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遺族が預金引き出しできる方法とは?口座凍結や注意点も徹底解説

更新日:2022.04.11

遺族

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記事のポイントを先取り!

  • 口座凍結されても遺族が預金引き出しできる方法がある
  • 民法改正によって上限150万円まで仮払い可能
  • 故人名義の預金引き出しで相続放棄できなくなる可能性がある

故人の預金口座が凍結されるタイミングは、いつなのかを知っていますか?
故人が亡くなった後でも、遺族が預金引き出し可能な方法があることをご存知でしょうか。

この記事では、遺族が預金引き出しできる方法を詳しく解説します。

この機会に、預金引き出しする際の注意点も知っておきましょう。
記事の後半では、遺族が預金引き出しをしないほうが良いケースについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 遺族が預金引き出しできない口座凍結とは
  2. 遺族が預金引き出しできないと発生する問題
  3. 遺族が預金引き出しできる方法
  4. 遺族が預金引き出しをすることによる注意点
  5. 遺族が預金引き出しをしない方がいいケース
  6. 死亡後に預金引き出しをしたら罪になる?
  7. 遺族が預金引き出しのまとめ
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遺族が預金引き出しできない口座凍結とは

故人が亡くなると口座が凍結され、預金の引き出しができなくなります。
まずは、口座凍結の意味やタイミングについて解説します。

口座凍結とは

口座凍結とは、その口座での一切の取引ができなくなることです。
預金引き出し以外の預け入れや振り込みも、もちろんできません。

口座凍結される理由とは、以下のような状況になったときです。

  • 口座名義人が死亡したとき
  • 犯罪などで不正に利用されたとき
  • 債務整理の手続きによるもの

口座名義人が死亡したときに、なぜ口座凍結されるのかというと、預金が相続遺産となるためです。
遺族が勝手に預金を引き出して持ち逃げしたりしないよう、凍結されることになっています。

口座凍結されるタイミング

死亡届を出すと預金口座が凍結されると誤解されている方がいます。
実際は、金融機関が故人の死亡を知ったときに口座は凍結されます。

以下の4つのような状況になったとき、口座が凍結されますので覚えておきましょう。

  • 相続人が金融機関へ申し出たとき
  • 新聞等のお悔やみ欄に掲載(著名人の場合)
  • 葬儀を知らせる自宅前の看板
  • 金融機関に残高証明書を取得申請したとき

役所から金融機関へ連絡がいくわけではありませんので、誤解のないようにしましょう。

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遺族が預金引き出しできないと発生する問題

口座が凍結されてしまい、預金を引き出せないことで、どのような問題が発生するのでしょうか。
直近で大きなお金が必要となってくるのは、やはり葬儀代墓石代となります。

  • 葬儀費用(斎場代・僧侶へのお布施・火葬代)
  • お墓の代金
  • 当面の生活費

斎場で執り行う一般的な葬儀の相場費用は、火葬代も含め平均で150万円ほどです。
斎場はクレジットカード払いで対応してくれるところも多いですが、僧侶へのお布施は現金で渡すのが基本です。

お布施は平均で20万円~30万円が相場といわれていますが、地域によっても異なります。
ある程度の現金は手元にあった方が安心でしょう。

さらに、お墓を新しく建立する場合は70万円~250万円が必要となります。

故人名義の口座から生活費を出していた場合は、通常の生活をすること自体が難しくなってしまうでしょう。

遺族が預金引き出しできる方法

遺族が預金引き出しできる方法について解説します。
遺言書の有無によっても必要な書類が変わってきますので、参考になさってください。

民法改正により一部引き出し可能になる

民法が改正され、2019年7月1日以降は1つの金融機関につき、最大150万円まで仮払いできることになりました。
ほかの法定相続人の同意がなくても、単独で仮払いの申請ができます。

銀行に仮払い申請をする

銀行へ仮払い申請することで、上限150万円まで引き出し可能です。
ただし以下の条件のうち、いずれか低い方の金額を引き出すことができます。

  • 死亡当日の預貯金×1/3×申請する人の法定相続分で計算される金額
  • 150万円

たとえば、預貯金が660万あり、申請者が故人の配偶者だった場合の計算式は以下の通りになります。
「660(万円)×1/3×1/2(配偶者の法定相続分は遺産の1/2のため)=110万円」
計算すると150万円よりも低くなるため、遺族が預金引き出しできるのは110万円です。
引き出された預金は、遺産分割の際に改めて戻される対象となります。

裁判所に仮分割の仮処分を認めてもらう

仮払い以上の金銭が必要な場合は、裁判所に預貯金債権の仮分割の仮処分を認めてもらう手続きをします。
認可されると預金の全額、もしくは預金の一部引き出しが可能です。

裁判所に手続きする際は、3つの要件を満たしていることが条件となります。

  • 家庭裁判所に、遺産分割の調停・審判が申し立てされていること
  • 遺産である預金を、払い戻さなければいけないような事情が相続人にあること
  • ほかの相続人の利益を害していないこと

遺言書で預金を相続した場合

遺族が故人の遺言書で預金相続をした場合は、必要書類を用意して銀行へ提出します。
預金引き出しに必要な書類は、主に以下のものです。

  • 遺言書
  • 故人の戸籍謄本
  • 検認調書もしくは検認済み証明書(自筆証書遺言を開封する際、家裁に検認申請をしなくてはならない)
  • 遺産相続人の印鑑証明書
  • 故人名義の通帳・キャッシュカード
  • 銀行印

銀行によっては、相続に関する依頼書などの書類も併せて提出する場合があります。
どのような書類が必要かは、事前に銀行へ確認しましょう。

相続手続き後に払い戻ししてもらう

相続手続きがすべて終わった後に払い戻ししてもらう場合は、必要書類を用意して銀行へ提出します。
必要書類は遺言書の有無でも変わってきますので、それぞれ詳しく解説します。

【遺言書あり(自筆証書遺言)】

  • 遺言書
  • 故人の戸籍謄本
  • 検認調書もしくは検認済み証明書(自筆証書遺言を開封する際、家裁に検認申請をしなくてはならない)
  • 遺産相続人の印鑑証明書

【遺言書なし】

  • 故人の戸籍謄本
  • 故人の除籍謄本
  • すべての相続人の戸籍謄本
  • すべての相続人の印鑑証明書

なお遺言書がなく、遺産分割協議書を作成中のときは、すべての相続人の署名・押印のある書類を上記4点と合わせて提出します。

原本とコピー、どちらを提出するのかは銀行によって異なるため、事前の確認が必要です。

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遺族が預金引き出しをすることによる注意点

遺族が勝手に預金引き出しをすることは、トラブルにつながりやすいので注意が必要です。

相続人の間でトラブルになる

故人の預金は相続遺産です。
遺族が勝手に預金を引き出すと、相続人同士のトラブルに発展しやすくなるため注意が必要です。

特に出金を隠してしまうと、他にも勝手に引き出しているのではとあらぬ誤解を生んでしまいます。

相続人全員の同意がなくても預金引き出し(仮払い)は可能ですが、念のため確認を取ってから手続きを進めたほうが賢明でしょう。
「葬儀代の支払いができない」「生活費がない」と理由をきちんと説明すれば、同意してくれるはずです。

請求書や領収書を残しておく

引き出した預金を何に使ったのかが不明瞭な場合も、遺族間トラブルの要因となります。
セレモニーホールや石材店の請求書・領収書は大切に保管しておきましょう。
引き出した預金額と、請求書や領収書の金額に大きな差がなければ証明となります。

相続放棄できなくなる

遺族が預金引き出しをしたり解約の手続きをすることは、相続の意志があるとみなされやすくなります。

亡くなった直後はわからなくても、財務整理をしていくうちに故人の借金が判明する場合があります。

相続の意思(単純承認)が認められてしまうと、負の遺産である借金も相続しなければなりません。
相続放棄ができなくなる可能性もあるため、預金引き出しは慎重に行わなければなりません。

遺族が預金引き出しをしない方がいいケース

遺族が預金引き出しをしない方が良いケースもあります。

相続放棄を検討している場合預金残高が少ない場合です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

相続放棄を考えている場合

あらかじめ相続放棄を視野に入れている場合は、むやみに預金を引き出すことはやめましょう。
預金を引き出しをするだけで、相続の意思があるとみなされる恐れがあるからです。
故人の遺産をありのまま受け入れることを単純承認といいます。

単純承認に特別な手続きは必要ありません。

故人の死後、相続放棄などの手続きをしない限り、基本的には単純承認となります。
当たり前のように預金を引き出すことは、単純承認につながりやすくなるため、故人に債務がある場合は注意しましょう。

預金残高が少ない場合

もともとの預金残高が少なかった場合も、預金引き出しは見送ったほうが良いでしょう。

口座解約の手間もかかりますし、ひとまず放置しておいても問題ありません。
口座凍結のタイミングは銀行が死亡を知ったときですので、凍結されずに残されたままとなることもあります。

現在、銀行の預貯金については、最終取引から10年経つと休眠口座となります。
休眠口座の預貯金は、民間公益活動に活用されることになっています。

特に使い道がなければ、寄付という考え方も選択のひとつです。

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死亡後に預金引き出しをしたら罪になる?

故人の死亡後、預金を引き出すことは罪になるのでしょうか。
民事上、刑事上でそれぞれ比較しながらご説明します。

民事上の問題では罪になる可能性もある

故人名義の預金引き出しは、民事上の問題にした場合、罪になる可能性もあります。

故人の預金は相続財産となるため、他の相続人分まで引き出すことは不法行為となります。
不当利得返還請求、もしくは損害賠償請求の対象となる可能性があるでしょう。

不当利得返還請求とは、自身の相続分以上の金額を引き出してしまったときに請求される訴えです。
故人名義の預金は、相続に該当するすべての人の共有財産となります。

そのため、1人の相続人が勝手に預金を引き出すことは、他の相続人の権利を侵害したとみなされます。

預金を引き出した相続人が不当に利益を得た、と判断されてしまうのです。

損害賠償請求は、他の相続人に断りもなく相続財産を自分のものにしたとき、不法行為として訴えられるものです。
相続にあたるすべての人に損害を与えたとして、損害賠償を請求される可能性があります。
不当利得返還と損害賠償を同時に請求されるケースもあるようですので、注意してください。

遺族が預金引き出しをする際は、たとえ相続の範囲内であろうと、他の相続人の確認を取ってからがいいでしょう。
ほんの少しの隠しごとが、大きなトラブルに発展する恐れもあります。
親族内での揉め事は長期化する傾向がありますので注意してください。

刑事上の問題では罪にならない

刑事上の問題の場合は、基本的に罪になりません。

刑法には、親族窃盗例という特例があるためです。

また、刑法では、法は家庭に入らずという考え方が基本となっています。そのため、親族内で窃盗・横領があった場合も告訴されないのが一般的です。

ただし、家族や親族が第三者に代理で引き出してもらったケースは、特例から外れる可能性があるため注意しましょう。

遺族が預金引き出しのまとめ

ここまで、遺族の預金引き出しについて解説してきました。
まとめると以下の通りになります。

  • 故人名義の預金は相続財産となるため口座凍結される
  • 民法改正により上限150万円まで仮払いできるようになった
  • 相続放棄を視野に入れている場合は預金引き出しは控える
  • 刑事上では罪にならないが民事上では訴えられる可能性がある

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(はかまだ)

袴田 勝則(はかまだ かつのり)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。

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