法事法要
臨済宗とは?経典・葬儀・仏壇の飾り方を徹底解説
更新日:2022.04.23 公開日:2022.03.03

記事のポイントを先取り!
- 臨済宗は、栄西によって日本に伝えられた禅宗のひとつ
- 臨済宗の葬儀は、受戒と引導という儀式を行う
- 臨済宗では、釈迦如来を本尊に飾る
仏教のひとつである臨済宗についてご存じでしょうか。
臨済宗は他の宗派と考え方や教えが異なる部分があることを知っている方は少ないようです。
そこでこの記事では、臨済宗について解説します。
この機会に、臨済宗の葬儀についても知っておきましょう。
仏壇の飾り方についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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臨済宗とは
臨済宗とは、栄西によって日本に伝えられた禅宗のひとつです。
鎌倉時代から室町時代に武家社会を中心に広まり、茶道、芸術、芸能といった日本文化へ多く影響を与えた宗派になります。
また、臨済宗は他の宗派と教えが異なっていることや、臨済宗の中でもいくつかの宗派にわかれているのが特徴的です。
臨済宗の歴史
臨済宗の起源は、中国で唐の時代に臨済義玄(りんざいぎげん)が禅宗のひとつとして開宗したことが始まりです。
日本には、鎌倉時代初期に栄西によって伝えられたとされています。
栄西はもともと宗に渡っており、臨済宗の黄龍派の印可を受けたあと、1195年に日本最初の禅道場となる聖福寺を博多に建てました。
そして、鎌倉幕府の2代将軍源頼家や朝廷の庇護のもと、1202年には京都に建仁寺を建立し、曹洞宗、浄土宗、浄土真宗、時宗、法華宗とともに鎌倉新仏教として広まりました。
とくに、武士の間で坐禅が修行の一環として取り入れられたことで、鎌倉幕府や室町幕府に保護されるなど、政治的にも影響を与えるようになりました。
栄西は臨済宗のほか、宗から茶の種も持ち帰っており、茶の栽培を寺で始めたことで「茶祖」と呼ばれ、日本における茶道の文化の基礎を作ったともされています。
臨済宗は戦国時代から江戸時代にかけて一度衰退してしまいますが、江戸時代中期に白隠によって禅を体系化することで大衆へと広まるようになりました。
白隠は坐禅のときに読誦する「坐禅和讃」を著し、臨済宗における中興の祖として知られています。
臨済宗は現在、14もの宗派に分かれており、それぞれの宗派の本山となっている京都や神奈川、静岡、山梨などに多くの寺院があるとされています。
臨済宗の教え
臨済宗の教えの中で特徴的なのが、坐禅によって悟りを得て、浄土へとつながるという自力という考え方です。
坐禅をひたすらすることで、どんな人でもお釈迦様と同じように人の尊さや純粋な人間性を悟ることができるというのが基本的な教えとなります。
臨済宗の坐禅は、看話禅(かんなぜん)や公案禅と呼ばれる師と向かい合って対面形式で坐禅をします。
師が弟子に問題を投げかけ、その答えを坐禅を通して精神統一し、理論を超えたところから導き出すという特徴があります。
臨済宗の宗派
臨済宗は14もの宗派に分かれており、宗派ごとに本山の名前が宗派の名前となっています。
それぞれの宗派を寺院が多い順にすると、
- 心寺派(京都)
- 南禅寺派(京都)
- 建長寺派(鎌倉)
- 東福寺派(京都)
- 円覚寺派(鎌倉)
- 大徳寺派(京都)
- 方広寺派(静岡・浜松)
- 永源寺派(滋賀・東近江)
- 相国寺派(京都)
- 天龍寺派(京都)
- 建仁寺派(京都)
- 向嶽寺派(山梨・甲州)
- 佛通寺派(広島・三原)
- 国泰寺派(富山・高岡)
以上になります。
臨済宗の中でも主要な本山となる京都五山や鎌倉五山には有名なお寺が多く、世界遺産としても登録されている天龍寺など人気のお寺もあります。
また、臨済宗の寺院には末寺でも世界遺産に登録されている寺院が多く、世界的に有名な金閣寺や銀閣寺は相国寺派の末寺となります。
臨済宗の経典
臨済宗では特定の本尊を定めず、自身の内面と向き合うことで悟りを得ることを重視しています。
また、臨済宗は、浄土真宗での念仏や日蓮宗のお題目のような経典を続けて唱えることはありません。
般若心経の解釈
般若心経とは、臨済宗以外にも天台宗、真言宗、曹洞宗、浄土宗などの葬儀で広く読まれるお経のことです。
般若心経は、西遊記に出てくる三蔵法師として有名な玄奘がインドから中国に持ち帰った大般若経が原書とされています。
この大般若経は、仏教の教えを600巻もの書物にまとめたものになりますが、般若心経はそれをわずか300字に凝縮した仏教の真髄ともとれる内容になっています。
般若心経では、瞑想で得られる智慧によって欲望や執着の原因を理解し、それをなくすことで解脱できるとする教えを説いています。
よく唱える言葉
臨済宗では、釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)をお祀りすることが多いことから、南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)をよく唱えます。
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臨済宗の葬儀
臨済宗は禅問答を通して自分自身と向き合うことで悟りを得るという禅宗教になります。
そのため、他の仏教の宗派とは葬儀の流れが異なっています。
臨済宗の葬儀では、主に故人を仏の弟子にするための儀式(受戒)と、仏の世界へと導く儀式(引導)といった儀式を中心に行います。
ここでは、臨済宗の葬儀の特徴やマナーについて説明していきます。
葬儀の特徴
臨済宗の葬儀は、授戒、念誦、引導という3つの儀式で構成されています。
授戒とは、仏門に入るために戒律を授けることです。
念誦は経典を口にすること、引導は亡くなった方を仏門に導く(浄土に旅立たせる)ことです。
また、引導では仏教の正しいあり方や教えを言葉で伝える「法語」というものが使われるのが特徴となります。
葬儀の流れ
臨済宗の葬儀の流れは、基本的に以下の流れに決まっています。
ただし、地域によって異なる場合がありますので、事前に確認しておくのが良いでしょう。
授戒
葬儀のはじめに執り行うのが授戒の儀式です。
授戒の儀式は、葬儀を執り行う導師である僧侶が会場に入場するところからはじまります。
次に、導師は剃髪の偈(ていはつのげ)を唱え、剃刀で髪を剃るふりをします。
そのあと、懺悔文によって亡くなった故人が生前の行いを懺悔することで入滅を願い、三帰戒文で仏教の修行者となることを誓います。
また、亡くなった故人を清めるために洒水灌頂(しゃすいかんじょう)という水を棺に注ぎます。
この儀式は、三聚浄戒(さんじゅうじょうかい)、十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)といい、これにより正式に仏門に入ることとなります。
最後に仏の弟子となった証拠として、お香を焚き、血脈と書かれた髪を霊前にお供えします。
念誦
念誦では、仏の弟子になった故人が浄土へと旅立てる儀式を中心に行います。
はじめに故人を棺に納めてから、千手観音の功徳を説く大悲呪(だいひしゅう)と、故人を弔うための回向文(えこうもん)という2つの経文を唱える入龕諷経(にゅうがんふぎん)という儀式を行います。
次に、十仏名(じゅうぶつみょう)という経文を唱えて、棺を閉めるための龕前念誦(がんぜんねんじゅ)という儀式を行います。
そのあと、出棺の儀式として再び大悲呪と回向文を唱える起龕諷経(きがんふぎん)を行って故人を送り出します。
最後に、故人が成仏できるように往生咒(おうじょうしゅ)という経文を唱えて、太鼓を鳴らします。
引導
引導とは故人を浄土に旅立たせるために唱える法語のことです。
念誦を行ったあとに、導師が法語を唱え、後半に喝と叫ぶことで故人をこの世から解き放つ儀式を行います。
葬儀のマナー
臨済宗の葬儀では他の宗派とは異なる部分が多く、マナーにも気を付けなければなりません。
とくに焼香、香典、数珠については正しい知識が必要となりますので、詳しく解説していきます。
焼香のマナー
焼香のマナーは基本的には以下の通りになります。
ただし、地域によって異なる場合もあるので不安な場合はお近くの寺院に聞いてみておくといいでしょう。
まずは、仏前で合掌をし、礼拝をします。
そのあと、親指と中指と人差し指でお香をつまんで香炉にくべます。
お香をつまんだ際、お香は額にいただくことはせずに香炉に入れるようにしましょう。
線香の場合は、1本のみ火を付けてから手であおぐか線香を振って消してから香炉に建てます。
最後に、合掌し礼拝を行います。
香典のマナー
臨済宗の香典の表書きでは、四十九日までに行う通夜や葬儀などの法要では、御霊前と書きます。
四十九日以降に行う法要では、御仏前と書きます。
数珠のマナー
臨済宗では、人間の持つ煩悩の数と同じ108個の主珠が繋がった看経念珠という数珠を使用します。
ただし、最近では略式の片手数珠を使用している方も多くなっているようです。
臨済宗の数珠の持ち方は、一重の大きな輪を一回捻り二重にして左手に持ちます。
親指が人差し指の上に来るようにして持ち、房を下に垂らして手をあわせて拝みます。
臨済宗の仏壇の飾り方

臨済宗の仏壇は、他の仏教と同じように飾るのが基本です。
ただし、ご本尊と脇侍の位置は宗派によって異なることが多いので、注意しておきましょう。
ご本尊・脇侍の飾り方
臨済宗では、釈迦如来を本尊に飾ります。
飾る位置は、仏壇中央の一番高い位置に配置するのが決まりとなります。
また、ご本尊と位牌を飾った場合、位牌の方がご本尊より高くなることがないように気を付けましょう
理想としては、ご本尊の目線の位置より位牌の最上部が下にくるような配置がいいでしょう。
ご本尊の両脇には脇侍といって、その宗派を作った開祖や宗派を広めることに貢献した中興の祖などを掛け軸で飾ります。
臨済宗では、左側に花園法皇を飾り、右側に無相大師を飾ることが多いです。
現在の臨済宗は14もの宗派に分かれており、厳密には各派によって脇侍は異なりますので、不安な方は菩提寺に相談してみるのが良いでしょう。
仏具の飾り方
仏具はご本尊とともに、ご先祖様や故人を供養するためのものとなります。
仏様へのお供えは、基本的にご飯・お水・お花・ろうそく・お線香の五供を用意をしましょう。
まず、仏壇の中段には、右側にご飯、左側にお水をお供えします。
ご飯は朝炊きたてのものをお供えし、あとでお下がりをいただくようにします。
また、お水の代わりにお茶をお供えしても良いとされています。
仏壇の下段には、左側にお花とろうそく、右側にお線香を置きます。
お花は花立てに入れ、ろうそくは灯立てに立てて、お線香は線香差しに入れて仏壇に飾ります。
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栄西と禅と茶の関係
鎌倉時代、室町時代の武士に大きな影響を与えたとされる禅と日本文化の象徴ともされる茶道には、ともに臨済宗を日本に伝えた栄西が関係しているとされています。
ここでは、栄西と禅、茶文化の関係について詳しく解説していきます。
栄西が伝えた禅
中国の唐から宗の時代にかけて禅は盛んになり、さまざまな宗派が生まれました。
そのうち、日本には、鎌倉時代に臨済宗・曹洞宗・黄檗宗の3つの禅宗が伝わりました。
曹洞宗は道元禅師、黄檗宗は隠元禅師という渡来僧(宗代末期に移民の侵入から逃れて日本に渡来)によってもたらされました。
臨済宗のみ日本から宗に渡って禅を学んだ栄西が伝えたとされています。
また、栄西が伝えた臨済宗が初めて日本に伝わった禅であると言われています。
栄西が広めた茶文化
栄西が日本に広めたものの中では、臨済宗の他に茶文化も有名です。
栄西は日本で建仁寺を開山したあと、中国から持ち帰っていた茶の種の栽培を推奨し、喫茶の法を普及させました。
もともと、茶の種は奈良時代には日本に伝わっていたとされていますが、その当時は貴族などの上流階級で楽しまれるものでした。
鎌倉から室町時代に広まった禅宗には、「清規」と呼ばれる衆僧の規則があり、その清規の中に茶礼・点茶・煎茶や茶についての儀式が多くあります。
このように禅宗が広まることで、上流階級以外の人の間でも茶を飲む文化が広まったとされています。
また、禅修行者以外にも広く一般的に伝わった要因として栄西が記した「喫茶養生記」であり、その中で茶は良薬であるということを伝えています。
このことから、日本の茶祖として栄西は今でも尊崇されています。
臨済宗のまとめ

ここまで、臨済宗について解説してきました。
まとめると以下の通りです。
- 臨済宗は、鎌倉時代に栄西が日本に伝えたもの
- 臨済宗の教えは、特定の本尊を定めず、坐禅によって自身の内面と向き合い悟りを開く
- 臨済宗の葬儀では、授戒・念誦・引導という3つの儀式を行う
- 臨済宗の仏壇では最上段の中央にご本尊を置く
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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