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死水(末期の水)とは?由来や正しい手順について解説

更新日:2022.07.06

遺族

記事のポイントを先取り!

  • 死水は御臨終の際に口を潤す水
  • 死水の由来はお釈迦様の故事
  • 血縁の深い順番に一ずつ行う
  • 死水は宗教や宗派ごとに違いが

臨終の際に亡くなった方の口を潤すために水を含ませることを死水といいます。
死水を取った経験がある方はいらっしゃると思いますが、死水の意味や由来までご存じの方は少ないのではないでしょうか。

そこでこの記事では、死水について詳しく説明していきます。

死水の手順や行うタイミングなどにも触れていきますので、覚えておくと良いでしょう。
また、各宗派や宗派での死水の違いや、死水を取る際の注意点も解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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  1. 死水とは?
  2. 死水の由来
  3. 死水を行うタイミング
  4. 死水の手順
  5. 宗教・宗派による死水の違い
  6. 他の人はこちらも質問
  7. 死水を取る際の注意
  8. 死水についてのまとめ
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死水とは?

死水とは、臨終の際に口を潤すための水のことで、死に際や亡くなった直後に水を含ませることを指します。
死水は末期の水とも呼ばれ、脱脂綿やガーゼを割りばしの先に付け、脱脂綿に水を含ませ唇に軽く水を付けます。

死者に水を飲ませることで死者が命を吹き返すのではないか、という考えから始まった習慣だとされています。
そのため、神聖な場所から汲んできた特別な水を使う地域もあり、樒(しきみ)の葉や菊の葉を漬けた水を使う地域もあるようです。

樒とは、寺や墓地に植えられ、仏壇のお供えにも使われる木で、関西地方では葬儀会場を飾る習慣もあります。

死水を含ませる儀式のことを「死水を取る」といいますが、この言い方には二つの理由があります。
実際に死水を口に含ませる儀式を指すだけでなく、「最期を看取る」という慣用句的な意味も持ちます。

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死水の由来

死水の由来は諸説ありますが、ここでは最も有力とされる説を説明します。
仏教の経典の一つである「長阿含経(じょうあごんきょう)」に以下のような記述があります。

お釈迦様が亡くなる際、弟子に「のどが渇いたから水を持ってきてほしい」と頼みました。
しかし、川の水が濁っていたため水を用意できず、弟子はお釈迦様に「我慢してください」と伝えます。

そのとき、雪山に住んでいた仏道に篤い鬼神が現れ、鉢に浄水を汲んでお釈迦様に捧げました。
そのおかげでお釈迦様は心安らかに最期を迎えることが出来ました。

このお釈迦様の最期のエピソードから、同じように心安らかに最期を迎えてほしいという願いを込めて、死水は供養の形として広まりました。
このほかにも、故人に生き返って欲しいという願いを込めて行ったという説や、神道で死者の穢れを清めるために行ったという説などがあります。

死水を行うタイミング

死水を取るタイミングですが、以前は臨終間近のまだ息がある段階で行われていました。
これは、のどを潤して苦しみなく逝ってほしいという願いや、水を飲んでまた元気になってほしいという祈りから、死の直前に行われていたとされています。

また、医学が未発達な時代では、水を飲ませることでのどぼとけが動くか否かで、生死の確認をしていたようです。
しかし、現在では医学も十分に発達し、生死の確認は別の方法で可能なため、亡くなった後に死水を取るようになりました。
そのため、現代の死水は亡くなった方の供養の一環として行われる儀式として認識されています。

そのため現在は死水は臨終直後に病院で行われるか、故人を自宅に安置してから行われることがほとんどです。
家族が揃うのを待つ場合もあります。

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死水の手順

ここでは、死水の手順や必要なもの、作法などを説明していきます。

用意するもの

死水を取るのには、水を入れる桶やお椀、水を含ませる脱脂綿やガーゼ、新しい割りばし、顔をふくための布が必要になります。
死水の儀式に必要な道具は、故人が病院で亡くなった場合は病院側で用意してくれることがほとんどです。

しかし、自宅で行う場合は喪主が自ら用意しなければならない場合もあります。
葬儀社が死水に使う道具のセットを用意している場合もあるため、葬儀社に葬儀を依頼している場合は、必要に応じて確認するようにしましょう。

行う順番

死水の儀式は御臨終直後に病院で行うか、故人が自宅に帰ってから行うかのどちらかになります。
死水は故人の体を清める清拭や死化粧の前に行われる、最初の供養の儀式です。

死水は臨終に立ち会った人が全員参加して行われます。
死水を取る順番は、故人の配偶者から子供、両親、兄弟姉妹、子供の配偶者、孫の順番で行います。

故人と血縁が近い順番に一人ずつ行うのが一般的です。

具体的な作法

新しい割り箸の先端に脱脂綿やガーゼを巻いて、白い糸で括りつけて固定します。
このとき脱脂綿やガーゼの代わりに、樒や菊の葉、鳥の羽で代用する場合もあります。

桶やお椀に汲んだ水で脱脂綿を湿らせます。
桶やお椀は故人が生前に使用していた湯呑などを使用することもあります。

最初に濡らした脱脂綿を唇に当て、上唇から始め下唇を湿らせます。
唇の左から右になぞるように当てていきます。

唇を湿らせた後は、顔を拭いていきます。
額を左から右に、鼻を上から下に、顎を顎を左から右に拭いていきます。

唇に水をあてていくのは、故人との血縁や関係性が深い順番にやっていきます。
自分が死水の儀式に参加する場合は、自分の順番を確認しておくと良いでしょう。

故人の渇きを癒すために多くの水を飲ませたいと思い、たくさんの水で濡らした脱脂綿で唇を拭きたくなってしまうかもしれません。
しかし、故人を安らかにあの世に送るための供養の儀式なので、唇を湿らす程度にしておきましょう。

宗教・宗派による死水の違い

死水は宗派によっては扱いが異なるものもあります。
また、死水は仏教の儀式ではありますが、他の宗教でも似たような儀式が存在します。

ここでは、宗派や宗教による死水の違いを説明していきます。

浄土真宗

死水は多くの宗派で広く行われる供養の儀式ですが、宗派の中には死水を行わない宗派も存在します。
死水をやらない宗派として代表的なのは、浄土真宗となります。

浄土真宗では、故人が亡くなってすぐに極楽浄土に往生し、仏様になるとされています。
そのため、魂という概念はなく、故人の魂が成仏できるように行う供養の儀式は必要ありません。

また、仏様の住む地である極楽浄土には、食べ物や飲み物が豊富にあるとされています。
極楽浄土では故人がのどの渇きを感じることなく安らかに過ごせるため、死水は必要ないと考えられています。

神道

神道にも死水の儀式が存在します。
しかし、仏教の死水は故人の渇きを癒す供養としての意味がありますが、神道の死水は死者の穢れを清めるために行われます。

また、仏教では脱脂綿を使用して水を塗りますが、神道では一般的に榊の葉を使用します。

キリスト教

キリスト教にも故人の身を清める儀式は存在し、カトリックとプロテスタントで内容が異なります。

カトリックでは「病者の塗油の秘跡(びょうしゃととゆのひせき)」という儀式を行います。
故人の顔に聖油を塗り、故人を病気などの苦しみから解放するために行います。

プロテスタントでは聖餐式(せいさんしき)という儀式を行います。
牧師がキリストの血肉を表すワインとパンを故人に与え、安らかに天国に行けるように牧師と家族が聖書を読み祈りを捧げます。
また、必ずではありませんが死水の儀式を行う場合もあるようです。

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他の人はこちらも質問

死水について調べていると以下のような疑問がわいてくると思います。

死に水って何?

人が死に瀕した時、または亡くなった時に、茶碗に入れた水を筆や新しいガーゼなどで唇に塗り拭うことです。
死者との別れの儀式であり、かつては死者を水で拭うのみならず、死水の儀式に参加した近親者も水を分かち合ったといいます。

末期の水 いつ?

昔は、お釈迦様が死の間際に水を求めた故事に則って、末期の水は死の直前に行うものでした。
しかし、現在では死亡後の病院や自宅で安置されているときに、末期の水を行うことが一般的になっています。

死に水 なぜ?

お釈迦様が死の間際に水を飲み、安らかに旅立った故事より、同じように安らかな最期を迎えてほしいという願いを込めて、死水の儀式は生まれたとされています。
他にも、故人に生き返ってほしいという願いや、神道で死者の穢れを清めるために行われたことが基になっているとされています。

末期の水 なぜ?

臨終の間際や亡くなった直後に立会人が、故人の口に水を飲ませることを死水といい、末期の水とも呼ばれます。
高度な医療が発達する前の時代では、故人が無くなったかどうかの判別のために水を飲ませていたそうです。

のどぼとけから音がして問題なく水が通ったら生きている、のどぼとけから水が通る音がしなかったら亡くなっている、という形で生死の判別がされていました。

死水を取る際の注意

ここまで、死水の意味や死水を取る時の作法などを説明してきましたが、死水を取る際には注意しなければならないこともあります。
ここでは、死水を取る際に気を付けておくべき点を具体的に説明していきます。

死水は近しい方が亡くなってすぐに行われる供養の儀式となるため、亡くなられてからでは余裕を持って調べるのも難しいものです。
いざというときに備えて、あらかじめ注意点を頭に入れておくと、少しでも余裕を持って死水に望むことができるはずです。

死水は唇を濡らす程度にする

死水は故人の渇きを潤すために行う儀式のため、遺族は「少しでも多く水を飲んでほしい」と思い、口の中に水を流し込むように与えてしまうことがあります。
しかし遺体にむやみに水を含ませるのは良くないため、唇の表面が少しだけ湿るくらいにとどめておきましょう。

また、臨終に立ち会った人は全員参加するのが基本なので、病院から自宅に場所を移す場合などは、家族が再び揃うまで死水を始めるのは待ちましょう。
自宅で死水の儀式を行う際は遺体を低温に保っておかなければ傷んでしまう可能性があるため、季節に応じて冷暖房を付けて対応しましょう。

小さい子供には無理をさせない

死水の儀式を行うのは血縁者のため、孫世代の小さな子供が儀式に参加する場合もあると思います。
ただ、未就学児や10代に満たない年齢の子供が死水に参加してしまうと、近くで遺体にふれるため大きな精神的ショックを受けてしまう可能性があります。
小さな子供には無理をさせないことが基本です。

そのため、小さな子供には死水を取らせないこともままあるようです。
小さな子供がいる場合には、子供の様子をしっかりと確認するか、その子が死水に参加することを希望する場合に限り、死水に参加させると良いでしょう。

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死水についてのまとめ

ここまで死水についての情報を中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。

死水は亡くなった直後に故人の口に水を含ませる儀式
お釈迦様が亡くなる間際に水を求めたことが死水の由来
死水では割り箸に脱脂綿やガーゼを巻き、優しく唇を湿らせる
浄土真宗では亡くなるとすぐに成仏するため、死水の儀式は行わない

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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監修者

評価員(はかまだ)

袴田 勝則(はかまだ かつのり)

厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター

経歴

業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。

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