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公正証書遺言による効力の影響は?効力が無効となるケースも紹介
更新日:2022.05.01 公開日:2022.05.22

記事のポイントを先取り!
- 公正証書遺言は信頼性が高い
- 遺言が無効になるケースもある
- 遺言は新しい日付が優先される
- 全員同意したら遺言を無視できる
遺言書の中でも特に信頼性が高いとされているのが、公正証書遺言です。
そんな公正証書遺言は、相続にどういった効力を及ぼすのでしょうか。
そこでこの記事では、公正証書遺言の効力について解説します。
この機会に、効力が無効になるケースも知っておきましょう。
後半では、公正証書遺言を無視できるかどうかについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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- 公正証書遺言とは
- 公正証書遺言の効力
- 効力が無効になるケース
- 公正証書遺言の効力はいつまで?
- 自筆証書遺言とどちらの効力が上?
- 遺留分に対しても効力がある?
- 公正証書遺言を無視することはできる?
- 公正証書遺言の作り方
- 公正証書遺言の効力についてのまとめ
公正証書遺言とは
公正証書遺言とは、公証役場で公証人立会いのもと、公正証書の形式で遺言を残すというものです。
公証人によって作成されるため、その内容も正しい形式が書かれるため、無効になることが少ないのが特徴です。
また、作成した遺言は公証役場で保管されるため、紛失などの心配もありません。
保管場所がはっきりしているため、自分で保管する遺言書よりも発見することが簡単で、遺族も困りません。
公正証書遺言は確実性の高い遺言書であり、被相続人が遺産をある人物に確実に相続したい場合などに大きく役立つでしょう。
公正証書遺言の効力
ここからは公正証書遺言がどういった効力を持つのかを解説していきます。
公正証書遺言には、遺言書としての効果と公正証書としての効果の2種類があります。
以下で詳しく解説します。
遺言書としての効果
公正証書遺言は正式な遺言書として扱われるため、相続に関しての内容を記載することで、相続発生時にその内容が優先されます。
そのため、遺産分割協議などを行わず、その遺言書の内容に沿って相続が行われるため、トラブルが生じにくくなります。
誰に何を相続させるかや相続人以外への遺贈など、遺言書として死後に被相続人の意思を表せる唯一の方法です。
公正証書としての効果
公正証書遺言は、公証人によって作成されるため、信頼性が高い遺言書です。
公証人は法律に関する専門家であり、その内容も法律に則った正式な形で書かれるため、形式の問題で無効になることがありません。
また、公正証書遺言は公証役場で保管されるため、その内容が偽造されることがないため、検認が必要ないのも特徴です。
効力が無効になるケース

信頼性の高い公正証書遺言でも、その効力が無効になるケースもあります。
ここでは、効力が無効になるのはどういったケースなのかを紹介していきます。
公正証書遺言の効力が無効とならないように、以下のケースを参考にしてください。
遺言能力に問題がある場合
被相続人の遺言能力に問題があると、その遺言書は無効として扱われます。
ここでいう遺言能力とは、その遺言書の中身がどういったものかを自分自身で理解できる能力を指します。
例えば、遺言作成者が痴呆や精神疾患などの病気であった場合、遺言能力に問題があると見なされます。
死後に遺言能力に問題があると裁判などで判断された場合、その遺言書は無効になるため注意しましょう。
口授ができない場合
まとめた遺言書は、公証人によって読み上げられ、最終的に遺言者に内容の確認をしてもらいます。
その際も、内容が正しいことを確かめるために返事をもらう必要があるため、口授ができない方は公正証書遺言を作れないことがあります。
しかし、現在では話せない方であっても、代替手段として筆談や手話などでの意思表示が認められるようになりました。
証人に問題がある場合
公正証書遺言を作成する際には、証人が2人以上必要です。
しかし、証人になるには条件があり、証人になれない人物が務めた場合は、遺言書自体が無効になります。
証人に問題があるケースで該当する人物は以下の通りです。
- 未成年
- 遺言者が亡くなった場合に相続人となる方とその家族
- 遺贈される予定の人とその家族
- 公証人とその家族(4親等以内)
- 公証役場で働く人物や公証人が雇用した人物
上記に当てはまる人は、問題があると見なされるため注意しましょう。
強迫や錯誤がある場合
公正証書遺言の内容に錯誤があったり、相続人になる人物が強迫して書かせたりした場合も無効になります。
上記でいう錯誤には、書き間違い・言い間違いを始め、考えや動機に関する錯誤も含まれます。
例えば、考えている内容が勘違いであった場合や、その遺言内容に至る動機に勘違いが含まれていた場合もこれに当たります。
遺言書の内容と遺言人の意思が一致していないと、錯誤や強迫の可能性があるとして遺言書が無効になることがあるのです。
公序良俗に違反していた場合
遺言書の内容が公序良俗に反していた場合も、内容に問題があるとして無効と判断されることがあります。
例えば、妻子がいるにもかかわらず、不倫相手の女性に全財産を遺贈したり、会社の全財産を第三者に渡したりすることがこれにあたります。
著しく常識に反している場合は、遺言書の内容が無効となることがあります。
公正証書遺言の効力はいつまで?
遺言書自体の効力に期限はありません。
また、公正証書には20年間という保管期限が定められていますが、公正証書遺言は例外として扱われます。
現在、公正証書遺言は基本的に、故人が120歳になるまで保管されるため、半永久的に保管されていると思って良いでしょう。
これには、社会全体の長寿化が進み、遺言者が20年を経過した後に正本を再発行するケースが増えていることも関係しています。
自筆証書遺言とどちらの効力が上?
自筆証書遺言と公正証書遺言に効力の差はありません。
ただし、同じ遺言者によって書かれた自筆証書遺言と公正証書遺言が存在している場合、日付の新しい方が優先されます。
また、遺言書で記述されている内容の範囲がお互いに重複していない場合、どちらも有効となります。
また、遺言書内に重複箇所と重複しない箇所が存在している場合には、重複しない箇所に関しては古い方の遺言書の内容も有効となります。
このように効力に違いはありませんが、日付や内容の範囲によって、どちらが有効かが異なってきます。
ただし、前提条件としてどちらも遺言書として成立していることが必要です。
どちらかが遺言書として無効な場合には、有効となっている方が効力を発揮します。
遺留分に対しても効力がある?
公正証書遺言に相続財産や分割の割合が書かれている場合であっても、遺留分を請求することは可能です。
そのため、公正証書遺言の内容によって、自分の遺留分が侵害されている場合には侵害した相手に対して遺留分侵害請求を行えます。
ただし、遺留分侵害請求が可能な期間は相続や遺贈が発生したことを知ってから1年以内となっているため注意しましょう。
また、知らなかった場合も10年を過ぎると請求が不可能になります。
公正証書遺言を無視することはできる?
公正証書遺言が存在する場合、基本的にその内容が無効であることはないため、遺言書を無視して遺産分割を行うことは不可能です。
しかし、その内容に対して相続人全員が異議を唱えている場合には、公正証書遺言を無視して遺産分割協議を行えます。
また、遺言書内に遺贈する旨が書かれていた場合、その遺贈する相手も含んだすべての相続人が同意している場合のみ遺産分割協議が行えます。
相続人全員の同意があれば遺産分割協議が可能な点を理解しておきましょう。
公正証書遺言の作り方

ここからは公正証書遺言の作り方を解説していきましょう。
公正証書遺言の作成に必要なものと、作成の際の流れを詳しく紹介します。
必要なもの
公正証書遺言を作成するには、以下のものが必要になるため準備しておきましょう。
- 遺言者の印鑑登録証明書や運転免許証などの本人確認資料
- 遺言者と相続人の続柄が書かれた戸籍謄本
- 遺贈者の住民票
- 不動産の登記簿謄本や固定資産評価証明書・課税明細書
- 株式や預貯金の種別と金額
- 遺言執行者や証人の名前・住所・生年月日・職業
また、上記の他に公証人との打ち合わせには遺言書の原案が必要となるため、事前に作成しておきましょう。
作成の流れ
公正証書遺言を作成する際には、以下の流れで行うこととなります。
- 公証役場で遺言者と公証人が打ち合わせを行う
- 打ち合わせ内容を元に遺言書の原案を作成し、作成日を決定する
- 作成日当日、遺言者が遺言書に記載する内容を口述し、それを公証人が記述する
- 公証人が記述した遺言書を遺言者と証人の前で読み上げる
- 遺言者と証人が内容を了承したら署名・押印を行う
- 公証人が署名・押印をする
- 公正証書遺言の原本は公証役場で保管し、正本と謄本を遺言書が保管する
事前の打ち合わせと、作成日当日の流れを知っておき、自身が遺言書を作成することとなった時に役立てましょう。
公正証書遺言の効力についてのまとめ

ここまで公正証書遺言の効力や無効になるケースなどを解説してきました。
まとめると以下の通りです。
- 公正証書遺言は公証人立会いで作成される信頼性の高い遺言書
- 遺言能力がない場合や口授ができない場合には遺言が無効になる
- 自筆証書遺言と公正証書遺言の効力に上下はないが、新しい日付が優先される
- 公正証書遺言があっても遺留分の請求は可能
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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