法事法要
仏壇の用具にはどんな種類がある?仏具の意味やお手入れ方法まで解説
更新日:2022.05.10 公開日:2022.01.02

記事のポイントを先取り!
- 仏壇の用具は基本の配置の仕方がある
- 仏壇のお手入れには専用のアイテムを使う
- 近年、仏壇を持たない供養の仕方も増えている
仏壇にお参りするときは、宗派に合わせて専用の用具を設置する必要があります。
しかし、専用の用具は種類も多く、宗派ごとに用意するものが異なるため、購入の際に迷う方も少なくありません。
そこで本記事では、お仏壇に設置する専用の用具について詳しく解説します。
この機会に、仏壇用具の設置方法やお手入れ方法を知っておきましょう。
自宅に仏壇を置く場所がない場合の代替手段についても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
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仏壇に使われる用具の種類
仏壇に使われる用具には、さまざまな種類があります。
まずは用具の正式な名称と、基本的な使い方について知っておきましょう。
花立
花立(はなたて)とは、お花をお供えするための小さな花器のことです。
宗派や地域によって、花立以外にも花瓶や華瓶(けびょう)という呼び名もあります。
仏壇に揃える用具の中では最低限準備するべきものとされており、使用頻度も高いといえます。
香炉
香炉(こうろ)は、お線香をお供えする器を指します。
宗派によって丸い香炉や長方形の香炉などの種類があり、デザインも豊富です。
香炉灰(こうろはい)といわれる専用の灰を入れて使用します。
燭台
燭台(しょくだい)は、ロウソクを立てて使用する用具です。
ロウソク立てや灯明(とうみょう)立て、火立てといった呼び名もあります。
ロウソクの明かりは、闇を照らす智慧(ちえ)の光とされているようです。
デザイン、サイズが豊富なので、仏壇に合わせて購入すると良いでしょう。
位牌
位牌は故人の戒名や享年が記載されているもので、魂の依り代(よりしろ)とされます。
仏式での葬儀の際は、故人の死後、僧侶が作る白木の位牌を四十九日までの仮位牌とします。
四十九日を目途に本位牌を作製し、魂入れの儀式を経て仏壇に置いて供養することになります。
最近では、以前から広く使われている黒塗りの位牌のほか、黒檀・紫檀などの唐木位牌、クリスタル位牌など豊富な種類があります。
なお、浄土真宗では基本的に位牌は使われません。
御本尊
御本尊(ごほんぞん)とは、仏壇の中心に位置する仏像や掛け軸のことです。
浄土真宗の場合は阿弥陀如来(あみだにょらい)、日蓮宗の場合は曼荼羅(まんだら)など信仰する宗派によって対象が異なります。
仏教の場合、お参りの対象において最たるものといえるでしょう。
線香差し
線香差しとは、その名の通り使用前の線香を差しておくための筒形の用具です。
線香差しを準備せず、箱のまま経机に置いている場合も多く見受けられます。
また、線香立てと呼ぶこともあります。
マッチ消し
マッチ消しは、火のついたマッチをそのまま落とし込んで火を消すために用いられる用具です。
最近ではロウソクに火をつける際、マッチでなくライターやチャッカマンを用いる場合も多いので、必ずしも必要な用具ではありません。
りん
りんは、儀式の際の読経や日々のお参りで鳴らす金属でできた仏具です。
おわん型の本体をりん、りんを鳴らすための棒をりん棒、りんを置く台をりん台やりん座布団といいます。
鳴らすと澄んだ音が響き、俗世間の邪念を払ってくれるといわれています。
最近では、デザイン性の高いりんも広く流通しており、実際に鳴らした時の音を聞いてから購入される方も増えています。
茶湯器
茶湯器(ちゃとうき)は、お水やお茶をお供えするための器です。
蓋がついているものとついていないものがありますが、どちらを使用しても問題ありません。
また、ご家庭にある小さめの湯のみで代用する場合もあります。
なお、お茶や水などをお供えしない浄土真宗では使用しません。
仏飯器
仏飯器(ぶっぱんき)はご飯をお供えするための器で、浄土真宗では仏器(ぶっき)ともいわれています。
茶湯器同様、ご家庭にある小さめの器で代用することも可能です。
高杯
高坏(たかつき)は、果物やお菓子などの食べ物をお供えする際に使用する脚の高い台です。
また、高月と書くこともあります。
ご家庭にあるお皿でも代用できますが、日常的に使用するものなので揃えておくと便利でしょう。
吊灯籠
吊灯籠(つりとうろう)は、仏壇の天井から吊るして設置する、仏壇内部の照明です。
最近では、家具調の仏壇も広く流通しており、それらには仏壇内部にライトが装備されているので、吊灯籠を用いる機会は減っています。
形や素材など種類が豊富で、金額もさまざまです。
浄土真宗では、六角型の金灯籠(きんとうろう・かなとうろう)が使用されます。
常花
常花(じょうか)とは、蓮の花をモチーフとした造花のことです。
左右一対で飾り、茎は3本や5本など奇数で作られていることが基本です。
浄土真宗以外の宗派で使用され、アルミや布・紙製など多くの種類があります。
霊供膳(りょうぐぜん)
霊供膳は、精進料理をお供えするための器と御膳の一式を指します。
浄土真宗以外の仏教では、お盆や命日、法要などの節目に霊供膳を用意してお参りをします。
地域や宗派によっては霊供膳(れいぐぜん)や、御料具膳(おりょうぐぜん)と呼ぶこともあります。
瓔珞(ようらく)
瓔珞は、仏壇を美しく飾る荘厳具の一つで、魔除けの意味合いもあるとされます。
荘厳(しょうごん・そうごん)とは、仏教用語において仏壇や仏堂を飾ることを指します。
過去帳
過去帳(かこちょう)は浄土真宗で用いる用具で、仏様の法名や享年、没日を記したものです。
浄土真宗では位牌を用いず、過去帳に先祖代々のお名前などを記録していきます。
お仏壇にそのまま置いてある場合も多く見受けられますが、専用の台である見台(けんだい)を用いると、なお良いでしょう。
具足とは

仏教では、お仏壇に設置する用具を具足(ぐそく)という言葉で表します。
ここでは、具足の本来の意味や、お仏壇でよく用いられる三具足(みつぐそく・さんぐそく)、五具足(ごぐそく)について解説します。
具足という言葉の意味
もともと具足という言葉には、物事が十分に備わっていることや、武士の甲冑(かっちゅう)の意があります。
本記事では具足について、仏教用語における解釈で解説していきます。
具足は一つの仏壇用具に対して用いるものではなく、お参りに必要ないくつかの用具がセットになっている状態をいいます。
三具足
三具足は、故人を祀りお参りするために必要な三つの用具が揃っている状態をいいます。
その用具とは、香炉・燭台・花立の三つです。
これらは仏壇でお参りをするために必要最低限なセットで、具足のほかにお参りの対象物である本尊や位牌を用意します。
デザインや大きさなど三具足にも多くの種類がありますが、数千円~数万円程度で購入できます。
五具足
五具足は、上記の三具足に含まれる花立と燭台が二つずつ付属されているものを指します。
五具足を準備するほうが正式ではありますが、必須という訳ではありません。
仏壇内のスペースに余裕がある場合は、五具足を準備すると良いでしょう。
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仏具の配置
仏具にはそれぞれ決まった配置の仕方があります。
まずは基本の配置を知り、御本尊などは信仰する宗派に則って適切に配置しましょう。
基本的な配置
まず、仏壇の正面に信仰する宗派の御本尊を用意します。
御本尊は掛け軸タイプや仏像タイプなど、さまざまな種類があるので、ご家庭の仏壇に合うものを選びましょう。
正面の御本尊の両脇には脇侍を準備するのが正式ですが、仏壇の種類によっては脇侍を安置しない場合もあります。
位牌がある場合は御本尊に重ならないように、御本尊の一つ下の段に設置しましょう。
さらにその下の段の中央に仏飯器や茶湯器、両脇に高坏を設置し、食べ物をお供えします。
一番下の段には、普段お参りに使用する香炉などの三具足を設置しましょう。
三具足の置き方は、中央に香炉、右に燭台、左に花立です。
五具足の場合は、香炉の左右に燭台、両端に花立を置きます。
ただし、近年広く流通しているモダン型仏壇や家具調の仏壇では、シンプルなデザインで段が少ない場合もあります。
そのため、上記の置き方はあくまでも一つの基本のかたちと覚えておくと良いでしょう。
浄土宗
浄土宗は、阿弥陀如来(あみだにょらい)が本尊です。
正面には舟形の光背がついた舟立弥陀(ふなたちみだ)、向かって左側には法然上人(ほうねんしょうにん)、右側に善導大師(ぜんどうだいし)を飾ります。
本尊のみの場合は仏飯器や茶湯器は1つですが、脇侍を祀る場合は3つずつ飾る場合もあります。
浄土真宗
浄土真宗も阿弥陀如来が本尊です。
浄土真宗の中にもいくつか宗派があり、多くは本願寺派(西)、大谷派(東)で分かれています。
本願寺派(西)の場合は、後光が八本描かれている阿弥陀如来の西立弥陀(にしたちみだ)を正面に飾ります。
向かって左側に蓮如上人(れんにょしょうにん)、右側に親鸞聖人(しんらんしょうにん)を配置します。
また、大谷派(東)の場合は後光が六本描かれている阿弥陀如来の東立弥陀(ひがしたちみだ)を正面に飾ります。
向かって左側に九字名号(くじみょうごう)、右側には十字名号を飾るのが一般的です。
なお、前述した通り浄土真宗では水やお茶を供えないため、茶湯器は不要です。
真言宗
真言宗は、大日如来(だいにちにょらい)が本尊です。
正面には大日如来、向かって左側に不動明王、右側には弘法大師を飾りましょう。
天台宗
天台宗は、釈迦如来もしくは阿弥陀如来が本尊です。
向かって左側に伝教大師(でんぎょうだいし)、右側には天台大師を飾りましょう。
日蓮宗
日蓮宗は曼荼羅もしくは三宝尊(さんぼうそん)が本尊です。
向かって左側に大黒天、右側には鬼子母神となりますが、地域により脇侍を逆にかける場合がありますので注意しましょう。
曹洞宗
曹洞宗は釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)が本尊です。
正面には座釈迦、向かって左側に常済大師、右側に承陽大師(じょうようだいし)を飾ります。
臨済宗
臨済宗も同じく、釈迦牟尼仏が本尊です。
脇侍は各派によって違い、向かって左側に観世音菩薩や花園法王、右側には無相大師や文殊菩薩(もんじゅぼさつ)を飾ります。
仏壇と仏具のお手入れ方法
仏壇は、普段からきれいにしておきたいものです。
しかし、仏壇の内部は装飾も多くデリケートな作りのものも多いので、素人がお手入れするのは少々ハードルが高く感じる場合もあるでしょう。
そこでここでは、仏壇を自分でお手入れする際のポイントを解説します。
合掌し、礼拝する
まずは、御本尊やご先祖様に手を合わせてお参りをし、掃除することを報告しましょう。
また、掃除が終わった後には仏具を元の位置に戻さなければならないため、戻せるか不安であれば、この時に写真を撮っておくと安心です。
換気をする
細かい装飾部などに埃が溜まっていることも考えられるため、部屋の掃除と同様に窓をあけて換気をすると良いでしょう。
仏壇の中の仏具を全て取り出す
仏壇の中に設置している仏具を全て取り出します。
取り出す過程で、普段あまり動かすことのないものの周りに傷がないかなど、しっかり確認しましょう。
吊灯篭や仏壇内部のダウンライトなど、電気系統や複雑な作りの部分は無理に外さなくても大丈夫です。
埃をはらう
お仏壇の上部から下部にかけて、全体の埃をはらっていきます。
小さなほうきや、やわらかい素材で作られている毛ばたきを用いると、仏壇を傷めることがありません。
仏壇の中を拭き掃除する
仏壇の内部を、やわらかい布で乾拭きしましょう。
全体をやさしく拭き上げた後は、専用の艶出しクリームなどで仕上げ拭きをします。
中でも金仏壇の場合は特に注意が必要です。
金箔の部分に溜まっている埃を無理に取ろうとすると、指紋がついてとれなくなったり、金箔が剥がれたりする恐れがあります。
金箔の部分には直接触れず、毛ばたきで軽く埃をはらうぐらいにとどめておきましょう。
仏壇の外側を掃除する
仏壇の内部同様、外側の埃もはらってから、やわらかい布で乾拭きします。
外側は汚れがつきやすいですが、強くこすったり、研磨剤や洗剤を用いたりするのはタブーです。
専用のものでやさしく拭き上げましょう。
仏具を掃除する
仏具を一つひとつ丁寧に拭きます。
仏具に指紋などがつくととれない場合があるので、布製の白手袋をはめると安心です。
専用のクリームを使う場合は、仏具の素材にも注意しましょう。
中にはコーティングなどが施されている場合もあるため、何を使えば良いかわからない場合は仏具店に相談してください。
りんなどの金属製の仏具の場合は、専用の研磨剤で丁寧に磨きます。
唐木などの木製の仏具は湿気が天敵なので、水拭きする場合は完全に水気をふき取りましょう。
普段から手で触るものは手指の油が特に付着しているので、より丁寧に磨く必要があります。
ただし、お仏壇や仏具には細かな装飾や加工、金箔があしらわれているものも少なくありません。
無理のない範囲で行うのはもちろんのこと、細かい部分は数年に一度、プロに依頼しても良いでしょう。
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仏壇を置く場所がない場合は?
近年ではライフスタイルの変化により、ご自宅に仏間をもたない場合も多くあります。
仏壇を置くスペースがなく、どのように供養すべきか悩んでしまう方も少なくありません。
そこで本項では、仏壇を持たずにご先祖様の供養を行う方法を紹介します。
遺骨ペンダント
遺骨ペンダントは、粉骨したお骨の一部を専用のペンダントトップに入れて、いつでも身に着けていられるアクセサリーです。
多くの種類がありますが、シンプルな形状なものも多く、他のアクセサリーと同様オシャレな外観です。
普段から身につけられるため、故人をより近くに感じられるでしょう。
ミニ骨壺
ミニ骨壺とは、分骨した少量の遺骨を入れ、お手元で保管・供養するための小さな骨壺です。
平均6センチ程度の大きさのものが多く、デザインも豊富で、ご家庭のインテリアに合わせて選べます。
また、万が一転がってしまっても、簡単に蓋が開かないような作りのため、旅行の際などに持ち運ぶことも可能です。
ミニ仏壇
ミニ仏壇とは、これまであった従来のお仏壇を、より小さくした仏壇を指します。
近年では、インテリアに合う家具調のミニ仏壇も増え、高さ、幅ともにスタイリッシュな作りになっています。
限られたスペースでも容易に配置できるうえ、親族の了承を得やすいともいえるでしょう。
仏壇の用具まとめ

ここまで仏壇に置く専用の用具について、宗派ごとの違いや配置の仕方を中心に解説してきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 仏壇の用具には宗派によって種類があり、基本の配置の仕方がある
- 仏壇と仏具のお手入れの際は、素材に合わせた専用アイテムを使う
- 仏壇を置くスペースがない場合は、仏壇を持たない供養の方法がある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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監修者

袴田 勝則(はかまだ かつのり)
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査制度 一級 葬祭ディレクター
経歴
業界経歴25年以上。当初、大学新卒での業界就職が珍しい中、葬儀の現場で数々のお葬式を担当し、身寄りのない方の弔いから皇族関係、歴代首相などの要人、数千人規模の社葬までを経験。さらに、大手霊園墓地の管理事務所にも従事し、お墓に納骨を行うご遺族を現場でサポートするなど、ご遺族に寄り添う心とお墓に関する知識をあわせ持つ。
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