。
戒名では経典から1文字いただくところを、法号では「日」の1文字が与えられます。
日と、俗名や故人に関わるものからとった1文字で形成する2文字で表したものが法号です。
また、男性であれば「法」、女性であれば「妙」の1文字が法号の前に付けられることもあります。
天台宗
天台宗では、真言宗と同じく戒名の最初に梵字を付けます。
天台宗の特徴として、大日如来と阿弥陀如来のどちらを本尊にしても良いというものがあります。
そのため、天台宗の戒名で最初に付ける梵字は大日如来を表す「ア」、あるいは阿弥陀如来を表す「キリーク」の梵字のどちらかです。
ただし梵字を記すのは白木位牌のみで、本位牌では記されません。
曹洞宗・臨済宗
曹洞宗や臨済宗における戒名は、一般的な戒名と変わりません。
ただし、仮位牌である白木位牌に戒名を記す際には、戒名の上に「新帰元」という文字が記されることがあります。
本位牌には記されません。
新帰元には、文字の通り新しく元の世界に帰る、といった意味があるようです。
死後は消え去ることはなく、世界のいずれかに戻るといった宗派の考えから、このような文字が使われることとなっています。
戒名にかかる費用について
戒名を付けてもらうためには、戒名料が必要です。
ただし戒名料は料金ではなく、あくまでお布施として支払うものになります。
どのようなお布施であっても、寺院側から明確な値段を提示されることはありません。
お布施は、依頼する遺族などが感謝の気持ちとして僧侶や寺院に渡すお金です。
そのため、戒名料を支払う必要はあるものの、その値段は寺院などによって変化します。
一般的な戒名料の費用相場は、戒名の位によっても変わります。
信士・信女では10万〜50万円、院居士や院大姉になると100万円以上することもあり、その金額幅はとても大きなものです。
多くの方は信士・信女〜居士・大姉までの位号となります。
そのため、戒名料の費用相場は10万〜80万円です。
特に多いのはその中間にあたる30万〜50万円程度になります。
もし包む金額が不安だという方は、寺院に相談してみても良いでしょう。
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生きている間に授かる「生前戒名」とは
現在の戒名は、一般的に死後授かることが多いものです。
しかし、戒名は本来は生きている内に授かるものであり、実際に現在でも生きている内に戒名を授かることが可能となっています。
生前に授かる戒名を「生前戒名」と呼びます。
死後に授かるよりも戒名料が安くなることもあり、授かり方によっては戒名の名付けに自分が携わることもできるようです。
生前戒名は自分で付けることも可能ですが、さまざまなトラブルに繋がる可能性もあるため、注意しなくてはいけません。
生前戒名を授かりたい場合は、菩提寺がある家庭は菩提寺に相談してみましょう。
多くの寺院で相談にのってくれるほか、提案すれば自分で戒名を考える手伝いをしてくれる寺院もあるようです。
生前戒名を授かることで、自分の戒名を知り、その後の人生の道標を得ることもできます。
事前に戒名を付けておくことで、遺族への負担が減る利点もあるので、死後について考えている方は生前戒名について一考してみるのも良いでしょう。
戒名は院号がなくても大丈夫?
生前戒名を授かった方や故人の戒名を授けてもらった方のなかには、戒名に院号がなく不思議に思った方もいるでしょう。
人によっては、院号がない戒名は戒名として大丈夫なのか、不安に思う方もいるかもしれません。
院号は、寺院や社会への貢献、あるいは何らかの立場に置いて高い身分にいる方などに付けられるものです。
そのため、一般の方に院号が付くことは少なく、多くの場合は戒名の始めの文字は道号からとなっています。
1つの寺院を建てるほどの貢献をした、あるいは世間で名を馳せている方でもない限り、院号がないことのほうが一般的です。
院号がない戒名を授かったとしても、不安に思う必要はありません。
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ペットにも戒名は付けられる?
大切にしていたペットが命を落としてしまった場合、供養をしてあげたいと思う方は多いのではないでしょうか。
特に昨今であれば、ペットは家族の一員とする考えの方も多数いるため、ペット霊園などに埋葬する方もいるでしょう。
ペットを供養しようと思ったとき、人間のように戒名を必要とするか気になる方もいるかもしれません。
一般的な結論を挙げるのであれば、ペットに戒名は不要です。
そもそも戒名というのは、人間が仏弟子となった証として与えられる名前なので、動物にはその理屈は反映されません。
また、仏教において人間と動物は区別されており、動物を供養するという考えはありませんでした。
さまざまな理由によりペットへの戒名は不要とされますが、戒名を付けてはいけないという決まりはありません。
なにより大切なことはペットを思う気持ちであり、ペットをしっかり供養するためには戒名が必要だと考える方は戒名を付けても良いでしょう。
ペットに戒名を付けたいと思った際に、どのような方法があるのかを紹介します。
ペット霊園・ペット葬儀業者にお願いする
戒名を付けてペットを供養したいと考える方であれば、多くの場合はペット霊園などを利用されるのではないでしょうか。
霊園にもよりますが、供養のお願いをする際に戒名を付けてほしい旨を伝えれば、オプションとして戒名を付けるための手配をしてくれる霊園もあるようです。
ペットの戒名であっても戒名料となるお布施は必要となり、霊園によって値段は変わります。
霊園に戒名をお願いする場合は、事前に問い合わせるようにしましょう。
自分で付ける
戒名は自分で付けることも可能です。
自分で考えて直接付けることも可能ですし、ネットで調べれば戒名を付けてくれるところもあります。
ペットに戒名を付ける際、自分で考える場合は戒名のルールについて知っておく必要があるでしょう。
ペットの戒名は、人間の戒名でいうところの道号と戒名を付け、位号の部分は居士・大姉を使います。
例えばペットがオスの犬であれば「愛犬〇〇居士」となり、メスの猫であれば「愛猫〇〇大姉」となります。
戒名に当たる部分は特に決まりはなく、ペットの生前の特徴などから決めるのが一般的です。
著名人の戒名の例
戒名のルールなどをいろいろお伝えしてきましたが、説明だけではなんとなくのイメージしかわからないのではないでしょうか。
著名な方であれば、過去にどのような戒名が付けられたかなど広く知られているので、調べてみるのもおすすめです。
誰でも知っているような著名人が、過去にどのような戒名を付けられたのか、いくつか紹介します。
資料の残っている戒名として、もっとも長いとされるのは徳川家康です。
徳川家康の戒名は「安国院殿大相国徳蓮社崇誉道和大居士」と17の文字が使われています。
徳川家康の戒名の頭に「東照大権現」という文字がある資料も見つかっているようです。
夏目漱石は「文献院古道漱石居士」の9文字からなり、戒名には筆名となる漱石が使われています。
他にも石川五右衛門の「融仙院良岳寿感禅定門」であったり、足利尊氏の「等持院殿仁山妙義大居士」などが知られています。
調べると、逝去された芸能人などの戒名もあるので、興味がある方は一度見てみてはいかがでしょうか。
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戒名の宗派ごとの違いについてのまとめ
ここまで戒名についての情報や、宗派ごとにおける戒名の違いを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
戒名は多くの場合4つの項目から成る
戒名は宗派によって付け方が異なることもある
戒名料の費用相場は50万円前後
生きている間に授かる生前戒名も可能
ペットに戒名は不要だが、付けても良い
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者
唐沢 淳(からさわ じゅん)
経歴
業界経歴10年以上。大手プロバイダーで終活事業に携わる。葬儀の現場でお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから大人数の葬儀までを経験。お葬式を終えた方々のお困りごとにも数多く寄り添いサポートを行う。終活のこと全般に知見を持ち、ユーザー目線でのサービス構築を目指す。
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